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ひとりごと2003年8月


 8/28(木)『詩のボクシング』


 日曜日、NHKBSで毎年夏休みに行われている「詩のボクシング」が放送された。

 「詩のボクシング」とは、ボクシングのリング上で、青コーナーと赤コーナーに別れた二人が、創作詩を3分間朗読し合い、審査員がジャッジ(勝敗)をくだすもの。詩の内容は自由、トーナメント制で最後にチャンピオンが決まる。

 ここでいう詩のジャンルは『朗読詩』。詩を文字で見せるのではなく朗読して聞かせるタイプなのでパフォーマンス性が大きく左右する。この大会で面白いのは各人の個性、詩を朗読するのに、語りかけたり、独り言のようにつぶやいたり、演技をする者、歌う者(ラップもある)、化粧してコスプレする者・・・、とにかく表現は自由。

 今回私が注目した選手は、愛媛大会チャンピオンの羊ケ丘さん(ポッチャリとした女性)。浴衣を着てやんわりとした語り口が耳に優しい。時々出るブリッ子語はお茶目でチャーミングだ。
 次に高校教師の船津さん。眼鏡を掛けて猫背でぶつぶつ語るけど、普段は二枚目で登校拒否生と向き合う真面目な教師である。二回戦で3分以内に結末まで語られずに敗退した。あとボブディラン風長髪男性(大阪の小笠原さん)は声が通りリズム感がよく、準決勝の「吠えて猿が」は印象に残る。朗読詩って語感が大切で、リズムに乗る単語(「吠えて猿が」や「喜怒哀楽」)をリフレインすると印象強くて効果的だと思う。

 あとキャラクターをしっかり作込んできたマザコン君と焼鳥屋の女の子。
 焼鳥屋の女の子(亜子米さん)は対戦カードにめぐまれたという感じもあるが、独特のやさしさと絵画的な表現がうまく、まぶたを閉じて聞いていると情景が浮かんでくる。対してマザコン君(東京の本田くん)は準決勝で観客に向けた最後の一言「出前は二人前からにしてください」が会場をわかせて場をつかんでいた。彼は気弱そうに装っているが、実は計算高くしたたかだと思う。

 毎年見てくると、どうも年を追う事にキャラクターに走りすぎているような気がする。もう少し詩の内容に力を入れて欲しい。私としては絶叫短歌の福島泰樹氏や「叫ぶ詩人の会」のようなエネルギッシュなパワーのある詩人、もしくは、詩の美しさで聞く者を癒し、日本語ってこんなに美しいんだと再認識させてくれるような本格詩人の登場を望みます。来年が楽しみだ。

 「詩のボクシング」NHK BS
  ※8/30(土)NHK教育にて再放送があるのでご覧下さい。


やっと夏らしい暑さがもどってきました。と思ったら、
夜、コオロギが鳴き出しました。うちの庭は、もう秋?

 8/26(火)『6万年ぶりの火星大接近!』


 毎日残業で家に着くのが11時。

 帰り道、ふと南の空を見上げると何やら赤い星がこうこうと輝いている。夏にこんなに輝く星なんてあったかな? という日々が続いてた。特に調べることもなく過ごしてきたが、ニュースで知ったのが火星大接近とのこと。そうか、あれは火星だったのか。

 火星は太陽系の4番目の惑星で地球の外側を周り、地球と火星は2年2ケ月ごとに追い付き追いこします。その軌道は楕円であるため、地球と接近したときの距離が遠いとき(小接近)と、近いとき(大接近)があり、15年〜17年ごとに一番近付きます。今回の大接近は火星が地球に5576万kmまで近づくそうですが(でも遠いいなあ)、これは大接近の中でも特別に近づく接近で、57000年ぶりの超大接近と言われています。今年と同じ条件で見られる次は2287年というから、今見ておかないともう見られません。

 私は中学の頃、ビクセンの天体望遠鏡を持っていました。さすがに、もうなくなってしまったのですが、望遠鏡を持っている人はぜひ火星を見て下さい。表面の模様と白く輝く「南極冠(なんきょくかん)」(ドライアイスの氷)が見られることでしょう。最も近づくのは明日27日、見やすいのは、火星が高く昇る真夜中の頃です。

