ヘル・アンド・ヘヴン

   [Hell and Heaven] ガオガイガーは通常、右腕に攻撃的エネルギィ、左腕に防御的エネルギィを集中させることで高い戦闘能力を発揮する。ヘル・アンド・ヘヴンはこの両腕のエネルギィを融合させ爆発的な破壊力を生み出すガオガイガー最大最強の特殊攻撃である。右掌に攻撃エネルギィ、左掌に防御エネルギィをそれぞれ集中させた後、掌を組み合わせることで両者を集中融合、同時にファイナルフュージョン時に発生させるEMトルネードを利用して対象を拘束する。そこへ融合エネルギィを両掌に集中させたガオガイガーが突撃、目標の(コックピット)を摘出する(これは強力な再生復元能力を有するゾンダーロボ等の機界文明の兵器に対し、核とそれを守り稼働する外殻部となる物体、機械とを強制的に分離する事で再生復元能力を、あくまで一時的にではあるが停止させ、無力化するために必須のプロセスとなる。)と同時に掌に集中させた融合エネルギィを目標機体内で解放、目標を内部から完全に破壊する。この際GSライドはフル稼動状態にあり、その余剰光は周囲を取り巻くEMトルネードの色とあいまってガオガイガーの全身を緑色に染める。またエネルギィ融合の際、ガイが唱える「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ」という呪文のような言葉があるが、これは後にマモル少年が真のヘル・アンド・ヘヴンマスタープログラム浄解した際に口にしていた「ふたつのちからをひとつに」という意味があるらしい。
   両掌に集中される攻撃、および防御エネルギィは相互に反発しあい融合する際に、強力な力場を形成する。これが目標に衝突する際の破壊力はブロウクンマグナムの比ではない。だが、その強暴すぎるほどの破壊力と引き換えに、ヘル・アンド・ヘヴン時のガオガイガーは常時全身を防御しているGパワーによるバリアが消失、両掌以外の部位の防御力が失われ、また核となるサイボーグ・ガイの身体的および精神的負担は大きく、本来的に地球の技術とGストーンとそれに伴うオーバーテクノロジーのアンバランスな融合によって身体機能を維持しているガイにとって、ヘル・アンド・ヘヴンは文字通り寿命を縮める捨て身の攻撃なのである。だが、当初摘出した核をそのまま握り潰すはずであったヘル・アンド・ヘヴンは、EI−02の正体がゾンダリアンによって利用された一介の市民にすぎなかったことが判明したことで、その目的自体が目標の「破壊」から「救出」、一か八かの切り札から必要不可欠の作戦行動へと変質せざるを得なかった。つまり、GGGにはゾンダー素体となった市民の救出という、新たな任務が生じてきたことで必然的にガオガイガーは出撃するたびに高い頻度でヘル・アンド・ヘヴンを使用せざるを得なくなっていったのである。今後の戦力拡充によってガオガイガーと同様に目標の核を「破壊」するAIロボット部隊を編制していくはずだったGGGにとって、「核」の回収が必須任務となったことは計算外の事態であった。ヘル・アンド・ヘヴンによるガイの身体へのダメージは骨格やマシンハートなどの重要器官を中心に徐々に蓄積されていき、とうとう対EI−15戦の直後に意識を失うという極めて危険な状態を示していた。
   これはもちろん核の回収が必須であることが判明した時点から既に自明の事態であった。GGG研究開発部R&D)は、サイボーグ・ガイの身体に必要以上の負担を強いることなく、核を回収、目標を殲滅しうるハイパーツールの開発を開始。その後R&Dのゾンダーメタル研究が多忙化したために開発の中心は機動部隊および整備部に移行したが、対EI−18戦直前に完成、実験段階ではあったが実戦に投入されグランドノヴァの消去に成功した。これがGツールグラヴィティショックウェーブジェネレイティングツール、通称ゴルディオンハンマーである。
   その後、拡散する重力波活断ウェーブからガオガイガーを守るマルチロボ、ゴルディーマーグの完成と共に、サイボーグ・ガイの負担軽減、およびガオガイガーの武装強化計画は一応の終息をみる。だが、戦闘局面においてゴルディオンハンマー、およびマーグハンドが使用不可能となることも少なくなく、そのような状況下においてヘル・アンド・ヘヴンは「最後の切り札」として幾度も使用されている。だが、ゴルディオンハンマー完成後もヘル・アンド・ヘヴンがガイに強いる負担は依然大きなものであることは記憶の留めておかねばならない。
   ガオファイガーも同様の原理からヘル・アンド・ヘヴンを使用することができる。なお、エヴォリュダー化したガイにとってもヘル・アンド・ヘヴンは身体的、精神的負担を大きく強いられることに変わりはないが、エヴォリュダーは自然治癒能力が通常の人間を遥かに上回っているため、ヘル・アンド・ヘヴンを連続使用するようなことがない限り、身体的ダメージが蓄積していくということはないようだ。