陰陽師 「安倍清明」 が愛した4月
4月も半ばに差し掛かるとそろそろ春の土用です。[土用] と言うと、うなぎを食べる日? とか、クラゲが出る頃だなんて夏を連想する方も多いと思いますが、土用は年に4回あります。
風水の基になっている陰陽五行説では、四季を5つに分類しています。五元素にあわせ [木=春、火=夏、土=土用、金=秋、水=冬] です。
土用は、立冬、立春、立夏、立秋の前の18日間で、この18日間は土を冒すことを禁じています。耕すことはもちろん穴を掘ることもダメでした。
特に春の土用は [清明] から近いこともあって、葬儀などもこの期間は延期された程です。 [清明] とは、[立春] や [夏至] と同じく季節用語です。日本ではあまり馴染みはありませんが、4月5日頃にやってきます。
陰陽師の安倍清明はこの季節をこよなく愛し、天皇に願い出てわざわざ自分の名前を [清明] と改名しました。この [清明] という言葉が持つ意味は、土が清浄で穢れがなければ、そこに芽吹いたものが何の草かその種類はすぐにわかる、というものです。
また中国ではこの日を [清明節] と言って、日本のお盆のように先祖の墓を参り、草むしりなどの清掃をする日です。
このように我々東洋人は、古来4月の桜の咲く時期を特別な期間として大切にしてきました。 今年は花見どころではなかった方が多いと思いますが、晴れ渡った青い空に桜吹雪が舞う姿で一時の慰めになればと、[清明]
を祈るばかりです。
村上瑞祥
初出掲載日:2011年4月13日
最終更新日:2025年3月20日
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