実数における不等式と加法乗法の関係 : トピック一覧 

 定理:順序と加法1/順序と加法の性質2/差の正負/順序と乗法1/反数の順序/反数の正負/順序と乗法2/積の正負/0<1/逆数の正負/逆数の順序
 定理:二つの実数の平均値の順序/実数体の自己稠密性  

※実数定義関連ページ:実数体・実数の定義/デデキントの連続性公理/実数体上の順序概念 
※実数の性質関連ページ:加法/乗法/加法・乗法の関係/不等式/不等式と加法・乗法の関係  
総目次

定理:順序と加法の基本性質

【設定】

 R: 実数体 
 + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題1】


 どんなふうに実数x,y,zを選んでも、
      x<y ならば、 x+z<y+zが成り立つ。

 つまり、 ( x,y,zR ) ( x<y x+z<y+z )

【なぜ?】

  
 実数体の定義-条件Cより、
  ・( x,y,zX ) ( x<y  x+z < y+z )
   を満たす代数系X順序集合(X,≦)を、
     実数体Rとよび 
  ・実数体R実数と呼ぶ
 のだから、
  ( x,y,zR ) ( x<y x+z<y+z )
 は必ず成り立つ。
 成り立たなければ、実数とは呼ばない。

【本題2】


 どんなふうに実数x,y,zを選んでも、
     xy ならば、 x+zy+zが成り立つ。

 つまり、 ( x,y,zR ) ( xy  x+zy+z )

【なぜ?】

 




[文献]
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数[2]順序R15(p.3)
 ・笠原『微分積分学』1.1実数(pp.1-7)
 ・黒田『微分積分学』2.2実数の四則演算と順序(pp.23-9);2.4.1連続性の公理(p.35)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』2.1.1節(pp.53-65)          


 ・赤『実数論講義』§2.5公理5(p.48)                

 ・( x,y R ) ( xy (x=yまたはx<y) )  ∵順序と狭義順序の関係 …(1)
 ・( x,y R ) (x=y  x+z = y+z ) ∵=の性質      …(2) 
 ・( x,y,zR ) ( x<y  x+z < y+z )   ∵上記の1.     …(3)
 ・(2)(3)を、(1)とあわせると、
    ( x,y,zR ) ( xy x=yまたはx<y x+z=y+z または x+z<y+z) …(4) 
  ・x+z=y+z または x+z<y+z x+zy+z  ∵順序と狭義順序の関係 …(5)
  ・(4)と(5)をあわせると、
    ( x,y,zR ) ( xy x=yまたはx<y x+z=y+z または x+z<y+z   x+zy+z ) 
   要するに、 ( x,y,zR ) ( xy  x+zy+z )  
 [自力] 



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総目次 


 

定理:順序と加法の性質

【設定】

 R: 実数体 
 + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題1】

  
  どんなふうに実数x,y,a,bを選んでも、
    x<y かつ a<b ならば、 x+a<y+bが成り立つ。
  つまり、
   ( x,y,a,b R ) ( x<y かつ a<b x+a<y+b ) 
    [自力]


【なぜ?】

 













[文献]
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数:2順序:問2v-vi(p.3);自力         


 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』練習問題2.1.1(5)(6)(p.64)      

 ・順序と加法の基本性質より、( x,y,aR ) ( x<y  x+a < y+a )   …(1)   
 ・順序と加法の基本性質より、( a,b,yR ) ( a<b a+y<b+y )   …(2) 
  加法の可換則よりa+y=y+a , b+y=y+b だから、 
  (2)は、( a,b,yR ) ( a<b y+a < y+b )             …(2')   
  と書いてもよい。  
 ・(1)(2')より、 ( x,y,a,b R ) (  x<y かつ a<b  x+a < y+a かつ y+a < y+b ) …(3)  
 ・狭義順序の推移律より、 x+a < y+a かつ y+a < y+b  x+a < y+b  だから、     
  これと、(3)より、 (x,y,a,b R ) ( x<y かつ a<b x+a<y+b )  

