論理記号∀  : トピック一覧

【記号∀の説明】
 ・論理記号∀の呼称
 ・論理記号∀の使用法
  x P(x) / xX P(x)
  x P(x,y) / xX P(x,y)
  xi P(x1,…,xn)
  多重量化 
 ・論理記号∀の読み下し方
 ・論理記号∀の推論規則
  −論理記号∀の導入則
  −論理記号∀の除去則
【用語別】
 ・全称量化記号
 ・全称記号
 ・universal quantifier 
 ・全称量化子
 ・全称作用素

・対象領域
・議論領域
・変項の定義域

全称量化
全称量化子による量化
普遍量化
・束縛する
・束縛変数(束縛変項)
・自由変数(自由変項)

n項述語量化関連ページ:述語・命題関数/範囲を限定しない普遍量化・全称量化/存在量化/範囲を限定した存在量化/多重量化 
全称量化関連ページ:1項述語全称量化/2項述語全称量化
論理関連ページ:古典論理/論理記号一覧/述語・命題関数/
総目次 

∀+変項∈範囲+n項述語 

【ポイント】

・「xiDi  P(x1, x2, …, xn) 」 は、
 集合Diという範囲から対象を選んで、変項xに代入すると、
 どの対象を集合Diから選んで、変項xiに代入しても、
  x1, x2, …, xn関係・条件Pを満たす 
 という主張。

・集合Diが特定の対象に固定されている場合、
 「xiDi  P(x1, x2, …, xn) 」は、
  x1, x2, …, xnからxiを除いた(n-1)個の変項からなる(n-1)項述語

   →詳細 


・集合Diも変項で、様々な対象が代入される場合、
 「xiDi  P(x1, x2, …, xn) 」 は、
 x1, x2, …, xnからxiを除いた(n-1)個の変項と、
 変項Diからなるn項述語・n変数命題関数 。

   →詳細


 【詳細】
  ・意味と読み下し方/読み下し例/使用例/用語
  ・∀変項∈『内包的に定義された集合』 n項述語/∀変項∈有限集合 n項述語/∀条件式 n項述語 


「∀+変項∈範囲+n項述語」の意味 


【ざっくり】

・「x1《変項が動く範囲を表す集合D》 ( x1, x2, …, xnのあいだの関係・条件P 
 は、
 「集合Dすべての/任意の/あらゆる x1について
          x1, x2, …, xn関係・条件Pを満たす
 と読み下され、
  「 x1に代入された《集合Dに属す対象》はすべて、
          x2, …, xnとの関係・条件Pを満たす
 ことを意味する。 

 ※集合Dを特定の対象に固定した場合の詳細 
 ※集合Dも変項とした場合の詳細


・「x2《変項が動く範囲を表す集合D》 ( x1, x2, …, xnのあいだの関係・条件P )」
 は、
 「集合Dすべての/任意の/あらゆるx2について
          x1, x2, …, xn関係・条件Pを満たす
 と読み下され、
  「 x2に代入された《集合Dに属す対象》はすべて、
         x1, x3…, xnとの関係・条件Pを満たす
 ことを意味する。 

 ※集合Dを特定の対象に固定した場合の詳細 
 ※集合Dも変項とした場合の詳細
 :
 :
・「xn《変項が動く範囲を表す集合D》 ( x1, x2, …, xnのあいだの関係・条件P ) 」は、
  「集合Dすべての/任意の/あらゆる xnについて
          x1, x2…, xn関係・条件Pを満たす
 と読み下され、
  「 xn に代入された《集合Dに属す対象》はすべて、
        x1, x2…, xn-1との関係・条件Pを満たす
  ことを意味する。 

 ※集合Dを特定の対象に固定した場合の詳細 
 ※集合Dも変項とした場合の詳細

 [中内注意2.3.2(p.89)];本橋pp.42-43;斎藤p.52;前原1章§8(p.24)]


 
 


