※総目次 |
定義:冪(べき)・累乗 power、指数exponent 〜指数を有理数に限定して |
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有理数指数の累乗の定義・「『正の実数』aの有理数q乗」aqとは、z,nを「q=z/n」を満たす整数,自然数の組としたときの、 az/n のこと。 * q=z/n を満たす整数z,自然数nの組の取り方は複数あっても、 この整数z,自然数nの取り方に依存せず、aqは同一の実数となる[→定理]。 上記の定義をaz/nの定義にしたがって詳しく書き下すと、以下のようになる。 有理数指数の累乗の定義・「『正の実数』aの有理数q乗」aqとは、z,nを「q=z/n」を満たす整数,自然数の組としたときの、
* q=z/n を満たす整数z,自然数nの組の取り方は複数あっても、 この整数z,自然数nの取り方に依存せず、aqは同一の実数となる[→定理]。 * 任意の正の実数a、任意の自然数n、任意の整数zに対して、 az/n = (az)1/n = (a1/n)z という性質があるので[→定理]、 結局のところ、 「『正の実数』aの有理数q乗」aqは、 z,nを「q=z/n」を満たす整数,自然数の組としたときの、
も表すことになる[吉田栗田戸田『高等学校基礎解析』p.42]。 (ここではaがマイナスとなることを排除している点に注意。 aがマイナスだと、こうはいかない→絶対値の性質) ・上記の定義をさらに具体的に展開すると、以下のようになる。 有理数指数の累乗の定義[ケース1]有理数qがプラスならば、「『正の実数』aの有理数q乗」aq とは、以下の手順で得られる実数。 [手順1] q=m/n を成り立たせる自然数m,nをとる [手順2] 手順1で得られた自然数m,nをつかって、 「『aのm乗』のn乗根」をとる。 つまり、 有理数qがプラスならば、 q=m/n を成り立たせる自然数m,nに対して、
* q=m/n を成り立たせる自然数m,nの取り方が複数あっても、 この自然数m,nの取り方に依存せず、aqは同一の実数となる[→定理]。 * 任意の正の実数a,任意の自然数m,nに対して、 am/n = (am)1/n = (a1/n)m という性質があるので[→定理]、 結局のところ、 「『正の実数』aの有理数q乗」aqは、 m,nを「q=m/n」を満たす自然数の組としたときの、
[ケース2]有理数qが0ならば、「『正の実数』aのq乗」aq=a0 とは、1を指すものとする。つまり、 q=0 ならば、 aq=a0=1 (1を、0乗として定義) [ケース3]有理数qがマイナスならば、「『正の実数』aの有理数q乗」aq とは、以下の手順で得られる実数。 [手順1] q=−m/n を成り立たせる自然数m,nをとる [手順2] 手順1で得られた自然数m,nをつかって、 「『aのm乗』の逆数のn乗根」をとる。 つまり、 有理数qがマイナスならば、 q=−m/n を成り立たせる自然数m,nに対して、
* q=−m/n を成り立たせる自然数m,nの取り方は複数あるが、 この自然数m,nの取り方に依存せず、aqは同一の実数となる[→定理]。 * 任意の正の実数a、任意の自然数n、任意の整数zに対して、 az/n = (az)1/n = (a1/n)z という性質があるので[→定理]、 結局のところ、 「『正の実数』aの有理数q乗 」aqは、 m,nを「q=-m/n」を満たす自然数の組としたときの、
・aqの「底」とは、aのこと。 ・aqの「指数exponent」とは、qのこと。 |
[文献]・能代『極限論と集合論』21.有理指数のベキ(pp.42-4)・赤攝也『実数論講義』§7.1有理数指数の累乗(p.203)。 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』2章4指数関数(pp.58-65):整数べき→有理数べき→実数べき ・上野健爾『代数入門1』§2.3(d)指数と対数(p.68) ・『岩波入門数学辞典』「指数法則exponential law」(pp.244-5):有理数・実数の指数を定義。 「べきpower」(p.545):自然数指数から整数指数まで定義。;「指数(べきの)exponent」(p.241):説明なし ・吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(pp.40-45):有理数実数べき;. ・竹之内『経済・経営系数学概説』1.5累乗の一般化(pp.34-6) ・加藤十吉『微分積分学原論』4.4整数の実数乗と指数関数-(3)(p.40) ・岡田章『経済学・経営学のための数学』1.4(p.26) [関連事項]・有理数指数の累乗の具体例:→指数を自然数に限定した「べき」「累乗」の定義 →指数を正負の整数に限定した「べき」「累乗」の定義 ・有理数指数の累乗の一般化 →指数を実数へ拡張した「べき」「累乗」 ・自然数指数の「冪関数」「累乗関数」 |
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[自然数指数の累乗の定義との整合性]・有理数qが自然数であるとき、上記の「『正の実数』aの有理数q乗」aq の定義は、「『正の実数』aの自然数乗」の定義と完全に一致する。 ※なぜ?
