対応  correspondence  : トピック一覧

・対応の定義:対応 
・対応を組み立てている概念:始集合/終集合//逆像 
・対応の属性:相等/定義域/値域/グラフ(対応とグラフの関係) 
・対応から組み立てられる関係:逆対応(逆対応のグラフ/逆対応の定義域/逆対応の値域/逆対応の逆対応)/合成合成の結合則)    
・対応の諸類型:分類基準/一意対応/一対一対応/写像/単射/一対一写像/全射/全単射 
対応関連ページ:写像/1変数関数(1次関数 ) /2変数関数/n変数関数/実数値関数/ベクトル値関数 
集合論目次 
総目次 

定義:集合Aから集合Bへの対応 correspondence、 始集合 initial set、終集合 final set、像 image、逆像 inverse image  

定義

集合Aから集合Bへの対応f:AB」とは、
  集合Aの各aに対して、
  集合B部分集合f(a)を    (「集合B」をではない!)
  定める規則f
  のことをいう。

[文献] 

・松坂『集合・位相入門』第1章§3.B (pp.23-4);
・『岩波数学事典』項目57関係B対応(p.157)
・高橋『経済学とファイナンスのための数学』2.1(p.27)
・彌永『集合と位相』§2.2(p.33)。
Fischer, Intermediate Real Analysis, U.2.Def2.1 (p.44):直積の部分集合。関係。対応。割り当て。
DeLaFuente,Mathematical Methods and Models for Economists,I-1-4-Correspondence(p.23)
上記文献以外では、記述が見当たらなかった。
De La Fuenteの定義は、日本の文献での定義と、少し異なる。
 このノートでは、『岩波数学事典』を規準とする。

定義

・集合Aから集合Bへの対応「f:AB」において、
 「fの始集合initial set」 とは、
   
集合Aのことを指す。

定義

・集合Aから集合Bへの対応「f:AB」において、
 「対応fの終集合final set」 とは、
   
集合Bのことを指す。

[例]

対応の例

 上の図例では、
 ・対応f始集合は集合A、対応f終集合は集合B、
 ・「fによるa1f(a1)={b1,b3}、「fによるa2f(a2)=φ
  「fによるa3f(a3)={b1,b3} 、「fによるa4f(a4)={b2}
 ・「fによるb1逆像f−1(b1)={a1,a3}、「fによるb2逆像f−1(b2)={a4}
  「fによるb3逆像f−1(b3)={a1,a3} 、「fによるb4逆像f−1(b4)=φ  
 となっている。

定義

・集合Aから集合Bへの対応「f:AB」において、
 「fによるa」 とは、 
   
対応fが、aAに対して割り当てた「集合B部分集合」 f (a)
 のことを指す。
・記号 f (a) で表す。

定義

・集合Aから集合Bへの対応「f:AB」において、
 「『終集合Bbの、対応fによる原像・逆像 inverse image」とは、
   「対応fによって『終集合Bbを割り当てられた『定義域A』」
    をあつめた集合
 のこと。

・対応で《多対多の割り当て》も許容されている点に留意して、
 もう少し厳密に言うと、
 対応「f:AB」において、
 「『終集合Bbの、対応fによる原像・逆像 inverse image」とは、
   『終集合Bbを、『対応fによる』のなかに含む「集合A」の集合
   { aA | bf(a) } 
  のこと。
・記号 f−1(b) で表す。
・もちろん、
 「『集合Bbの、対応fによる原像・逆像 inverse image」は、
   集合A部分集合になっている。
  f−1(b){ aA | bf(a) }   A

