ジェネシックガオガイガー

 最強の破壊神。
 勇気の究極なる姿。
 人類が辿り着いた大いなる遺産。
 それがオリジナル・ガオガイガー ― 即ち「完成勇者王」ジェネシックガオガイガーである。終末期の緑の星において、その指導者カインが中心となって開発、建造したジェネシックメカノイドであり、恒星系再生プログラムシステムであるソール11遊星主に対するセーフティアンチプログラムの具現たる存在である。
 およそ150億年前、三重連太陽系ではその再生計画が持ちあがっていた。爛熟の文明を誇っていた三重連太陽系であったが同時にゾンダーメタルのようなストレス消去プログラムを必要とするまでに退廃の度を極めてもおり、また三重連太陽系が存在する宇宙はその命数を使い果たしつつあった。その中での再生計画であったが、赤の星の指導者アベル緑の星の指導者カインの間で、その方法論における確執が表面化した。そもそも再生計画は、現在の三重連太陽系と、三重連太陽系が存在する宇宙が滅んだ後に新生するであろう宇宙との間を次元ゲートを繋ぎ、三重連太陽系の文明の存続を図るという極めて壮大なものであった。だが、新しい宇宙への移住を主張したカインに対し、アベルは新生する宇宙の暗黒物質を、三重連太陽系が存在する宇宙へと取り込むことで、現状の宇宙そのものの延命を主張したのである。
 カインは主張する。「暗黒物質は宇宙を支え、その生存と存続を保証するものだ。それを現在の我々の文明の延命のために、未来の前途ある宇宙から奪いとり、新たに誕生するであろう生命たちを犠牲とすることが、果たして許されることだろうか?我々の文明が退廃を極め、我々の宇宙が命数を使い果たした事を、我々がまず認め、率直に反省するならば、我々のとるべき道は一つしかない。我々は新しき宇宙に生まれいづるであろう新しき生命たちに、礼節をもって交渉し、共存を図るべきだ。未来のまだ見ぬ生命たちに対して、我々のツケを押し付けるべきではない。そもそも未来から暗黒物質を奪い取れば、宇宙全体の滅亡と再生のサイクルを乱すことになりかねない。それによってどのような事態がもたらされるのか、我々は知りえない。宇宙という偉大な生命の住処を我々のエゴによってこれ以上破壊すべきでない」
 一方アベルはこう反論する。「我々の目的は三重連太陽系という、偉大な文明をいかに存続させ、また再生させるか、という点にあるはずだ。その文明とは我々が、この星系で、蓄積してきた時間と空間そのものではないか。三重連太陽系を捨て、新しい恒星系で社会を再構築したとして、それは本当に『三重連太陽系の再生』と呼びうるのか?新生する宇宙へと移住せよというが、それを主張する者たちは、それに伴う困難をどの程度理解しているだろうか。移住するとしても、居住可能な恒星系や、知的生命体の存在の調査、必要な環境改変、三重連太陽系全市民およびその財産と、保護すべき歴史的遺産の移送などを考慮するならば、移住の完了には莫大な経済的、時間的コストを消費せねばならないだろう。我々の社会にもはやそのような余力はなく、たとえそのコストに耐え、移住を開始したとしても明日起こるかもしれない宇宙の死に、間に合うという保証が一体どこにあるのか。我々に残された時間は決して多くはない。指導者たる我々には、いかなる手段を用いようとも、三重連太陽系11の惑星と衛星、コロニーに居住する全市民の生命と財産を護る義務がある。それを成し遂げようとするならば、より確実かつ効率的な方法こそが選択されるべきである」
 両者の主張は一致点を見ないまま、議論は平行線をたどり続けた。結論が得られぬまま時は過ぎ、焦りを覚えたアベルは強引にソール11遊星主の開発を開始する。結果的に主張を退けられたカインであったが、彼もまた志を同じくする者たちを得て、アベルと遊星主に対するセーフティアンチプログラムの開発を進めていったのである。使うことがなければ良い、と心に願いながら…。その事実がアベルに対して発覚していたかどうかは定かではない。だが、恒星系再生プログラムシステムとそのセーフティアンチプログラムの開発に前後して、一つの事件がおきた。
 ゾンダーメタルマスタープログラムが暴走を開始したのである。
 退廃を極めていた紫の星は瞬く間に機界昇華され、三重連太陽系が擁していた残る10の惑星に対してもゾンダーメタルの侵攻が始まった。破竹の勢いで侵攻するゾンダーは各惑星やその衛星による抵抗を、文字通り粉砕した。これを事前に危惧していたアベルが開発を進めていたゾンダーメタルおよび機界31原種に対する、アンチプログラムシステム、即ち超弩級戦艦ジェイアークソルダート師団、生体コンピュータ・トモロ、そして生体兵器アルマさえも、その殆どが起動を待たずして破壊され、三重連太陽系は、その宇宙の終焉を迎える前に、滅亡寸前の窮状に追い詰められてしまった。そして、恐るべき予測が緑と赤の星の共同調査によって明らかになった。機界31原種は、おそらく宇宙の終焉と再生をES空間に退避する事で乗り切ることさえ可能であると推測される。たとえ宇宙が新生しても、原種が侵攻を止めることはなく、理論上宇宙全体が最終的には機界昇華されるであろう、と。
