***メルボルン展準備日記***

このページは2005年4月にオーストラリアで行われたメルボルン・アートショー
に向けての準備の様子を書き綴ったものです。


2004

7/28

 オーストラリアに本社を持つマネージメント会社から突然のメールが来た。

 それは、「ホームページを拝見して作品に興味を持ち、メールさせていただきました」という書き出しで、来年(2005年)の4月にオーストラリアのメルボルンで行われるアートショーに参加しませんかという誘いのメールだった。はじめは、イタヅラか詐欺まがいのようなものかと思い、いくつかの質問を送る。

8/2

 投げかけた質問の返事が来た。まず、なぜオーストラリアなのかという問いに対しては、「弊社はオーストラリアに本社を持っていて、アーティストのマネイジメントを主体としている。海外に対して日本のアーティストの活動基盤を作っていきたい思いがあり、オーストラリアは、音楽シーンでもリサーチ国にされているほどで、壁の高いヨーロッパ市場に進出するためには一番試すのにいい場所である。なぜならオーストラリアはたくさんのヨーロッパからの移民者でなりたち、ギャラリーの多くはヨーロッパとコンタクトを持っています」とのことだった。

 返信メールと共に、会社概要と社長の略歴、メルボルンアートショーの企画書を添付ファイルで送ってくれた。

 私が夏休みに銀座で個展をすることを書くと、ぜひ伺いたいということで、とても対応が誠実で好感が持てるものだった。

8/19

 私の個展に事務所の方が来てくれた。とても真剣にしかも明るくお話が出来た。この時点で参加を決意する。

8/27

 参加申込書を郵送して出品料を支払う。

9/25

 主催者がメルボルン展の参加者を集めて親睦パーティーをひらいてくれた。新規参加者だけでなく、過去に参加した人も来られて楽しい会になる。画家の人たちの集まりだから、酒癖が悪くて我が強い人たちばかりと思いきや、人間ができているやさしい方ばかりで、混乱も破壊も殺人もなく、和やかで楽しいパーティーとなった。

 互いの作品ファイルを交換しあって理解を深めたり、同じ画材を使っている人との技術論や、私が尊敬するスワンベルクを知っている人と出会えて感激したりと、その日、初めて会ったにもかかわらず、別れるときは前から知っているような錯覚するくらいまで親密になれた。この高揚感というか、楽しさは学生の頃に戻ったような感覚である。

 ※こういう集まりでの必需品は、自作を紹介する作品ファイルと名刺。我々絵を描く者って、人の顔と名前を覚えるのは苦手だけど作品を覚えるのは得意だから作品の写真を用意しておくとアピールになる。またホームページを持っていると後で必ず見てくれるので、URL入りの名刺は必需品です。

10/16

 メルボルン出品までのスケジュールを考える。出品作品は8月に個展に出した作品なので問題ないが、あとは資料をそろえるのと、プロフィールに使う自分の写真が必要だ。3分間写真は不可なので、新たに写真を撮らないといけない。それをいつ撮るかが問題だ。

11/20

 出品資料の締切り日。ところが、ここのところ多忙でプロフィール用の写真を撮る時間がない。しかたなく事務所にお詫びのメールを出して締め切りを延ばしてもらうことにした。

11/23

 ようやく休みが取れてデジカメでプロフィール用写真を撮る。カメラはニコンのクールピクス4500。一人で撮影するので、三脚にとりつけてタイマーモードで撮影する。室内でカメラのストロボを使うと人物だけ光があたって、背景が真っ暗になってしまうので、昼間に外で撮影する方がよい。

 資料一式(作品写真・プロフィール写真、出品作品のタイトルとサイズと解説)をそろえて宅急便で送る。

11/27

 新宿の世界堂にキャンバスを4枚買いに行く。F30号、20号、P20号、M20号。持ち帰るのが大変なので車で行く。新宿の世界堂はビルの裏に駐車場口があって、車に乗ったままエレベーターで地下2階の駐車場へ止められる。3000円以上買い物をすると駐車代はただなので楽である。私が駐車していた午前中は私の他に1台しかいなかった。おそらく駐車場があることを知らないのだろう。いずれにしても車が少ないと楽である。