・つまり、有理数qが自然数mであるとき、「『正の実数』aの有理数q乗」aq の定義は、「『正の実数』aの自然数m乗」am に一致する。 [整数指数の累乗の定義との整合性]・有理数qが整数であるとき、上記の「『正の実数』aの有理数q乗」aq の定義は、「『正の実数』aの整数乗」の定義と完全に一致する。 ※なぜ?
・「有理数q」=「正の整数z」ならば、aq=a0=1 ∵「『正の実数』aの有理数q乗」aq の定義
=1/a-z ∵1乗根の性質 ・以上三点から、つまり、有理数qが任意の整数zであるとき、「『正の実数』aの有理数q乗」aq の定義は、「『正の実数』aの整数z乗」の定義」az に一致する。 |
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有理数指数の累乗の基本性質 |
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I. |
[有理数指数の累乗の基本性質I-1]任意の正の実数a,任意の自然数n に対して、a=(a1/n)n※なぜ?→証明 [有理数指数の累乗の基本性質I-2]任意の正の実数a,任意の自然数n に対して、a=(an)1/n※なぜ?→証明 [有理数指数の累乗の基本性質I-3]任意の正の実数a,b,任意の自然数n に対して、(ab)1/n = a1/n b1/n※なぜ?→証明 [有理数指数の累乗の基本性質I-4]任意の正の実数a,b,任意の自然数n に対して、(a/b)1/n = (a1/n)/(b1/n)※なぜ?→証明 [有理数指数の累乗の基本性質I-5]任意の正の実数a,b,任意の自然数n に対して、(a1/n)1/m = a1/mn※なぜ?→証明 |
[文献]・赤攝也『実数論講義』§6.5定義6.5.3(pp.198);§7.1定理7.1.1-2;補題(pp.204-5):証明つき。・吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(p.42);. ・小平『解析入門I』§2.3-a) (p.89):有理数指数での表現。 |
U. |
[有理数指数の累乗の基本性質U-1]・任意の正の実数a,任意の自然数n,任意の整数z,任意の自然数tに対して、az/n = a (zt)/(nt) ・つまり、 指数につかわれる有理数が同一であれば、 その指数につかわれた有理数を、約分しない分数で表そうが、約分した分数で表そうが、 有理数指数の累乗は同一の実数を表す。 分数を指数とする累乗は、指数として使われている分数の約分に関して不変。 ※なぜ?→証明 |
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[有理数指数の累乗の基本性質U-2]・任意の正の実数a、任意の自然数n,n'、任意の整数z,z' に 対して、z/n=z'/n' ならば、 az/n = az'/n' ・つまり、 有理数指数の累乗は、 有理数の分数としての表し方によらず、同一の実数を表す。 ※なぜ?→証明 |
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[有理数指数の累乗の基本性質U-3]・任意の正の実数a、任意の自然数n、任意の整数zに対して、az/n = (az)1/n = (a1/n)z ※なぜ?→証明 |
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指数法則 exponential law,指数公式 law of exponents 〜指数を有理数に限定して |
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性質 |
[有理数指数の指数法則-1]いかなる正の実数a,いかなる有理数p,qに対してでも、apaq= ap+q が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀a>0) (∀p,q∈Q) ( apaq= ap+q ) ※なぜ?→証明 [有理数指数の指数法則-2]いかなる正の実数a,いかなる有理数p,qに対してでも、(ap)q= apq が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀a>0) (∀p,q∈Q) ( (ap)q= apq ) ※なぜ?→証明 [有理数指数の指数法則-3]いかなる正の実数a,b、いかなる有理数pに対してでも、(ab)p= apbp が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀a>0) (∀p,q∈Q) ( (ab)p= apbp ) ※なぜ?→証明 [有理数指数の指数法則-4]いかなる正の実数a,いかなる有理数p,qに対してでも、(ap)/(aq)=ap-q が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀a>0) (∀p,q∈Q) ( (ap)/(aq)=ap-q ) |