注意

・冒頭の定義を注意深く読むと、わかるように、
 対応は、
 始集合の一つのにたいして、
   終集合の一つのではなく、終集合の部分集合(一つのでも、複数のでも、ゼロ個の[つまり空集合φ]でもよい)
 を割り当てる関係であるから、
 集合Aから集合Bへの対応f:AB」では、
    ・始集合Aの一つのにたいして、終集合Bの一つのを割り当てるという関係
         つまり、aAに対して、f(a)={b} (ただし、bB) という割り当てかた
 のみならず、
    ・始集合Aの一つのにたいして、終集合Bの複数のを割り当てるという関係
         つまり、aAに対して、f(a)={b1,b2,…bn} (ただし、b1,b2,…bnB) という割り当てかた
 も、
    ・始集合Aの一つのにたいして、終集合Bの0個のを割り当てる(要するに、終集合Bを割り当てない)という関係
         つまり、aAに対して、f(a)=φ という割り当てかた
 も、
  許容されている。
  (なぜなら、{b}も、{b1,b2,…bn}も、φも、「集合B部分集合」だから。 )  
・また、集合Aから集合Bへの対応f:AB」の定義は、
 始集合Aの異なる二つのaa' に対して、f(a)=f(a')となることを排除していない。
 だから、
 始集合Aの異なる二つのaa' に対して、f(a)=f(a')となるような関係であっても、
 対応と呼んで差し支えない。
・つまり、対応f:AB」は、
 始集合Aから終集合Bへの1対1の割り当てのみならず、
 始集合Aから終集合Bへの1対多の割り当て、
 始集合Aから終集合Bへの1対0(つまり割り当て拒否)、
 始集合Aから終集合Bへの多対1の割り当て、
 をすべて許容する、
 「始集合Aから終集合Bへの割り当て」全般を広範に指す概念だということになる。  

対応の下位類型:分類基準/一意対応/一対一対応/写像/単射/一対一写像/全射/全単射

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定義:対応の相等

定義

・「AからBへの対応ff'が等しい」、すなわち、ff'
 とは、
 A任意aに対して、そのf、f'による等しい
  すなわち、( aA ) (f(a)f'(a) ) となることをいう。
・「AからBへの対応ff'が等しい」ことを、
   ff' 
 とあらわす。

[文献]

・松坂『集合・位相入門』第1章§3.B (p.24);

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定義:対応のグラフ

定義

AからBへの対応fのグラフ G(f) とは、
   直積A×B部分集合 {(a,b)| aA, bf(a) } 
 のことを言う。
  すなわち、G(f){(a,b)| aA, bf(a) }
 このことは、次のように言いかえられる。
 ・aA, bBに対し、(a,b)G(f) bf(a) 
 ・f(a){b| (a,b)G(f) } 

[文献]

・松坂『集合・位相入門』第1章§3.C (p.24);
・彌永『集合と位相』§2.2(p.33)。

以下の写像の集合一元論的定義も参照のこと。
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』1.2.1(pp.10-11) 
 ・竹内外史『集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために』(pp.105-9)

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定理:グラフがあれば、対応が存在する。

定理

 直積A×B任意部分集合Cに対し、
 C= G(f)となるような、
 対応fABがただ一つ存在する。 
 (グラフの定義・定理の解釈)
  AからBへの対応を一つ決めることと、
  直積A×Bの一つの部分集合を選ぶことは、同じ。

[文献]

・松坂『集合・位相入門』第1章§3.C定理1 (p.25)証明付;


以下の写像の集合一元論的定義も参照のこと。
 ・斉藤『数学の基礎:集合・数・位相』1.2.1(pp.10-11) 
 ・竹内外史『集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために』(pp.105-9)

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定義:対応の定義域domain

T.直感的な説明
U.厳密な定義


[ケース1-0の例]            
[ケース1-1]
対応の割り当てタイプ1対応 1対0の割り当て
[ケース1-2の例]
対応 1対多の割り当て対応 1対多の割り当て

[T.直感的な説明]

step1

 対応f:AB」の定義では、
  [ケース1-0] 始集合Aに属すaに対して、
         終集合Bに属す一個を割り当てるケース
                   (1対1の割り当て)
            たとえば、f(a){b} (右図)
 のほか、
  [ケース1-1] 始集合Aに属すaに対して、
         終集合Bに属すを割り当てないケース
          つまり、f(a)φ となるケース(右図)
                       (1対0の割り当て)
 や、
  [ケース1-2] 始集合Aに属すaに対して、
         複数の「終集合Bに属す」を割り当てるケース
         (1対多の割り当て)
          たとえば、f(a){b1,b3}, f(a){b1,b2,b3} (右図)
 も容認されていた。
 だから、
 [ケース1-1][ケース1-2]のような割り当てが f でなされていても、
 f は「対応」と呼ばれるのだった。