   [自力]

【本題2】

  
  どんなふうに実数x,y,a,bを選んでも、
      xy かつ a<b ならば、 x+a < y+b
 が成り立つ。
 
 つまり、
  ( x,y,a,bR ) ( xy かつ a<b   x+a<y+b )






[文献]
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数:2順序:問2vi(p.3)        


 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』練習問題2.1.3(6)(p.64)      


【本題3】

  
  どんなふうに実数x,y,a,bを選んでも、
     xy かつ ab ならば、 x+ay+b
 が成り立つ。
 
 つまり、
  ( x,y,a,bR ) ( xy かつ ab x+ay+b )





[文献]
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数:2順序:問2v(p.3)        


 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』練習問題2.1.3(5)(p.64)      

 

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定理:差の正負

【設定】

 R: 実数体 
 + : 実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された加法。
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題1】


 どんなふうに実数x,yを選んでも、
       x<y ならば、 0<yxが成り立ち、
      0<y−x ならば、 x<y が成り立つ。

 つまり、 ( x,yR ) ( x<y 0<y−x )

【なぜ?】

  
 黒田『微分積分学』2.2.2命題2.1(p.25)に証明が掲載

【本題2】


 どんなふうに実数x,yを選んでも、
        xy ならば、 0≦yx が成り立ち、
       0≦yx ならば、 xy  が成り立つ。

  つまり、 ( x,yR ) ( xy 0≦y−x)

【なぜ?】

 
 黒田『微分積分学』2.2.2命題2.1(p.25)に証明が掲載




[文献]
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数:2順序:問2i(p.3)
 ・黒田『微分積分学』2.2.2命題2.1(p.25)        


 ・松坂『解析入門1』1.3命題4(c)(p.31)             



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定理:順序と乗法の基本性質(1)

【設定】

 R: 実数体 
 xy実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された乗法。  
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題】


 どんなふうに実数x,y,zを選んでも、
     x<y かつ 0<z ならば、 xz<yz
 が成り立つ。
 つまり、
  ( x,y,zR ) ( x<y かつ 0<z xz<yz )

【なぜ?】





[文献]
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数(pp.1-8)
 ・笠原『微分積分学』1.1実数(pp.1-7)
 ・黒田『微分積分学』2.2実数の四則演算と順序(pp.23-9);2.4.1連続性の公理(p.35) 
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』2.1節(pp.53-65)    


 ・赤『実数論講義』§2.5公理5(p.48)           


 実数体の定義‐条件Dより、
   ・ ( x,y,zX ) ( x<y かつ 0<z  xz<yz )を満たす代数系X順序集合(X,≦)を、実数体Rとよび、
   ・ 実数体R実数と呼ぶ
 のだから、
   ( x,y,zR ) ( x<y かつ 0<z  xz<yz )
 は必ず成り立つ。
 成り立たなければ、実数とは呼ばない。



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定理:2つの実数の反数の順序 

【設定】

 R: 実数体 
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題1】


 どんなふうに実数x,yを選んでも、
    x<y ならば、 −y<−x
 が成り立つ。
  つまり、 ( x,y R ) ( x<y  −y<−x )

【なぜ?】





[文献]
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数:2順序:問2ii(p.3)  


 ・赤『実数論講義』§2.5定理2.5.1(p.48)        


 ・x<y ならば、 x+(-x) < y+(-x) ∵順序と加法の基本性質で、z=-x とおいた。
  したがって、x<y ならば、 0<(-x)+y ∵実数とその反数との和はゼロ可換則 
 ・0 < (-x)+y ならば、 0+(-y)<(-x)+y+(-y) ∵順序と加法の基本性質で、z=-y とおいた。
  したがって、0 <(-x)+y ならば、 -y<-x ∵ゼロとの和の性質実数とその反数との和はゼロ 

