ワイアット・アープ
Wyatt Earp(1848〜1929)西部開拓時代のガンマン・保安官

西部の英雄は
灰色の砂塵の中に立つ
「荒野の決闘」そして、「OK牧場の決闘」。西部劇の中では、伝説のスーパー・ヒーローだ。その半生はいくつもの事件で彩られ、正義の保安官だったという人もいれば、実は冷酷な悪党だったという人もいる。
今では真実はわからない。ただどちらにせよ、その当時のフロンティアという場所が、彼のような人間を必要としたことだけは確かなのだ。
ワイアット・アープは80歳まで生き、ベッドの上で平凡に亡くなった。日本で言えば昭和4年のことだ。
掲載:NHKラジオ英会話入門2001年12月号表4

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参考資料
『フロンティアの英雄たち』
津神久三著(角川書店、1982)
「アウトローたち」の章に、「争点のスーパー・ヒーロー:ワイアット・アープ」として、彼の物語が語られています。
『ガンマンは二度死ぬ』
津神久三著(晶文社、1986)
「ワイアット・アープとカーリー・ビル」の章で、彼の伝説の一つが語られています。

『西部の町の物語』
ダグラス・D. マーティン著、高橋千尋訳(晶文社、1986)
トゥムストンというのは、西部劇を何本か見ると必ず出てくる町の名です。OK牧場の決闘は、この町の近くで行われました。これは、町の新聞「トゥムストン・エピタフ」から当時の記事をまとめ、解説をつけた本です。ワイアット・アープ関係の記事は、保安官補佐に任命された記事を始めに、「9章:トゥムストンのライオン」と「10章:復讐」に集められています。アープがトゥムストンにいたのは約2年間という短い間でしたが、記事をまとめると1万7千語になるそうです。当時も、アープの彼の事件が、大変注目されていたということでしょう。
『五枚の金貨』
柘植久慶著(中央公論社、2001)
「一八五〇年の20ドル金貨」の章に、「ドク・ホリディとOKコラルの決闘」という項目でアープのことが書かれています。
映像

「荒野の決闘」(My Darling Clementine, 1946)
ジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演
西部劇のなかでは、五本の指に入る有名な映画。OK牧場の決闘にいたる勧善懲悪劇を縦軸に、ドク・ホリディと彼を追いかけてきて恋人クレメンタイン、そしてワイアット・アープのほのかな三角関係を横軸に、ストーリーは展開していきます。実際は、いかがわしい部分も多い人物だったようですが、この映画でのアープは、おっとりして品がいい西部のジェントルマンに描かれています。
"Gunfighters"
(Wellspring, 2004)
このなか1本に、Wyatt Earpを主人公とするドラマが入っています。
・保安官と言えばワイアット・アープ、というくらい西部劇の世界では有名人ですから、彼をモデルにした映画はたくさんあります。わたしが見たも限りでも、『OK牧場の決斗』(Gunfight at the O.K. Corral, 1957 )、『墓石と決闘』(Hour of the Gun, 1967)、『ワイアット・アープ』(Wyatt Earp, 1994)などがあります。アープの性格付けも近年になるに従って、単なる正義の英雄から暗い側面も持っていた男という風に変わってきているように感じます。