述語、命題関数   : トピック一覧

 ・1項述語・1変項(1変数)命題関数の定義 / 1項述語・1変項命題関数の具体例  

           →集合表現:一項述語・1変数命題関数の真理集合     
           →量化:普遍量化・全称量化/範囲を限定した普遍量化・全称量化/存在量化/範囲を限定した存在量化

 ・2項述語・2変項(2変数)命題関数の定義 / 2項述語・2変項命題関数の具体例 

           →集合表現:二項述語・2変数命題関数の真理集合     
           →量化:普遍量化・全称量化/範囲を限定した普遍量化・全称量化/存在量化/範囲を限定した存在 量化/二重量化 

 ・n項述語・n変項(n変数)命題関数の定義 / n項述語・n変項命題関数の具体例

           →集合表現:n項述語・n変数命題関数の真理集合     
           →量化:普遍量化・全称量化/範囲を限定した普遍量化・全称量化/存在量化/範囲を限定した存在 量化/二重量化 

  
論理関連ページ:古典論理/論理記号
総目次



2変項命題関数 propositional function , 2項述語 two-place predicate , 二項関係binary relation  


2項述語・2変項命題関数とは?  
2項述語・2変項命題関数を表す記号 : 文から記号への翻訳 
2項述語・2変項命題関数を表す記号 : 記号から文への翻訳 
2項述語・2変項命題関数の具体例
2項述語を1項述語として解釈〜順序対  

2変項命題関数・2項述語とは?

【命題関数・述語のかたち】

・「二変項(二変数)の命題関数propositional function
 「二項述語two-place predicate
 とは、
 様々な対象を代入できる変項(変数)を二個組み込んだ
 
   「《変項1》《変項2》はの関係にある」
   「《変項1》《変項2》は〜という条件を満たす」

 というかたちの文のこと。

    ※前原は、p.5では、命題関数と述語を区別しているが、
      §7多変数命題関数(p.20)では、
      命題関数と述語は同義語だと述べている。 

二変項命題関数」「二項述語」の変項は、通常、
 アルファベット小文字で表す。
 変項をx,yで表した場合、
 「二変項命題関数」「二項述語」は、
   「x,yの関係にある」
   「x,yは〜という条件を満たす」
 という形になる。

 →2項述語・2変項命題関数の記号表現 
 →2項述語・2変項命題関数の具体例 


【命題関数・述語と命題】

・様々な対象を変項(変数)へ代入するに応じて、
 「命題関数」「述語は、様々な命題を表す。[井関 p.24]

  ※「命題関数」「述語」そのものは命題ではない。
   「命題関数」「述語」の変項に対象を代入して、
   はじめて,命題になる。





【関連項目】

 ・二項述語の量化:普遍量化・全称量化/範囲を限定した普遍量化・全称量化/存在量化/範囲を限定した存在 量化/二重量化
 ・2項述語・2変項命題関数の具体例  
 ・2項述語の真理集合 / 2後述語の各変項に対象を代入してつくった命題を集合に翻訳 

【文献−数学】

 ・前原昭二『記号論理入 門』第1章§2(pp.2-3);§4(pp.5-8);§5(pp.8-9);§7多変数(pp.20-21);§9(pp.26-32)。
 ・前原昭二『数理論理学序説』U述語論理§1命題関数0-1(pp.149-151)
 ・前原『数学基礎論入門』(p.77)
 ・中谷『論理』4.1(pp.77-78);3.1.A(p.135);3.2(pp.137-140); 
 ・井関清志『集合と論理』§1.5(pp.24-30)。
 ・中内『ろん りの練習帳』2.1(pp.77-80);2.3(p.91);
 ・http://en.wikipedia.org/wiki/Predicate_%28logic%29
  ・http://cs.odu.edu/~toida/nerzic/content/logic/pred_logic/predicate/pred_intro.html
 ・新井紀子『数学は言葉』2.2性質の表現(pp.44-49): 対象が一個だと性質、対象が複数だと関係…。
  ・http://de.wikipedia.org/wiki/Pr%C3%A4dikatenlogik