【本題2】


 どんなふうに実数x,yを選んでも、
    xy ならば、y≦−x が成り立つ。
  つまり、 ( x,y R) ( xy  −y−x )



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定理:反数の正負 

【設定】

 R: 実数体 
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題1】


  どんなふうに実数aを選んでも、
     0<a ならば、a<0
 が成り立つ。
 つまり、 ( aR ) ( 0<a a<0 )

【なぜ?】


 二つの実数の反数の順序:( x,yR ) ( x<y −y<−x )で、
  x=0, y=aRとおくと、
   0<a  −a<−0=0   

【本題2】


 どんなふうに実数aを選んでも、
     a<0 ならば、 0<−a
 が成り立つ。
  つまり、 ( aR ) ( a<0 0<−a ) 

【なぜ?】


 二つの実数の反数の順序:( x,yR ) ( x<y −y<−x )で、
  y=0, x=aRとおくと、
   a<0 −0<−a





[文献]
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数:2順序:問2iv(p.3)
 ・松坂『解析入門1』1.3命題4(p.31)     


 ・赤『実数論講義』§定理2.5.2(p.48)                



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定理:順序と乗法の基本性質(2)

【設定】

 R: 実数体 
 xy実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された乗法。  
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題1】


 どんなふうに実数x,y,cを選んでも、
     x<y かつ c<0 ならば、 yc<xc
 が成り立つ。
 つまり、( x,y,cR ) ( x<y かつ c< yc<xc )





[文献]
 ・杉浦『解析入門I』1章§1実数:2順序:問2iii(p.3)
 ・松坂『解析入門1』1.3命題4(f)(p.31)     


 ・赤『実数論講義』§2.5問4(p.49)                


【なぜ?】


 ・x<y かつ c<0 ならば、 x<y かつ 0<−c  ∵反数の正負 
 ・x<y かつ 0<−c ならば、 x(−c)<y(−c) 
   ∵順序と乗法の基本性質(1):( x,y,zR ) ( x<y かつ 0<z xz<yz ) 
  したがって、x<y かつ 0<−c ならば、 −(xc)< −(yc)  ∵積と符号(1)  
 ・−(xc)<−(yc)ならば、 −(−(yc) )<−(−(xc) )  ∵二つの実数の反数の順序 
  したがって、−(xc)<−(yc)ならば、 yc<xc  ∵反数の順序   
   [自力] 


【本題2】


 どんなふうに実数x,y,cを選んでも、 xy かつ c≦0 ならば、 ycxcが成り立つ。
  つまり、 ( x,y,cR ) ( xy かつ c≦0  ycxc )


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定理:積の正負 

【設定】

 R: 実数体 
 xy実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された乗法。  
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題】


 どんなふうに実数を二つ選んでも、同符号の積は正、異符号の積は負。
  つまり、
 ( x,yR ) ( 0<x かつ 0<y  0<xy )
 ( x,yR ) ( 0<x かつ y< xy<0 )
 ( x,yR ) ( x<0 かつ 0<y  xy<0 )
 ( x,yR ) ( x<0 かつ y< 0<xy )

【なぜ?】


 順序と加法の性質順序と乗法の性質を用いる。
     詳しくは、赤『実数論講義』§2.5定理2.5.3証明(p.50)





[文献]
 ・松坂『解析入門1』1.3命題4(d)(p.31)     


 ・赤『実数論講義』§2.5定理2.5.3(p.49)                



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総目次 


定理:0 < 1 

【設定】


 R
: 実数体 
 xy実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された乗法。  
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題】


 実数体に定義された加法の単位元0(実数体の定義条件A-1-3)は、
 実数体に定義された乗法の単位元1(実数体の定義条件A-2-3)より小さい。  
 つまり、
  0 < 1 