step2

・ということは、
 対応f:AB」の始集合Aには、
   [ケース1-0]終集合Bに属す一個を割り当てられた 
   [ケース1-2]複数個の「終集合Bに属す」を割り当てられた 
   [ケース1-1]終集合Bに属すを割り当てない   
 という3タイプのが含まれ得るわけである。

step3

・これら3タイプの「始集合A」のうち、
   [ケース1-0]終集合Bに属す一個を割り当てられた 
   [ケース1-2]複数個の「終集合Bに属す」を割り当てられた 
 という2タイプのをあつめた集合を、
 「対応fAB』の定義域」と呼ぶ。        

・「f始集合A」のなかで、『f定義域D』ではない部分は、
   [ケース1-1]終集合Bに属すを割り当てない   
 の集合である。 
 記号でかくと、AD{aA | f(a)φ }  

[対応の具体例の定義域]

 ・写像の定義域(写像では、始集合は定義域である)
 ・1変数関数の定義域/2変数関数の定義域/n変数関数の定義域/実数関数一般の定義域
 ・ベクトル値関数の定義域
 ・


図例


対応fAB」の右図の例では、
    f(a1){b1,b3}φ
    f(a2)φ
     f(a3){b1,b3}φ 
    f(a4){b2}φ 
だから、
右図の例において、 「対応fAB」の定義域は、{a1,a3,a4} である。
   
対応の例

[U.厳密な定義]


定義

[グラフによる定義]

 「対応fAB」の定義域とは、
   (a,b)G(f)となるbBが少なくとも一つ存在するような
   Aa全体のつくるA部分集合 
      {aA| (bB) ( (a,b)G(f) ) }    
  のこと。

[グラフによらない定義]

・「対応fAB」の定義域とは、
   集合Aから「f(a)φを満たすa」を収集した集合
      {aA | f(a)φ } 
  のこと。    [彌永『集合と位相』§2.2(p.33)]
   

[文献]

・松坂『集合・位相入門』第1章§3.C〜D (pp.25-7)
彌永『集合と位相』§2.2(p.33)。
・『岩波数学事典』項目57関係B対応(p.157)



・だから、 
 「『f始集合Aに属すのに『f定義域』には属さない」とは、
  fによってφを割り当てられる(つまり、終集合Bを一個も割り当てられない)「A」である。
 つまり、
  『f始集合A』と『f定義域D』の差集合 AD{aA | f(a)φ }    

→[トピック一覧:対応]
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定義:対応の値域range 

T.直感的な説明
U.厳密な定義

[直感的な説明]

[ケース2-0の例]        
 対応の割り当てタイプ1
[ケース2-1の例]
 対応 多対1の割り当て 対応多対1の割り当て
[ケース2-2の例]
 対応0対1

step1

 対応f:AB」の定義は、
  [ケース2-0] 『終集合Bに属すb』を割り当てられた『始集合Aに属す
        は一個だけ
        となるケース(1対1の割り当て)
        たとえば、 f−1(b){a} (右図)

 のほか、
  [ケース2-1] 『終集合Bに属すb』を割り当てられた『始集合Aに属す
        が複数
        となるケース(多対1の割り当て)
        たとえば、f−1(b){a1,a4}, f−1(b)={a1,a3,a4}(右図)  
 や、
  [ケース2-2] 『終集合Bに属すb』を割り当てられた『始集合Aに属す
        が皆無
        となるケース (0対1の割り当て)       
        つまり、f−1(b)φ となるケース
 も容認していた。

 だから、
 [ケース2-1][ケース2-2]のような割り当てを、f がおこなったとしても、
 f は「対応」と呼ばれるのだった。

step2

・ということは、
 対応f:AB」の終集合Bには、
  [ケース2-0]「一個だけの『始集合Aに属す』」から割り当てられてくる
  [ケース2-1]「複数個の『始集合Aに属す』」から割り当てられてくる
  [ケース2-2]始集合Aに属す』からの割り当てがない
 という3タイプのが含まれ得るわけである。

step3

・これら3タイプの「終集合B」のうち、
 [ケース2-0]「一個だけの『始集合Aに属す』」から割り当てられてくる
 [ケース2-1]「複数個の『始集合Aに属す』」から割り当てられてくる
 という2タイプのをあつめた集合を、
 「対応fAB』の値域」と呼ぶ。
 記号でかくと、「対応fAB』の値域」とは、 
      {bB | f−1(b)φ } 
 として定義される。