 ただ、天気がちょっと心配ですね。

 関連記事 2001.11/24『しし座流星群・撮影成功!』


やっと夏らしい暑さがもどってきました。けど、暑いねえ。(;^_^A アセ

 8/23(土)『オススメCD紹介2』


 ■JOYCE(ジョイス)の「ジャスト・ア・リトル・ビット・クレイジー」
 ジョイスはリオ・デ・ジャネイロに生まれ、ジャズとサンバで育った女性ボーカル兼ギターリストである。フェミニストの視点から歌った「フェミニーナ」で脚光を浴びワールドツアーで来日したこともある。映画「ザ・プレイヤー」のサウンドトラックにも一曲提供している。と、書くと、いかにも知ってそうだけど、実はジョイスについてまったく知らなくて、銀座のヤマハ楽器で店内に流れていたのを聞いて買ったもの。内容はボサノバで、ジョイスが歌うスローテンポのフランス語は耳に心地よくボサノバのリズムに乗ってリラックスして聞くことができる。うーん、癒し系。

 ■映画「宇宙からのメッセージ」サウンドトラック
 スターウォーズの一作目が公開されて大ヒットし、和製スターウォーズとして東映が製作したのがこの作品。原作・石ノ森章太郎、監督は「仁義なき戦い」の深作欣二(どういう組み合わせなんだ?)。主演が真田広之、志穂美悦子、千葉真一、成田三樹夫、丹波哲朗という、まるで「柳生一族の陰謀」だ。それに「コンバット」の軍曹こと我らがビック・モローが加わった。が、うれしいというよりも、何で世界のビック・モローがこんな映画に出演してしまったのか残念でならない。当時最新式のシュノーケルカメラを導入して撮影に当たったものの、センスが悪く合成もチャッチくてお粗末くん。製作サイドの想いとは裏腹にトンデモ映画になってしまった。

 さて、そんな作品の曲だが・・・。当時、高校生だった私は、曲が気に入ってサントラLPを買って熱心に聞いていたが、後日、その曲があらゆるクラシックのパクリと判明してがっかり。テーマ曲「リアベの勇士」はショスタコーヴィッチの交響曲5番「革命」の編曲だし、「惑星ミゼラリア」はストラビンスキーの「火の鳥」にズバリそのものがある。ということで、この作品おもいっきりパチもんという結果になってしまった。
 ただ唯一の救いが、チープなロックミュージックと思っていた「スピンロック」のピアノ演奏者が若かりしころの羽田健太郎さんで、軽快なアドリブの効いた演奏を聴かせてくれて楽しい。

 ■ストラビンスキー「火の鳥」指揮:小澤征爾
 「宇宙からのメッセージ」を聞いていたたまれなくなって買ったのがこれ。私はクラシック好きで何枚もCDを持っているけど、小澤征爾指揮は一枚も持っていなかった。小澤指揮は重すぎず軽すぎず、しかしてスケールが大きく、広がりがあって大満足。このCDは29年間音楽監督をしていたボストン交響楽団との演奏なので特にすばらしい。これからクラシックは小澤征爾を集めようかと思う。


JOYCE(ジョイス)
COCB-53067


「宇宙からのメッセージ」サントラ
COCX-30124


「火の鳥」指揮:小澤征爾
TOCE-55544

 関連記事 4/12『オススメCD紹介1』


関東はここ数日まともに雨が降ってて寒いです、風邪をひかないように

 8/20(水)『再び長野へ』


 再び長野に出張した。

 前回は夕方だったので善光寺参りだけだったが、今回は仕事が午前中で終わったため、食事がてらにゆっくり観光することができた。

 長野といえば蕎麦(そば)。善光寺の仲見世通りから中央通りにかけてそば屋が並ぶ。私が行ったのは大門から路地裏に入った「小菅亭(こすげてい)」。明治28年創業という老舗で昭和天皇が来たという由緒あるお店である。店内には大きな招き猫が迎えてくれる。と、思ったら、店内のいたるところに「招き猫」の山。厨房ののれんも猫、壁にかけてある墨絵も猫の絵で、招き猫コレクションとなっている。さて肝心のそばの味ですが、食べたのは「天もりそば」。えび、かぼちゃなどの天ぷらともりそば、そばようかんが付いている。手打ちそばは「田舎そば風」の細目で喉越し良い。つゆによくからんでお美味しかった。