【なぜ?】


  まず、 0 < 1・1  ∵同符号の実数の積は正  
  次に、 1・1=1   ∵1との積 
  以上2点から、0 < 1・1=1 
    [赤『実数論講義』§2.5定理2.5.7(p.51)]





[文献]
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』例2.1.3(3)(p.63) 
 ・松坂『解析入門1』1.3命題4(g)(p.31)    


 ・赤『実数論講義』§2.5定理2.5.7(p.51)               





常識的には、0<1は自明だが、

 アカデミックな数学は、
 実数定義の段階では、0を加法の単位元として、1を乗法の単位元として定義するだけ。
 だから、0<1は自明ではない。
 「0<1」は、単なる加法の単位元とされたものと、単なる乗法の単位元とされたものとのあいだに、順序関係があることのは、それはそれで、驚くべきこと。







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定理:逆数の正負 

【設定】


 R
: 実数体 
 xy実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された乗法。  
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題】


 どんな正の実数逆数も正、どんな負の実数逆数も負。
 つまり、
 ( xR{0}) ( 0<x 0<x-1 )
 ( xR{0}) ( x<0 x-1<0 )

【なぜ?】


  神谷浦井『経済学のための数学入門』練習問題2.1.3(7)の解答(p.362);
  赤『実数論講義』§2.6 定理2.6.1(p.53)
  





[文献]
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』練習問題2.1.3(7)(p.64)  


 ・赤『実数論講義』§2.6 定理2.6.1(p.53)              




→[トピック一覧:実数における不等式と加法乗法の関係]
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定理:逆数の順序 

【設定】


 R
: 実数体 
 xy実数体の定義‐条件A-0より、Rに定義された乗法。  
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題】


 二つの正の実数順序は、それらの逆数をとると、反転する。 
 (x,yR) (0<xかつ0<yかつx<y  y-1<x-1 )

【なぜ?】


 →神谷浦井『経済学のための数学入門』練習問題2.1.3(8)解答(p.362)
 →赤『実数論講義』§2.6 定理2.6.2(p.54)を参照。




[文献]
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』練習問題2.1.3(7)(p.64)
 ・松坂『解析入門1』1.3命題4(h)(p.31)


 ・赤『実数論講義』§2.6 定理2.6.1(p.53)              




→[トピック一覧:実数における不等式と加法乗法の関係]
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定理:二つの実数の平均値の順序 

【設定】


 R
: 実数体 
 ≦: 実数体の定義‐条件B-1より、Rに定義された順序
 <: 実数体の定義‐条件B-1より、
     「x<y(x≦yかつx≠y)」としてRに定義された狭義順序 

【本題】


 (x,yR) (x<y x< (x+y)/(1+1) <y )

【なぜ?】





[文献]
 ・黒田『微分積分学』2.2.2命題2.1(p.25)


 ・赤『実数論講義』§2.7(pp.54-5)              



  ※ (x,yR) ( x<y x< (x+y)/(1+1))なのは、なぜ? →赤『実数論講義』§2.6 定理2.6.1(p.53)を参照。
     (x,yR) (x<y  x+x<y+x )  ∵順序と加法の性質 
         ( xR ) ( 1x=x ) ()をもちいて、上記を書きなおすと、
      (x,yR) (x<y  1x+1x<y+x ) 
         分配則より1x+1x=(1+1)x となることを用いて、上記を書きなおすと、
     (x,yR) (x<y  (1+1)x<y+x )    
         加法の可換則より、y+x =x+y となることを用いて上記を書きなおすと、
     (x,yR) (x<y  (1+1)x<x+y )    
        0<1()より、0<1<(1+1)()、さらに、0<(1+1)-1 ∵逆数の正負     
        この点と、順序と乗法の性質を用いると、
     (x,yR) (x<y  (1+1)x<x+y (1+1)x(1+1)-1<(x+y )(1+1)-1 )    
        ・(1+1)x(1+1)-1=x(1+1)(1+1)-1 ∵乗法の可換則 
              =x{(1+1)(1+1)-1} ∵乗法の結合則  
              =x1 ∵自らの逆数との積      
              =x  ∵1との積 
        ・(x+y )(1+1)-1=(x+y )/(1+1)-1   ∵商の定義  
        以上2点を用いて上記を書き直すと、
     (x,yR) (x<y  (1+1)x<x+y x<(x+y )/(1+1)-1 )  
  