 関連事項−n項述語の量化: xi P(x1,…,xn)の意味 / xi P(x1,…,xn)の意味 / xX P(x1,xn)の意味
 関連事項−n項述語の二重量化:「∀xixj P(x1,…,xn)の意味/「∃xixj P(x1,…,xn)の意味/「∀xixj P(x1,…,xn)の意味 / 「∃xixj P(x1,…,xn)の意味 





【文献】
 ・中内『ろんりの練習帳』2.3.1全称命題関数(pp.88-9);
 ・井関清志『集合と論理』§1.2(pp.6-7):一元一次方程式が解ける,例1例2(pp.10-11;)
 ・松井知己『だれでも証明がかける−眞理子先生の数学ブートキャンプ』2.6(pp.38-46)5.5導く性質に∃xyがある場合(pp.176-186);5.6導く性質に∀x∃y∀zがある場合(pp.186-194); 
 ・本橋『新しい論理序説』4(pp.62-83):述語と量化とその読み下し方について豊富な具体例。;5.概念の合成都分析(pp.84-109);5.3実数の順序関係:実数の集合の上界・最大元、関数の値域・最大値・連続(pp.91-109).
 ・新井紀子『数学は言葉』2.3(pp.57-58);例題3.1.4(pp.67-70):∀n∃m(n<m),∃m∀n(n<m);例題3.2.10(p.90):3項述語の存在量化;例題3.2.11(pp.92-93)∃x∈R (¬(∃n∈N∃m∈Z x=m/n));4.1∀x∃y y=2x ,∃y∀x y=2x (pp.123-5); 4.2関数の定義∀xy f(x)=y・全射∀yx f(x)=y・単射∀∀(pp.128-9);例題4.2.2関数fは上に有界M ,∀a f(a)M)(pp.132-134):f,a,M3項述語の二重量化;例題4.2.2単調増加関数の定義 (pp.132-135):f,x,y3項述語の二重量化;例題4.3.1.1数列が極限値に収束するの定義:数列,極限値,ε,N,Mからなる5項述語の三重量化(pp.136-137);例題4.3.1.2関数の極限の定義:5項述語の三重量化(pp.136-137);例題4.4.3連続と一様連続:四重量化(pp.144-6);例題4.4.4数列・級数に極限値が存在して収束する:四重量化(p.147);


 




集合Xが『内包的に定義された集合』のときの解釈 
集合Xが有限集合であるときの解釈 

主要テキストの読み下し例一覧
 



   【きっちり】

    →「∀xiDi P(x1, x2, …, xn)」の集合Diを特定の対象に固定した場合 
    →「∀xiDi  P(x1, x2, …, xn) 」の集合Diも変項とした場合 


   【 ∀xi∈特定の対象 P(x1, x2, …, xn) 】 

    (1)

    [設定]
   
      ・P(x1, x2, …, xn) : 変項x1の議論領域X1変項x2の議論領域X2 、…、変項xnの議論領域Xn とするn項述語・n変数命題関数 
     ・D1 :特定の「X1部分集合」 
   
     [本題]

     ・「x1D1  P(x1, x2, …, xn) 」 集合D1すべての/任意の/あらゆる x1について x1, x2, …, xn関係・条件Pを満たす  
     は、
     議論領域X2, … , Xn とする(n-1)変項命題関数Q(x2, …, xn) 
      「 x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) )
        議論領域X1のなかの任意のx1について、x1が集合D1に属すならばx2, …, xnは、x1との関係・条件Pを満たす 
     の省略表現。 

     ・したがって、「x1D1  P(x1, x2, …, xn) 」と「 x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」とは、互いに言い換えてよい。

     * このように、n変数命題関数P(x1, x2, …, xn)の頭に「x1X1の特定の部分集合》」を一つつける(普遍量化する)と、
           (n-1)変項命題関数Q(x2, …, xn)になる。
     *x1D1  P(x1, x2, …, xn) 」と書くとき、D1変項x1の議論領域X1 にしても構わない。つまり、「x1X1  P(x1, x2, …, xn) 」という表現もOK
      この「x1X1  P(x1, x2, …, xn) 」という表現によって、 変項x1の議論領域X1を読者に明示的に伝達することが可能[新井p.90;松井p.36]。

