【互いに言い換えてよいもの】
・否
定命題の言換え:2重否定の言換え/「または」の否定の言換え/「か
つ」の否定の言換え
・「かつ」「または」で連結された命題の言換え:ベキ等律/交換律/結合律/分配律/吸収
律
・ 否
定と「かつ」「または」の混合命題の言い換え:ド・モルガン則
・ 「ならば」の繰り返しの言い換え
・量化の言い換え:全称命題の否定(部分否定)の言換え/存在命題の否定(全否定)の
言換え /「ならば」の全称/存在命題の言い換え
【一方から他方を導いてよいもの】
・「かつ」で連結された命題の必要条件、「または」で連結された命題の十分条件
(1)「『命題Aでなく』ない」と「命題A」は、互いに言い換え可能。
正確に言うと、
・前提「¬(¬A)」から結論「A」を推論してもよい。
・前提「A」から結論「¬(¬A)」を推論してもよい。
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→二重否定律は意味論的に妥当な推論
・証明論的には? →2重否定律はNKにおける推論規則[証明付]
(2) ¬(¬命題A) ⇔ 命題A [
中内『ろんりの練習帳』定理1.5.2(p.22);本橋『新しい論理序説』6.4問題2(p.120;124)]
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→二重否定律はトートロジー
・証明論的には? →二重否定律はNKにおける定理[証明付]
(1)「命題Aかつ命題A」と「命題A」は互いに言い換え可能。「命題Aまたは命題A」と「命題A」も互いに言い換え可能。
正確に言うと、
・前提「命題Aかつ命題A」から結論「命題A」を推論してもよいし、前提「命題A」から結論「命題Aかつ命題A」を推論してもよい。
・前提「命題Aまたは命題A」から結論「命題A」を推論してもよいし、前提「命題A」から結論「命題Aまたは命題A」を推論してもよい。
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→冪等律は意味論的に妥当な推論
・証明論的には? →冪等律はNKにおける推論規則[証明付]
(2)
・命題Aかつ命題A ⇔ 命題A
・命題Aまたは命題A ⇔ 命題A
[文献:中内『ろんりの練習帳』定理1.5.3(p.23)]
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→冪等律はトートロジー
・証明論的には? →冪等律はNKにおける定理[証明付]
(1)
・「命題Aかつ命題B」と「命題Bかつ命題A」は互いに言い換え可能。
・「命題Aまたは命題B」と「命題Bまたは命題A」も互いに言い換え可能。
[文献]中内『ろんりの練習帳』定理1.5.4(p.25);本橋『新しい論理序説』6.4問題2(p.120;124)
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→交換律はトートロジー
・証明論的には? →交換律はNKにおける定理[証明付]
(1)
・「『命題Aかつ命題B』かつ命題C」と「命題Aかつ『命題Bかつ命題C』」は互いに言い換え可能。
・「『命題Aまたは命題B』または命題C」と「命題Aまたは『命題Bまたは命題C』」も互いに言い換え可能。
・(命題Aかつ命題B)かつ命題C ⇔ 命題Aかつ(命題Bかつ命題C)
・(命題Aまたは命題B)または命題C ⇔ 命題Aまたは(命題Bまたは命題C)
[文献]中内『ろんりの練習帳』定理1.5.5(p.26)
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→結合律はトートロジー
・証明論的には? →結合律はNKにおける定理[証明付]
(1)
・「『命題Aかつ命題B』かつ命題C」と「命題Aかつ『命題Bかつ命題C』」は互いに言い換え可能。
・「『命題Aまたは命題B』または命題C」と「命題Aまたは『命題Bまたは命題C』」も互いに言い換え可能。
・命題Aかつ(命題Bまたは命題C) ⇔(命題Aかつ命題B)または(命題Aかつ命題C)
・命題Aまたは(命題Bかつ命題C) ⇔ (命題Aまたは命題B)かつ(命題Aまたは命題C)
・(命題Aかつ命題B)または命題C ⇔(命題Aまたは命題C)かつ(命題Bまたは命題C)
・(命題Aまたは命題B)かつ命題C ⇔ (命題Aかつ命題C)または(命題Bかつ命題C)
[使用例]実数における狭義順序の推移律の証明
[文献]中内『ろんりの練習帳』定理1.5.8-9(p.30);本橋『新しい論理序説』6.4問題2(p.120;124)
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→分配律はトートロジー
・証明論的には? →分配律はNKにおける定理[証明付]
(1)
・「命題Aかつ『命題Aまたは命題B』」と「命題A」は互いに言い換え可能。
・「命題Aまたは『命題Aかつ命題B』」と「命題A」も互いに言い換え可能。
・命題Aかつ(命題Aまたは命題B)⇔ 命題A
・命題Aまたは(命題Aかつ命題B) ⇔ 命題A
[文献]中内『ろんりの練習帳』定理1.5.10(p.31)
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→吸収律はトートロジー
・証明論的には? →吸収律はNKにおける定理[証明付]
|
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(1)
・「『命題Aまたは命題B』でない 」と「『命題Aでない』かつ『命題Bでない』」は互いに言い換え可能。
・「『命題Aかつ命題B』でない」と「『命題Aでない』または『命題Bでない』」も互いに言い換え可能。
