論理法則−含意 : トピック一覧

 ・論理的にいつでも成り立つ含意:「かつ」で連結された命題の必要条件「または」で連結された命題の十分条件
 ・含意の言換(対偶転換法)
  
※論理関連ページ:論理記号/論理法則−同値/同値変形
参考文献総目次

論理的にいつでも成り立つ含意

1. 「かつ」で連結された命題の必要条件
   「命題Aかつ命題B命題A 

【文献】
  ・本橋『新しい論理序説』6.3定理1(p.120)

2. 「または」で連結された命題の十分条件
    命題A「命題Aまたは命題B
3. xに関するある性質・条件P(x), Q(x)について、    
「 『P(x)を満たすx(少なくとも一つは)存在するならば任意のxQ(x)を満たす』 」 

という命題がなりたつならば
任意のxについて『P(x)ならばQ(x)』 」 
という命題がなりたつ。
論理記号で表すと、
 「(x) (P(x) )(x) (Q(x) )」「(x) (P(x)Q(x) )」 
【文献】
  ・中内『ろんりの練習帳』演習問題2.9[6](2)(p.124;pp.202:証明)

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 含意の言い換え

1. 含意の命題は、その対偶と同値
すなわち、
「命題A命題B¬命題B¬命題A」 
※「¬命題B¬命題A」を、「命題A命題B」の対偶という。
【文献】
  ・本橋『新しい論理序説』7.3定理5(p.132)
2. 「 『命題A命題Bかつ『命題A命題C』 」
  「命題A『命題Bかつ命題C』」
【文献】
  ・本橋『新しい論理序説』7.3定理5(p.132)
3. 「 『命題A命題Cかつ『命題B命題C』 」
  「『命題Aまたは命題B命題C
【文献】・本橋『新しい論理序説』7.3定理5(p.132)
   ・新井紀子『数学は言葉』3.2.1(pp.73-77)
3'.
「 『命題X かつ命題A命題Cかつ 「 『命題X かつ命題B命題C 」   
  「命題X かつ『命題Aまたは命題B命題C
【文献】・松井知己『だれでも証明がかける−眞理子先生の数学ブートキャンプ』4.4(pp.115-7)

4. 【転換法】
 あらゆるケースをつくしているn個の命題:命題A1 ,命題A2 ,…, 命題An と、
 どの二つも同時にはなりなたないn個の命題:命題B1 ,命題B2 ,…, 命題Bnがあって、  
 これらのあいだに、  
   『命題A1命題B1』かつ『命題A2命題B2』かつかつ『命題An命題Bn
 が成り立つならば、
   『命題B1命題A1』かつ『命題B2命題A2』かつかつ『命題Bn命題An
 が成り立つ。
【文献】
 ・赤『実数論講義』§1.10(pp.33-5):証明付
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』2.2NOTE(p.52) 

5. 【定言三段論法】
 「 命題Aかつ『命題A命題B』 」
 が成り立つならば、
 「命題B
 が成り立つ。
 
【文献】
 ・斎藤『日本語から記号論理へ』2章§7「三段論法」(pp.87-91):真理値表を使わない証明。
 ・『岩波入門数学辞典』3段論法(p.234):定言3段論法と仮言3段論法が、通常と逆になっているような。どっちが正しい?
 

6. 【仮言三段論法】
 「 『命題A命題Bかつ『命題B命題C』 」  
 が成り立つならば、
 「 『命題A命題C』 」
 が成り立つ。
 
【文献】
 ・斎藤『日本語から記号論理へ』2章§7「三段論法」(pp.87-91):真理値表を使わない証明。
 ・中内『ろんりの練習帳』定理1.10.9(pp.55-56):「仮言三段論法」真理値表も掲載
 ・『岩波入門数学辞典』3段論法(p.234):定言3段論法と仮言3段論法が、通常と逆になっているような。どっちが正しい?
 


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reference

・吉田・栗田・戸田『昭和63年度用 高等学校数学I』啓林館、1987年、pp.108-116。
・中内伸光『数学の基礎体力をつけるための ろんりの練習帳』共立出版株式会社、2002年。
          難解な部分にまでは立ち入らず、学部初年レベルの数学教科書を理解するために必要不可欠な知識をわかりやすく整理。
          応用例として、ε-δ論法による極限定義を載せている。これを中学・高校のころに読んでおけば、今ごろ…。
・本橋信義『新しい論理序説』(森毅・斎藤正彦・野崎昭弘編集『すうがくぶっくす』16巻) 朝倉書店、1997年。
          これも、学部初年レベルの数学教科書を理解するために最低限必要な論理をわかりやすく教えるテキスト。
          まえがきによると、著者が筑波大学で数学専攻の学部 一年生向けに論理を教えてみた経験をいかしてのテキストとのこと。
          これも、高校生くらいで読んでおけばよかった、と思う1冊。
・ 井関清志『基礎数学叢書2:集合と論理』新曜社、1979年。
・前原昭二『記号論理入門』日本評論社、1967年。

・杉浦光夫『解析入門I』東京大学出版会、1987年、付録2論理記号(pp.399-402)。
・赤『実数論講義』SEG出版、1996年、§1.10簡便な書き方と転換法(pp.33-5)
・岡田章『経済学・経営学のための数学』東洋経済新報社、2001年、(pp.245-254)。
・神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、第1章第2節(pp.13-25)。
・西村和雄『経済数学早わかり』日本評論社、1982年、第1章(pp.2-24)。
Chiang, Alpha C., Fundamental Methods of Mathematical Economics :Third Edition, McGraw-Hill,1984,(p.759).