 仲店から大門に続く参道には宿坊という昔ながらの家が並び、玄関を開けて公開している。そんな宿坊のひとつが万華鏡のギャラリーを開いていたので立ち寄った。「ギャラリー蓮(れん)」は万華鏡は日本の作家の作品を主として展示・販売している。小型のタイプの物、筒の前にガラスの玉をはめてあるテレイドスコープの種類が多くて驚いた。万華鏡の他にも、オルゴールボール(手のひらでころがすと音が鳴るもの)やトンボ玉(色文様のつけた可愛いガラス玉)があり、とても楽しくすごすことができた。「ギャラリー蓮(れん)」http://www.iikoto.net/ren/

 善光寺のおみやげと言えば江戸時代からつづく唐辛子の老舗「八幡屋磯五郎」。善光寺名物の中でも最古のもの。仁王門近くの本店は、入り口に大きな「鷹の爪」が下がっているのですぐわかる。(写真参照)みなさんもおどこかのそば屋で見かけたことがあると思う善光寺様の絵が描いてある缶入唐辛子は360円。私が店内で品選びをしている間にも観光客が次々と入ってきて、5缶、6缶と、缶入唐辛子をまとめ買いしていた。私はここで一番小さな漆塗りの唐辛子セットを買った。

 散歩の帰りは老舗旅館   前からバスで長野駅へ帰りました。めでたし

 関連記事 7/16『長野へ初出張』(写真追加!)



 8/17(日)『寒いお盆のお寒い社会』


 まったくこの世の中、何かが狂っている。

 ここ一二週間、日本列島に前線が停滞して雨が降り、関東では連日気温が23度程しかなく、半袖だと寒くて風邪をひいてしまう。その一方、スイスでは気温が42度だって! どうなっちゃたんだろう。

 先週末はアメリカ北東部とカナダの一部で停電があり大都市が麻痺。テロではないと発表はあったものの、地下鉄、バスが止まってニューヨークでは会社から帰宅する人で街があふれかえった。電気に頼りすぎた生活をしている現代社会のもろさが浮き彫りになった。(他山の石としよう)

 更に、Windows2000とXP用の新型ウィルス「プラスター」が発生し、感染すると、起動してもすぐ再起動を繰り返してしまうそうだ。ネットにつないでいるユーザーは金曜日中にマイクロソフトのページからソフトをダウンロードして欠陥を修復しないといけないのだが、そんなこと突然言われても一般の人は困るよね。でも、その後、大きなトラブルを聞いてない。まったく人騒がせなものだ。これだからWindowsは嫌いだよ。

 そう言ってる私は、14、15日のお盆休みを使って会社のパソコンにサーバー機を導入してネットワークを構築する作業を手伝った。仕事の連絡がないお盆休みの期間中をねらったことだが、OSがXPのため、念のためマイクロソフトのホームページから欠陥修復用ファイルをダウンロードした。オンラインでチェックすると、更新に必要なファイルは全部で26個で38MBある。会社はADSLだからいいようなものの、自宅はカリカリの電話回線64kだからもうやる気力なし。昼に接続したら、今日中にデータを更新したい輩のためか回線がつながらない。みんな駆け込みでやっているのだろうか。私はメールとインターネットはMacでしているので、しばらくはWinの回線をはずしておこうと思う。

 ニューヨークの停電さわぎとウィルスさわぎ、こんなにもろくてやわい社会じゃ、テロリストの思うつぼだ。ああ、快適な生活とは何だろうか。天気と一緒でお寒い世の中だこと。



 8/15(金)『映画「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」』


 詩人であり思想家の吉本隆明は、映画での満足度は、観客が映画を見る前にイメージしていたものと作品の差にあるという。その差が悪い方向に向かうと不満になり、同じ方向を示していると納得する。それで言うとマトリックスよりも「チャーリーズ・エンジェル」(略して「チャリエン」)は期待通りの作品だった。簡単に言うと、馬鹿な映画が見たいと思っていたから、馬鹿な映画で満足したということです。

 オープニングは007ばりのハイテンションなアクション。絶体絶命のピンチに、敵から撃たれたミサイルをよけるため、ダムの上からトレーラーごと落ちる。トレーラーの荷台には軍用ヘリコプターが積載されていて、落ちるまでの間にヘリコプターに飛び乗り、起動して脱出する! んな、アホな。ちょっと漫画っぽくて失笑をかうかもしれないけれど、このチープさについていけないと、それから1時間46分、この映画を楽しむことは出来ないだろう。この映画は、映画よりもクラブ(今風に平坦に発音)のノリだ。ガンガンかかるBGMに合わせて身体を動かしリズムを取りながら見てもらいたい。理屈じゃない。