    (2)

     [設定]

     ・P(x1, x2, …, xn) : 変項x1の議論領域X1変項x2の議論領域X2 、…、変項xnの議論領域Xn とするn項述語・n変数命題関数 
     ・D2 :特定の「X2部分集合」 

     [本題]

      ・「x2D2  P(x1, x2, …, xn) 」 集合D2すべての/任意の/あらゆる x2について x1, x2, …, xn関係・条件Pを満たす  
      は、
      議論領域X1, X3,… , Xn とする(n-1)変項命題関数Q(x1, x3,…, xn) 
       「 x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) )
          議論領域X2のなかの任意のx2について、x2が集合D2に属すならばx1,x3, …, xnは、x2との関係・条件Pを満たす 
      の省略表現。 

      ・したがって、「x2D2  P(x1, x2, …, xn) 」と「 x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」とは、互いに言い換えてよい。

      ※このように、n変数命題関数P(x1, x2, …, xn)の頭に「x2X2の特定の部分集合》」を一つつける(普遍量化する)と、
            (n-1)変項命題関数Q(x1, x3,…, xn)になる。

      ※「x2D2  P(x1, x2, …, xn) 」 と書くとき、D2変項xの議論領域X2 にしても構わない。つまり、「x2X2  P(x1, x2, …, xn) 」という表現もOK
      この「x2X2  P(x1, x2, …, xn) 」という表現によって、変項xの議論領域X2 を読者に明示的に伝達することが可能[新井p.90;松井p.36]。
   :
   :

    (n)

     [設定]

     ・P(x1, x2, …, xn) : 変項x1の議論領域X1変項x2の議論領域X2 、…、変項xnの議論領域Xn とするn項述語・n変数命題関数 
     ・Dn  :特定の「Dn部分集合」 

     [本題]

     ・「xnDn  P(x1, x2, …, xn) 」 集合Dnすべての/任意の/あらゆるxnについて x1, x2, …, xn関係・条件Pを満たす  
      は、
      議論領域X1, X2,…, Xn-1と とする(n-1)変項命題関数Q(x1, x2,…, xn-1) 

        「 xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) )
           議論領域Xnのなかの任意のxnについて、
            xnが集合Dnに属すならばx1, x2…, xn-1は、xnとの関係・条件Pを満たす 

      の省略表現。 

      ・したがって、「xnDn  P(x1, x2, …, xn) 」と「 xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」とは、互いに言い換えてよい。

      ※このように、n変数命題関数P(x1, x2, …, xn)の頭に「xnXnの特定の部分集合》」を一つつける(普遍量化する)と、
             (n-1)変項命題関数Q(x1, x2,…, xn-1)になる。

     ※「xnDn  P(x1, x2, …, xn) 」 と書くとき、Dn変項xnの議論領域Xn にしても構わない。つまり、「xnXn  P(x1, x2, …, xn) 」という表現もOK
      この「xnXn  P(x1, x2, …, xn) 」という表現によって、変項xnの議論領域Xn を読者に明示的に伝達することが可能[新井p.90;松井p.36]。


   【 ∀xi∈変項 P(x1, x2, …, xn) 】 



    (1')

     [設定]

      ・P(x1, x2, …, xn) : 変項x1の議論領域X1変項x2の議論領域X2 、…、変項xnの議論領域Xn とするn項述語・n変数命題関数 
     ・1 :特定の「X1部分集合系」 
     ・D1 :「X1部分集合系1に属す様々な「X1部分集合」が代入される変項 

     [本題]

      ・「x1D1  P(x1, x2, …, xn) 」 は、「 x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」の省略表現。 

        ※ 「 x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」の詳細情報 
 
          ・「x1D1 P(x1, x2, …, xn)」は、変項D1,x1,…,xn からなる(n+1)項述語・(n+1)変項命題関数
          ・「x1D1 P(x1, x2, …, xn)」の変項x1束縛普遍量化したのが 「 x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」。
          
