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【関連】
・二項述語・2変数命題関数の真理集合/n項述語・n変数命題関数の真理集合
【文献】
・中谷『論理』
5章命題関数と集合-5.1真理集合(pp.99-102)
p.101「条件(命題関数・述語・性質)を外延化して、その真理集合として表すことによって、
条件のあいだの関係を集合のあいだの関係に変換し、
そこに成り立つ法則を、直観的にとらえやすくすることは、
数学でしばしば用いられる手法である。
もの(対象)の属性や、もののしたがう条件を、実体化して集合として表すこと、
すなわち述語を主語化することは、集合概念を用いる主要な視点である」
・本橋『新しい論理序説』2.3集合の条件による表示・条件の集合による表示(pp.29-31)
・竹内外史『現代集合論入門』2章1(p.140)
・野矢『論理学』3-1-1(p.127)
・竹内『集合とはな
にか―はじめて学ぶ人のために』1章立場の変換-主語と述語(pp.14-15);翻訳語としての集合(pp.20-22)
「性質というものを何かの属性としてではなくて、思考の対象として、主語として取り上げているのです。
実はこれが集合の本質に外ならないのです(p.15)」
・竹内外史『現代集合論入門』2章1(p.140)
・前原『記号論理入門』
第1章§5記号条件集合(pp.8-9);§6(pp.10-19)。
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・前原『数学基礎論入門』定義5.1;公式5.1;公式5.2(p.78);5.2
簡単な集合論的記法-関係の集合論的表現(p.77)。 |
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【意義】
この概念こそが、
集合と論理のインターフェース。
つまり、
ここで定義した「述語・命題関数の真理集合」を通して、
一階述語論理で記述された命題・述語は集合に翻訳され、
また、集合の諸概念も、一階述語論理で記述された命題・述語で表現可能
となる。
直接の活用例→
述語と「集合に元として属す」
【定義】
【ざっくり】
性質・条件Pの
真理集合・
外延と
は、
性質・条件Pを満たすモノをすべてあつめた集合
のこと。[竹内
p.21]
【きっちり】
述語・命題関数P(x)の
真理集合・
外延extensionとは、
xに代入されると、
述語・命題関数P(x)を真にする対象を、
述語・命題関数P(x)の
議論領域Uから、
すべてあつめた集合のこと。
【記号】
【ざっくり】
議論領域を
Uとする
性質・条件Pの
真理集合・
外延は、
{ x∈U| 「xはPである」 }
略して、
{ x | 「xはPである」 }
と表す。
【きっちり】
議論領域を
Uとする
述語・命題関数P(x)の
真理集合・
外延は、
{ x∈U| P(x) }
略して、
{ x | P(x) }
と表す。
[中谷『
論理』5.1真理集合(
p.99;101);
前原『
記号論理入門』(
p.11)]
【解説】
・
議論領域Uから何をとってきて変項
xに代入するか
に応じて
述語・命題関数P(x)が表す命題は、定まる[→
述語・命題関数の定義]。
・古典論理のなかで設定された命題は、
命題の真偽が、真か偽のいずれか一方に定まる(ように設定された)
[→
古典論理-排中律]。
・だから、
議論領域Uから何をとってきて変項
xに代入するか
に応じて、
述語・命題関数P(x)は、
《偽の命題》
《真の命題》
のいずれか一方に定まる。
・ということは、
xに代入されるモノは、
type1:「
xに代入されると、
P(x)を《偽の命題》にする」モノ
type2:「
xに代入されると、
P(x)を《真の命題》にする」モノ
の二種類に分けられる。
・もっというと、
xに代入するモノをとってくる
議論領域Uに
は、
type1:「
xに代入されると、
P(x)を《偽の命題》にする」モノ
type2:「
xに代入されると、
P(x)を《真の命題》にする」モノ
の二種類のモノが属していることになる。
・
xに代入するモノをとってくる
議論領域Uか
ら、
type1:「
xに代入されると、
P(x)を《偽の命題》にする」モノ
をすべて排除して、
xに代入するモノをとってくる
議論領域に
属している
type2:「
xに代入されると、
P(x)を《真の命題》にする」モノ
のみをすべて集めてきた集合が、
述語・命題関数P(x)の
真理集合・
外延 { x∈U| P(x) }
略して、
{ x | P(x) }
に他ならない。
・述語・命題関数
P(x)の
議論領域Uのことを、
集合の観点から、
普遍集合・全体集合・空間などと呼
ぶ。
[中谷『
論理』5.1真理集合(
p.99);
野矢『
論理学』3-1-1(
p.127)]
・述語・命題関数
P(x)の
議論領域すなわち
普遍集合・全体集合Uから、
「
xに代入されると、
P(x)を《真の命題》にする」モノをあつめてきて集合をつくれるということ:
→分出公理
axiom of specification・部分集合の公理
axiom of subset
[中谷『
論理』5.1真理集合(
pp.100-101)]
【注意】
述語・命題関数P(x)の
議論領域Uを決めず、無制約に、
xに代入されると、
述語・命題関数P(x)を真にする対象をすべてあつめたもの[ 記号どおりの
{ x | P(x) } ]は、
述語・命題関数P(x)の内容によって、議論を破綻させる場合があるので[ラッセルのパラドックス]、
集合論の公理によって、集合の概念から排除されている。
なお、
述語・命題関数P(x)の
議論領域Uを定めておいて、そこから、
xに代入されると、
述語・命題関数P(x)を真にする対象をすべてあつめてつくった
{ x∈U| P(x) } は、議論を破綻させないことが保証されている。
[井関『
集合と論理』§2.1(
pp.51-2)§2.3(
p.63);竹内『
現代集合論入門』2章1(
pp.140-1)。]
【具体例】
・
{ x∈Z | xは
偶数である
} 略して、
{ x | xは偶数である
}
(
Zは、整数をすべてあつめた集合を表す)
とは、偶数を全部あつめた集合を表す.
【なぜ?】
・
xに代入する対象をとってくる
議論領域Z(整数をすべてあつめた集合)には、
type1:「
xに代入されると、
述語・命題関数『
xは偶数である』を《偽の命題》にする」整数
type2:「
xに代入されると、
述語・命題関数『
xは偶数である』《真の命題》にする」整数
の二種類が属している。
・ここから、
type1:「
xに代入されると、
述語・命題関数『
xは偶数である』を《偽の命題》にする」整数
をすべて排除して、
type2:「
xに代入されると、
述語・命題関数『
xは偶数である』を《真の命題》にする」整数
のみをすべて集めてきた集合が、
{ x∈Z | xは
偶数である
} 。
・だから、これは、要するに、「整数をすべてあつめた集合」から偶数を全部かきあつめた集合に他ならない。