集合から論理へ : トピック一覧


【基本】


 ・定義:集合の内包 

【元と集合の関係を表す述語・命題関数】


 ・性質:∈を表す述語・命題関数/ ∈の否定を表す述語・命題関数

【集合から演算によってつくられた集合の内包】


 ・性質:積集合の内包をなす述語・命題関数/和集合の内包をなす述語・命題関数/補集合の内包をなす述語・命題関数/差集合の内包をなす述語・命題関数
 ・性質:普遍集合を表す「述語・命題関数の属性」…扱う集合の内包をなす述語・命題関数の議論領域 

【集合間関係を表す命題】


 ・性質:集合間の包含関係⊂を表す命題/集合間の一致=を表す命題/普遍集合との一致を表す命題/空集合との一致を表す命題/互いに素を表す命題  

性質:集合間の包含関係⊂を表す命題







[文献]
 ・彌永昌吉『数の体系(上)』U集合・写像・構造(p.28)
 ・前原『記号論理入門』 第1章§6.1(p.10)
 ・中谷『論理』 5.4B必要条件と十分条件(pp.129-30) 
 ・本橋『新しい論理序説』3.3(pp.44-56) 
 ・黒崎達『集合論演習』1章U(3) (p.11)


 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』は記述なし。
 【言葉で】

   「集合Aは『集合B部分集合』」
   「集合Aは集合Bに含まれる」  A B  

   という主張は、

   「普遍集合Ωのどのをとってみても、
     そのが『集合Aの内包をなす性質・条件』を満たすならば
         そのは『集合Bの内包をなす性質・条件』も満たす」

   という命題に言い換えてよい。


 【記号で】

  [設定]
    ・P(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数P(x)
    ・Q(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数Q(x)
    ・Aは、P(x)真理集合 { xΩ | P(x)        
    ・Bは、Q(x)真理集合 { xΩ | Q(x)           
   とする。

  [本論]

   この設定の下で、
   以下の表現は、互いに言い換えてよい。 
    【表現1】 A B    
        すなわち、 { xΩ | P(x) { xΩ | Q(x) }   

    【表現2-1】 ωΩ ( ω A ω B ) 
         すなわち、 ωΩ ( ω { xΩ | P(x) } ω{ xΩ | Q(x) } )  
    【表現2-1'】 ωA ( ω B )
         すなわち、 ω { xΩ | P(x) } (  ω{ xΩ | Q(x) } )  [DeLaFuentep.9]  
    【表現2-2】 ωΩ ( ωの元ではない B ωの元ではない A ) 
    【表現2-3】 ωΩ (  ωの元ではない A または ω B ) 
    【表現2-4】 ωΩ ¬ ( ωA かつ ωの元ではない B )
    【表現2-5】 ¬ ωΩ ( ωA かつ ωの元ではない B )    

    【表現3-1】 ωΩ ( P(ω) Q(ω) )      
    【表現3-1'】 ωAQ(ω) )         すなわち、 ω { xΩ | P(x) } (  Q(ω) )         [DeLaFuentep.9] 
    【表現3-2】 ωΩ ( ¬Q(ω) ¬P(ω) ) 
    【表現3-3】 ωΩ (  ¬P(ω) または Q(ω) ) 
    【表現3-4】 ωΩ  ¬ ( P(ω) かつ ¬Q(ω) )
    【表現3-5】 ¬ ωΩ ( P(ω) かつ ¬Q(ω) )    


  ※どうして、【表現1】と 【表現2-1】とを互いに言い換えていいの?
    「AB 」の定義が 「 ωΩ ( ωA ωB ) 」 だから。

  ※どうして、【表現2-1】と 【表現2-2】【表現2-3】【表現2-4】とを互いに言い換えていいの?
     ⇒の言い換え可能表現にしたがって。  

  ※どうして、【表現2-4】と 【表現2-5】とを互いに言い換えていいの?
      全体否定の言い換えにしたがって。
  
  ※どうして、【表現2-1】と 【表現3-1】とを互いに言い換えていいの?
    ・ω { xΩ | P(x) }  P(ω) は互いに言い換えてよい()。
     同様に、ω { xΩ | Q(x) }  Q(ω) も互いに言い換えてよい()。
     したがって、【表現2-1】と【表現3-1】とは、互いに言い換えてよい。



性質:集合間の一致を表す命題






[文献]
 ・竹内『集合とはな にか―はじめて学ぶ人のために』1章立場の変換(p.30)
 ・中谷『論理』 5章命題関数と集合-5.1真理集合-一意性の公理(外延性の公理)(p.103)
 ・前原『記号論理入門』 第1章;§6(p.11)。
 ・彌永昌吉『数の体系(上)』U集合・写像・構造(p.28)  


 
   
 【言葉で】

   普遍集合Ωのなかで「集合Aと集合B等しい」という主張は、

    「議論領域Ω内の全ての対象について、
      『その対象が《集合Aの内包をなす性質・条件》を満たすことと
       その対象が《集合Bの内包をなす性質・条件》を満たすこととは同値』」

