論理記号∃  : トピック一覧

【記号∃の説明】
 ・論理記号∃の呼称
 ・論理記号∃の使用法
  x P(x) / xS P(x)
  x P(x,y) /xS P(x,y)
  x P(x1,…,xn) / xS P(x1,…,xn)
  多重量化 
 ・論理記号∃の読み下し方
 ・論理記号∃の推論規則
  論理記号∃の導入則
  論理記号∃の除去則
【用語別】
 ・存在量化記号
 ・存在記号
 ・特称記号
 ・existential quantifier 
 ・存在量化子 
 ・特称量化子
 ・存在作用素
 ・特称作用素

・対象領域
・議論領域
・変項の定義域

存在量化
存在量化子による量化
・普遍量化
・束縛する
・束縛変数(束縛変項)
・自由変数(自由変項)

論理関連ページ:古典論理/論理記号一覧   
量化関連ページ:述語・命題関数/全称記号∀ 
総目次 

「∃変項∈範囲 一項述語」 

 ・「∃変項∈集合 一項述語」の意味と読み下し方 
 ・「∃変項∈『内包的に定義された集合』 一項述語」の解釈 
 ・「∃変項∈有限集合 一項述語」の解釈 
 ・「∃変項∈集合 一項述語」の省略形「∃+条件式+一項述語」
 ・「∃変項∈集合 一項述語」の読み下し例一覧 
 ・「∃変項∈集合 一項述語」の具体的な使用例 
 ・「∃変項∈集合 一項述語」のなかで用いられる用語 
   


「∃変項∈範囲 一項述語」の意味 

【はじめに読む定義】

・「 xS P(x) 」というかたちは、

 「集合Sのなかに、
   性質・条件Pを満たす対象が、 
      少なくとも一つは、存在する」 

 という存在命題[→前原p.4;中内p.82]
 を意味し、
 
 「ある『Sの元』が存在して 、
    Pである/Pという性質をもつ/Pという条件を満たす

 「ある『Sの元』は、Pである/Pという性質をもつ/Pという条件を満たす

 「Pである/Pという性質をもつ/Pという条件を満たすSの元』が存在する」

 などと読み下される。
 

【正確な定義】

・「 xS P(x) 」  性質・条件Pを満たすSの元」が存在する 

 は、


【類例】  xS P(x)   /  x P(x) /xS P(x,y) 





【文献−数学一般】
 ●前原昭二『記号論理入門』第1章§3(pp.3-4);§4(pp.7-8);§8自由変数束縛変数(pp.23-26)。
 ・中内『ろんりの練習帳』2.4(p.94);
 ・松井知己『だれでも証明がかける−眞理子先生の数学ブートキャンプ』2.6(pp.36-7;pp.42-43):「∃xX P(x)」の否定も。
 ・斎藤『数学の基礎:集合・数・位相』付録§1論理式(p.193)

【文献−数学基礎論】
 ・井関清志『集合と論理』§1.2(pp.7-8);§1.5(pp.26-30)。
 ・http://en.wikipedia.org/wiki/Existential_quantification "existential quantifier", "there exists" or "for some"  
 ・新井紀子『数学は言葉』2.3(pp.57-58)"there exists x such that"「ある/存在する」「〜を満たすxが存在する」;3.2.6(pp.91-92):

【文献−数理経済】
 ・入谷久我『数理経済学入門』1.1.3(p.7)
 ●De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,1.2.a(p.8):∃x∈A, s.th P(X)"there is at least one element x of  A such that P(x)is true"







 「 x ( xS かつ P(x) ) 」 「集合Sに属しかつ 性質・条件Pを満たすxが存在する 

 の省略表現。 [松井p.42,p.153;入谷久我p.7;斎藤]

・だから、「 xS P(x) 」 と 「 x ( xS かつ P(x) ) 」 とは、互いに言い換えてよい。

【例】

 ・pretty (x)が、1項述語(1変数命題関数)xは、かわいい♥」を表すとする。
 ・存在命題x∈Perfume pretty(x) 」 
        読み下すと、「ある『Perfumeのメンバー』が存在して、かわいい♥」「ある『Perfumeのメンバー』は、かわいい♥」「かわいい♥『Perfumeのメンバー』がいる」
  は、
  存在命題「  x ( xPerfume かつ pretty(x) ) 」  「Perfumeに属しかつ『かわいい♥』という条件を満たすxが存在する
  の省略表現。