・「または」で連結された命題の否定の言い換え: ¬ (命題Aまたは命題B ) ⇔ ( ¬命題A ) かつ ( ¬命題B )
・「かつ」で連結された命題の否定の言い換え: ¬ ( 命題A
かつ 命題B
) ⇔ (
¬命題A ) または( ¬命題B )
[文献]杉浦『解析入門I』399;本橋『新しい論理序説』6.4問題6(p.121;128);中内『ろんりの練習帳』定理1.6.1(p.33)
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→ド・モルガン則はトートロジー
・証明論的には? →ド・モルガン則はNKにおける定理[証明付]
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→パースの法則 はトートロジー
・証明論的には? →パースの法則はNKにおける定理[証明付]
(1)「命題Pならば『命題Qならば命題R』」という命題と「『命題Pかつ命題Q』ならば命題R」という命題は、互いに言い換えてよい。
正確に言うと、
前提「命題Pならば『命題Qならば命題R』」から結論「『命題Pかつ命題Q』ならば命題R」を推論してもよいし、
前提「『命題Pかつ命題Q』ならば命題R」から結論「命題Pならば『命題Qならば命題R』」を推論してもよい。
* なぜ? ・意味論的には?[真理値分析では?]→移入律・移出律はトートロジー
・証明論的には? →移入律・移出律はNKにおける定理[証明付]
1. |
全称命題を否定する命題 「 『任意のx に対しP(x)である』とは限らない」 (ただし、P(x)がxに関するある性質・条件を表すとする) と 否定命題の存在命題 「 P(x)でないようなxが、(少なくとは一つは)存在する 」 とは、同値。 |
[文献] 中内『ろんりの練習帳』106-110; 杉浦『解析入門I』401; 入谷久我『数理経済学入門』1.1.3(p.6); 神谷浦井『経済学のための数学入門』20; 岡田『経済学・経営学のための数学』253-4; |
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2. |
条件付全称命題を否定する命題 「『A(x)をみたす任意のx に対しP(x)である』とは限らない」 と、 否定命題の条件付存在命題 「A(x)という条件のもとで『P(x)でない』ようなxが (少なくとは一つは)存在する」 とは、同値。 |
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3. |
以上を論理記号で表すと、 |
||
1. |
存在命題を否定する命題 |
[文献] 中内『ろんりの練習帳』106-110; 杉浦『解析入門I』401; 岡田『経済学・経営学のための数学』253-4; 本橋『新しい論理序説』6.4問題6(p.121;128); |
2. |
||
3. |
以上を論理記号で表
すと、 |
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1. |
xに関する性質・条件P(x), Q(x)について、 「『任意のxがP(x)を満たす』ならば 『Q(x)を満たすxが(少なくとも一つは)存在する』」 という命題と、 「『P(x)ならばQ(x)』を満たすxが(少なくとも一つは)存在する』 」 という命題とは、 互いに言い換えてよい。 論理記号で表すと、 「(∀x P(x) )⇒(∃x Q(x) )」⇔「(∃x) (P(x)⇒Q(x) )」 |
[文献] 中内 『ろんりの練習帳』 演習問題2.9[6][8] (p.124;pp.202-3:証明) |
2. |
xに関する性質・条件P(x)と、xに関わらない性質・条件 Qについて、 「任意のxが『P(x)ならばQ』を満たす」という命題と、 「『P(x)を満たすxが(少なくとも一つは)存在する』ならばQが成り立つ」という命題とは、 互いに言い換えてよい。 論理記号で表すと、 「(∀x)(P(x)⇒Q ) 」⇔「(∃x P(x) )⇒Q」 |
|
3. |
xに関する性質・条件P(x)と、xに関わらない性質・条件 Qについて、 「『P(x)ならばQ』を満たすxが(少なくとも一つは)存在する」という命題と、 「『任意のxがP(x)を満たす』ならばQが成り立つ」という命題とは、 互いに言い換えてよい。 論理記号で表すと、 「(∃x)(P(x)⇒Q ) 」⇔「(∀x P(x) )⇒Q」 |
|
4. |
xに関わらない性質・条件Pと、xに関する性質・条件 Q(x)について、 「任意のxが『PならばQ(x)』を満たす」という命題と、 「Pが成り立つならば『任意のxがQ(x)を満たす』」という命題とは、 互いに言い換えてよい。 論理記号で表すと、 「(∀x)(P⇒Q(x) ) 」⇔「 P ⇒ (∀x Q(x))」 ※活用例:2変数関数の収束の点列・数列の収束への言い換えの証明 |
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5. |
xに関わらない性質・条件Pと、xに関する性質・条件 Q(x)について、 「『PならばQ(x)』を満たすxが(少なくとも一つは)存在する」という命題と、 「Pが成り立つならば『Q(x)を満たすxが(少なくとも一つは)存在する』」という命題とは、 互いに言い換えてよい。 論理記号で表すと、 「(∃x)(P⇒Q(x) ) 」⇔「 P⇒ ( ∃x Q(x) ) 」 |
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なぜ? | 中内『ろんりの練習帳』演習問題2.9[6][8]のこたえ(pp.202-3) | |
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