 カメオでブルースウィルスが出演(デミ・ムーアの誘いで実現したらしい)したり、「ターミネーター2」のT-1000ことロバート・パトリックもいる。それでかターミネーターのパロディが数カ所あって笑える。そうそう、意外な出演者といえば、ルーシー・リューの父親役としてモンティ・パイソンのジョン・クリースが出てるのでこいつは驚いた。キャラとしては真面目な父役なんだが、勘違いから娘の痴態に困惑するというジョン・クリースならではの笑いが楽しい。ファン必見です。

 他に楽しいと言えば、キャバレーシーンが最高! エンジェル3人のセクシーなヒップが見られて得した感じ。キャメロン・ディアスなんて高額のギャラをとる有名女優なのに、B級映画ノリに裸丸同然の痴態も披露、見ているこっちが恥ずかしくなった。よくやるよ。
 さらにドリュー・バリモアがエンジェルを脱退した後、放浪中のメキシコ酒場でアドバイスをくれるのが、TV版チャーリーエンジェルスのジャクリーン・スミス! 往年のファンにはたまりません。目頭が熱くなる思いでした。そして、何と言っても、悪漢デミ・ムーアが超カッコイイ。長い黒髪のワンレングスに黒のレザーコスチュームを着て、キリリとした目で見つめられると参っちゃう。彼女が登場しただけでピーンと空気が張りつめてエンジェル3人が霞んでしまうほどだ。

 70点
 どの場面でもノリノリのBGMが効いててMTVを見ている感じ。しかし難を言えば、細かいオムニバス映画を見ているようで全体として統一感に欠ける感じはある。冒頭からずっとハイテンションだとドラマとしての起伏が無くなりデミ・ムーア登場してからのラストは逆に物足りない印象になってしまったのが残念。前回登場の私のお気に入りキャラの「ヤセ男」も出るが、彼の生い立ちまで見せておきながら最後あっけなくやられてしまうのは残念である。こんな中途半端な描き方するなら出さなきゃいいのに。(ひょっとして今回でシリーズ最後にするつもりか?)その分デミ・ムーアのシーンを長くしてほしかった。ということで、全編飛ばしっぱなしでフルスロットル状態、眉間にしわよせずに楽しみましょう。

 ピンポーン、もうひとり、キャリー・フィッシャーがカメオ出演していたとの噂は本当?



 8/12(火)『フリーダ・カーロ展』


 フリーダ・カーロをご存じでしょうか、彼女はメキシコの女流画家で、自画像作家と呼ばれ、描いた作品のほとんどが自画像で、その数は100点にものぼる。

 彼女の作品を鑑賞するには、彼女の不幸な私生活を抜きにしては語れない。
 1907年、革命前夜のメキシコに生まれ、18歳の時、乗っていたバスが事故を起こし瀕死の重傷を負い、絵を描くことが生きる希望となった。やがて彼女は壁画家として有名なディエゴ・リベラと結婚する。初の妊娠を中絶、さらに次の子を流産、また夫リベラは女癖が悪く、フリーダの妹にまでも手を出したために離婚する。それでもなお夫を諦めきれず、翌年再婚する。美術学校の教授に就任するが、事故の後遺症から背骨の手術を7回受け、43歳の若さで亡くなった。

 私が彼女の作品で好きなのは、1932年、流産による悲しみを表現した「ヘンリーフォード病院」からで、ここから彼女の自画像は、独特の心情表現をしている。「ヘンリーフォード病院」は、赤い血を流すフリーダが病院のベッドに横たわり、胎児、骨盤、カタツムリ、ランの花をリボンで結んだ象徴である。また、「二人のフリーダ」は、ヨーロッパの衣装とメキシコの民族衣装を着た二人のフリーダが、心臓と血管によって結ばれている。「折れた背骨」は、自画像の身体が真ん中で裂かれていて、中の背骨を象徴した石造りの柱がずたずたに割れている。これらの絵は、リアルな臓器と、象徴的な釘や柱、そして漫画のような大粒の涙を流す自画像、一度見ただけで記憶に残ってしまうほどの(美術にとって)斬新な表現である。

