集合族family of sets、集合列の性質

[トピック一覧:集合族/列の性質]
 ・union∪の性質(集合族の場合/有限個の集合列の場合/無限個の集合列の場合)
 ・intersection∩の性質(集合族の場合/有限個の集合列の場合/無限個の集合列の場合)
 ・分配律(集合族の場合/有限個の集合列の場合/無限個の集合列の場合)
 ・ド・モルガン則(集合族の場合/有限個の集合列の場合/無限個の集合列の場合)

※集合族・集合列についての関連ページ:集合族・集合列の定義/写像と集合族・集合列の性質

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1.和集合unionの性質

1a.集合族の場合  




集合族{Aλ}λΛ におけるすべてのAλ含む様々な集合のなかで、
集合族{Aλ}λΛ の和集合が最小。

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5.C (p. 45);


集合族{Aλ}λΛにおけるすべてのAλを、「集合族{Aλ}λΛ和集合」は含む

 すなわち、 λΛに対してAλ
Aλ

λ∈Λ
 


集合族{Aλ}λΛ におけるすべてのAλを、集合Zが含むならば
   集合族{Aλ}λΛ の和集合を集合Zは含む 

 すなわち、[ (λΛ) (AλZ)]  
AλZ

λ∈Λ
 

集合族 {Aλ}λΛ の値域は、集合系(集合の集合)であり、
集合族 {Aλ}λΛ のunionは、この集合系のunionである。
だから、{Aλ}λΛ  のunionの性質は、集合系のunionの性質を継承する。
ここで述べた集合族{Aλ}λΛunionの性質も、集合系のunionの次の性質に他ならない。
 
 

(例)
 Λ{A,B,C,D,E,F} とする集合族{Aλ}λΛ は、
    集合AA,AB,AC,AD,AE,AF からなるが、
    これを略して、集合A, B, C, D, E, Fと書くことにする。 
    集合A, B, C, D, E, Fが右図のようになっているならば、

集合族{Aλ}λΛ和集合
Aλ

λ∈Λ
    は、下図青色部分となる。
    集合A,B,C,D,E,Fすべてを含む様々な集合(たとえば、下図Z)のうちで
    最小のものは、
    確かに、

Aλ

λ∈Λ
    であるようだ。
集合系の和集合は最小
 →集合系(集合族)Цに属する集合すべてを含む様々な集合のなかで、∪Цが最小
 →A∪Bは、AとBの両方を含む様々な集合のなかで、「最小」


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1b.有限の集合列の場合



有限の集合列 A1,A2,A3,…,An  におけるすべてのAk含む様 々な集合のなかで、

n



Ak
が最小。 

k=1


これは、1-a集合族の場合を、添数集合Λ{1,2,3,…,n}としただけ。

n



Ak
とは、 

k=1


集合族{Aλ}λΛunion(和集合) Aλ において、
λ∈Λ
     添数集合Λ{1,2,3,…,n}とした特殊例であったことを想起せよ。


有限の集合列 A1,A2,A3,…,An  におけるすべてのAkを、

n



Ak
含む。 

k=1


  

n

すなわち、k{1,2,3,…,n}に対して、Ak  
Ak
k=1


有限の集合列 A1,A2,A3,…,An におけるすべてのAkを、集合Z含むならば

n



Ak
を集合Z含む。 

k=1




n


すなわち、 [ (k{1,2,3,…,n}) Ak Z ] Ak Z
 
k=1




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1c.無限の集合列の場合



無限の集合列 A1,A2,A3,… におけるすべてのAk含む様々な集合のなかで、





Ak
が最小。 

k=1


これは、1-a集合族の場合を、添数集合Λ{1,2,3,…}Nとしただけ。




Ak
とは、 

k=1


集合族{Aλ}λΛunion(和集合) Ak において、
λ∈Λ
     添数集合Λ{1,2,3,…}Nとした特殊例であったことを想起せよ。


無限の集合列 A1,A2,A3,… におけるすべてのAkを、




Ak
含む。 

k=1






すなわち、k{1,2,3,…}Nに対して、Ak  
Ak
k=1


無限の集合列 A1,A2,A3,… におけるすべてのAkを、集合Z含むならば





Ak
を集合Z含む。 

k=1






すなわち、 [ (kN) Ak Z ] Ak Z
 
k=1





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2.intersectionの性質


2a.集合族の場合 



集合族 {Aλ}λΛ におけるすべてのAλに含まれる様々な集合のなかで、
集合族 {Aλ}λΛintersectionが最大。

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5.C (p.45);


集合族 {Aλ}λΛ におけるすべてのAλに、集合族 {Aλ}λΛintersection含まれる
すなわちλΛに対して、Aλ
Aλ
λΛ



集合族 {Aλ}λΛ おけるすべてのAλに集合Zが含まれるならば
集合族 {Aλ}λΛintersectionは集合Zを含む
すなわち、  [ (λΛ) (Aλ)Z ]
Aλ 

Z
λΛ



集合族{Aλ}λΛ値域は、集合系(集合の集合)であり、
集合族{Aλ}λΛunionは、この集合系のunionである。
だから、集合族{Aλ}λΛunionの性質は、集合系のunionの性質を継承する。
ここで述べた集合族 {Aλ}λΛunionの性質も、集合系のunionの次の性質に他ならない。
 →Цに属するすべての集合に含まれる様々な集合のなかで、∩Цが最大