          ・  「 x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」 で自由変項のままなのは、 D1x2, …, xn
           「 x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」 は、D1x2, …, xnを変項とするn項述語・n変数命題関数となる。
       
           ・n項述語・n変数命題関数x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項D1の議論領域は「X1部分集合系1 
                                             (D1にまつわる設定より)。
           n項述語・n変数命題関数x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項x2の議論領域X2  
                                             (P(x1, x2, …, xn)にまつわる設定より)
                                       :      : 
           n項述語・n変数命題関数x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項xnの議論領域Xn 
                                             (P(x1, x2, …, xn)にまつわる設定より)
 
      ・だから、「 x1 ( x1D1 P(x1, x2, …, xn) ) 」を省略した「x1D1  P(x1, x2, …, xn) 」も、
         D1, x2, …, xnを変項とするn項述語・n変数命題関数で、議論領域1,X2,…,Xn
     ・このように、n変数命題関数P(x1, x2, …, xn)の頭に「x1《様々な「X1部分集合」が代入される変項》」を一つつける(普遍量化する)と、
            n変項命題関数Q(D1,x2,…,xn)になる。

    (2')

     [設定]

      ・P(x1, x2, …, xn) : 変項x1の議論領域X1変項x2の議論領域X2 、…、変項xnの議論領域Xn とするn項述語・n変数命題関数 
     ・2 :特定の「X2部分集合系」 
      ・D2 :「X2部分集合系2に属す様々な「X2部分集合」が代入される変項 

     [本題]

     ・「x2D2  P(x1, x2, …, xn) 」 は、「 x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」の省略表現。 
        ※ 「 x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」 の詳細情報 
 
          ・「 x2D2 P(x1, x2, …, xn) 」は、変項D2,x1,…,xn からなる(n+1)項述語・(n+1)変項命題関数
          ・「 x2D2 P(x1, x2, …, xn) 」の変項x2束縛普遍量化したのが 「 x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」。
             
          ・「 x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」 で自由変項のままなのは、 D2x1, x3, …, xn
           「 x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」 は、D2x1, x3, …, xnを変項とするn項述語・n変数命題関数となる。
       
           ・n項述語・n変数命題関数x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項D2の議論領域は「X2部分集合系2 
                                                   (D2にまつわる設定より)
           n項述語・n変数命題関数x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項x1の議論領域X1  
                                              (P(x1, x2, …, xn)にまつわる設定より)
           n項述語・n変数命題関数x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項x3の議論領域X3 (P(x1, x2, …, xn)にまつわる設定より)
                                       :      : 
           n項述語・n変数命題関数x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項xnの議論領域Xn  (P(x1, x2, …, xn)にまつわる設定より)
 
      ・だから、「 x2 ( x2D2 P(x1, x2, …, xn) ) 」を省略した「x2D2  P(x1, x2, …, xn) 」も、
         D2x1, x3, …, xnを変項とするn項述語・n変数命題関数で、議論領域2, X1, X3, …, Xn

      ・このように、n変数命題関数P(x1, x2, …, xn)の頭に「x2《様々な「X2部分集合」が代入される変項》」を一つつける(普遍量化する)と、
            n変項命題関数Q(D2,x1,x3,…,xn)になる。

   :
   :

    (n')

     [設定]

      ・P(x1, x2, …, xn) : 変項x1の議論領域X1変項x2の議論領域X2 、…、変項xnの議論領域Xn とするn項述語・n変数命題関数 
     ・n :特定の「Xn部分集合系」 
      ・Dn :「Xn部分集合系nに属す様々な「Xn部分集合」が代入される変項 

     [本題]

     ・「xnDn  P(x1, x2, …, xn) 」 は、 「 xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」の省略表現。 

        ※ 「 xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」 の詳細情報 
 
          ・「xnDn P(x1, x2, …, xn) 」は、変項Dn,x1,…,xn からなる(n+1)項述語・(n+1)変項命題関数
          ・「xnDn P(x1, x2, …, xn) 」の変項xn束縛普遍量化したのが 「 xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」。
          
