招き猫は何を招く?
皆さんは招き猫の上げている手の違いをご存知ですか? 右手を上げているのが金運招き、左手が人招きです。両手を上げているのは、欲をかくとお手上げになると、洒落ているのです。
この右手 ・ 左手の由来は、風水そして古代中国の思想に関係しています。中国では古くから偉い人や神様は南向きに座ると言い伝えられています。
中国の最も古い書物である [周易(しゅうえき)] にも [天子南面] との記述が見られます。 招き猫は民間信仰によって神格を与えられましたので、やはり北を背に南を向いて座るものとされています。
と言うことは右手は西で、左手は東です。 風水ファンの方はもう気が付かれましたね。西は叡智と金運でお金を、東は癒しと健康で人を表す方位ですから、左右の手はそれらを招く手というわけです。
さて招き猫の左右の手の秘密はこれで良しとして、何故猫か? ということを考えてみましょう。
陶器製の招き猫が縁起物として売られだしたのは江戸中期のことです。 豪徳寺と自性院が [元祖] と [本家] よろしく熾烈な販売合戦を繰り広げました。
面白いのは両方ともに、彦根藩主と太田道灌の違いはあっても、猫に危難を救われたという眉唾話をその由来にしている点でしょう。
今も昔も風水グッズは、儲け話のネタに成り易いということでしょうか。 と、話が脱線してしまいましたが、何故猫か? ということです。
古代エジプトには猫信仰がありました。女神バステトという太陽神の化身で、農業を司る女神でもあります。この信仰により、猫は小麦の精霊となりました。
この信仰が中国に伝播して、猫は稲の精霊となりました。
だから、[猫]」 と言う漢字は獣ヘンに苗と書くのです。 そう、猫は農耕を守護し、財産を意味する女神でした。洋の東西を問わず、猫はお金と女性に縁があるようです。
村上瑞祥
初出掲載日:2010年10月3日
最終更新日:2025年3月20日
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