   という主張に言い換えてよい。

 【記号で】

  [設定]

    ・Aは、{ xΩ | P(x) }  で定義される集合
    ・Bは、{ xΩ | Q(x) }  で定義される集合
    ・P(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数P(x)
    ・Q(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数Q(x)
   とする。

  [本論]

    この設定の下で、

    「 A B 」と「xΩ(P(x)Q(x))」とは、互いに言い換えてよい。   

   ※なぜ?
     →中谷『論理』 (p.103)



性質:普遍集合・全体集合との一致を表す命題







[文献]
 ・中谷『論理』 5章命題関数と集合-5.1真理集合(p.103) 


 
 【言葉で】

   「集合A普遍集合Ωに等しい」という主張は、

   「議論領域Ω内の全ての対象は、『集合Aの内包をなす性質・条件』を満たす」

   という命題に言い換えてよい。

 【記号で】

  [設定]

    ・Aは、{ xΩ | P(x) }  で定義される集合
    ・P(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数P(x)
   とする。

  [本論]

    この設定の下で、

    「 A Ω 」と 「 xΩ P(x) 」 とは、互いに言い換えてよい。   


 ※中谷『論理』5.2(p.116)「全体集合は恒真関数(→同p.24)に対応」



性質:空集合との一致を表す命題







[文献]
 ・中谷『論理』 5章命題関数と集合-5.1真理集合(p.104) 


 
 【言葉で】

   「集合A空集合である」という主張は、

   「議論領域Ω内のどの対象も、
       『集合Aの内包をなす性質・条件』を満たさない

   「『集合Aの内包をなす性質・条件』を満たす対象は、
           議論領域Ω内に一つも存在しない」

   という命題に言い換えてよい。

 【記号で】

  [設定]

    ・Aは、{ xΩ | P(x) }  で定義される集合
    ・P(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数P(x)

   とする。

  [本論]

    この設定の下で、

    「 A φ 」と 「 xΩ ¬P(x) 」 「¬ ( xΩ P(x) ) 」とは、互いに言い換えてよい。   


 ※中谷『論理』5.2(p.116)「全体集合は恒偽関数(→同p.25)に対応」




性質:「互いに素」を表す命題







[文献]


 ・中谷『論理』 5章命題関数と集合-5.2真理集合(p.112):述語への言いかえはない
 【言葉で】

 1. 「集合Aと集合Bとは互いに素交わらない)」という主張は、

   「議論領域Ω内のどの対象も、
       『集合Aの内包をなす性質・条件』『集合Bの内包をなす性質・条件』の両方は満たさない

   「『集合Aの内包をなす性質・条件』『集合Bの内包をなす性質・条件』の両方を満たす対象は、
           議論領域Ω内に一つも存在しない」

   という主張に言い換えてよい。

 2. 「集合Aと集合Bとは互いに素交わらない)」という主張は、

   「議論領域Ω内のどの対象も、
       『集合Bの内包をなす性質・条件』を満たすならば、『集合Aの内包をなす性質・条件』を満たさない」
   
   「議論領域Ω内のどの対象も、
       『集合Aの内包をなす性質・条件』を満たすならば、『集合Bの内包をなす性質・条件』を満たさない」
 
   という主張に言い換えてよい。


 【記号で】

  [設定]

    ・Aは、{ xΩ | P(x) }  で定義される集合
    ・Bは、{ xΩ | Q(x) }  で定義される集合
    ・P(x) , Q(x) は、Ωを議論領域とする述語・命題関数

   とする。

  [本論]

  1. この設定の下で、

    「 AB = φ 」と 「 xΩ ¬P(x)かつ Q(x)) 」 「¬ ( xΩ(P(x) かつ Q(x)) 」とは、互いに言い換えてよい。   

 
    ※なぜ? 空集合との一致を表す命題積集合の内包をなす述語・命題関数の組み合わせ。 

  2. この設定の下で、

    「 AB = φ 」 と 「 ωΩ ( Q(ω) ¬ P(ω) ) 」 「 ωΩ ( P(ω) ¬ Q(ω) ) 」 とは、互いに言い換えてよい。   

     ※なぜ?
      ・「集合Aと集合Bとは互いに素」の同値条件より、
         「AB φAc BABc 」 
                ω(ωBω属さないA  )」ω(ωAω属さないB  )」    
      ・ここでの設定 A{ xΩ | P(x) } , B{ xΩ | Q(x) } 
      ・上記二点より、AB φω(ω{ xΩ | Q(x) }ω属さない{ xΩ | P(x) }  ) ω(ω{ xΩ | P(x) }ω属さない{ xΩ | Q(x) }  )    
      ・上記と∈を表す述語・命題関数,∈の否定を表す述語・命題関数より、  
         AB φω( Q(ω) ¬ P(ω)  ) ω( P(ω) ¬ Q(ω) )