n変数関数の連続性トピック一覧  

 ・連続性の定義点での連続性/右連続/左連続/点集合上連続/連続関数/一様連続性 
 
n変数についての連続性の性質各変数についての連続性との関係/点列の収束との関係 
 
連続関数一般の性質関数の和差積商の連続性 
 
有界閉集合上の性質連続関数による有界閉集合の像は有界閉集合/有界閉集合上連続な関数は有界/最大値最小値定理/
            関数f (x)を有界閉集合D上で連続とすると、fDにおいて一様連続
 
連結な集合上の性質中間値定理/連続関数による領域の像は区間/連続関数による閉領域の像は閉区間  

n変数関数に関する諸概念: n変数関数の諸属性/極限/極限の性質/偏微分/全微分/
n変数関数の連続性の具体例:1変数関数の連続性/ 2変数関数の連続性
n変数関数の連続性の一般化:実数値関数の連続性/ベクトル値関数の連続性/
               距離空間のあいだの関数の連続性/位相空間のあいだの関数の連続性 
 
総目次

定義:n変数関数が点Aで連続

はじめに
読むべき
定義

n変数関数 f は、A(a1,a2,,an )連続であるcontinuous」とは、
 次の
3条件がすべて満たされることを言う。
 
(1) f (A)、すなわち、f (a1,a2,,an ) が定義されていること
 
(2) PAで、f (P)収束すること。
    つまり、
     

    が存在すること。 
 
(3) f (P)f (A)PA
   つまり、
   

   が成立すること。
上記条件の一つでも満たされていないとき、
 
f (P)A不連続であるdiscontinuous
 ないしは、
f (x1,x2,,xn)(a1,a2,,an )不連続であるという。

cf.点集合上連続/一様連続性

[具体例]1変数関数の連続性/2変数関数の連続性 

[一般化]実数値関数/ベクトル値関数/距離空間上の写像/位相空間上の写像

[文献]
杉浦『
解析入門I』定義5(p.55-56);
木『解析概論10連続函数(p.26)
吹田新保『理工系の微分積分学6章§2(II)(p.160)


舞台設定

厳密には、
n変数関数 f Aで連続」の定義は、以下の手順で設定された舞台上でなされる。 
Step1 n次元空間Rnを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、 実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
     
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2
n次元空間Rnに距離dを定めて、距離空間(Rn,d)を設定。
    
*普通は、 n次元空間Rnユークリッド距離を与えたユークリッド空間を考える。 
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。つまり、「DRn」 
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 
Step4 n次元空間Rn上の点集合Dで定義された n変数関数 f を用意。
    つまり、
f : DR DRn )、z=f(P) ( zR, PRn ) z=f(x1,x2,,xn ) ( zR, (x1,x2,,xn )Rn )  
    
*fは「D属すn次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。
Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属すを、P= (x1,x2,,xn )と名づける。 
   「
n次元空間Rn点集合D」に属すを、A = (a1,a2,,an )と名づける。 
        つまり、「
P, ADRn」  
    
*P, Aは、「D属すn次元数ベクトル」といってもよい。

厳密な
定義
ε
-δ論法

n変数関数f (P)すなわちf (x1,x2,,xn)は、
  
A(a1,a2,,an )連続であるcontinuous」とは、
 
任意の正数εに対して、ある実数δが存在して、
  「
d ( P, A )<δ ならばd ( f (P), f (A) )<ε 」 
 を成り立たせる、ということ。
この定義を、
論理記号で表せば、
ε>)(δ>)(PRn)( d ( P, A )<δ d( f (P), f (A) )<ε
 
* d ( P, A )は、 n次元空間Rn上でのPAとの距離を、
  
d ( f (P), f (A) )は、R上のf (P)f (A)との距離| f (P)f (A)|を表す。

* PAのときf(P)が収束する」の定義では、
           0<
d( P, A )<δ であった。
  つまり、
関数の「極限」では、PAを除外して考えたが、
     「連続」では
PAを除外しないことになる。