 先日、NHKの日曜美術館で紹介されたが、フリーダの特異な心情表現は、メキシコ民衆に伝わる『レタブロ』という絵からきてるという。それは、病気や怪我から回復したときに神への感謝を絵で表現するものだ。それでフリーダの奇妙な絵にはメッセージが書かれているのだ。これには納得した。

 残念ながら今回の展覧会には私の好きな上記に紹介した作品は展示されていない。けど、ポスターにもなっている作品「テワナ衣装の自画像」は、夫リベラとの再婚の時を表したものだが、豪華な花嫁衣装を着てはいるが、その表情には喜びがなく、純白のドレスからは白いたくさんの糸が四方八方に張り巡らされ、この蜘蛛の巣でディエゴの心をつかまえようとし、さらに四方八方に伸びる髪の毛はディエゴをつかまえて放さない触手に思えてならない。この絵を見ていると、妹にまで取られ裏切られたディエゴに対して健気に愛を熱望する彼女が不憫に思えてならないのである。見ていて悲しくなった。

 さて、今回の展覧会はフリーダ・カーロだけでなく、メキシコに亡命して活躍したシュールレアリスムの女流画家(私も好きなレオノール・キャリントン)も同時展示されている。中でもはじめて知ったレメディオス・バロは面白い。「鳥の創造」ではフクロウの姿をした画家がバイオリンに絵筆を結びつけて絵を描いている。その絵の具は星を蒸留して作られていて、描いた鳥を一等星から届く光をプリズムに通してあてると、生命を得て飛び立つのだ。また「星粥(ほしがゆ)」では、女性が高い塔の中で月を飼っている。夜空から星くずを集めて砕き、粥にして三日月に食べさせてあげている。このように一枚の絵の中に童話を読んでいるような物語性を感じ、様々な小道具を見つけては自分で筋をつくり、絵を読む楽しさを感じる。すっかりファンになってしまった。

 展覧会の印象は、楽しみにしていたフリーダの作品は意外と少なく、物足りない印象だったものの、レメディオス・バロ、レオノーラ・キャリントンなどのシュールレアリスムの画家が見られたのでまあまあといったところだろうか。

 Bunkamuraザ・ミュージアム「フリーダ・カーロとその時代展」9/7まで



 8/9(土)『映画「マトリックス・リローテッド」』


 1999年のマトリックス公開は私にとってひとつの事件だった。
 ストーリー(サイバーパンク)もさることながら斬新な映像表現は、それまでのアクション映画、SF映画の表現を超え、アクション映画を進化させた作品だったと思う。マトリクスのスタイリッシュな映像とテンポに慣れてしまうと、同時期に公開されていたスターウォーズが古めかしく物足りない存在になってしまうのを感じたものだった。

 その衝撃から4年、待ちに待ってようやく見ることができたの、だ、が。

 ここのところの多忙がたたってか、はたまた理屈が長かったのか、ラスト、ネオとマトリックスの創始者アーキテクトとの会話場面でうとうと寝てしまったのだ。ウウウ これじゃ話しがわからんよ。しかもエンドタイトル後の『レボリューションズ』の予告篇もすっかり寝てて見逃した。話しにならないが、かといってもう一回観に行くほどの魅力も感じなくて迷っていたら、アーキテクトとの会話場面を採録してあるホームページを知った。ラッキー、これを読めばいいのだ。
 http://plaza28.mbn.or.jp/~projectitoh/cinematrix/architect_script.html#header


 大方の人が言っていた通り、理屈が多すぎるし一作目の方が面白いというのには頷いてしまう。この作品は設定が複雑(整理するとそれほどでもないが)で、しかもいきなり物語が始まり、いきなり終わるため、観る前に前回のおさらいをしておかないとチンプンカンプンになってしまう。偶然、私は映画が始まる前にパンフレットを買ってながめていたので、物語の設定やザイオンなどの用語を予習していたため、本編がはじまってもすんなりと入ることが出来た。これから見る人はパンフレットの5ページ(?)の下の設定(ドラマの背景)を一読することをオススメする。

 さて、期待していたアクションは、高速道路のくだりは確かにすごいなあとは思うものの、前作の衝撃ほどではなく、スミスを100人斬り場面(前作でネオに汚染されてエージェントではなくなったスミス君)では特に興奮するでもなく呆れ返ってしまった。なんかなあ、あれ、いるの?

