集合族family of sets・集合列の定義

[トピック一覧:集合族・集合列の定義]
 ・集合族の定義/集合列の定義/部分集合族の定義/部分集合列の定義  
 ・集合族の∪/集合族の∩/集合列の∪/集合列の∩/集合列の直和  
 ※集合族・集合列についての関連ページ:集合族・集合列の性質/写像と集合族・列の性質/集合列の極限 
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定義:(添数づけられた)集合族family of sets (indexed by Λ)

定義

Λによって添数づけられた集合族(または単に集合族)family of setsとは、
 定義域添数集合・添字集合index set)が集合Λで、
 集合Λの各λに対してとる値が集合となる
 (つまり、値域集合系(集合の集合)となる) 、
  写像(関数)φ:Λ→X  (Xは、集合系
 のこと。
の概念を用いれば、
 値Aλが集合(値域集合系(集合の集合))となる、{Aλ}λΛ
終集合Xは明示されないことが普通。 
※λは添数ないし添字、Λは添数集合index setと呼ばれる。 


[文献]

 ・『岩波数学辞典(第三版)』項目58関数D族・列(p.158);
 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5. C(p.44);
 ・矢野『距離空間と位相構造』A.1.3集合と選択公理(pp.226-7.);
 ・神谷浦井『経済学のための数学入門p.49;
 ・志賀『集合への30講』第12講(pp.72-4);

[上位概念]

 ・family写像(関数)φの値域集合系(集合の集合)でなくてもよい。

[下位概念]

 ・部分集合族 
 ・集合列:Λを自然数の集合(各λを自然数)に限定した集合族。→  
   集合族は、集合列の添数を、自然数のみから、様々な添字に拡張したものとして解釈可。

記号

・φ(λ)AλΛ)とするとき、
 この族を{Aλ}λΛまたは {Aλ}(λΛ)などで表す。
 {Aλ}{Aλ}λ などと略記されることもある。

・「集合W{1,2,3,4,5}, 集合X{1,2,3}, 集合Y{5}, 集合Z{1,5}と定義する」は、
  集合族の概念を用いた表現
    定義域(添数集合)Λ:集合{W,X,Y,Z}
    値域集合系{ 集合{1,2,3,4,5} , 集合{1,2,3}, 集合{5}, 集合{1,5} } として、
    φ(W)AW{1,2,3,4,5} , φ(X)AX{1,2,3 }, φ(Y)AY{5}, φ(Z)AZ{1, 5}
    となる写像φで集合族{Aλ}λΛを定義する
  と同じ。
  この例で、「集合W,X,Y,Zすべてについて〜が成り立つ」は、
  集合族を用いた表現「すべてのλΛについて、Aλが〜」と同じ。
集合族では、添数集合Λに実数部分集合など非可算の集合を用いることができる。
  添数集合Λに非可算集合を割り当てた集合族を用いると、
  個別的な集合の定義
    (例「集合W{1,2,3,4,5}, 集合X{1,2,3}, 集合Y{5}, 集合Z{1,5}とする」)や、
  集合列の定義
  にはできない表現が可能になる。

添数集合Λを、R上の閉区間[0,1] とする。すなわち、添数集合Λ {tR|0≦t≦1} 
 λΛに対して、集合Aλを、R2上の点(λ,0)を中心とする半径2の円周上の点の集合とする。
    すなわち、Aλ { (x,y)R2|(x−λ)2y2=4 } 
 このようにすると、集合族{Aλ}λΛは、
     中心(0,0)の半径2の円周、…、中心(0.1 ,0)の半径2の円周、…、中心(0.2,0)の半径2の円周、…、中心(0.9,0)の半径2の円周、…、中心(1,0)半径2の円周
 という無限個の集合を、
 中心のx座標でインデックスしたものとなる。 
   
[志賀『集合への30講』第12講(p.74); ]