          ・ 「 xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」 で自由変項のままなのは、 Dn , x1,  …, xn-1
           「 xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」 は、Dn, x1,  …, xn-1 を変項とするn項述語・n変数命題関数となる。
       
           ・n項述語・n変数命題関数xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項Dnの議論領域は「Xn部分集合系n  (Dnにまつわる設定より)。
           n項述語・n変数命題関数xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項x1の議論領域X1  (P(x1, x2, …, xn)にまつわる設定より)
                                          :      : 
           n項述語・n変数命題関数xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」 の変項xn-1の議論領域Xn-1  (P(x1, x2, …, xn)にまつわる設定より)
 
      ・だから、「 xn ( xnDn P(x1, x2, …, xn) ) 」を省略した「xnDn  P(x1, x2, …, xn) 」も、
         Dn, x1,  …, xn-1を変項とするn項述語・n変数命題関数で、議論領域n, X1,…, Xn-1

      ・このように、n変数命題関数P(x1, x2, …, xn)の頭に「xn《様々な「Xn部分集合」が代入される変項》」を一つつける(普遍量化する)と、
             n変項命題関数Q(Dn, x1,…, xn-1)になる。



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→[総目次]


「∀変項∈D  n項述語」の解釈:Dが『内包的に定義された集合』であるとき 


【設定】

P(x1, x2, …, xn)変項x1の議論領域X1
           変項x2の議論領域X2
              :
            変項xnの議論領域Xn とする
               n項述語・n変数命題関数 
D1:「X1部分集合
D2:「X2部分集合

Dn:「Xn部分集合

【本題】


具体例:n項述語が1項述語のケース/n項述語が2項述語のケース
関連事項: xiX P(x1,…,xn)のケース




  ・P(x1, x2, …, xn)は、 変項x1の議論領域X1変項x2の議論領域X2 、…、変項xnの議論領域Xn とするn項述語・n変数命題関数 
  ・D1は「X1部分集合、D2は「X2部分集合」、…、Dnは「Xn部分集合
  との設定のもと、

・「x1D1  P(x1, x2, …, xn) 」は、  D1{ x'X1 | Q(x') } であるとき、 
  「 x1 ( Q(x1) P(x1, x2, …, xn) ) 」に言い換えてよい。

  すなわち、「 x1{ x'X1 | Q(x') }  P(x1, x2, …, xn) 」は、「 x1 ( Q(x1) P(x1, x2, …, xn) ) 」へ言い換えてよい。

・「x2D2  P(x1, x2, …, xn) 」は、D2{ x'X2 | Q(x') } であるとき、 
  「 x2 ( Q(x2) P(x1, x2, …, xn) ) 」に言い換えてよい。

  すなわち、「 x2 { x'X2 | Q(x') }  P(x1, x2, …, xn) 」は、「 x2 ( Q(x2) P(x1, x2, …, xn) ) 」へ言い換えてよい。




・「xnDn  P(x1, x2, …, xn) 」は、 Dn{ x'Xn | Q(x') } であるとき、 
  「 xn ( Q(xn) P(x1, x2, …, xn) ) 」に言い換えてよい。

 すなわち、「 xn { x'Xn | Q(x') }  P(x1, x2, …, xn) 」は、「 xn ( Q(xn) P(x1, x2, …, xn) ) 」へ言い換えてよい。

この場合に使われる略記法 

なぜ?

 ・定義より
  「 x1 { x'X | Q(x') }  P(x1, x2, …, xn) 」 は、
  「 x1 ( x1 { x'X | Q(x') } P(x1, x2, …, xn) ) 」 の省略表現。

 ・  x1 { x'X | Q(x') }Q(x1)に言い換えてよい()から、
   x1 ( x1 { x'X | Q(x') } P(x1, x2, …, xn) ) 」
  は、
  「 x1 ( Q(x1) P(x1, x2, …, xn) )
  に言い換えてよい。



→[トピック一覧:全称記号∀]
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さらなる省略形「∀ 条件式 n項述語」   