[文献]
木『
解析概論10連続函数(p.26);
吹田新保『理工系の微分積分学6章§2(II)(p.160)
杉浦『解析入門I』命題6.5-b(p.55-56);
ルディン『現代解析学4.5(p.83):一般の距離空間上で。
松坂『
集合・位相入門』4章§1-G(p.149)
小平『
解析入門U
§
6.4(p309):2変数関数と同じとあるだけ;

※ユークリッド距離が定められたユークリッド空間Rnにおける連続概念 
 
n変数関数f (P)= f (x1,x2,,xn)、すなわち「『 n次元空間Rn部分集合』から『実数体R』への写像」を扱う際には、
 特別な目的がない限り、
 
n次元空間Rn上の距離ユークリッド距離で定めて、 n次元空間Rnユークリッド空間Rnとし、 
 
実数体R距離ユークリッド距離で定めて、R1次元ユークリッド空間Rとする設定のもとで
 考えるのが普通。 
 この設定下では、
    
 
    
d (f (P), f (A) )=| f (P)f (A)|=| f (x1,x2,,xn )f (a1,a2,,an )|  
 だから、
 「
f (P)=f (x1,x2,,xn)は、A(a1,a2,,an )連続である」の定義は、具体的には
  ┌
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
  |  「 

  |        
ならば  | f (x1,x2,,xn )f (a1,a2,,an )|<ε」 
  └を成り立たせる
  
ε>)(δ>)(x1,x2,,xn R
    | f (x1,x2,,xn )f (a1,a2,,an )|<ε 
 となる。

n次元数ベクトル空間の上に定義されたユークリッド空間Rnにおける連続概念 
 
Rnベクトルの加法スカラー乗法自然な内積(標準内積)ユークリッドノルム‖‖が定義されており、
 
Rnn次元数ベクトル空間計量実ベクトル空間ノルム空間として扱える場合、
 
任意のn次元数ベクトルx, yRnのユークリッド距離はxy と表せる。
 このユークリッド距離を定義したユークリッド空間
Rnのもとでは、 
 
d ( P, A )PA 
 だから、
 「
f (P)すなわちf (x1,x2,,xn)は、A(a1,a2,,an )連続であるcontinuous」の定義は、
  
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
     『 
PA<δ ならば  | f (P)f (A)|<ε』  
   を成り立たせる
 
  
ε>)(δ>)(PRn )(PA<δ| f (P)f (A)|<ε  
 と表せる。   
 ただし、上記の
Pは、「P (x1,x2,,xn )」を表すn次元数ベクトル(x1,x2,,xn )
     上記のAは、「A (a1,a2,,an )」を表すn次元数ベクトル(a1,a2,,an )
 である。    

厳密な
定義
近傍

n変数関数f (P)すなわちf (x1,x2,,xn)は、
  
A(a1,a2,,an )連続であるcontinuous」とは、
 
実数f (A)任意の(どんな)「R上のε近傍 Uε( f (A) ) 」に対して(でも)、
 ある「
Rn上の点Aのδ近傍Uδ(A)」が存在して、
     
f ( Uδ(A) ) Uε( f (A) ) 
 を満たす
ということ。
この定義を別の表現でいうと、
 
任意の(どんな)実数εに対して(でも)、ある実数δが存在して、
        「 
f ( Uδ(A) ) Uε( f (A) ) 」
    すなわち「 
(x1,x2,,xn)Uδ(A) ならばf (x1,x2,,xn) Uε(f (A))
 を成り立たせる、
ということ。
この定義を、
論理記号で表せば、
ε>0)(δ>0)( f ( Uδ(A) ) Uε(f (A)) ) 
ε>0)(δ>0)(PRn)( PUδ(A) f (P) Uε(f (A))) 
となる。

[文献]
杉浦『解析入門I』命題6.5-c(p.55-56);
斉藤『数学の基礎:集合・数・位相3.4.16(p.90)
松坂『集合・位相入門』4章§1-G(p.149)

活用例

 

定義:n変数関数の右連続・左連続

 

不明 
cf.1変数関数についての「右連続」1変数関数についての「左連続」 

.