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[有理数指数の指数法則-5]いかなる正の実数a,b、いかなる有理数pに対してでも、(a/b)p= ap/bp が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀a>0) (∀p,q∈Q) ( (ab)p= apbp ) [有理数指数の指数法則-6]いかなる有理数pに対してでも、(1)p = 1 が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀p∈Q) ( (1)p = 1 ) ※なぜ?→証明 |
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[証明:有理数指数の指数法則-1](∀a>0) (∀p,q∈Q) ( apaq= ap+q )を示す。・任意の正の実数a、任意の自然数n,n'、任意の整数z,z' に 対して、 az/naz'/n'= azn'/nn'anz'/nn' ∵有理数指数の累乗の性質U-1 =(azn')1/nn'(anz')1/nn' ∵azn'/nn',anz'/nn'の定義 =(azn' anz')1/nn' ∵nn'も自然数だから、有理数指数の累乗の性質I-3 =(azn'+nz')1/nn' ∵zn',nz'も整数だから、整数指数の指数法則 =a(zn'+nz')/nn' ∵a(zn'+nz')/nn'の定義 =azn'/nn'+nz'/nn' =az/n+z'/n' ・有理数指数の累乗は、有理数の分数としての表し方によらず、同一の実数を表すから、 上記の点より、 任意の正の実数a,任意の有理数p,qに対して、 apaq=ap+q |
[文献]・吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(pp.40-45):有理数実数べき;.・赤攝也『実数論講義』定理7.1.3(i)(pp.206):証明つき。 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』2章4指数関数(4.9)(4.10)(pp.59-60):証明つき。 |
→[有理数指数の指数法則] →[トピック一覧:累乗(べき)と指数法則] |
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[証明:有理数指数の指数法則-2]任意の正の実数a、任意の有理数p,qに対して、(ap)q= apq を示す。・任意の正の実数a、任意の自然数n,n'、任意の整数z,z' に 対して、 (az/n)z'/n'=((a1/n)z )z'/n' ∵有理数指数の累乗の性質U-3 =(((a1/n)z)z')1/n' ∵az'/n'の定義 =((a1/n)zz')1/n' ∵整数指数の指数法則2 =((a1/n)1/n')zz' ∵有理数指数の累乗の性質U-3 =(a1/nn')zz' ∵有理数指数の累乗の基本性質T-5 =azz'/nn' ∵有理数指数の累乗の性質U-3 =a(z/n)(z'/n' ) |
[文献]・赤攝也『実数論講義』定理7.1.3(iii) (p.206):証明つき。 |
→[有理数指数の指数法則] →[トピック一覧:累乗(べき)と指数法則] |
[証明:有理数指数の指数法則-3]任意の正の実数a,b、任意の有理数pに対して、 (ab)p= apbp を示す。 ・任意の正の実数a,b、任意の自然数n、任意の整数z に 対して、 (ab)z/n = ((ab)1/n)z ∵有理数指数の累乗の性質U-3 = (a1/nb1/n)z ∵有理数指数の累乗の基本性質T-3 = (a1/n)z (b1/n)z ∵整数指数の指数法則3 = az/n bz/n ∵有理数指数の累乗の基本性質T-3 |
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[証明:有理数指数の指数法則-6] |
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指数と大小関係〜指数を有理数に限定して |
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性質1 |
いかなる「正の実数」a,いかなる有理数qに対してでも、 ( 0<q かつ 0<a<1 ) ⇒ ( aq<1 ) が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀a∈R) (∀q∈Q) ( ( 0<q かつ 0<a<1 ) ⇒ aq<1 ) |
[文献]・赤攝也『実数論講義』定理7.1.5;問4(p.207):有理数指数に限定。証明付;・上野健爾『岩波講座現代数学への入門7-8:代数入門1』§2.3(d)-補題2.37(pp.69-70)証明付 ・小平『解析入門I』§2.3-b) (pp.89-90):上野と同様。 ※関連事項: ・指数と大小関係(自然数指数) |