【設定】

P(x1, x2, …, xn)変項x1の議論領域X1
           変項x2の議論領域X2
              :
            変項xnの議論領域Xn とする
               n項述語・n変数命題関数 
D1:「X1部分集合
D2は「X2部分集合

Dnは「Xn部分集合

【本題】

具体例:n項述語が1項述語のケース/n項述語が2項述語のケース
関連事項: ∃ 条件式 P(x1,…,xn)




以下未確認
【文献−数学一般】
 ・中内『ろんりの練習帳』注2.2.8(p.85)略記法


 ・杉浦『解析入門I』附録2(pp.400-402)
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門』1.2.3限量子(pp.20-21);




・「   x1を先頭にした条件式Q(x1)   P(x1, x2, …, xn) 」 たとえば、 R変項x1の議論領域とした際の「    x1>0  P(x1, x2, …, xn) 」
  は、
  「 x1 { x'X1 | Q(x') }  P(x1, x2, …, xn) 」    上の例では、 x1 { x'R | x'>0 }  P(x1, x2, …, xn) 
  「 x1 ( Q(x1) P(x1, x2, …, xn) ) 」         上の例では、 x1 ( x1>0 P(x1, x2, …, xn) ) 
  の省略表現。

・「   x2を先頭にした条件式Q(x2)   P(x1, x2, …, xn) 」 たとえば、 R変項x2の議論領域とした際の「    x2>0  P(x1, x2, …, xn) 」
  は、
  「 x2 { x'X2 | Q(x') }  P(x1, x2, …, xn) 」    上の例では、 x2 { x'R | x'>0 }  P(x1, x2, …, xn) 
  「 x2 ( Q(x2) P(x1, x2, …, xn) ) 」         上の例では、 x2 ( x2>0 P(x1, x2, …, xn) ) 
  の省略表現。 
:
:
・「   xnを先頭にした条件式Q(xn)   P(x1, x2, …, xn) 」 たとえば、 R変項xnの議論領域とした際の「    xn>0  P(x1, x2, …, xn) 」
  は、
  「 xn { x'Xn | Q(x') }  P(x1, x2, …, xn) 」    上の例では、 xn { x'R | x'>0 }  P(x1, x2, …, xn) 
  「 xn ( Q(xn) P(x1, x2, …, xn) ) 」         上の例では、 xn ( xn>0 P(x1, x2, …, xn) ) 
  の省略表現。



→[トピック一覧:全称記号∀]
→[総目次]


有限集合が議論領域のときの「∀変項 n項述語」の解釈 

【設定】

P(x1, x2, …, xn)変項x1の議論領域X1
           変項x2の議論領域X2
              :
            変項xnの議論領域Xn とする
               n項述語・n変数命題関数 
D1:「X1部分集合
D2は「X2部分集合

Dnは「Xn部分集合

【本題】



具体例:n項述語が1項述語のケース/n項述語が2項述語のケース

関連事項: xiX P(x1,…,xn)のケース



・「x1D1  P(x1, x2, …, xn) 」は、D1有限集合 { a1 , a2 , … , am } であるとき、
    P( a1, x2, …, xn) かつ P( a2, x2, …, xn) かつ … かつ P( am , x2, …, xn) 「x2, …, xnは、a1と関係Pにありかつa2と関係Pにありかつかつ amと関係Pにある」 
 に言い換えてよい。

・「x2D2  P(x1, x2, …, xn) 」は、D2有限集合 { a1 , a2 , … , am } であるとき、
    P( x1, a1, …, xn) かつ P( x1, a2, …, xn) かつ … かつ P( x1, am, …, xn)  
 に言い換えてよい。


・「xnDn  P(x1, x2, …, xn) 」は、Dn有限集合 { a1 , a2 , … , am } であるとき、
    P( x1, x2, …, a1) かつ P( x1, x2, …, a2) かつ … かつ P( x1x2, …, am)  
 に言い換えてよい。



→[トピック一覧:全称記号∀]
→[総目次]