     
→[トピック一覧:n変数関数の連続性]
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定義:n変数関数が点集合D上で連続

はじめに
読むべき
定義

n変数関数f (P)すなわちf (x1,x2,,xn)
  
点集合D上で(n個の変数x1,x2,,xnについて)連続continuous」とは、
  
f (P)=f (x1,x2,,xn)点集合D属す連続であることをいう。  

cf.
点での連続性
一様連続性

[具体例]1変数関数の区間連続性/2変数関数が集合上連続 

[一般化]実数値関数/ベクトル値関数/距離空間上の写像/位相空間上の写像

[文献]
吹田新保『
理工系の微分積分学6章§2(II)(p.160);
杉浦『
解析入門I225.
斉藤『
数学の基礎:集合・数・位相3.4.16 (p.90)

舞台設定

厳密には、
n変数関数 f 点集合D上で連続」の定義は、以下の手順で設定された舞台上でなされる。 
Step1 n次元空間Rnを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、 実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
     
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2
n次元空間Rnに距離dを定めて、距離空間(Rn,d)を設定。
    
*普通は、 n次元空間Rnユークリッド距離を与えたユークリッド空間を考える。 
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。つまり、「DRn」 
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 
Step4 n次元空間Rn上の点集合Dで定義された n変数関数 f を用意。
    つまり、
f : DR DRn )、z=f(P) ( zR, PRn ) z=f(x1,x2,,xn ) ( zR, (x1,x2,,xn )Rn )  
    
*fは「D属すn次元数ベクトルから実数への対応付け」だとも言える。
Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属すを、P= (x1,x2,,xn )と名づける。 
   「
n次元空間Rn点集合D」に属すを、A = (a1,a2,,an )と名づける。 
        つまり、「
P, ADRn」  
    
*P, Aは、「D属すn次元数ベクトル」といってもよい。

厳密な
定義
ε
-δ論法

f (P)=f (x1,x2,,xn)点集合D上で(n個の変数x1,x2,,xnについて)連続continuous」とは、
 
点集合D属すAをひとつ選んで固定した上で、
 
任意の正数εに対して、ある正数δをとると、
   「
d ( P, A )<δ ならば| f (P)f (A) |<ε」   …(1)
 が成り立ち、
 これが、すべての点
ADについてもいえるということ。
論理記号で表せば、すなわち
 
( AD ) ( ε>0 ) ( δ>0 ) ( PD ) ( d ( P, A )<δ | f (P)f (A) |<ε)
                             
[杉浦『解析入門I225]
ここで、(1)を満たすδを全てのADに対して共通に選ぶ必要はないことに注意。
 「
f(P)D上で連続」と言った場合、ADの選び方で(1)を満たすδが変わってもよい。
 これに対して、
 
(1)を満たすδを全てのADに対して共通に選べる、
 ADの選び方によらず、εだけに対応して (1)を満たすδを一様に選べることを意味する概念は、
 
一様連続性

     

定義:n変数連続関数

 

  n変数関数 f (x1,x2,,xn)定義域Dに属する全ての連続であるとき、
 
n変数関数 f (x1,x2,,xn)を(n個の変数x1,x2,,xnの)連続関数と呼ぶ。

[文献]

     

定理:「n変数についての連続性」と「各変数についての連続性」との関係

 

n変数関数 f (x1,x2,,xn) D上でx1,x2,,xnについて連続   
n変数関数 f (x1,x2,,xn)
      
D上でx2,,xnを固定したときx1について連続
      
D上でx1,x3,,xnを固定したときx2について連続
           :
      
D上でx1,,xn1を固定したときxnについて連続  
※逆は必ずしも成り立たない。 

[文献]
小平『
解析入門Up.260
和達『微分積分pp.115-6;

     
→[トピック一覧:n変数関数の連続性]
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定理:n変数関数の点における連続性の、点列・数列の収束への言い換え 