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定義:集合列 sequence of sets

 集合列とは、集合のA1,A2,A3,…を指す。
 厳密には、
 自然数の集合Nないしその部分集合I定義域とし、
 集合を値としてとる (集合系(集合の集合)値域とする) 写像(関数) 「φ:IX」のことで、
 値を、独立変数nNを添数に用いてAn と表す。
 つまり、集合A1φ(1) の表現、集合A2φ(2) の表現、…である。
集合族との関連で言うと、
 有限の集合列 A1,A2,A3,…,An とは、  
   集合族{ Aλ}λΛ において、添数集合Λ{1,2,3,…,n}とした特殊例。
 無限の集合列 A1,A2,A3,… とは、
   集合族{ Aλ}λΛ において、添数集合Λ{1,2,3,…}Nとした特殊例。
 →増大列減少列単調列 
 →集合列の和union/intersection 
 →集合列の極限 


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定義:部分集合族 

設定

集合族{ Aλ}λΛ 、集合Xが与えられているとする。

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5.C(p.44)集合族との関連。
 

定義

集合族{ Aλ}λΛ が集合Xの部分集合族であるとは、
    任意のλΛについて、集合Aλ集合X であることをいう。
 →部分集合系、(ベキ集合の部分集合としての)部分集合族  

定義域(添数集合)Λ:集合{W,X,Y,Z}
 値域集合系{ 集合{1,2,3,4,5} , 集合{1,2,3} , 集合{5} , 集合{1,5} }  として、
    φ(W)AW{1,2,3,4,5} , φ(X)AX{1,2,3}, φ(Y)AY{5}, φ(Z)AZ{1,5}
 となる写像φで定義された集合族{ Aλ}λΛ 、
  (要するに「集合W{1,2,3,4,5}, 集合X{1,2,3}, 集合Y{5}, 集合Z{1,5}」からなる集合族
 集合Ω{1,2,3,4,5,6,7,8,9} 
 が与えられているとする。
 任意のλΛについて、集合Aλ集合Ωであるから、
 (つまり、Wについて、集合AW{1,2,3,4,5}集合Ω{1,2,3,4,5,6,7,8,9}  
      Xについて、集合AX{1,2,3}集合Ω{1,2,3,4,5,6,7,8,9}  
      Yについて、集合AY{5}集合Ω{1,2,3,4,5,6,7,8,9}  
      Zについて、集合AZ{1,5}集合Ω{1,2,3,4,5,6,7,8,9}  )
 集合族{ Aλ}λΛ は、集合Ωの部分集合族である。

定義:部分集合列 

 [部分集合族の定義から、自分で作成]
(設定) 有限の集合列 A1,A2,A3,…,Anないし無限の集合列 A1,A2,A3,…、
    集合Xが与えられているとする。
(本題) 有限の集合列 A1,A2,A3,…,Anないし無限の集合列 A1,A2,A3,…が
    集合Xの部分集合族であるとは、
    任意のk{1,2,3,…,n}ないし任意のk{1,2,3,…}Nについて、
    集合Ak集合X であることをいう。
部分集合族との関連で言うと、
  集合族{Aλ}λΛ添数集合をΛ{1,2,3,…,n}ないし{1,2,3,…}Nとした特殊例。


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定義:集合族の和集合union  

定義

集合族{Aλ}λΛ の和集合union






Aλ
 

λΛ


[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5. C(p.44)。


 とは、
 xAλとなる添数集合Λの元(添数)λが少なくとも一つ存在するようなx全体の集合。
 すなわち、






Aλ
{x|(λΛ)(xAλ) }  

λΛ


  

・Λ{ A,B,C,D,E,F } とする集合族{Aλ}λΛは、集合AA, AB, AC, AD, AE, AF からなるが、
 これを略して、集合A,B,C,D,E,Fと書くことにする。 
 集合A,B,C,D,E,Fが下図のようになっているならば、




集合族{Aλ}λΛ和集合
Aλ
ABCDEFは、 下図青色部分となる 

λΛ



   集合族の和集合
    

集合族{Aλ}λΛ値域は、集合系(集合の集合)となるが、
この集合系のunionが、集合族 {Aλ}λΛunionと一致する。 

添数集合Λ{1,2,3,…,n}とした特殊例が、有限集合列の和集合
添数集合Λ{1,2,3,…}Nとした特殊例が、無限集合列の和集合。 



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定義:集合族のintersection (積集合・共通部分)

定義

集合族{Aλ}λΛintersection (積集合・共通部分)






