6月の歳時記、花火大会と水神祭り
先日いつも通る道すがら、アジサイの花が一輪、垣根越しに首を垂れているのに行き会いました。梅雨の鬱陶しさを詫びるかのような面差しが一幅の絵のようで、一時長雨の不快さを忘れさせてくれたものです。
沖縄では早くも梅雨明け宣言が出されました。史上最も早い梅雨明けだそうですが、今年の猛暑を予感させるようで少し複雑な気持ちがしています。
夏本番前のこの時期、江戸までは陰陽道の水神祭りが行われていました。水神祭りとは台風 シーズンを前に、海での無事を水神様に祈願する行事で、主に漁師や水夫などによって執り行われていました。
この名残が海開きや川開きの行事にあり、花火を上げるのは水神様に奉納すると言う意味あいもあります。
ちなみに、[開き] という言葉は、霊山の一般参拝を解禁する行事を [山開き] と言い、これにちなんでつけられたものです。
今年は、各種イベントが自粛されて、どこでも花火大会は中止されるそうです。そのことに異論はありませんが、この水神祭りの心、海での安全祈願と海で亡くなった多くの御霊を慰撫するという思いは忘れずにいたいものです。
村上瑞祥
初出掲載日:2011年6月11日
最終更新日:2025年3月20日
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