・「f終集合B」のなかで、『fの値域f(A)』ではない部分は、
   [ケース2-2] 始集合Aに属す』からの割り当てがない     
 の集合である。 
 記号でかくと、Bf(A){bB | f−1(b)φ }  


図例


対応fAB」の右図の例では、
   f−1(b1){a1,a3}φ 
   f−1(b2){a4}φ 
   f−1(b3){a1,a3}φ    
   f−1(b4)φ    
だから、
右図の例において、 「対応fAB」の値域は、{b1,b2,b3} である。

対応の例

[厳密な定義]


定義

[グラフによる定義]

 「対応fAB」の値域とは、
   (a,b)G(Γ)となるaAが少なくとも一つ存在するような
   Bb全体のつくるB部分集合 
     {bB| (aA) ( (a,b)G(Γ) ) } 
  のこと。

[グラフによらない定義]

 「対応fAB」の値域とは、
   集合Bから「f−1(b)φを満たすb」を収集した集合
      {bB | f−1(b)φ } 
  のこと。[松坂『集合・位相入門』第1章§3.D文末(p.27)]

[文献]

・松坂『集合・位相入門』第1章§3.C〜D (pp.25-7)
彌永『集合と位相』§2.2(p.33)。
・『岩波数学事典』項目57関係B対応(p.157)

→[トピック一覧:対応]
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定義:一意対応 univalent correspondence 

→[予備知識不要の定義/「対応の定義域」を用いた定義/他の「対応の類型」との関係/図例]


定義

[予備知識不要の定義]

・「集合Aから集合Bへの一意対応 f」とは、
  下記条件を満たす「集合Aから集合Bへの対応f:AB」のこと。
  **(条件****************************
  ・対応fは、
    どの『f始集合Aに属す』に対しても、
      0個ないし1個の『終集合Bに属す』を割り当てなければならない。
  ・つまり、
   対応fは、
    どの『f始集合Aに属す』に対しても、 
    次の2方法のいずれかで『終集合Bに属す』を割り当てねばならない。
        (割り当て方法1)終集合Bに属す』を一個も割り当てない
                 対応 1対0の割り当て
        (割り当て方法2)終集合Bに属す』一個を割り当てる
                 対応の割り当てタイプ1
  ・論理記号で表すと、
     ( aA ) ( f(a)φ または f(a)一元集合 ) 

  **(以上、条件終わり**************
  

[文献]

・『岩波数学事典』項目57関係B対応(p.157) :定義域を用いた定義  

[関連事項]

・対応の諸類型:分類基準/一対一対応/写像/単射/一対一写像/全射/全単射
        →一覧表:対応の分類基準と6分類の定義 
        →ベン図:対応の6分類の包含関係

 


・「一意対応ではない対応」とは、
   上記条件を満たさない対応
    すなわち、
    「二個以上の『終集合B』を割り当てた『f始集合Aに属す』」(たとえば、下図の『f始集合に属すa)を、
    少なくとも一つ以上は出す対応
 のこと。
       対応 1対多の割り当て対応 1対多の割り当て  


  →[一意対応定義の冒頭へ]


定義

[「対応の定義域」を用いた一意対応の定義]


・「集合Aから集合Bへの一意対応 f」とは、
  下記条件を満たす「集合Aから集合Bへの対応f:AB」のこと。
  **(条件****************************
  ・対応fは、
    どの『f定義域に属す』に対しても、
        『終集合Bに属す』一個を割り当てなければならない(右図)。
  ・つまり、
   対応fは、
    どの『f定義域に属すa』に対しても、
           f(a)一元集合とならなければならない(右図)。
  **(以上、条件終わり**************

・「一意対応ではない対応」とは、上記条件を満たさない対応である。





対応の割り当てタイプ1

[解説]

