述語、命題関数   : トピック一覧

 ・1項述語・1変項(1変数)命題関数の定義 / 1項述語・1変項命題関数の具体例  

           →集合表現:一項述語・1変数命題関数の真理集合     
           →量化:普遍量化・全称量化/範囲を限定した普遍量化・全称量化/存在量化/範囲を限定した存在量化

 ・2項述語・2変項(2変数)命題関数の定義 / 2項述語・2変項命題関数の具体例 

           →集合表現:二項述語・2変数命題関数の真理集合     
           →量化:普遍量化・全称量化/範囲を限定した普遍量化・全称量化/存在量化/範囲を限定した存在 量化/二重量化 

 ・n項述語・n変項(n変数)命題関数の定義 / n項述語・n変項命題関数の具体例

           →集合表現:n項述語・n変数命題関数の真理集合     
           →量化:普遍量化・全称量化/範囲を限定した普遍量化・全称量化/存在量化/範囲を限定した存在 量化/二重量化 

  
※論理関連ページ:古典論理/論理記号
総目次



n変項の命題関数 propositional function , n項述語 predicate , n項関係 


n項述語・n変項命題関数とは?  
n項述語・n変項命題関数を表す記号 : 文から記号への翻訳 
n項述語・n変項命題関数を表す記号 : 記号から文への翻訳 
n項述語・n変項命題関数の具体例

n変項命題関数・n項述語とは?

【命題関数・述語のかたち】

・「n変項(n変数)の命題関数propositional function
 「n述語n-place predicate,n-ary predicate」[高 崎V-1;戸田山;古森小野]
 「n関係n-ary relation」[井関p.25;戸田山]
 とは、
 様々な対象を代入できる変項(変数)をn個組み込んだ
   「《変項1》《変項2》…《変項n》はの関係にある」
   「《変項1》《変項2》…《変項n》は〜という条件を満たす」
 というかたちの文のこと。

n変項命題関数」「n項述語」の変項は、通常、
 アルファベット小文字で表す。
 変項を x1, x2, …, xnで表した場合、
 「n変項命題関数」「n項述語」は、
   「 x1, x2, …, xnの関係にある」
   「 x1, x2, …, xnは〜という条件を満たす」
 という形になる。

【命題関数・述語と命題】

・様々な対象を変項(変数)へ代入するに応じて、
 「命題関数」「述語は、様々な命題を表す。[井関 p.24]

  ※「命題関数」「述語」そのものは命題ではない。
   「命題関数」「述語」の変項に対象を代入して、
   はじめて,命題になる。






【関連項目】

 ・n項述語の量化:普遍量化・全称量化/範囲を限定した普遍量化・全称量化/存在量化/範囲を限定した存在 量化/
 ・n項述語の具体例
 ・n項述語の真理集合/n項述後の各変項に対象を代入してつくった命題の集合表現    

【文献−数学】

 ・前原昭二『記号論理入 門』§7多変数(pp.20-21);§9(pp.26-32)。
 ・前原昭二『数理論理学序説』U述語論理§1命題 関数0-1(pp.149-151)
 ・井関清志『集合と論理』§1.5(pp.24-30)n項。
 ・中内『ろん りの練習帳』2.1(pp.77-80):n
 ・http://cs.odu.edu/~toida/nerzic/content/logic/pred_logic/predicate /pred_intro.html:3項の例
 ・新井紀子『数学は言葉』2.2性質の表現(pp.44-49): 対象が一個だと性質、対象が複数だと関係…。
 ・http://de.wikipedia.org/wiki/Pr%C3%A4dikatenlogik
 ・古森小野『現代数理論理学序説』2.1.1第一階述語論理の言語(p.59)「n-ary predicate symbol
【文献−分析哲学・論理学】
 ・戸田山『論理学をつくる』7.1.3(p.166): "n-place predicate", "n-ary relation
 ・岡田光弘『2008年度論理学I講義ノート』第4章述語論理(pp.29-33)
 ・野矢茂樹『入門!論理学』 6章.「述語」(p.200);「領域」(p.207);「変項」(p.208);「多重量化」(p.219)   


 ・高崎金久『数理論理学入門X. 述語論理の意味論-1.2「n項述語」;[. 自然演繹(その2)-2.述語論理の形式化


    ・古典論理は、(たとえ我々に現在把握できていないとしても)どの命題も真偽いずれかに定まっているという設定だから、
     古典論理において「命題関数」「述語は、
      変項に何が入るか決まると、
      《真の命題》《偽の命題》のいずれか一方に定まることが要請される。

