ライト兄弟
Wilbur Wright(1867〜1912)Orville Wright(1871〜1948)飛行機発明者

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時代は瞬く間にひとを置き去りにする
オハイオで自転車製造販売業を営んでいた兄弟は、次世代の商品開発を考えた。それは飛行機。作ろうと思い立ってから、わずか4年で飛んだ。
技術は拡散し、急速に発達する。ライバルたちがあっという間に追いついてくると、彼らは自分たちの特許を守るため、泥沼の法廷闘争に明け暮れる。しかし時代の波は、もはや特許ひとつでコントロールできないほど速かった。
ライト兄弟の発見した補助翼の原理は、現在の飛行機にもそのまま使われ続けている。
掲載:NHKラジオ英語リスニング入門2002年10月号表3/NHKラジオ英語リスニング入門2003年2月号表3
参考資料

『ライト兄弟:空を飛ぶ夢にかけた男たち』
ラッセル・フリードマン著、松村佐和子訳(偕成社、1993)
日本ではライト兄弟の伝記が多数でていますが、それらは全てと言っていいほど子ども向けのものです。この本もヤングアダルト向けですが、結構読み応えのある伝記になっています。ただし、兄弟が飛行機を開発し、成功するまでのことがほとんどです。兄のウィルバーが訴訟裁判に駆け回らなければならなかったことや、兄の死後すぐに飛行機事業から手をひいた弟オービルの後半生などは、解説で触れられているだけです。
兄弟は、自分たちの実験の過程を写真として記録するようにしていたそうです。しかも、乾板を使うカメラで鮮明な画像にこだわったというところは、もう一つの先見の明であったように思えます。

『発想の航空史 : 名機開発に賭けた人々』
佐貫亦男著(朝日新聞社、1998)
ひとことで言えば、「技術畑から見た航空発達史」といった内容の本です。第一部「ライト兄弟から第一次世界大戦」に、ライト兄弟とそのライバルたちの凌ぎ合いが書かれています。ライト兄弟は後半生、特許裁判に明け暮れますが、その元が原理特許にあったようです。本来、原理は特許として認められないのに、アメリカの審査官はそれを見逃して特許を与えてしまった。他国は特許として認めない。それが、兄弟の裁判地獄の日々に、そしてアメリカの飛行機開発の停滞につながっていったというのです。そこにも歴史のドラマがあるんだと思わずにいられません。
『人物アメリカ史:People America(全8巻)』
猿谷要ほか編(綜合社、1984)
「ライト兄弟:世界で初の動力飛行機で飛び、航空機時代を拓いた」と題する伝記が収録されています。

『大空にいどむ』
J・テイラー著、橋本英典訳(岩波書店、1975)
子ども向けの航空史。ライト兄弟の成功から、音速を超えるまでのことが、簡単な記述で書かれています。「さいしょのすばらしい瞬間」がライト兄弟を書いている章ですが、彼らの伝記的な話はなく、あくまで航空史の面から彼らのどこが優れていたかに焦点をあてています。途中には、リンドバーグの章もありますが同様です。航空史のことをざっと知りたいと思ったとき、入門編として読むといい本です。