「∀+変項∈範囲+n項述語」に関わる諸用語 

【全称記号・全称量化記号/全称量化子・全称作用素】

・「変項 ∈範囲 + n項述語(n変数命題関数)」というかたちのなかの、
 「」は、 
  全称量化記号 [斎藤p.49;井関p.7;岡田光弘p.30] 
  全称記号   [前原p.4;斎藤p.49;中内p.82;杉浦p.401]
  universal quantifier [斎藤p.49;岡田光弘p.30;De LaFuente,p.8]
 などと呼ばれる論理記号

・「変項 ∈範囲 + n項述語(n変数命題関数)」というかたちのなかの、
 「変項」という部分は、 
   全称量化子 [斎藤p.49]
   全称作用素 [前原p.4;松本p.28;中内p.82]   
   universal quantifier [前原p.4;斎藤p.49]
 と呼ばれる。
  *岡田章は、記号「」そのものを「全称量化子」と呼ぶ(p.252)が、
   どうなのだろう?


【量化】

全称量化子・全称作用素変項 ∈範囲 」を
  n項述語(n変数命題関数)の前につけて
 「変項 ∈範囲 + n項述語(n変数命題関数)」というかたちにする行為を、
 
   全称量化子による量化 [斎藤p.49]
   全称量化 [野矢 p.213]
   普遍量化 [本橋pp.40-41]
   
 などと呼ぶ。
 別の文脈で、「《変項》の束縛bound」と呼ぶこともある[→詳細]。

  [岡田光弘p.31;]述語の前に、∀x,∃xをつけること[井関p.26]

      





【スコープ】

・「変項 ∈範囲 + n項述語(n変数命題関数)」というかたちのなかで、
 全称量化子・作用素「変項 ∈範囲」によって量化された
  「n項述語(n変数命題関数)
 の部分は、
 全称量化子・作用素「変項∈範囲 」の
  スコープscope[岡田光弘p.31;松本p.28]
  適用範囲[松本p.28]
  視野
[高崎V-1.5]
  作用域[高崎V-1.5]
  作用範囲[前原1章§8(p.24)]
 などと呼ばれる。
 
※「変項 ∈範囲 + n項述語(n変数命題関数)」の後ろに、記号が続いていく場合、
 どこまでが「変項∈範囲」のスコープなのか、はっきりしなくなることがある。
 そういうときは、
   「変項∈範囲」のスコープがどこまでかを明示するために、
   「変項∈範囲」の適用範囲に入っている述語を()で括る。
      





【束縛する/束縛変項/自由変項】


xi ∈範囲を、
    x1, x2, …, xnのあいだの関係・条件P(x1, x2, …, xn)の前につける行為を、
 「変項(変数)xiを束縛するboundと呼ぶ。[井関p.26] 

 このとき、
  P(x1, x2, …, xn)変項xi は、
   束縛変項 (束縛変数) bound variable

  P(x1, x2, …, xn)xi以外の(n-1)個の変項 は、
   自由変項 (自由変数) free variable
  と呼ばれる。
 
x1 ∈範囲を、
    x1, x2, …, xnのあいだの関係・条件P(x1, x2, …, xn)の前につけて、
 「x1 ∈範囲  P(x1, x2, …, xn)」とする行為を、
 「変項(変数)x1を束縛するboundと呼ぶ。

 このとき、
  P(x1, x2, …, xn)変項x1 は、
   束縛変項 (束縛変数) bound variable

  P(x1, x2, …, xn)x1以外の変項x2, …, xnは、
   自由変項 (自由変数) free variable
  と呼ばれる。
 
x2∈範囲を、
    x1, x2, …, xnのあいだの関係・条件P(x1, x2, …, xn)の前につけて、
 「x2 ∈範囲 P(x1, x2, …, xn)」とする行為を、
 「変項(変数)x2を束縛するboundと呼ぶ。

 このとき、
  P(x1, x2, …, xn)変項x2 は、
   束縛変項 (束縛変数) bound variable

  P(x1, x2, …, xn)x2以外の変項x1,x3, …, xnは、
   自由変項 (自由変数) free variable
  と呼ばれる。


xn∈範囲を、
   x1, x2, …, xnのあいだの関係・条件P(x1, x2, …, xn)の前につけて、
 「xn ∈範囲 P(x1, x2, …, xn)」とする行為を、
 「変項(変数)xnを束縛するboundと呼ぶ。