    ※「命題関数」「述語」そのものは、《真の命題》でも《偽の命題》でもない(そもそも命題ですらないのだから)。
     「命題関数」「述語」の変項に対象を代入して、
     はじめて,《真の命題》《偽の命題》のいずれか一方に定まる[中谷『論理』(p.78)]。

   【変項が動く範囲】

    ・普通、我々が具体的な 「n項述語」 「n変項命題関数」 を考えるときには、
     意識してであれ、無意識にであれ、

       n個の変項に代入する対象を
       どこから取ってくるのか?
        〜見方を逆にすると、n個の変項がどこを動くのか〜 

     をあらかじめ頭の中で描いておいたうえで、
     それを前提として、具体的な 「n項述語」 「n変項命題関数」 を考えている。

    ・具体的な 「n項述語」 「n変項命題関数」 を考える際に前提となる

       《変項に代入する対象をとってくる範囲》
       ないし
       《変項が動く範囲》

     を、その変項

      ・議論領域 domain of discourse
        [野矢『論理学p.96;野矢『入門!論理学』(p.207);戸田山6.1.1(p.134)]
      ・対象領域 [新井p.90-91;前原p.70;p.142]
      ・話題世界 [本橋p.7p.29]
      ・変域 [中谷p.99;中内p.77脚注;]
      ・変項の定義域 [松井p.36;p.154;中内p.77脚注]
      ・全体集合 [中谷p.76]  

     等と呼ぶ。

    ・ n変項命題関数n項述語x1, x2, …, xnの関係にある」「x1, x2, …, xnは〜という条件を満たす」では、
        変項x1議論領域X1 (変項x1に代入される対象の集合X1
        変項x2議論領域X2 (変項x2に代入される対象の集合X2
           :      :
        変項xn議論領域Xn (変項xnに代入される対象の集合Xn
     というn個の議論領域が、あらかじめ設定されていなければならない。  

    ・n変項命題関数n項述語x1, x2, …, xnの関係にある」「x1, x2, …, xnは〜という条件を満たす」でやっている手続きを見直すと、
       Step1:議論領域X1から、そこに属す対象を一個選んで、変項x1に代入、
           議論領域X2から、そこに属す対象を一個選んで、変項x2に代入、
               :                  :
           議論領域Xnから、そこに属す対象を一個選んで、変項xnに代入することで、
           《議論領域X1に属す対象》《議論領域X2に属す対象》…《議論領域Xnに属す対象》の組(x1, x2, …, xn)をつくる。 
       Step2:組(x1, x2, …, xn)に、一個の命題「x1, x2, …, xnは〜という関係・条件を満たす」を対応づける。 
     という風になっている。

     だから、
     n変項命題関数n項述語x1, x2, …, xnは〜という関係・条件を満たす」とは、
       《議論領域X1に属す対象》《議論領域X2に属す対象》…《議論領域Xnに属す対象》の組(x1, x2, …, xn)としてつくれるものすべてをあつめた集合
          X1×X2×…×Xn { (x1, x2, …, xn) | x1X1 かつ x2X2 かつかつ xnXn }
       から、    
       《命題の集合》
       への写像           
     とみなしてよい。
   
    ・この意味で、
     「X1, X2, …, Xnを議論領域とするn変項命題関数n項述語」は、
     「X1×X2×…×Xn上で定義されているn変項命題関数n項述語」        
     「X1×X2×…×Xn上のn変項命題関数n項述語
     とも表現される。  [中谷p.77;p.135;p.137] 




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→[述語・命題関数:トピック一覧]
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n変項命題関数・n項述語を表す記号:文から記号への翻訳

n項述語命題関数
   「x1, x2, …, xnの関係にある」
   「x1, x2, …, xnは〜という条件を満たす」
 を記号に置き換えて表すときには、
 以下の手順に従う。





 【step1】
  「x1, x2, …, xnの関係にある」の「
  「x1, x2, …, xnという条件を満たす」の「
  をPなどの《アルファベット大文字》に置き換えて、
   「x1, x2, …, xnPの関係にある」[前原p.20;岡田光弘2008定義4.1脚注(p.30)]
   「x1, x2, …, xnは条件Pを満たす」[前原p.21?]
  などと表す。