 具体例→1変数関数の連続の、数列の収束への言い換え/ 2変数関数の連続の、点列・数列の収束への言い換え
 一般化→
ベクトル値関数の連続性の点列の収束への言換え/距離空間のあいだの写像の連続性の、点列の収束への言換え

要旨

n変数関数 f連続性は、収束点列数列収束に、言いかえられる。 

定理


次の命題
P,Q,Rは互いに言い換え可能である。
つまり、命題
P命題Q命題R

 

命題P
 
f (P)f (x1,x2,,xn)は、A(a1,a2,,an )連続

[文献]
西村『経済数学早分かり3章§1.2連続関数(p.106)
神谷浦井『経済学のための数学入門』§2.5 (p.95);

命題Q
 
どんなRn上の点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n ) , (x21,x22,,x2n ), (x31,x32,,x3n ),}についてであれ、 
  その
点列{ Pn }A(a1,a2,,an )収束する限り、 
 その
点列の各項 P1 , P2 , P3,…を n変数関数fによりR上に写した数列 
    {
f ( Pn ) }={ f ( P1 ), f ( P2 ) , f ( P3 ) , }={ f ( (x11,x12,,x1n ) , f (x21,x22,,x2n ), f (x31,x32,,x3n ), }
 は実数f (A)f (a1,a2,,an)収束する
 つまり、
  
任意のRn上の点列{ Pn }={ P1 , P2 , P3,}={ (x11,x12,,x1n ) , (x21,x22,,x2n ), (x31,x32,,x3n ),}について、
               
PnA (n) ならば f(Pn)f (A) (n→∞)  
 
論理記号で表すと、
   
{ Pn })( PnA (n) f (Pn)f (A) (n→∞)

命題R
 いかなる
    「実数
a1収束する数列{ x11 , x21 , x31 ,…}」
    「実数
a2収束する数列{ x12 , x22 , x32 ,…}」
       : 
    「実数
an収束する数列{ x1n , x2n , x3n ,…}」   
 に対しても、
 
数列
  { f ( Pi ) }={ f ( P1 ), f ( P2 ) , f ( P3 ) , }={ f ( x11,x12,,x1n ) , f (x21,x22,,x2n ), f (x31,x32,,x3n ), }
 が実数f (A)収束する
 つまり、
{ xi1 } ,{ xi2 }, , { xin }
 xi1a1 (i→∞)かつxi2a2 (i→∞)かつかつxinan (i→∞) f ( xi1,xi2,,xin )f (a1,a2,,an) (i→∞)
なぜ?
  
関数の収束の定義と、関数の連続性の定義を見比べたうえで、
  
関数の収束と点列の収束の関連性についての定理を、関数の連続性向けに修正。 

活用例

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定理:n変数関数の和差積商の連続性

設定

この定理は、以下の手順で設定された舞台上で成立する。 
Step1 n次元空間Rnを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、
       
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
       
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2
n次元空間Rnに距離dを定めて、距離空間(Rn,d)を設定。
    
*普通は、 n次元空間Rnユークリッド距離を与えた
                  
ユークリッド空間を考える。
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」とも呼べる。
Step4 n次元空間Rn上の点集合Dで定義された n変数関数 f を用意。
    つまり、
f : DR DRn )、z=f(P) ( zR, PRn )
            
z=f(x1,x2,,xn ) ( zR, (x1,x2,,xn )Rn ) 
    
*fは「D属すn次元数ベクトルから実数への対応付け」
                         だとも言える。
Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属すを、P= (x1,x2,,xn )と名づける。
   「
n次元空間Rn点集合D」に属すを、A = (a1,a2,,an )と名づける。
        つまり、「
P, ADRn」  
    
*P, Aは、「D属すn次元数ベクトル」といってもよい。


[具体例]1変数関数の和差積商の連続性/2変数関数の和差積商の連続性 


[文献]
吹田・新保『
理工系の微分積分学p. 160;
杉浦『解析入門I』定理6.6-3(p.58);