【文献−分析哲学・論理学】

 ・岡田光弘『2008年度論理学I講義ノート』第4章述語論理(pp.29-33)
 ・野矢茂樹『入門!論理学』 6章.「述語」(p.200);「領域」(p.207);「変項」(p.208);「多重量化」(p.219)
 ・野矢『論理学』2-2-1(p.91);2-2-2- 多重量化(pp.96-7);2-4(p.121)
 ・戸田山『論理学をつくる』7.1.3(p.166)"two-place predicate","二項関係binary relation"
 ・飯田編『論理の哲学』 第四章「完全性と不完全性」の前半(p.88)
 ・高崎金久『数理論理学入門X. 述語論理の意味論-1.述語論理は何を記号化したものか;[. 自然演繹(その2)-2.述語論理の形式化  
 
【文献−数理経済】

 ・神谷浦井『経済 学のための数学入門』1.2.3(pp.19-22):2変項まで
 ・岡田『経済学・ 経営学のための数学』附録1(pp.252-3):2変項まで


 


    ・古典論理は、(たとえ我々に現在把握できていないとしても)どの命題も真偽いずれかに定まっているという設定だから、
     古典論理において「命題関数」「述語は、
      変項に何が入るか決まると、
      《真の命題》《偽の命題》のいずれか一方に定まることが要請される。

    ※「命題関数」「述語」そのものは、《真の命題》でも《偽の命題》でもない(そもそも命題ですらないのだから)。
     「命題関数」「述語」の変項に対象を代入して、
     はじめて,《真の命題》《偽の命題》のいずれか一方に定まる[中谷『論理』(p.78)]。

    【変項が動く範囲】

    ・普通、我々が具体的な「2変数命題関数」 「2項述語」を考えるときには、
     意識してであれ、無意識にであれ、

       2個の変項に代入する対象を
       どこから取ってくるのか?
        〜見方を逆にすると、2個の変項がどこを動くのか〜 

     をあらかじめ頭の中で描いておいたうえで、
     それを前提として、具体的な「2変数命題関数」 「2項述語」を考えている。

    ・具体的な「2変数命題関数」 「2項述語」を考える際に前提となる

       《変項に代入する対象をとってくる範囲》
       ないし
       《変項が動く範囲》

     を、その変項

      ・議論領域 domain of discourse
        [野矢『論理学p.96;野矢『入門!論理学』(p.207);戸田山6.1.1(p.134)]
      ・対象領域 [新井p.90-91;前原p.70;p.142]
      ・話題世界 [本橋p.7p.29]
      ・変域 [中谷p.99;中内p.77脚注;]
      ・変項の定義域 [松井p.36;p.154;中内p.77脚注]
      ・全体集合 [中谷p.76]  

     等と呼ぶ。

    ・2変数命題関数2項述語x,yの関係にある」「x,yは〜という条件を満たす」では、
        変項x議論領域X (変項xに代入される対象の集合X
        変項y議論領域Y (変項xに代入される対象の集合Y
     という二つの議論領域が、あらかじめ設定されていなければならない。  


    ・2変数命題関数2項述語x,yは〜という条件を満たす」でやっている手続きを見直すと、
       Step1:議論領域Xから、そこに属す対象を一個選んで、変項xに代入、
           議論領域Yから、そこに属す対象を一個選んで、変項yに代入することで、
           《議論領域Xに属す対象》と《議論領域Yに属す対象》のペア(x,y)をつくる。 
       Step2:《議論領域Xに属す対象》と《議論領域Yに属す対象》のペア(x,y)に、一個の命題「x,yは〜という条件を満たす」を対応づける。 
     という風になっている。

     だから、
     2変数命題関数2項述語x,yは〜という条件を満たす」とは、
       《議論領域Xに属す対象》と《議論領域Yに属す対象》のペア(x,y)としてつくれるものすべてをあつめた集合 X×Y { (x,y) | xX かつ yY }
       から、    
       《命題の集合》
       への写像           
     とみなしてよい。
   
    ・この意味で、
     「X,Yを議論領域とする2変数命題関数2項述語」は、
     「X×Y上で定義されている2変数命題関数2項述語」        
     「X×Y上の2変数命題関数2項述語
     とも表現される。  [中谷p.77;p.135;p.137]    
      