 【step2】
  「x1, x2, …, xnPの関係にある」の「Pの関係にある」の部分
  「x1, x2, …, xnは条件Pを満たす」の「は条件Pを満たす」の部分
  を
   P( , , … , )
  などと表す。
   ※ P( , ,…, )こそが、述語predicateと呼ぶにふさわしいので[前原p.5]、
     n項述語記号と呼ぶ。[岡田光弘2008定義4.1脚注(p.30)]。

 【step3】
 ・n項述語・命題関数
  「x1, x2, …, xnPの関係にある」
  「x1, x2, …, xnは条件Pを満たす」
  は、
  その変項x1, x2, …, xn
  その「はPの関係にある」「は条件Pを満たす」の部分を表す記号
    P ( , , … , )
  の( )内に入れて、   
   P(x1, x2, …, xn)
  と表す。



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n変項命題関数・n項述語を表す記号 : 記号から文への翻訳

n項述語・命題関数を表す記号
  P(x1, x2, …, xn)
 が、いきなりでてきたときは、
 これを、
  「x1, x2, …, xnPの関係にある」
  「x1, x2, …, xnは条件Pを満たす」[前原p.21?]
 などと読む。






【文献】
 ・前原昭二『記号論理入門』§7多変数(p.20;p.21?)


 ・岡田光弘『2008年度論理学I講義ノート』定義4.1脚注(p.30)
 


n項述語・命題関数の具体例


【 n=1 のとき具体例 】

 → 1項述語・1変数命題関数の具体例 

【 n=2 のとき具体例 】

 → 2項述語・2変数命題関数の具体例 

【 n=3 のとき具体例 】

いろいろ文献を漁ってみたものの、
具体例は下記しか見当たらなかった。

【具体例1】
・「xzの父親で、yzの母親である」は、
  「xyzは、『xzの父親で、yzの母親であるという関係』にある」
 ということだから、
 三変項の命題関数・三項述語の一例。

【具体例2】
・「x gives y to z」は、
  「xyzは、『"x gives y to z"という関係』にある」
 ということだから、
 三変項の命題関数・三項述語の一例。






【文献】
 ・前原昭二『記号論理入門』§7多変数(p.20)       


 ・http://cs.odu.edu/~toida/nerzic/content/logic/pred_logic/predicate/pred_intro.html:3項の例



・様々な対象を変項x,y,zへ代入するに応じて、
 三項述語・命題関数xyzは、『"x gives y to z"という関係』にある」は、様々な命題を表す。 
  ・変項xNocchi,変項ythe book,変項zA-chanのとき、
    三項述語・命題関数xyzは、『"x gives y to z"という関係』にある」は、「Nocchithe bookA-chanは、『"Nocchi gives the book to A-chan"という関係』にある」という命題を表す。     
  ・変項xKashiyuka,変項ya loaf of bread,変項zNocchiのとき、
    三項述語・命題関数xyzは、『"x gives y to z"という関係』にある」は、「Kashiyukaa loaf of breadNocchiは、『"Kashiyuka gives a loaf of bread to Nocchi"という関係』にある」という命題を表す。     
  ・変項xMikiko,変項ya lecture,変項zNocchiのとき、
    三項述語・命題関数xyzは、『"x gives y to z"という関係』にある」は、「Mikikoa lectureNocchiは、『"Mikiko gives a lecture to Nocchi"という関係』にある」という命題を表す。 
三項述語・命題関数xyzは、『"x gives y to z"という関係』にある」の『"x gives y to z"という関係』を記号P表すことにすると、
 三項述語・命題関数xyzは、『"x gives y to z"という関係』にある」は、
  x,y,zPの関係にある」
 となって、
  記号「P(x,y,z)で表せる。
 この記法に従うと、
  P(Nocchi, the book, A-chan) は、「Nocchithe bookA-chanは、『"Nocchi gives the book to A-chan"という関係』にある」という命題を表す。
  P(Kashiyuka, a loaf of bread, Nocchi)は、「Kashiyukaa loaf of breadNocchiは、『"Kashiyuka gives a loaf of bread to Nocchi"という関係』にある」という命題を表す。
  P(Nocchi, a lecture, A-chan) は、「Nocchia lectureA-chanは、『"Nocchi gives a lecture to A-chan"という関係』にある」という命題を表す。




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