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村上瑞祥 家相風水コラム。家相・風水、干支や鬼門の謎を歴史の専門家が解き明かします

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横浜市

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厄年とは何?

厄年とは何でしょう?「今年は本厄だから転居は見合わせてるんだ」などと言う言葉をたまに耳にします。男の本厄は25歳と42歳と言われ、その前後を前厄・後厄といって都合3年間を自己謹慎期間の如くにひっそりと暮らす方もいらっしゃるようです。

この「厄」なのですが、起源がはっきりしていません。ものの本によると「道教や陰陽五行思想にその起源が求められる」と書いてあるのですが、少なくとも老子にも荘子にも「厄」に繋がりそうなものはありません。

中国語の意味でも「厄」は、「苦しみ」とか「辛い」というもので、運命論的なもしくは神秘論的な意味合いは持っていません。

中国の歴史に「厄」の文字が最初に現れたのは、傷寒論の序文だと思われます。「上以療君親之疾、下以救貧賤之厄」というもので、意味は「裕福な人の場合は病を治療し貧困の人にはその窮乏を考慮して治療しなさい」と言うものです。

これは「医は仁術」という言葉の出典にはなりそうですが、「厄」には繋がりそうもありません。傷寒論が書かれた後漢末期、西暦200年位の時期でも「厄」という言葉に神秘性は認められません。

では、25歳や42歳という年齢の出典はというと、西暦1155年に編纂された「黄帝内径」にその記述が見られます。しかし、「厄」としてではなく、単に傷病に掛かりやすい年齢としてその時期は注意しろという程度の文言でしかありません。

結局のところ中国では、「厄」に日本のように神秘論的な解釈がなされたものは、歴史的には存在しないのです。 ならば、日本ではどうかと言えば、「厄年は◎◎歳」と書かれた文献はあっても、解釈が書かれている物は見当たりません。

ぐっと歴史が下がって1750年ほどの江戸に、鳥山石燕という浮世絵師が考察を残した「石燕雑記」という本で、「男の本厄25歳と42歳は、フグとシニのごろ合わせ」と書かれているくらいです。

日本で厄年が民衆に広まったのは江戸時代です。「厄」について考察するに、もしかして漢方医たちの宣伝コピーの類ではないかと思えてきました。平賀源内の考案した「土用の丑の日」と同じ類ですね。では、現代人にとって「厄」の意味するものは?と言うお話は次回に。


村上瑞祥
初出掲載日:2012年2月8日
最終更新日:2025年3月20日

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