JIN-仁に見る新旧世界観の隔たり
以前、東洋占術や気学風水などは旧暦で見なければ意味が無いとお話しました。それと同じ理由で方位も磁北ではなく真北を基準にしなければ意味がありません。
これは、占術というものが太陽や月、星の運行に深く根付いているからで、東洋占術では北はあくまで地球の自転の中心で無ければならないし、元旦は必ず新月でなければなりません。
それは何故か? と問われれば、「全てが旧暦という世界観を大前提として組み立てられた論理」 だからです。
TVドラマ 「JIN -仁-」 で江戸時代にタイムスリップしてしまった外科医が、江戸市民から「長さはいかほどで?」 と聞かれ 「30センチくらいです。」 と答え、周囲の人たちにポカンとされたシーンがありました。
そこにあるのは単純な単位の違いだけではありません。尺の成り立ちから始まる、今とは全く違う世界観があります。 新旧では組み立てられている論理の軸が違うので、人々の価値観、世界観に大きな隔たりがあるのです。
新旧世界観のどちらが正しく、どちらが間違っているという問題ではありません。しかし物事を考える時には、世界観の統一だけはしておかなければ意味は通じません。
東洋人が新暦を使い出して1世紀あまり、一番長い日本でも130年、中国に至っては来年で100年です。旧暦の世界観に4000年も育まれた東洋思想が、たかだか100年くらいで新暦に全て変換できるはずもありません。
東洋占術で自分の運勢や未来を占いたいと思ったら、まずは自分の生年月日を旧暦に直してから見ることをお勧めします。
村上瑞祥
初出掲載日:2011年5月10日
最終更新日:2025年3月20日
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