定理1

n変数関数f (P)f (x1,x2,,xn)が、A(a1,a2,,an )において連続であり、
かつ
n変数関数g (P)g (x1,x2,,xn)が、A(a1,a2,,an )において連続である
ならば
n変数関数 f ( P )±g ( P )f (x1,x2,,xn)±g (x1,x2,,xn)もまた、A(a1,a2,,an )において連続となる

定理2

n変数関数f (P)f (x1,x2,,xn)が、A(a1,a2,,an )において連続であり、
ならば
任意の定数kRにたいして、 kf( P )kf (x1,x2,,xn)もまた、A(a1,a2,,an )において連続となる。

定理3

n変数関数 f (P)f (x1,x2,,xn)が、A(a1,a2,,an )において連続であり、
かつ
n変数関数 g (P)g (x1,x2,,xn)が、A(a1,a2,,an )において連続である
ならば
n変数関数 f ( P ) g ( P ) f (x1,x2,,xn) g (x1,x2,,xn)もまた、A(a1,a2,,an )において連続となる。

定理4

n変数関数 f (P) f (x1,x2,,xn)が、A(a1,a2,,an )において連続であり、
かつ
n変数関数 g (P) g (x1,x2,,xn)が、A(a1,a2,,an )において連続であり、
かつ
f(A)f(a1,a2,,an )≠0
ならば
n変数関数 g ( P )f ( P )g (x1,x2,,xn)f (x1,x2,,xn)もまた、A(a1,a2,,an )において連続となる.

証明

関数の極限値どおしの演算についての定理より。

 
     

[トピック一覧:n変数関数の連続性]
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定理:合成関数composition連続

要旨

二つの連続関数合成関数連続

 

設定

n次元空間Rn実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
        
これはn次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある
(Rn,d) : n次元空間Rnに距離dを与えてつくった距離空間。 
     普通は、
     
n次元空間Rnユークリッド距離を与えたユークリッド空間 
     を考える。 
D n次元空間Rn点集合。つまり、DRn
E n次元空間Rn点集合。つまり、ERn
   
D,Eは、「n次元数ベクトルの集合」とも呼べる。 
A= (a1,a2,,an ) n次元空間Rn点集合D上の定
          つまり、
A= (a1,a2,,an )DRn
P=
(x1,x2,,xn ) n次元空間Rn点集合上の動
          つまり、
P= (x1,x2,,xn )DRn 
     
A,Pは、「D属すn次元数ベクトル」でもある。  


[具体例]1変数関数の合成関数の連続性二つの1変数関数と一つの2変数関数から出来た合成関数の連続性
[一般化]距離空間のあいだの合成写像の連続性 

[文献]
杉浦『
解析入門I』定理6.7-3(p.59):ベクトル値関数のケース;
高橋『経済学とファイナンスのための数学p.146:ベクトル値関数のケース;

 

f n次元空間Rn上の点集合Dで定義された n変数関数。 
   つまり、
f : DR DRn )、z=f(P) ( zR, PDRn ) 、 
        
z=f(x1,x2,,xn ) ( zR, (x1,x2,,xn )DRn ) 
g n次元空間Rn上の点集合Dで定義された n変数関数。 
   つまり、
g : DR DRn )、z=g(P) ( zR, PDRn ) 、 
        
z=f(x1,x2,,xn ) ( zR, (x1,x2,,xn )Rn ) 。

定理

 
     

関連事項:1変数関数の合成関数の連続性二つの1変数関数と一つの2変数関数から出来た合成関数の連続性

     

