累乗(べき)と指数法則〜指数を自然数に限定して :トピック一覧  

冪・累乗の定義(自然数指数)  cf.冪・累乗の定義(整数指数)/冪・累乗の定義(有理数指数)/冪・累乗の定義(実数指数)
指数法則(自然数指数)     cf.指数法則(整数指数)/指数法則(有理数指数)/指数法則(実数指数)
                cf. 整数指数の冪・累乗の基本性質/有理数指数の冪・累乗の基本性質    
指数と大小関係(自然数指数)   cf.指数と大小関係(有理数指数) 
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定義:冪(べき)・累乗 power、指数exponent 〜指数を自然数に限定して

定義

実数a,自然数nに対して、
  「ananとは、「『n個の実数a』を掛け合わせた積」のこと。   
  たとえば、
  ・「実数aの3乗a3といえば、「『3個の実数a』を掛け合わせた積」aaa を指す。
    なお、この「実数aの3乗」a3=aaaを、「実数aの立方」とも呼ぶ。  
  ・「実数aの2乗a2といえば、「『2個の実数a』を掛け合わせた積」aa を指す。
    なお、この「実数aの2乗」a2=aaを、「実数aの平方」とも呼ぶ。
  ・「実数aの1乗a1といえば、「『1個の実数a』を掛け合わせた積」a を指す。

・「実数aの冪(べき)」「実数aの累乗」とは、
    ・「実数aの1乗」a1
    ・「実数aの2乗」a2
    ・「実数aの3乗」a3
    :
    ・「an乗」an,…
  の総称。

anの「」とは、aのこと。
   たとえば、a3=aaaa2=aaa1=aの「底」は、どれもa

anの「指数exponent」とは、nのこと。
   たとえば、
    ・a3=aaa の指数は3 
    ・a2=aaの指数は2
    ・a1=aの指数は1


[文献]

 ・能代『極限論と集合論』20.整指数のベキ(p.41)
 吉田栗田戸田『昭和62年3/31文部省検定済 高等学校数学I』啓林館、1章2(p.12);1章8指数法則(pp.36-7);
 赤攝也『実数論講義』§3.4帰納的定義:実数an乗の定義を通して
            §3.5累乗(p.79);
            §3.12整数指数の累乗(p.99);
            §7.1有理数指数の累乗(p.203);
            §7.2実数指数の累乗(p.210)。 
 ・吉田栗田戸田『昭和63年3/31文部省検定済 高等学校基礎解析』啓林館、2章1指数の拡張(pp.40-45):有理数実数べき;.
 ・『岩波入門数学辞典』「べきpower」(p.545);
            「指数(べきの)exponent」(p.241);
            「指数法則exponential law」(pp.244-5)。
 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』2章4指数関数(pp.58-65):整数べき→有理数べき→実数べき
 ・加藤十吉『微分積分学原論』4.4整数の実数乗と指数関数-例10(p.39)
 ・竹之内『経済・経営系数学概説』1.5累乗の一般化(pp.34-6)
 ・永倉安次郎・宮岡悦良『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』付録A.1.1
 ・岡田章『経済学・経営学のための数学』1.4(p.26)

[関連事項]

 ・累乗の拡張:
  →指数を正負の整数へ拡張した「べき」「累乗」
  →指数を有理数へ拡張した「べき」「累乗」
  →指数を実数へ拡張した「べき」「累乗」
 ・自然数指数の「冪関数」「累乗関数」 


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指数法則 exponential law,指数公式 law of exponents 〜指数を自然数に限定して

性質

[指数法則-1]
  いかなる実数a,いかなる自然数m,nに対してでも、
    aman = am+n 
  が成り立つ。
  論理記号で表すと、 (aR) (m,nN) ( aman = am+n )
  ※なぜ?→証明 

[指数法則-2]
・いかなる実数a,いかなる自然数m,nに対してでも、
    (am)n = amn 
 が成り立つ。
 論理記号で表すと、 (aR) (m,nN) ( (am)n = amn )
  ※なぜ?→証明 

[指数法則-2']
・いかなる実数a,いかなる自然数m,n,tに対してでも、
  am=bn ならば、 amt=bnt  
 が成り立つ。
 論理記号で表すと、 (aR) (m,n,tN) (am=bnamt=bnt)
  ※なぜ?→証明 
 ※活用例→n乗のm乗根の性質1 

[文献]

 ・吉田栗田戸田『昭和62年3/31文部省検定済 高等学校数学I』啓林館、1章2(p.12);1章8指数法則(p.36);
 ・赤攝也『実数論講義』定理3.5.1;問2(pp.79-81):自然数指数に限定。わざわざ証明つき;

 ・竹之内『経済・経営系数学概説』1.5累乗の一般化(pp.34-6)
 ・『岩波入門数学辞典』「指数法則exponential law」(pp.244-5)。
 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』2章4指数関数(pp.58-65):有理数べきの指数公式law of exponents(p.60)