12/18

 パスポートを取りに行く。以前持っていたのは期間切れになってしまったので新規に取り直しとなった。まずは戸籍抄本が必要だが、区役所は私の家から遠いいが、偶然、最寄り駅に「行政サービスコーナー」があり、そこでものの5分で取得できた。パスポートセンターでも、事前に用意した書類が完璧だったので、すぐ手続き終了となる。そうそう新規取得者は住民票の添付も必要だが、『住基ネット』のおかげで番号を書くだけで省略できた。

2005

1/15

 事務所からプロフィール用の写真の撮り直しの手紙が来た。参加者全員宛に来たのだが、どの人も証明写真のようで硬くて不自然だと言う。ぎりぎりのスケジュールの中でダメを出してくれるというのは、本当に良いものを作りたいという気持ちからだと思う。私としてはその気持ちがうれしい。

2/19

 プロフィール用写真のリテイクを撮る。今度は雰囲気を変えて、外で庭の植物を散策するというシチュエーションで撮ることにした。アップではなく、全身を入れた広い画面にした。それだけだと心配なので、部屋にもどり作品を描いている写真も撮った。ただ、三脚にカメラをつけて一人で撮るのは、なんだか寂しい感じがする。今度はスライドで撮影した。

2/21

 写真の現像ができた。外で撮ったものよりも室内で作品を制作している方が雰囲気があっていい。広角レンズを使って高い位置から俯瞰で撮影した写真が気に入った。この中から何枚かをピックアップして事務所に送り、先方に決めてもらうことにしよう。

2/22

 いよいよ作品をメルボルンに向けて発送する準備にかかる。外国に向けて物を送るなんて初めてなので事務所に聞いてみた。郵便局に『国際スピード郵便(EMS)』というのがあり、安くて速く安心なのだそう。取り扱っている郵便局が限られているのがたまにきずだが、今回、額に入った絵3枚、合わせて14キロの重いものを、オーストラリアに18,000円で送ることが出来る。18,000円というと高いと思うかもしれないが、宅配便を利用するより安いらしい。しかも、配達状況を知るための「追跡システム」や「損害賠償制度」がありお得である。

『国際スピード郵便(EMS)』について
http://www.post.yusei.go.jp/service/intel_service/ems.html

2/27

 作品を発送するため梱包作業をした。以前、海外から本を輸入したときに、丈夫な包装紙で包んであったので、それを真似て簡単に破けない紙を探した。新橋の国道沿いにロジスパックという梱包専門のショップがあり、店員に相談したところ、包装紙をいくら厚くしても、ちょっと濡れたり傷が入ると破けやすくなってしまうので、包装紙の裏側にビニールを格子状に貼り付けた「PPクロス」を進めてくれた。他の紙より割高ではあるが、今回、額付きで3枚あり、14キロと重いので、進められたとおり購入した。額をエアクッションで巻いてガムテープでとめ、「PPクロス」で包んで荷造りロープでしばった。

3/7

 朝、出勤前の時間を利用して郵便局で発送した。伝票は事前に書いていたので特に問題なく、あるといえば係りの人がオーストラリアとオーストリアを間違えないように確認されたことぐらいだろうか。大きさと重さを測って金額を出し、ものの数分で手続きは終了した。さて、無事に届きますかどうか。

3/12

 国際スピード郵便EMSはすごい。ホームページから荷物の配達状況がわかる。それによると私が出した作品の動きは以下の通りでした。

  ・3月 7日 新横浜駅前郵便局にて引き受け
  ・3月 8日 6:32、東京国際空港よりフライト
  ・3月10日 メルボルン着、
  ・3月10日 10:00 通 関
  ・3月10日 10:28 交換局から発送(MELBOURNE M)
  ・3月10日 12:25 配達局に到着(AUMXBA)
  ・3月11日 13:09 宛先に配送済

 ネットでEMSの画面を見ていたその時に、何とメルボルンの事務所から「本日到着しました」というメールが届いた。いやあ感動でした。

 めでたし

2005

4/2

 オーストラリア旅行するツアー(H.I.S)よりチケットが届く、いよいよだ。

4/11

 明日旅行を前にして、突然、海外旅行保険をかけたくなる。空港で出発前にモタモタしたくないので、インターネットで行うことにした。私が入ったのは「三井住友海上火災保険」。ホームページから質問に従ってボタンを押していくだけで登録できる。正式な契約書は後から送られてくるので、とりあえず仮契約書をプリントアウトして持っていれば、明日の家を出たところから家に帰るまで保険が利く。これは便利で安心だ。