 ・この「『対応の定義域』を用いた定義」は、
  先述の「予備知識不要の定義」と全く同じ。
 ・その鍵は、
  「『対応の定義域』を用いた定義」の条件のなかの
    「どの『f定義域に属す』に対しても」
  という文言にある。
 ・上記条件は、『f定義域に属さない』については、何も述べていない。 
  『f定義域に属さない』とは、
     「終集合Bを一個も割り当てられない『A』」(右図a)
  のことだった。
 ・ということは、
  対応f一意対応と呼ばれるために満たすべき条件
[f定義域に属さない]
対応 1対0の割り当て

   「どの『f定義域に属す』に対しても、『終集合Bに属す』一個を割り当てる」
  とは、
   「どの『f始集合に属す』に対しても、
            『終集合Bに属す』を一個も割り当てない
            または
            『終集合Bに属す』一個を割り当てる」
     ( aA ) ( f(a)φ または f(a)一元集合 )   
  ということであり、
  この条件を満たさない「一意対応ではない対応」とは、
   「『f始集合に属す』に対して、終集合Bを二個以上割り当てる場合もある」対応
  だということになる。
 ・だから、結局、「『対応の定義域』を用いた定義」は、「予備知識不要の定義」と全く同じになる。


  →[一意対応定義の冒頭へ]



[一意対応と他の「対応の類型」との差分]


一対一対応との差分:
  以下の追加的条件も満たす一意対応fは、「一対一対応」と呼ばれる資格がある。
一覧表:対応の分類基準と6分類の定義 
ベン図:対応の6分類の包含関係   

  **(一対一対応と呼ばれるための追加的条件********************
  ・どの『終集合Bに属す』についてであれ、
    一意対応fによって同一の『終集合Bに属す』を割り当てられた『始集合Aに属す』の個数は、
           0個または1個でなければならない。
  ・つまり、「一意対応f逆対応」も、一意対応でなければならない。
  ************************ 

写像との差分:
  以下の追加的条件も満たす一意対応は、「写像」と呼ばれる資格がある。
  **(写像と呼ばれるための追加的条件******************************
  ・一意対応fは、どの『f始集合Aに属す』に対しても、0個の『終集合Bに属す』を割り当ててはならない。
   一意対応fは、どの『f始集合Aに属す』に対しても、必ず1個の『終集合Bに属す』を割り当てねばならない。
  ・つまり、一意対応f始集合A全体が定義域とならねばならない。
  ******************************** 

単射との差分:
  以下の2つの追加的条件をともに満たす一意対応は、「単射」と呼ばれる資格がある。
  **(単射と呼ばれるための追加的条件******************************
  [条件1] 一意対応fは、どの『f始集合Aに属す』に対しても、0個の『終集合Bに属す』を割り当ててはならない。
       一意対応fは、どの『f始集合Aに属す』に対しても、必ず1個の『終集合Bに属す』を割り当てねばならない。
       つまり、一意対応f始集合A全体が定義域とならねばならない。
  [条件2] どの『終集合Bに属す』についてであれ、
        一意対応fによって同一の『終集合Bに属す』を割り当てられた『始集合Aに属す』の個数は、
           0個または1個でなければならない。
         つまり、「一意対応f逆対応」も、一意対応でなければならない。
  *[条件1]は「一意対応写像と呼ばれるための追加的条件」、[条件2]は、「一意対応一対一対応と呼ばれるための追加的条件」に他ならない
  ******************************** 

全射との差分:
  以下の2つの追加的条件をともに満たす一意対応は、「全射」と呼ばれる資格がある。
  **(単射と呼ばれるための追加的条件******************************
  [条件1] 一意対応fは、どの『f始集合Aに属す』に対しても、0個の『終集合Bに属す』を割り当ててはならない。
       一意対応fは、どの『f始集合Aに属す』に対しても、必ず1個の『終集合Bに属す』を割り当てねばならない。
       つまり、一意対応f始集合A全体が定義域とならねばならない。
  [条件2] どの『終集合Bに属す』についてであれ、
        一意対応fによって同一の『終集合Bに属す』を割り当てられた『始集合Aに属す』の個数が0個
       となってはならない。
       つまり、一意対応fによって『始集合Aに属す』に割り当てられずに売れ残った『終集合Bに属す』があってはならず、
       どの『終集合Bに属す』も、1個または複数の『始集合Aに属す』に割り当てなければならない。
  *[条件1]は「一意対応写像と呼ばれるための追加的条件」に他ならない。
  ******************************** 