※「 xS P(x) 」と書くとき、Sを「述語・命題関数P(x)議論領域」Ωにしても構わない。つまり、「 xΩ P(x) 」という表現もOK
 この「 xΩ P(x) 」という表現によって、議論領域Ωを読者に明示的に伝達することが可能[新井p.90;松井p.36]。

1項述語(1変数命題関数)P(x)そのものは確定した命題ではないが、これに「 xS」つけて(「存在量化」して)出来たものは、確定した命題。古典論理においては、これは真偽を定められる。 [岡田章p.253]

※「 xS P(x) 」の後ろに、記号が続いていく場合、「 xS」が支配している範囲(スコープ)を明示するために、「 xS」の適用範囲に入っている述語を()で括る。

集合Sが『内包的に定義された集合』のときの解釈 /集合Xが有限集合であるときの解釈 

主要テキストの読み下し例一覧
具体的な使用例 

   【解説】

    ・集合Sから何をとってきて変項xに代入するかに応じて、述語・命題関数P(x)が表す命題は、定まる[→述語・命題関数の定義]。
    ・古典論理のなかで設定された命題は、命題の真偽が、真か偽のいずれか一方に定まる(ように設定された)[→古典論理-排中律]。
    ・だから、集合Sから何をとってきて変項xに代入するかに応じて、
        述語・命題関数P(x)は、《偽の命題》《真の命題》のいずれか一方に定まる。
    ・ということは、
     集合Sのなかにあるモノは、
      type1:「xに代入されると、P(x)を《偽の命題》にする」モノ 
      type2:「xに代入されると、P(x)を《真の命題》にする」モノ 
     の二種類に分けられる。
    ・存在命題「 xS P(x) 」とは、
      type2:「xに代入されると、P(x)を《真の命題》にする」モノ 
     が議論領域Ωのなかに少なくとも一個は存在する、議論領域Ωのなかでは皆無でない
     という主張にほかならない。



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「∃変項∈『内包的に定義された集合』 一項述語」の解釈 

議論領域Ωにおいて、存在命題xS P(x) 」 は、
 集合Sの内包Qであるとき、 つまり、 S{ x'Ω | Q(x') } であるとき、 
 「 x ( Q(x) かつ P(x) ) 」に言い換えてよい。

・すなわち、
  「x { x'Ω | Q(x') }  P(x) 」 は 、
  「 x ( Q(x)P(x) ) 」 へ
  言い換えてよい。





【文献】
 ・新井紀子『数学は言葉』3.2.6(p.90)
 ・松井知己『だれでも証明がかける−眞理子先生の数学ブートキャンプ』2.6(pp.36-37)


 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』1.2.3限量子(pp.20-21); 




・この場合の、こなれた読み下しかたとして、「PであるQが存在する[野矢p.217]」「或るQPである[前原p.7]」。

この場合に使われる略記法 

※なぜ?

 ・定義より
  「x { x'Ω | Q(x') }  P(x) 」は、
  「 x ( x{ x'Ω | Q(x') } P(x) ) 」 の省略表現。

 ・ x { 'xΩ | Q('x) }Q(x)に言い換えてよい()から、
  「  x ( x{ x'Ω | Q(x') } P(x) ) 」 は、
   「 x ( Q(x)P(x) ) 」 へ言い換えてよい。






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省略形「∃ 条件式 一項述語」   

議論領域Ωにおいて、
 「 変項を先頭にした条件式』  1項述語」というかたち

  たとえば、
    「   xを先頭にした条件式Q(x)』   P(x) 」というかたち
  具体的には、
    「  x>0  P(x) 」(ある正数はPである、 Pな正数が存在する)

 は、

∃変項Q(x)の真理集合1項述語」というかたち 

   つまり、
     x { 'xΩ | Q('x) } P(x)  
    上の例では、
     x { 'xΩ |  x'>0  } P(x)  

 の省略表現。





【類例】
   x 条件式 P(x)

【文献−数学一般】
 ・中内『ろんりの練習帳』注2.2.8(p.85)略記法


 ・杉浦『解析入門I』附録2(pp.400-402)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』1.2.3限量子(pp.20-21);



 
 
・さらにいうと、
 議論領域Ωにおいて、「 xを先頭にした条件式Q(x)』 P(x)」というかたち
    たとえば、  「 x>0   P(x) 」    (ある正数はPである、 Pな正数が存在する)
 は、  
  「 x ( Q(x)P(x) ) 」 
    上記の例では、 x ( x>0 P(x) )  
 に言い換えてよい。