 三重連太陽系再生に関してはすれ違いを続けたアベルとカインだったが、もたらされたこの恐るべき予測への対処は共通していた。もはや三重連太陽系の機界昇華は免れない。機界31原種に対するアンチプログラムを、滅び行く運命に同行させることなく、次元ゲートを通じて新生する宇宙への送り込み、未来に対する希望の遺産とするのだ…。アベルは僅かに残されたジェイアークとアルマを、カインは原種侵攻に対抗して急遽プログラムを改変した、件のセーフティアンチプログラムと原種に対する抗体として生まれた我が子−ラティオを、それぞれに未来の宇宙へと脱出させることに成功したのである。
 そして西暦1997年、地球。天海夫は北海道において「北極ライオン」から、戒道夫人は九州阿蘇山において、それぞれに男の子をひろい上げた。この北極ライオンこそがプログラム改変を受け、原種に対するアンチプログラムとなったギャレオンであり、6年の後、獅子王凱と運命的な邂逅を果たすことになる。一方戒道夫人がひきとった少年は幾巳と名づけられ、覚醒のときを深く静かに待ち続けるのであった。
 そして2007年夏、遂に三重連太陽系復元プログラムシステム・ソール11遊星主が本格的な活動を開始した。正確にはおよそ150億年前の、滅びに瀕し、機界31原種すら立ち去った老いた宇宙において、三重連太陽系の再生復元を開始したのである。これに対抗するべくマモル少年はGクリスタルにおいてギャレオンのプログラムを本来のものに復元すると共に、物質復元装置の中枢であるパスキューマシンを奪取して地球へと逃れていった。ここに、人類の、そして宇宙の存続をかけた壮絶な生存競争が始まったのである…。
 ジェネシックガオガイガーは、プログラム復元を果たしたジェネシックギャレオンによって「真に勇気ある者」と認められた勇者フュージョンしたジェネシックガイガーに、Gクリスタルに保存されていた5機のジェネシックマシン、即ちブロウクンガオープロテクトガオースパイラルガオーストレイトガオーガジェットガオーファイナルフュージョンすることで完成する。いわゆる「ガオガイガー」はギャレオンのブラックボックスに残されていた断片的なデータとギャレオンの機体構造解析から地球で作り上げられたものであり、ジェネシックガオガイガーの地球製コピーである。つまりジェネシックガオガイガーこそが、ガオガイガーの真の姿、オリジナル・ガオガイガーなのである。
 マニュピレイターの先や脚部の鋭い爪、長大な尾、紅い髪を模したエネルギーアキュメーターといった生物的な特徴が全身に見られ、獰猛な獣のような印象と破壊の神としての威厳を同時に感じさせる外観をしており、その威容は地球製のスーパーメカノイドさえも圧倒するかのようである。「ガオガイガー」と同様に近接格闘戦を主眼においた設計であり、Gクリスタルから得た無限波動・ジェネシックオーラによって半永久的に活動を続けることが可能である。右手首を高速回転させながら射出するジェネシックマグナム、機体全体を保護し、光学兵器を増幅反射すると共に実体弾兵器による衝撃をジェネシックオーラに変換できる左腕のジェネシックシェードなどガオガイガーに通ずる武装の他に、左膝に装備された局所破壊専用のストレイトドリル、粉砕力に優れた右膝のスパイラルドリル、両手のマニュピレイター先端にはグラヴィティーショックウェーブを局所的に発振することが出来るゴルディオンネイルなど、破壊力に優れた特殊装備を各種搭載している。また背面に装備された8枚の可変幾何学展開翼・ガジェットフェザーは優れた高機動性能、単機での大気圏離脱を可能にする程の大推力を有するばかりか、それぞれを有機的に連動推進させることで高度な旋回性能をも獲得している。更に長大な尾は分割、装着することで、各種状況に対応できるガジェットツールであり、ジェネシックガオガイガーに「汎用的破壊力」を与えているのである。各種ボルトを装着することで、それぞれに特殊機能を発揮するボルティングドライバーや、中核となる人物の意志に感応して切れ味を変化させ、空間ごと切断するウィルナイフなどが確認されている。また防御システムであるジェネシックアーマーは、機体そのものの強固な装甲と共に非常に高い防御力を誇っている。この他、現在確認されていないガジェットツールも存在すると見られており、その機能の全容解明は非常に困難である。
 これらの破壊的装備の数々も、本来の目的である対ソール11遊星主戦においては更に圧倒的なものとなる。ジェネシックオーラはソール11遊星主に対して絶対的な優位を与えられており、遊星主の動力源であるラウドGストーンのエネルギィを消去し最終的には組織崩壊にさえ導くことが可能となるのである。遊星主にとっては、バリアシステムであるジェネシックアーマーでさえ、触れれば滅びる破壊的装備と化すのだ。ジェネシックガオガイガーが遊星主に対するセーフティアンチプログラムたる所以である。