全単射との差分:
  以下の2つの追加的条件をともに満たす一意対応は、「全単射」と呼ばれる資格がある。
  **(単射と呼ばれるための追加的条件******************************
  [条件1] 一意対応fは、どの『f始集合Aに属す』に対しても、0個の『終集合Bに属す』を割り当ててはならない。
       一意対応fは、どの『f始集合Aに属す』に対しても、必ず1個の『終集合Bに属す』を割り当てねばならない。
       つまり、一意対応f始集合A全体が定義域とならねばならない。
  [条件2] どの『終集合Bに属す』についてであれ、
        一意対応fによって同一の『終集合Bに属す』を割り当てられた『始集合Aに属す』の個数は、
           1個でなければならない。
  *[条件1]は「一意対応写像と呼ばれるための追加的条件」に他ならない。
  ******************************** 
 


  →[一意対応定義の冒頭へ]



[一意対応の図例]

 →一意対応の定義を満たす対応の例:1/2/3/4
 →一意対応ではない対応の例


[一意対応の定義を満たす対応の例1]


・右図の対応は、
    f(a1){b1}f(a2){b2}f(a3){b3}
 となっているから、
 どの『fの(定義域のみならず)始集合に属す』に対しても、
 『終集合Bに属す』一個を割り当ててている。
・したがって、右図の対応は、一意対応である。
・このような一意対応は、特に、一対一写像ないし単射と呼ばれる。

→[図例冒頭]


単射(一対一写像)   

[一意対応の定義を満たす対応の例2]


・右図の対応は、
    f(a1){b1}f(a2){b2}f(a3){b3}
 となっており、
  始集合Aa1,a2,a3に対しては、それぞれ、『終集合Bに属す』を一個ずつ
  割り当てていっている。
・しかし、f(a4)φ
  つまり、始集合Aには、
   『終集合Bに属す』を一個も割り当てないa4が存在する。
一意対応の例

・この対応には、
 定義域外の終集合Bを一個も割り当てられない『Aa4)も存在しているものの、
 『f定義域のあらゆる』(a1,a2,a3)にたいしては、一ずつを割り当てていっているので、
 一意対応の定義は満たしている。

→[図例冒頭]


[一意対応の定義を満たす対応の例3]


・右図の対応は、
    f(a1){b1}f(a2)φf(a3){b1}f(a4){b1}
 となっているから、
 『f定義域』は、{ a1,a3,a4 }
・『f定義域のあらゆる』にたいしては、一を割り当てているが、
  その割当先が重複している( {b1} )。
・このような対応でも、一意対応の定義は満たしている。
 一意対応の定義が問題としているのは、
 対応が、同一の「定義域」に対して何個の《終集合》を割り当てるか、
 であって、
 対応が、同一の「終集合」を、何個の《定義域の元》に対して割り当てるか、
 ではない。

→[図例冒頭]






一意対応の例

[一意対応の定義を満たす対応の例4]


・右図の対応も、
  同じ理由から、一意対応の定義を満たす。

・このように、始集合全体が定義域となっている一意対応は、
  特に、写像と呼ばれる。



→[図例冒頭]




一意対応の例

[一意対応ではない対応の例]

・右図の対応は、一意対応ではない。 
  f(a1){b1,b3}f(a2)φf(a3){b1,b3}f(a4){b2}
 となっていて、
 a1に対して、二{b1,b3}を、
 a3に対して、二{b1,b3}を、割り当てていることが、
 一意対応の定義に反している。

→[図例冒頭]


対応の例


  →[一意対応定義の冒頭へ]


婚姻制度の例で


→[トピック一覧:対応]
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Reference

日本数学会編集『岩波数学事典(第三版)』 岩波書店、1985年。項目57関係B対応(p157)
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、第1章§3.B-C-D(pp.23-7)。
彌永昌吉・彌永健一『岩波講座基礎数学:集合と位相I・II』 岩波書店、1977年、§2.2順序対、直積、対応、写像(p.33)。
Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics:Third Edition, McGraw Hill,1984. pp. 11-15,18-20,757.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、 p.27。

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