風水を極めた家にしたいなら-3 暦に現れない、隠された 「邪」 の干支
だいぶ複雑になってきましたので、
前回までの復習をしておきましょう。中国の古代思想の根本理念は陰陽五行説、万物は 「木」 「火」 「土」 「金」 「水」 の 「五元素」 でできていて、しかも
「陰陽」 の二極に分かれていると言うものです。
この 「陰陽」 には本来、良し悪しはありません。「陽」 だから善、「陰」 だから悪と言うような価値判断はありません。しかし後世に、占いの要素が加わって、そこに 「吉凶」 や 「正邪」 という思想が付け足されました。
「正邪」 とは何かと言えば、元々は 「正=存在するもの」 「邪=存在しないもの」 を表していました。「正=具現化したもの」 「邪=隠されたもの」
と言った感じでしょうか。
これは、干支の例で説明すると分かり易いでしょう。干支は、十二支 [子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥] と、十干 [甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸]
の組み合わせで60あります。でもよく考えれば、12×10=120通りあるはずですよね。でも干支は60しかない。
なぜか? と言えば、算数を思い出して下さい。 十二支と十干と順番に組み合わせていくと、毎年2つずつズレていきます。この2つのズレがあるせいで、十二支の奇数番目と十干の偶数番目は組み合わさることが無いまま、十二支が5巡して60の組み合わせが終わると、また最初の組み合わせに戻ってしまうのです。
つまり、実際にある60通りの組み合わせは 「正」 であり、理屈として存在はしても実際の暦の上には現れない60通りの組み合わせは 「邪」 と言うことです。
他にどんなものがあるかと言えば、下心は隠されているので 「邪」 。相手の真意が見えないのは恐ろしいことなので 「邪」 となるのです。でも見抜いた人がいればそれは
「正」 に変わります。同じ下心でも人により 「正邪」 は変わります。
目に見えるものが 「正」 で、見えざるものが 「邪」 ですから、見る主体によって 「正邪」 は変化します。関係性によっても変化します。「正邪」 は、単純明快な陰陽五行の世界観に、転変し定まらぬ世の理を取り込むための大事な要素となっているのです。
村上瑞祥
初出掲載日:2011年12月13日
最終更新日:2025年3月20日
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