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性質2 |
いかなる「正の実数」a,いかなる有理数qに対してでも、 ( 0<q かつ 1<a )⇒ 1<aq が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀a∈R) (∀q∈Q) ( (0<qかつ1<a)⇒ 1<aq ) ※なぜ?→小平(合成関数に一度分解して…)→上野 |
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性質1' |
・いかなる「正の実数」a,いかなる有理数p,qに対してでも、 ( p<q かつ 0<a<1 ) ⇒ ( aq<ap ) が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀a∈R) (∀p,q∈Q) ( ( p<qかつ0<a<1 ) ⇒ aq<ap ) ※なぜ?→証明 ・上記の点は、関数の狭義単調減少の概念をつかって、次のように表現できる。 「有理数をすべて集めた集合」Q で定義された1変数関数 y=f(x)=ax (0<a<1)は、 Qにおける狭義単調減少関数。[小平『解析入門I』§2.3-b(pp.89-91)] (定義域がQということは、定義域から無理数が脱落しているということ) |
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性質2' |
いかなる「正の実数」a,いかなる有理数p,qに対してでも、 ( p<q かつ 1<a )⇒ ap<aq が成り立つ。 論理記号で表すと、 (∀a∈R) (∀p,q∈Q) ( (p<qかつ1<a)⇒ ap<aq ) ※なぜ?→証明 ・上記の点は、関数の狭義単調増加の概念をつかって、次のように表現できる。 「有理数をすべて集めた集合」Q で定義された1変数関数 y=f(x)=ax (a>1)は、 Qにおける狭義単調増加関数。[小平『解析入門I』§2.3-b(pp.89-90)] (定義域がQということは、定義域から無理数が脱落しているということ) |
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性質3 |
いかなる「正の実数」a,いかなる単調増加有理数列p1,p2,p3,…に対してでも、
・単調増加列の定義より、、任意の自然数nに対して、pn≦pn+1
※なぜ? 〜 1<aのケース ・単調増加列の定義より、、任意の自然数nに対して、pn≦pn+1
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[文献]・上野健爾『岩波講座現代数学への入門7-8:代数入門1』§2.3(d)-補題2.37のあと(p.70) |
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性質4 |
いかなる「正の実数」a,いかなる上に有界な有理数列p1,p2,p3,…に対してでも、
「上に有界」の定義より、数列p1,p2,p3,…には、上界pが存在して、 p1≦p, p2≦p, p3≦p, … を満たす。 0<a<1 ならば、
1<a ならば
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[文献]・上野健爾『岩波講座現代数学への入門7-8:代数入門1』§2.3(d)-補題2.37のあと(p.70) |
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性質5 |
・いかなる「正の実数」a,いかなる上に有界な単調増加有理数列p1,p2,p3,…に対してでも、
(小平を参考に。記号も書き直し。 それから、数列の有界、上限、下限の定義も、小平を参照して作成せよ。) ※なぜ? ・0<a<1 ならば、性質3,性質4より、
したがって、下に有界な単調減少列とは、有界な単調減少列である。) ・1<a ならば、性質3,性質4より、
したがって、上に有界な単調増加列とは、有界な単調増加列である。) ・有界な単調数列は収束するので、 上記二点より、
・以上三点から、
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[文献]・上野健爾『岩波講座現代数学への入門7-8:代数入門1』§2.3(d)-補題2.37のあと(p.70)※活用例:実数を指数とする累乗の定義 |
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性質6 |