※関連事項:
 ・累乗の拡張:
  →指数を正負の整数へ拡張した場合の指数法則 
  →指数を有理数へ拡張した場合の指数法則
  →指数が実数へ拡張した場合の指数法則
 ・自然数指数の「冪関数」「累乗関数」 
[指数法則-3]
  いかなる実数a,b、いかなる自然数nに対してでも、
    (ab)n = anbn
  が成り立つ。
  論理記号で表すと、 (a,bR) (nN) ( (ab)n = anbn )

[指数法則-4]
  いかなる0でない実数a,いかなる自然数m,nに対してでも、
      nm  (am)/(an)=am-n  
      nm  (am)/(an)=1  
      mn (am)/(an)=1/(an-m)    
  が成り立つ。
  論理記号で表すと、 
    (aR) (m,nN) (  nm  (am)/(an)=am-n )
    (aR) (m,nN) (  nm  (am)/(an)=1 )
    (aR) (m,nN) (  mn (am)/(an)=1/(an-m) )

[指数法則-5]
  いかなる自然数nに対してでも、
    (1)n = 1
  が成り立つ。
  論理記号で表すと、 (nN) ( (1)n = 1 )


上記の証明
  ・1.〜3.についての、数学的帰納法を用いた厳格な証明は、赤『実数論講義』定理3.5.1(pp.79-81)にある。
  ・そこまでしなくても、定義にさかのぼって、書き下せば、1.〜3.は当然だとわかる。

[指数法則1の証明]

 いかなる実数a,いかなる自然数m,nに対してでも、
    aman = (aaaa……………………aaa)(aaaa………………aaa) ∵累乗の定義 
               ↑       ↑
         [m個のaを掛け合わせた積][n個のaを掛け合わせた積]
       = aaaa……………………………………………aaa ∵実数の積の結合則 
                   ↑       
            [(m+n)個のaを掛け合わせた積]
       =  am+n  ∵累乗の定義 

[文献]

 ・竹之内『経済・経営系数学概説』1.5累乗の一般化(pp.36):左記証明。
 ・赤攝也『実数論講義』定理3.5.1;問2(pp.79-81):わざわざ数学的帰納法を用いた厳格な証明。


[指数法則2の証明]

 いかなる実数a,いかなる自然数m,nに対してでも、
 (am)n = (am)(am)…(am)    ∵n乗の定義 
           ↑
      [n個の(am)を掛け合わせた積]
    =(aaaa………aaa)(aaaa………aaa)……(aaaa………aaa) ∵m乗の定義 
         ↑       ↑         ↑
      [m個のaの積]  [m個のaの積] … [m個のaの積]
         └───────┴───…─────┘   
              [n個の「m個のaの積」を掛け合わせた積]
    = aaaa……………………………………………aaa ∵実数の積の結合則 
                   ↑       
            [mn個のaを掛け合わせた積]
    = amn ∵累乗の定義



[文献]

 ・竹之内『経済・経営系数学概説』1.5累乗の一般化(pp.36):左記証明。
 ・赤攝也『実数論講義』定理3.5.1;問2(pp.79-81):わざわざ数学的帰納法を用いた厳格な証明。

[指数法則2'の証明]

・いかなる実数a,いかなる自然数m,n,tに対してでも、
  am=bn=c ならば
   amt=(am)t  指数法則2 
      =ct  ∵ここでの仮定「am=bn=c 」 
   bnt=(bn)t  指数法則2 
      =ct  ∵ここでの仮定「am=bn=c 」 
・つまり、いかなる実数a,いかなる自然数m,n,tに対してでも、
  am=bn=c ならば
   amt=bntct    







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指数と大小関係〜指数を自然数に限定して

性質

1.
  いかなる実数a,b、いかなる自然数nに対してでも、
    0<ab 0<anbn 
  が成り立つ。
  論理記号で表すと、 (a,bR) (nN) ( 0<ab 0<anbn )

2.
  いかなる実数a,いかなる自然数n,mに対してでも、
   ( nm かつ  0<a<1 ) aman 
  が成り立つ。
  論理記号で表すと、 (aR) (n,mN) ( ( nmかつ0<a<1 ) aman  )

3.
  いかなる実数a,いかなる自然数n,mに対してでも、
   ( nm かつ  1<a anam 
  が成り立つ。
  論理記号で表すと、 (aR) (n,mN) ( (nmかつ1<a anam )

[文献]

 ・赤攝也『実数論講義』定理3.5.1;問2(pp.79-81):自然数指数に限定。わざわざ証明つき;

※関連事項:
 ・指数と大小関係(有理数指数) 
 ・自然数指数の「冪関数」「累乗関数」の増減
 ・指数関数の増減 


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