 そしてジェネシックガオガイガー最大の機能とは、Gストーンの真実を知る「真に勇気ある者」が操ることで発動することができるヘル・アンド・ヘヴン― 即ちヘル・アンド・ヘヴン・アンリミテッドを使用できる点にある。ガジェットツールである専用グローブを装着して放つそれは、ヘル・アンド・ヘヴン・ウィータと同様に、末尾に生命を表す「ウィータ」の呪文が加わるがヘル・アンド・ヘヴン・ウィータに見られた「光線状に発射される」性質が確認されなかったことから、同一のものではなく「ガオガイガー」のヘル・アンド・ヘヴン、そしてマモル少年のヘル・アンド・ヘヴン・ウィータの原型となった機能であると考えられる。ヘル・アンド・ヘヴン・ウィータが「癒し」の体現であった浄解の究極とするならば、ヘル・アンド・ヘヴン・アンリミテッドは「破壊」の究極に位置するものであり、その破壊力は正に絶大である。
 ジェネシックガオガイガーは対象をソール11遊星主に限定することなく、破滅的な破壊力を発揮する正真正銘の「破壊マシン」であり、「ガオガイガー」と同様に、その起動にはカイン自らの手による厳重なプロテクトが課せられている。ジェネシックマシンのファイナルフュージョンには、専用プログラムをドライブさせなければならないが、それを行えるのは一定の資格をクリアした人物だけであるといわれている。その基準も、そしてその基準が一体誰を想定していたのかも、我々には知る術がない・・・。
 ケミカルボルトの支配を超克したエヴォリュダー・ガイを中核として、複製地球の衛星軌道上、ソール11遊星主との戦いの最中に、恐らく初めて完成した。その機能を十全に発揮して単機で遊星主が駆る無数のパーツキューブを圧倒したが、遊星主の戦力分断作戦によって複製地球に降下、東京を舞台に、パルパレーパ・プラス、そしてパルパレーパ・プラジュナーと凄絶な死闘を繰り広げる。殆ど無限に再生を繰り返すパルパレーパ・プラジュナーに対し流石のジェネシックガオガイガーも苦戦を余儀なくされたが、本来的な優位を覆すことなくこれを殲滅することに成功、GGG機動部隊との暗黙の連携作戦によって活動を停止したピサ・ソールをゴルディオンクラッシャーで完全消滅させ、人類と人類が住む宇宙に勝利と平和をもたらした。
 だが、遊星主殲滅に伴いジェネシックガオガイガーも大きく破損し、GGG機動部隊らと共にマモル少年、戒道少年を帰還させた後の消息は杳として知れない。しかし、ジェネシックガオガイガーを駆る者が真に勇気ある者である以上、希望は決して絶たれる事はない。
 我々は信じている。
 勇者たちが、いつの日か必ず還ってくることを。
 勇気ある誓いとともに。

 分類 Give me a break/Beyond human knowledge/a word ”GENESIC”
 形式 ジェネシックメカノイド
 全高 31.47777774532m
 全長 34.67777774532m(ガジェットフェザー収納時)〜45.47777774532m(ガジェットフェザー最大展開時)
 全幅 37.47777774532m(ガジェットフェザー収納時)〜64.07777774532m(ガジェットフェザー最大展開時)
 総重量 684.67777774532t
 第一段階現象 EMトルネード放出
 第二段階現象 プロテクトガオー/スパイラルガオー/ブロウクンガオー/ストレイトガオー/ガジェットガオーとドッキング
 第三段階現象 ブロウクンマグナム(右腕)/プロテクトシェード(左腕)/ストレイトドリル(右膝)/スパイラルドリル(左膝)/ウィルナイフ/ボルティングドライバー(A)/ヘル・アンド・ヘヴン(無限解放)が使用可能
 その他の現象 ボルティングドライバー(B)/ギャレオリアゲート等が使用可能
 主システムプロテクト ”GENESIC”
 オペレーションシステム ”GENESIC”
 ネットワークシステム ”GENESIC”
 探知装置 ”GENESIC”
 操作方式 ”GENESIC”
 緩衝装置 ”GENESIC”
 武装管制 ”GENESIC”
 防御システム ”GENESIC”
 航法システム ”GENESIC”
 ファイナルフュージョン制御システム ”GENESIC”
 動力源 Gストーン
 操縦者 エヴォリュダー・ガイ
 中核 勇気ある心
 備考 ジェネシックギャレオンに「真に勇気ある者」と認められた者だけが、辿りつくことの出来る勇気の究極なる姿にして、最強の破壊神。ジェネシックガイガーとプロテクトガオー、スパイラルガオー、ブロウクンガオー、ストレイトガオー、ガジェットガオーがファイナルフュージョンすることによって完成する。ソール11遊星主に対するセーフティアンチプログラムであり、遊星主の動力源であるラウドGストーンに対して絶対的優位性を有するジェネシックオーラによって半永久的に活動できる。