  ※ (x,yR) (x<y (x+y)/(1+1)<y )なのは、なぜ? →赤『実数論講義』§2.6 定理2.6.1(p.53)を参照。
    (x,yR) (x<y  x+y<y+y )  ∵順序と加法の性質 
        ( xR ) ( 1x=x ) ()をもちいて、上記を書きなおすと、
     (x,yR) ( x<y  x+y<1y+1y )        
        分配則より1y+1y=(1+1)y となることを用いて、上記を書きなおすと、
    (x,yR) ( x<y  x+y<(1+1)y )    
       0<(1+1)より(∵)、0<(1+1)-1 ∵逆数の正負     
       この点と、順序と乗法の性質を用いると、
    (x,yR) ( x<y  x+y<(1+1)y  (x+y) (1+1)-1<(1+1)y(1+1)-1 )    
       ・(1+1)y(1+1)-1=y(1+1)(1+1)-1 ∵乗法の可換則 
             =y{(1+1)(1+1)-1} ∵乗法の結合則  
             =y1 ∵自らの逆数との積      
             =y  ∵1との積 
       ・(x+y)(1+1)-1=(x+y)/(1+1)-1   ∵商の定義  
       以上2点を用いて上記を書き直すと、
    (x,yR) ( x<y x+y<(1+1)y (x+y)/(1+1)-1<y )    



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定理:実数体の自己稠密性



【本題】


 実数体 は、自己稠密である。
 すなわち、
 実数体R任意x,yにたいして、x<z<yを満たすRzが存在する。
 すなわち、(x,yR) (zR) (x,yR) ( x<z<y )

【なぜ?】


 定理より、(x,yR) ( x<y x< (x+y)/(1+1) <y ) であるから、
  zとして、少なくとも、(x+y)/(1+1) が存在する。





[文献]
 ・黒田『微分積分学』2.2.2(OD)(p.26)
 ・斎藤『数学の基礎:集合・数・位相』2章§5定義2.5.1(p.52)


 ・赤『実数論講義』§2.7(pp.54-5)              




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reference

日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目156A.実数の公理系 (pp. 417-418), 168.順序 (pp.440-441). 項目183数:E.実数 (p. 475).
斉藤正彦『数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。第2章自然数から実数体の定義まで§5定義2.5.13 (p.58)
永田雅宜『代数学入門』培風館、1996年、定理1.4.2(p.12)。

【解析学テキストのなかで】

小平邦彦『解析入門I』(軽装版)岩波書店、2003年、§1.5-a上限下限(pp.36-7.)。
高木貞二『解析概論改訂第三版』岩波書店、1983年、§3.数の集合・上限・下限(pp.1-5.)
杉浦光夫『解析入門I』岩波書店、1980年、§1実数(pp.1-9).
笠原皓司『微分積分学』サイエンス社、1974年、1.1実数(pp.1-7).。
松坂和夫『解析入門1』岩波書店、1997年、1.3節順序体(p.29)。
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年、pp.3-5.
黒田成俊『21世紀の数学1:微分積分学』共立出版株式会社、2002年、2.2実数の四則演算と順序(pp.23-9);2.4.1連続性の公理(p.35)。
赤攝也『実数論講義』SEG出版、1996年。
Walter Rudin,Principles of Mathematical Analysis,Mcgraw-Hill,1953-1976.
=ウォ−ルタ−・ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、第1章。

【数理経済学テキストのなかで】

神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.56-64

→[トピック一覧:実数における不等式と加法乗法の関係]
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