   なぜなら、
    ・先述のとおり、
      議論領域Ωにおいて 「 xを先頭にした条件式Q(x)』 P(x)」とは、
     「x { 'xΩ | Q('x) } P(x) 」 の省略表現。
    ・「x { 'xΩ | Q('x) } P(x) 」 は 「  x ( Q(x)P(x)  ) 」 に言い換えてよい()。




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「∃+変項∈『有限集合』+一項述語」の解釈 

存在命題xS P(x) 」   

 は、
 集合S有限集合 { a1 , a2 , … , an } であるとき、

 「 P( a1 ) または P( a2 ) または … または P( an )

     a1性質・条件Pを満たす
     または  
     a2性質・条件Pを満たす
     または 
     :
     または 
     an性質・条件Pを満たす

 に言い換えてよい。





【文献−数学基礎論】
 ・向井国昭http://web.sfc.keio.ac.jp/~mukai/modular/gentzen-NK.pdf,(p.21)

【文献−分析哲学・論理学】
 ・野矢茂樹『入門!論理学』6章「世界に三匹のブタしかいなかったら」(pp.203-207)

【文献−数学一般】
 ・中内『ろんりの練習帳』注意2.2.4(p.95)

【文献−数理経済】


 ・De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,p.8:"Quantifiers can be seen as generalizations of logical connectives."



【例】

 ・以下、pretty (x)は、「xは、かわいい♥」という1項述語(1変数命題関数) を表すとする。

 ・存在命題x∈Perfume pretty(x) 」 
        読み下すと、「ある『Perfumeのメンバー』が存在して、かわいい♥」    
             「ある『Perfumeのメンバー』は、かわいい♥」 
             「かわいい♥『Perfumeのメンバー』が存在する」
  は、

  Perfumeの定義「3人あわせてPerfumeデス」より、 Perfumeは、有限集合 { 大本さん, 西脇さん, 樫野さん } であるから、

  「 pretty( 大本さん ) または pretty( 西脇さん ) または  pretty( 樫野さん ) 」 (「大本さんは、かわいい♥ 」 または西脇さんは、かわいい♥」または樫野さん は、かわいい♥」) 
   に言い換えてよい。




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「 ∃x∈S P(x) 」 の読み下し例:一覧  

議論領域Ωにおける「xS  P(x)」 読み下し例

 ・あるxSについて、P(x)である [中内p.94] 
 ・あるxS中に存在してP(x)(が成り立つ)[松井p.37]
 ・P(x)が成り立つようなxSの中に少なくとも1つはある[松井p.37]
 ・"there is at least one element x of  A such that P(x)is true"[De LaFuente,p.8]

 ・ある「Sxが存在して、P(x)。[松井p.38]
 ・ある「Sxが存在して、P(x)とあらわすことができる[新井p.57;]。

 ・ある「S」は、Pである。[前原p.7;戸田山p.118:]
 ・Some 「S」s are P . [戸田山p.118:] 

 ・Pな「S」が存在する[新井p.91;]。


・「xS  P(x)」において、Sの内包がQであるケースの読み下し例 
 つまり、「x∈ { x'∈Ω | Q(x')P(x) 」の読み下し例

   PであるQが存在する[野矢p.217]。
   或るQPである[前原p.7]



関連事項:x P(x)の読み/ x P(x,y)の読み / xX P(x,y)の読み
      x P(x)の読み / xX P(x)の読み


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「∃変項∈範囲 一項述語 」 の具体例 


 制作中。

 







【文献−数学一般】
 ●前原昭二『記号論理入門』第1章§3(pp.3-4);§4(pp.7-8);§8自由変数束縛変数(pp.23-26)。
 ・中内『ろんりの練習帳』2.4(p.94);
 ・松井知己『だれでも証明がかける−眞理子先生の数学ブートキャンプ』2.6(pp.36-7;pp.42-43):「∃xX P(x)」の否定も。
 ・斎藤『数学の基礎:集合・数・位相』付録§1論理式(p.193)

【文献−数学基礎論】
 ・井関清志『集合と論理』§1.2(pp.7-8);§1.5(pp.26-30)。
 ・http://en.wikipedia.org/wiki/Existential_quantification "existential quantifier", "there exists" or "for some"  
 ・新井紀子『数学は言葉』2.3(pp.57-58)"there exists x such that"「ある/存在する」「〜を満たすxが存在する」;3.2.6(pp.91-92):

【文献−数理経済】
 ・入谷久我『数理経済学入門』1.1.3(p.7)
 ●De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,1.2.a(p.8):∃x∈A, s.th P(X)"there is at least one element x of  A such that P(x)is true"


 





 
  



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