(例)
 Λ={ A, B, C, D, E } とする集合族 {Aλ}λΛ  は、
 集合AA, AB, AC, AD, AE からなるが、
 これを略して、集合A, B, C, D, Eと書くことにする。 
 集合A, B, C, D, E が下図のようになっているならば、

Aλ 

は、下図青色部分となる。

λΛ

 集合A, B, C, D, Eのすべてに含まれる様々な集合(たとえば、下図のピンク部分)
 のうちで最大のものは、
確かに、 Aλ 
であるようだ。
λΛ

集合系の積集合は最大
     
 →Цに属するすべての集合に含まれる様々な集合のなかで、∩Цが最大
 →A∩Bは、AとBの両方に含まれている様々な集合のなかで、「最大」


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2b.有限の集合列の場合

 ・有限の集合列 A1,A2,A3,…,An  におけるすべてのAkに含まれる様 々な集合のなかで、

n



Ak
が最大。 

k=1


 ・有限の集合列 A1,A2,A3,…,An  におけるすべてのAkに、

n



Ak
含まれる。 

k=1




n

すなわち、k{1,2,3,…,n}に対して、Ak   Ak
k=1

 ・有限の集合列 A1,A2,A3,…,An におけるすべてのAkに集合Z含まれるならば

n



Ak
は集合Z含む。 

k=1




n


すなわち、 [ (k{1,2,3,…,n}) Ak  Z ] Ak  Z
 
k=1


 ※これは、2-a集合族の場合を、添数集合Λ={1,2,3,…,n}としただけ。

n



Ak
とは、 

k=1


集合族{Aλ}λΛintersection Aλ において、
λ∈Λ
     添数集合Λ{1,2,3,…,n}とした特殊例であったことを想起せよ。

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2c.無限の集合列の場合

 ・無限の集合列 A1,A2,A3,… におけるすべてのAkに含まれる様々な集合のなかで、





Ak
が最小。 

k=1


 ・無限の集合列 A1,A2,A3,… におけるすべてのAk




Ak
含まれる。 

k=1


  



すなわち、k{1,2,3,…}Nに対して、Ak   Ak
k=1
  

 ・無限の集合列 A1,A2,A3,… におけるすべてのAkに、集合Z含まれるならば





Ak
は集合Z含む。 

k=1






すなわち、 [ (k{1,2,3,…}N) Ak  Z ]   Ak  Z
 
k=1


 ※これは、1-a集合族の場合を、添数集合Λ{1,2,3,…}Nとしただけ。




Ak
とは、 

k=1


集合族{Aλ}λΛintersection Aλ において、
λ∈Λ
     添数集合Λ{1,2,3,…}Nとした特殊例であったことを想起せよ。


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3.集合族・集合列の分配律

3a.集合族の場合

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5.C(式5.1,5.1') (p.45);
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』定理1.1.3(p.4)]

(

Aλ
) B
  
(AλB)
λ∈Λ λ∈Λ

(
Aλ
) B
(AλB)
λ∈Λλ∈Λ

3b.有限個の集合列の場合


(
n
) B
n
Ak (AkB)
k=1
k=1

(
n
) B
n
Ak (AkB)
k=1
k=1

3c.無限個の集合列の場合



(


) B

Ak (AkB)
k=1
k=1

(

) B

Ak (AkB)
k=1
k=1






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4.集合族・集合列のド・モルガンde Morgan

4a.集合族の場合

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§5.C(式5.2,5.2') (p.45);
 ・伊藤『ルベーグ積分入門p.7;
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学』定理1.1.3(p.4)

(

Aλ
)
c
( Aλc )
λ∈Λ
λ∈Λ

(
Aλ
)c ( Aλc )
λ∈Λ
λ∈Λ

4b.有限個の集合列の場合


 ・(A1A2A3An)c(A1)c (A2)c (A3)c (An)c  
         ※普通は以下のように書く
(
n
)
c
 
n
Ak
( Akc )
k=1

k=1

 ・(A1A2A3An)c  (A1)c (A2)c (A3)c (An)c    
         ※普通は以下のように書く
(
n
)
c
 
n
Ak
( Akc )
k=1

k=1
 

4c.無限個の集合列の場合



 ・(A1A2A3…)c (A1)c (A2)c (A3)c … 
          ※普通は以下のように書く
(

)
c
 

Ak
( Akc )
k=1

k=1

 ・ (A1A2A3…)c  (A1)c (A2)c (A3)c …   
         ※普通は以下のように書く。
(

)
c
 

Ak
( Akc )
k=1

k=1
  



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reference

日本数学会編集『岩波数学事典(第三版)』 岩波書店、1985年。項目58関数D族・列(p.158)
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、第1章§5.A-B-C(pp.42-6)。
矢野公一『共立講座21世紀の数学4距離空間と位相構造』共立出版、1997年、付録A.1.3集合と選択公理(pp226-7.)
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年。 pp.1-4.
伊藤清三『ルベーグ積分入門』裳華房、1963年、pp.6-7。


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