(ご参考までに)三井住友海上 海外旅行傷害保険インターネット契約
http://www.golfdigest.co.jp/hoken/kaigai/default.asp

4/12

 18時成田の出発カウンター前集合。私は横浜駅から成田行きのリムジンバスで一路成田へ向かう。20時成田発メルボルンへの直行便のカンタス航空が機体整備不良で飛べなくなり、1時間待たされた上、急遽シドニー行きの便に変更された。国際便は何が起こるかわからない。

4/13

 機内泊し、朝起きたらもう朝食の準備が始まっていた。最近の機内食は簡素になったなあ。メニューと出された食事とのギャップに不満を持つ。飛行機はシドニー空港に到着。1時間待たされてシドニーからメルボルン行きの飛行機に乗り換える。そこから1時間半のフライト。メルボルンに到着したのは、当初予定より4時間遅れでした。しかも税関検査で、私は問題なくすんだのに、友人を待っていたがために呼び戻され再検査をさせられる始末。30分かかってようやく到着ロビーに出られた。税関検査は終わったらすぐ外に出ること、これが鉄則だ。(勉強になりました)
 ホテルでシャワーを浴びて軽く街を散歩、日本円(\30,000)をオーストラリアドルに両替して、早速セブンイレブンでジュースを買う。最近はコンビニやファーストフードなど、日本にある店と同じ店があるので安心だ。

 18時よりガラ・オープニングに参加。これはアートショーの前夜祭にあたり、招待客と参加者だけのオープニングパーティー。ワイン、シャンペン飲み放題で、一流の作家になった気分で気分良かった。それにしても長い一日でした。

4/14

 午前中は自由行動。でも昨日の疲れからホテルでテレビを見ながらゴロゴロする。11時からカメラを持って街を散歩。チャイナストリートで豚の角煮そばを食う。午後はアートショーに顔を出し、夕方からは隣接しているメルボルン博物館とIMAXシアターを見る。IMAXシアターでは、ジェームズ・キャメロン監督の「ALIENS OF THE DEEP」を上映していた。3Dメガネを掛けて見る立体映画で迫力があった。夜はマネージメント会社でウェルカム・パーティーを開いてくれて、参加者とスタッフとで夜中の3時まで盛り上りタクシーでホテルまで帰った。

4/15

 昨日は遅かったのでホテルでゆっくり寝ていた。11時頃からようやく動きだし、本日は一日自由なので、メルボルン動物園へ行き、オーストラリア定番のコアラとカンガルーを見る。天気も良く気温も暖かいのでのんびりくつろいだ。帰りは5キロほどの道のりを徒歩で帰り、途中、市場を見学したりといい休日でした。晩はオージービーフが食べたいがためにホテルのレストランでT-Boneステーキする。ところが固くてまずかった。残念

4/16

 私は仕事があるのでツアーよりも2日短い日程で本日帰ることにした。ホテルを7時にチェックアウトしてタクシーで空港へ。同じく本日帰る4人と合流して無事東京行きへ乗る。帰りは定刻通りに飛行機が飛んだ。ところが、合流した1名は、実は昨日帰る予定だったらしいが機体不良で飛ばなくなり、やむなく一泊して本日の便になってしまったそうだ。後で聞いた話だが、カンタス航空に限らず国際線は、搭乗客が少なくて飛ぶと赤字になってしまう時は「機体整備不良」として他の便の乗客と合わせて運行するらしい。ひどい
 ともあれ、朝9時30分に離陸した飛行機は定刻通り19時頃成田に到着した。
 お疲れさまでした。

4/17

 マネージメント会社からメールが届く。最終日に絵がひとつ売れたとのこと。HPのギャラリーでも紹介している「月と私」という日本画風の作品だ。他にも問い合わせがあったようで、来週、会社の人とその方とお会いする予定。結果は後日報告がくることとなっている。まずはホッとした。

 おしまい



過去の日記はこちら

2003年ギャラリーNike個展の日記

2004年La Mer個展の日記

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