[1] ・いかなる「正の実数」a、 いかなる上に有界な「有理数の集合」A={q∈Q| q≦r }に対してでも、 0<a<1 ならば、 Aに属す有理数を指数とするaの累乗を全て集めた集合 B={ aq | q∈A } = { aq | q∈Q かつ q≦r } は、下に有界。 1<a ならば、 Aに属す有理数を指数とするaの累乗を全て集めた集合 B={ aq | q∈A } = { aq | q∈Q かつ q≦r } は、上に有界。 ・上記の点は、 「有理数をすべて集めた集合」Q で定義された1変数関数 y=f(x)=ax をつかって、 次のように表現できる。 0<a<1 ならば、 いかなる上に有界な「有理数の集合」A={q∈Q| q≦r }に対してでも、 そのfによる像f(A)は、下に有界。 1<a ならば、 いかなる上に有界な「有理数の集合」A={q∈Q| q≦r }に対してでも、 そのfによる像f(A)は、上に有界。 [2] ・いかなる「正の実数」a、 いかなる下に有界な「有理数の集合」A={q∈Q| r≦q }に対してでも、 0<a<1 ならば、 Aに属す有理数を指数とするaの累乗を全て集めた集合 B={ aq | q∈A } = { aq | q∈Q かつ r≦q } は、上に有界。 1<a ならば、 Aに属す有理数を指数とするaの累乗を全て集めた集合 B={ aq | q∈A } = { aq | q∈Q かつ r≦q } は、下に有界。 ・上記の点は、 「有理数をすべて集めた集合」Q で定義された1変数関数 y=f(x)=ax をつかって、 次のように表現できる。 0<a<1 ならば、 いかなる下に有界な「有理数の集合」A={q∈Q| r≦q }に対してでも、 そのfによる像f(A)は、上に有界。 1<a ならば、 下に有界な「有理数の集合」A={q∈Q| r≦q } そのfによる像f(A)は、下に有界。 ※なぜ?〜[1]について 「上に有界」の定義より、∀q∈Aに対して、q≦r 。 つまり、∀q∈Aに対して、q=r またはq<r 。 q=r を満たす∀q∈Aに対して、 aq=ar q<r を満たす∀q∈Aに対して、 0<a<1 ならば、性質1'より、ar<aq 1<a ならば、性質2'より、aq<ar 以上をまとめると、B={ aq | q∈A } は、 0<a<1 ならば、∀b∈Bに対して、ar≦bとなるから、下に有界。 1<a ならば、∀b∈Bに対して、b≦arとなるから、上に有界。 ※なぜ?〜[2]について 「下に有界」の定義より、∀q∈Aに対して、r≦q 。 つまり、∀q∈Aに対して、q=r またはr<q 。 q=r を満たす∀q∈Aに対して、 aq=ar r<q を満たす∀q∈Aに対して、 0<a<1 ならば、性質1'より、aq<ar 1<a ならば、性質2'より、ar<aq 以上をまとめると、B={ aq | q∈A } は、 0<a<1 ならば、∀b∈Bに対して、b≦arとなるから、上に有界。 1<a ならば、∀b∈Bに対して、ar≦bとなるから、下に有界。 |
[文献]・小平『解析入門I』§2.3-b) (p.90);→実数指数の累乗の定義 |
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[証明:有理数指数の累乗の大小関係-1’]・(∀p,q∈Q) ( p<q ⇒ 0<q−p ) だから、 性質1より、 (∀a∈R) (∀p,q∈Q) ( ( p<qかつ0<a<1 ) ⇒ aq-p<1 ) …(1) ・指数法則4より、ここの aq-p=aq/ap となっているので、 (1)は、 (∀a∈R) (∀p,q∈Q) ( ( p<qかつ0<a<1 ) ⇒ aq/ap<1 ) …(2) と書き直せる。 ・有理数指数の累乗の定義によって、apの符号はいつでもプラスであるから、 実数における順序と乗法の基本性質より、 「aq/ap<1」 ⇒ 「(aq/ap)ap <1・ap」すなわち「aq<ap」 これと(2)をあわせて考えると、 (∀a∈R) (∀p,q∈Q) ( ( p<qかつ0<a<1 ) ⇒ aq<ap ) |
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[証明:有理数指数の累乗の大小関係-2’]・(∀p,q∈Q) ( p<q ⇒ 0<q−p ) だから、性質2より、 (∀a∈R) (∀p,q∈Q) ( (p<qかつ1<a)⇒ 1<aq-p ) …(1) ・指数法則4より、ここの aq-p=aq/ap となっているので、 (1)は、 (∀a∈R) (∀p,q∈Q) ( ( p<qかつ1<a ) ⇒ 1<aq/ap ) …(2) と書き直せる。 ・有理数指数の累乗の定義によって、apの符号はいつでもプラスであるから、 実数における順序と乗法の基本性質より、 「 1<aq/ap」 ⇒ 「 1・ap<(aq/ap)ap」すなわち「ap<aq」 これと(2)をあわせて考えると、 (∀a∈R) (∀p,q∈Q) ( ( p<qかつ1<a ) ⇒ ap<aq ) |
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→[トピック一覧:累乗(べき)と指数法則] →総目次 |