【文献−数学】
・中内『ろんりの練習帳
 2.1(pp.77-80):「変数xの変域あるいは定義域」(p.77脚注);「変数の動く範囲」(p.78;80)
 2.3(p.91);直積
・中谷『論理
 4.1(pp.77-78):「xの変域をU,yの変域をVとすれば、命題関数p(x,y)は、直積U×Vから命題の集合への写像}」 
 6.1.A(p.135):「集合U,Vがあって、その直積U×V上で一つの命題関数p(x,y)が定義されているとき…」
 6.2(p.137):「集合U,Vの直積U×V上の命題関数をp(x,y)とするとき…」
・本橋『新しい論理序説』2.3問題4(p.31;p.35):変数ごとに。
・新井紀子『数学は言葉』3.2.6(pp.90-91):変数ごとに。
・前原昭二『記号論理入門』多変数の命題関数に関して対象領域の説明なし。

【文献−分析哲学・論理学】
 ・野矢『論理学』2-2-2-多重量化(pp.98-9);2-4(p.121):変数ごとに。
 ・野矢『入門!論理学』2項述語「議論領域」(p.218):変数ごとに。
 ・戸田山『論理学をつくる』6.1.1(p.134);6.2.4(p.136):変数ごとに。;7.2.2順序対の集合


 
    ※具体例:"x loves y"
    ※二項述語・2変数命題関数の真理集合   


→[2項述語・2変項命題関数:冒頭]
→[述語・命題関数:トピック一覧]
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二項述語・命題関数を表す記号 : 文から記号への翻訳  

2変数命題関数2項述語
   「x,yの関係にある」
   「x,yは〜という条件を満たす」
 を記号に置き換えて表すときには、
 以下の手順に従う。

 [step1]
  「x,yの関係にある」の「
  「x,yという条件を満たす」の「
  をPなどの《アルファベット大文字》に置き換えて、






具体例:"x loves y"/具体例1/具体例2/

   「x,yPの関係にある」[前原p.20;岡田光弘2008定義4.1脚注(p.30)]
   「x,yは条件Pを満たす」[前原p.21?]
  などと表す。

 [step2]
  「x,yPの関係にある」の「Pの関係にある」の部分
  「x,yは条件Pを満たす」の「は条件Pを満たす」の部分
  を
   P( , )
  などと表す。
   ※ P( , ) こそが、述語predicateと呼ぶにふさわしいので[前原p.5]、
     2項述語記号と呼ぶ。[岡田光弘2008定義4.1脚注(p.30)]。
 [step3]

 ・二項述語・命題関数
  「x,yPの関係にある」
  「x,yは条件Pを満たす」
  は、
  その変項x,y
  その「はPの関係にある」「は条件Pを満たす」の部分を表す記号
    P( , )
  の( )内に入れて、   
   P(x,y)
  と表す。

  ※二項述語・命題関数を
     xPy
   などと表すこともある。[前原p.20]



→[2項述語・2変項命題関数:冒頭]
→[述語・命題関数:トピック一覧]
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2変項命題関数・2項述語を表す記号 : 記号から文への翻訳

2変数命題関数2項述語を表す記号
  P(x,y)
 が、いきなりでてきたときは、
 これを、
  「x,yPの関係にある」[前原p.20;岡田光弘2008定義4.1脚注(p.30)]
  「x,yは条件Pを満たす」[前原p.21?]
 などと読む。
 





【文献】
 ・前原昭二『記号論理入門』§7多変数(p.20;p.21?)


 ・岡田光弘『2008年度論理学I講義ノート』定義4.1脚注(p.30)
 




二項述語を一項述語として解釈 〜 順序対を用いて

変項xの議論領域X, 変項yの議論領域Yとする2変数命題関数2項述語

  P ( x , y ) 「x,yは関係・条件Pを満たす

 を、

 X×Yという範囲を動く一個の変項(x,y)のみを組み込んだ命題関数・述語 

  P ( (x,y) )  「順序対(x,y)は、性質・条件Pを満たす

 と解すこともできる。






【文献】

 ・松井知己『だれでも証明がかける−眞理子先生の数学ブートキャンプ』5.1(pp.143-4)

 ※具体例:"x loves y"
 ※応用:「∀xSyT P(x,y)別表現  〜 順序対・直積を用いて。






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