節分に鬼が出る理由
暦の上では春とはいえ、2月はまだまだ寒いですね。さて春節も節分も終わり、いよいよ年が改まって新年のスタートです。
「え? もう今年になって1ヶ月も経ってるよ」 とお思いになるかもしれませんが、風水陰陽道は旧暦が基本ですから、立春を過ぎないと新年は始まりません。
そもそも東洋の占や易などは旧暦で見なければ意味をなしません。現在使われている暦で占っても正確な結果は得られないのです。
さて節分とは季節の変り目のことで、冬と春の境界線という意味です。この [境界線] は、Aとも言えずBとも決めがたいという曖昧なところから、陰陽道では [不定の魔界] と忌み嫌われ、鬼の棲む場所とされました。
だから節分には鬼が出るのです。豆は [魔滅 (まめ)] の語呂合わせで、元々は室町後期から寺院を中心に行われた [豆打ち] と言う無病息災を願う儀式でした。この当時はまだ節分の鬼退治に豆は採用されてはおらず、江戸期になってから対鬼兵器となったようです。
ちなみに、ヒイラギの枝に鰯の頭を刺すという風習は近年になってからのもので、元々は桃の枝が飾られていました。これは [山海経] に桃の枝で鬼を退治すると書かれていたためで、桃の枝には魔除けの効果があるとされていたからです。
村上瑞祥
初出掲載日:2011年2月10日
最終更新日:2025年3月20日
⇒お彼岸にお墓参りをする理由。陰陽師vs.仏教界の戦いのゆくえへ