[トピック一覧:n変数関数の連続性]
総目次

定義:n変数関数の一様連続性 uniformly continuous

設定

n変数関数 f の一様連続性」の定義は、
 以下の手順で設定された舞台上でなされる。 
Step1 n次元空間Rnを用意する。
    
* n次元空間Rnとは、
       
実数n個並べた組 (x1,x2,,xn ) をすべてあつめた集合。
       
n次元数ベクトルをすべて集めた集合でもある。
Step2
n次元空間Rnに距離dを定めて、距離空間(Rn,d)を設定。
    
*普通は、 n次元空間Rnユークリッド距離を与えた
                  
ユークリッド空間を考える。
Step3 n次元空間Rn上の点集合のひとつを選んで、集合Dと名づける。
    つまり、「
DRn
    
*Dは、「n次元数ベクトルの集合」とも呼べる。
Step4 n次元空間Rn上の点集合Dで定義された n変数関数 f を用意。
    つまり、
f : DR DRn )、z=f(P) ( zR, PRn )
            
z=f(x1,x2,,xn ) ( zR, (x1,x2,,xn )Rn ) 
    
*fは「D属すn次元数ベクトルから実数への対応付け」
                         だとも言える。
Step5:「 n次元空間Rn点集合D」に属す2を、
      
P= (x1,x2,,xn )A = (a1,a2,,an )と名づける。
      つまり、「
P, ADRn」  
    
*P, Aは、「D属すn次元数ベクトル」といってもよい。 


cf
.D上で連続:δが各AD毎にちがっていてもよい。

cf.点での連続性
[具体例]1変数関数の一様連続性/2変数関数の一様連続性 
[一般化]ベクトル値関数の一様連続性/実数値関数の一様連続性/距離空間のあいだの写像の一様連続性

[文献]
斉藤『
数学の基礎:集合・数・位相3.4.17 (p.90)
杉浦『解析入門I』W章積分§4連続関数の可積分性-定義1(p. 225).;
ルディン『現代解析学4.18(p.88):距離空間一般上。
吹田新保『
理工系の微分積分学6章§2(II)6(p.160)
木『解析概論10連続函数定理14(p.27)

定義

n変数関数f (P)=f (x1,x2,,xn)が、点集合D上で一様連続uniformly continuousであるとは、
 
任意の正数εに対して、ある正数δが存在して
  「
d (P, A)<δを満たす限りで任意の『D』」P,Aについて、
     
| f (P)f (A) |<ε
  を成り立たせる
ということ。
論理記号で表せば、すなわち、
( ε>0 ) ( δ>0 ) ( AD ) ( P D ) ( d ( P, A )<δ | f (P)f (A) |<ε)
δが、各ADに対して一様にとれることを意味している点が、重要。

性質

n変数関数f 点集合D上で一様連続ならばf 点集合D上で連続。  
・一般には、
n変数関数f 点集合D上で連続だからといって、点集合D上で一様連続だとは限らない。
点集合D有界な閉集合ならば n変数関数f 点集合D一様連続であることと連続であることは同値
 →
詳細 

否定命題

n変数関数f (P)f (x1,x2,,xn)が、点集合D上で一様連続ない」とは、
 
( ε>0 ) ( δ>0 ) ( AD ) ( P D ) ( d (P, A)<δかつ| f (P)f (A) |≧ε)
          [杉浦『解析入門I』W章積分§4連続関数の可積分性-定理4.1証明(4.4)(p. 226)]

CfD上で連続:δが各AD毎にちがっていてもよい。
関連事項:
点での連続性D上で連続
具体例: 1変数関数の一様連続性 / 2変数関数の一様連続性  
一般化:
ベクトル値関数の一様連続性 /実数値関数の一様連続性 /距離空間のあいだの写像の一様連続性

     

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reference

岩波数学辞典(第三版)』項目441連続関数 (pp.1329-1331).

神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.148-160.

高木貞治『解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、pp. 26-8.

小平邦彦『解析入門II(軽装版)岩波書店、2003年、pp.260-264.

和達三樹『理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.115-6.

吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年、pp.160-1

杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp.55-56;74-75. 極限の定義が特殊なので注意。

高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.144-146.

ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、4.5-4.24(pp.83-91)。一般の距離空間の上で論じている。
斉藤正彦『
数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。第3章§4数空間Rn-連続写像3.4.16-19 (p.90-92)

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