Aλ
 

λΛ


[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5. C(p.44)。


 とは、
 添数集合Λのどの元(添数)λについても、xAλとなるx全体の集合。
 すなわち、






Aλ
{x|(λΛ) (xAλ) }  

λΛ


・Λ{A, B, C, D, E} とする集合族{Aλ}λΛは、集合AA, AB, AC, AD, AE からなるが、
 これを略して、集合A,B,C,D,Eと書くことにする。
 集合A, B, C, D, E が下図のようになっているならば、




集合族{Aλ}λΛintersection
Aλ
ABCDEは、下図青色部分となる。 

λΛ


    集合族のintersection

集合族{Aλ}λΛ値域は、集合系(集合の集合)となるが、
この集合系のintersectionが、集合族{Aλ}λΛintersectionと一致する。

添数集合Λ{1,2,3,…,n}とした特殊例が、有限集合列のintersecton
添数集合Λ{1,2,3,…}Nとした特殊例が、無限集合列のintersection


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 定義:集合列のunion(和集合)

定義

・有限の集合列 A1,A2,A3,…,An のunion (和集合)とは、
   A1A2A3An のことであり、

n


記号

Ak
 

k=1


 で表す。
・無限集合列A1,A2,A3,…のunion (和集合)とは、
   A1A2A3… のことであり、




記号

Ak
 

k=1


 で表す。

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5. C(p.44)集合族との関連。
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.3.;
 ・伊藤『ルベーグ積分入門p .6;

集合族との関連で言うと、
 有限の集合列 A1,A2,A3,…,An のunion (和集合)とは、




集合族{Aλ}λΛunion(和集合)
Aλ
 

λΛ


 において、添数集合Λ{1,2,3,…,n}とした特殊例。

無限の集合列 A1,A2,A3,… のunion (和集合)とは、




集合族{Aλ}λΛunion(和集合)
Aλ
 

λΛ


 において、添数集合Λ{1,2,3,…}Nとした特殊例。



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定義:集合列のintersection (積集合・共通部分)

定義

・有限の集合列 A1,A2,A3,…,An  のintersectionとは、
   A1A2A3An のことであり、

n


記号

Ak
 

k=1


 で表す。
・無限集合列 A1,A2,A3,…,  のintersectionとは、
   A1A2A3… のことであり、




記号
Ak
 

k=1


  で表す。

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5. C(p.44)集合族との関連。
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.3.;
 ・伊藤『ルベーグ積分入門p.6;

集合族との関連で言うと、
 有限の集合列 A1,A2,A3,…,An のintersectionとは、




集合族{Aλ}λΛintersection Aλ
 

λΛ


 において、添数集合Λ{1,2,3,…,n}とした特殊例。

無限の集合列 A1,A2,A3,… のintersectionとは、




集合族{Aλ}λΛintersection Aλ
 

λΛ


 において、添数集合Λ{1,2,3,…}Nとした特殊例。

集合列のintersectionunionと差で表すことができる。

n


n

Ak
A1
A1Ak

k=1


k=2
   [高木『解析概論』第9章Lebesgue積分105節集合算(p.397)]



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定義:集合列の直和 disjoint union 

定義

・有限の集合列 A1,A2,A3,…,An が互いに素であるとする。
 このとき、
   A1A2A3An を、

n


記号
Σ
Ak
 

k=1


 で表す。

・無限集合列 A1,A2,A3,…が互いに素であるとする。
 このとき、
   A1A2A3… を、




記号
Σ Ak
 

k=1


  で表す。

[文献]

 ・伊藤『ルベーグ積分入門p.6;


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 reference

日本数学会編集『岩波数学事典(第三版)』 岩波書店、1985年。項目58関数D族・列(p.158)
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、第1章§5.A-B-C(pp.42-6)。
志賀浩二『集合への30講』朝倉書店、1988年、第12講(pp.72-75)、問の答(p.183)。
矢野公一『共立講座21世紀の数学4距離空間と位相構造』共立出版、1997年、付録A.1.3集合と選択公理(pp.226-7.)
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年。 pp.1-4.
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、p.49.
黒崎達(いたる)『集合論演習』槙書店、1975年、第5章。
伊藤清三『ルベーグ積分入門』裳華房、1963年、pp.4-7。


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