 残念ながらどのアクションシーンも意味合いが感じられず、相変わらずキアヌ・リーブスの拳法は線が細くてキレが悪い。腰がすわってなくて軽く、前作よりも悪くなっている。トリニティにしてもワイヤーにたよりすぎで力不足だった。これなら「チャーリーズ・エンジェル」の3人の方がはるかに力強かったぞ。

 60点。
 どうしても前回と比較してしまう。一作目は反乱軍を結成してA.I.の支配から人類から解放する目的を軸に、救世主は誰かという謎にひっぱられたが、今回はネオがスーパーマンになってしまい、ハラハラドキドキする展開に今一つ欠けてしまった。どう考えてもひとつの物語を無理やり二本に分けて水増ししたような印象で間延びした感じだし、ネオに助けられたと慕う少年や巡視艇クルーのリンクなど、こんな奴知らないよ。という新人が登場してうざったい。おそらく「アニマトリックス」を観ればわかるのだろうが、それでは観客に対して失礼すぎる。映画が終わって今すぐ続きが見たいと思えないのが残念だ。(だって寝ちったくらいだもの)



 8/6(水)『イオネスコ写真展』


 横浜中華街で女流写真家イリナ・イオネスコの写真展を見た。

 イオネスコはルーマニアで子供時代を過ごし、16歳になるとパリでモデルやダンサーとして生活をしていたが、結核で踊りをやめることになり。クリスマスプレゼントとしてもらったニコンのカメラを切っ掛けとして写真をはじめる。1965年にアヌークという少女に出会い、彼女を被写体として作品制作を始めた。

 イオネスコの被写体は室内で撮られた女性のヌード。中でも彼女の娘、エヴァを撮影したシリーズが有名で、今回、横浜のフォトギャラリー・パストレイズで行われたのも、この「EVA(エヴァ)」シリーズだ。エヴァはバルテュスの絵画に登場する少女のように、鑑賞する者の気持ちをとらえて放さない目をもっている。少女に仮面や装飾品を身につけ、時にはSMチックな衣装を着せたその姿には、少女の持つはかなくもピュアな美の中に男を誘うような力強い魔力を同時に秘めている。

 イオネスコの写真は風景写真とは違って細部までピントの合ったものではなく、被写体となる少女や小道具、部屋を含めた雰囲気、空気をとらえた作品である。人物のピントが甘かったり、どこかフィルターのかかったような映像はアンニュイな作風で魅力に満ちている。フォトギャラリー・パストレイズは過去にもイオネスコの展示をしており、イオネスコ本人が来店したことがあるという。そこで画廊の方にカメラは何を使っているのか聞いてみた。ニコンのFシリーズだと言うことはわかっているようだが、それ以上は確認したことがないらしい。イオネスコは作品について多くを語るものの、撮影機材については話題にしないらしい。もっとも、彼女がどんな機材を使っているかなど作品には関係ないものだが。

 いずれにしてもトレブィル社のイオネスコ写真集を持っている私にとってはうれしい写真展でした。

 フォトギャラリー・パストレイズ(横浜・中華街)2003.7/11〜8/31まで
 045−661−1060



 8/2(土)『庭にカブトムシが』


 うっとおしい梅雨が今日明けた。平年と比べて13日遅く、冷夏だった10年前につづいて2番目に遅い梅雨明けだったそうだ。と言っても、創作活動をする私にとっては涼しくてありがたかったのだが。

 今日、横浜中華街のイオネスコ写真展を観て帰ってくると、庭で飼い猫のミー子が梅の木の根本に歩いている虫をにらみつけていた。虫は黒くてぎょっとするほど大きく、はじめゴキブリかと思ったが、よく見るとそれはカブトムシ(メス)だった。昔は近くの雑木林で採って遊んだものだが、それっきりで、ひさしぶりに本物を見たことになる。ミー子がネコパンチをくりだす前に捕獲して高いところに移動させた。カブトムシがいるなんてやっぱりうち(横浜)は田舎なんだろうか?

庭のカブトムシ

 関連記事 2002年8/25『蝉の抜け殻』




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ここに書かれている内容は徳富の個人的な感想によるものです。
特に悪意はありませんし下心もありませんので、なにとぞご了承下さい。


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