 このとき、
  P(x1, x2, …, xn)変項xnは、
   束縛変項 (束縛変数) bound variable

  P(x1, x2, …, xn)xn以外の変項x1, x2…, xn-1は、
   自由変項 (自由変数) free variable
  と呼ばれる。
 






以下未確認
【文献−数学基礎論】
 ●前原昭二『記号論理入門』第1章§7多変数(pp.20-23);§8自由変数束縛変数(pp.23-26)。
 ・井関清志『集合と論理』§1.2(pp.6-7);§1.5(pp.24-30)。
 ・高崎金久『数理論理学入門V.述語論理の意味論-1.4 量化子の使い方;1.5 変数の出現位置と視野

【文献−分析哲学・論理学】
 ・戸田山『論理学をつくる』7.1.4多重量化(p.167)

【文献−数学一般】
 ●本橋『新しい論理序説』;2.4(pp.31-34):自由変数と束縛変数;3.2(pp.40-43);4(pp.62-83):述語と量化とその読み下し方について豊富な具体例。



 



→[トピック一覧:全称記号∀]
→[総目次]


「∀xiDi P(x1, x2, …, xn) 」の読み下し例:一覧  


・「xiDi P(x1, x2, …, xn)」は、

 「すべての『Diに属す対象』xiについて、P(x1, x2, …, xn) 」[本橋p.70;中谷p.142] 
 「任意の『Diに属す対象』xiにたいして、P(x1, x2, …, xn) 」[斎藤p.52] 
 「任意の『Diに属す対象』xiについて、P(x1, x2, …, xn) 」[本橋p.70] 

 などと読み下す。

n項述語(n変数命題関数)P(x1, x2, …, xn) は、

   「 x1, x2, …, xnは関係Pにある
   「 x1, x2, …, xnは条件Pを満たす

 と読むのだったから、
 これに従うと、
  「xiDi P(x1, x2, …, xn)
 は、 
 「 すべての/任意の『Diに属す対象』xiにたいして(について)、
       x1, x2, …, xnは関係Pにある/条件Pを満たす 」
   "for all  xi in Di(x1,…,xn) has property P."
             [De La Fuente,p.8]
 と読み下せる。


 関連事項−n項述語の量化: xi P(x1,…,xn)の読み / xi P(x1,…,xn)の読み / xX P(x1,xn)の読み
 関連事項−n項述語の二重量化:「∀xixj P(x1,…,xn)の読み/「∃xixj P(x1,…,xn)読み/「∀xixj P(x1,…,xn)読み / 「∃xixj P(x1,…,xn)読み

【 n=1 のとき具体例 】

 → 1項述語・1変数命題関数の具体例 

【 n=2 のとき具体例 】

 → 2項述語・2変数命題関数の具体例 

【 n=3 のとき具体例 】
 
 




以下未確認
【文献】
 ・中谷『論理』6.3A多変数の命題関数の限定命題(p.141)
 ●本橋『新しい論理序説』4.1(p.64):
 ●齋藤『日本語から記号論理へ』2章§2全称量化子(pp.48-55))
 ・戸田山『論理学をつくる』7.1.4多重量化(pp.167-9)
 ●De La Fuente, Mathematical Methods and Models for Economists,1.2.a.Properties and Quantifiers(pp.8-9):二重量化。英語での読み下し例


 



→[トピック一覧:全称記号∀]
→[総目次]


  

「∀xiDi P(x1, x2, …, xn) 」の具体例:一覧  



【 n=1 のとき具体例 】

 → 1項述語・1変数命題関数の普遍量化の具体例 

【 n=2 のとき具体例 】

 → 2項述語・2変数命題関数の普遍量化の具体例 

【 n=3 のとき具体例 】
 
 ・nN ( 《数列》の第n項≦M  
 ・nN  ( m≦ 《数列》の第n項 )