包含関係・部分集合「¬ AB」「¬ BA」の言い換え   


【言い換え1】 A含まれないB」「B含まれないA」は、「Ac含まれないBc」「AcB≠Ω」「ABc ≠ φ」「AB φ」と互いに言い換え可。

【言い換え2】  「A含まれないB」「B含まれないA」は、「ABB」「ABA」と互いに言い換え可。


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「¬AB」「¬BA」の言い換え可能表現 






【文献:証明付】
 ・中谷『論理』 5.3-B-(1)(p.125):証明付;5.3-B-練習問題4-1(3)(p.125):証明(p.183)→証明 : ABについて。
 ・彌永『集合と位相I』 問題1.9(1)(pp.22-23): ABについて。

【文献:証明なし】
 ・彌永『数の体系(上)』(p.29)証明なし: ABについて。
 ・黒崎『集合論演習』1章W補充雑題(1) (p.26): ABについて。
 ・一楽『集合と位相―そのまま使える答えの書き方』問題1.1.6 (p.15): ABについて。


 ・井関『集合と論理』2.2(p.56):証明なし : ABについて。

・下記表現は、いずれも互いに言い換え可能。

 【表現1】 A含まれないB ないし B含まれないA
       「ABの部分集合でない」 「BAを含まない」 
 【表現1l】 ¬ ωA ( ω B )
        「Aに属す全てのは、Bに属す」ということはない。
 【表現2】 ・Ac含まれないBc    《Aの補集合》は《Bの補集合を含まない。 
      ないし
      ・Bc含まれないAc   《Bの補集合》は《Aの補集合の部分集合でない
     
 【表現3】 AcB Ω 
       《集合Aの補集合と《集合Bを併せても、Ω全体にならない
 【表現4】 ABc φ 
       《集合A》と《集合Bの補集合交わる
 【表現4-】 AB   φ   

 【表現5】 ωAの元ではない B ) 
        Bに属さない《A》は存在する。

 どうして、言い換えていいの?
 
 【ポイント】

  ・「ならば⇒」には、三つの同義表現がある。 [→「ならば⇒」の同義異表現]
  ・「A含まれないB」ないし「B含まれないAは、「⇒ならば」をつかって、定義された。
  ・「ならば⇒」に三つの同義表現があることを反映して、「⇒ならば」で定義された「A含まれないB」ないし「B含まれないA」についても、三通りの同義表現がつくれることになる。それが、上記諸表現。 

 【詳細】
 






【表現1】 A含まれないB  ABの部分集合でない
 ないし B含まないA  BAを含まない 
  【例】 原子力村含まれない東大  原子力村は東大の部分集合ではありません
     東大含まない原子力村  東大は原子力村を含まない。  





  










    【表現1】と【表現1L】は互いに言い換え可能  【どうして?】 「A含まれないB」ないし「B含まないA」の定義に従って。
















【表現1'】  ¬(AB)  ABの部分集合でない
  ないし ¬(BA)  BAを含まない  
  【例】 ¬(原子力村東大) 原子力村は東大の部分集合ではありません
     ¬(東大原子力村) 東大は原子力村を含まない















         【表現1】と【表現1L】は互いに言い換え可能 【どうして?】 AB」ないし「BA」の定義に従って。
















【表現1L】 ¬ ωΩ ( ω A ω B )
     「Ωすべてのは、Aに属すならばBに属す」ということはない。
  【例】 ¬ ω人類 ( ω原子力村 ω東大 )
 
    「誰しも、原子力村に属すならば、東大に属す」ってことはない。







【どうして?】






【表現1l】 ¬ ωA ( ω B )
        「Aに属す全てのは、Bに属す」ということはない。
  【例】 ¬ ω原子力村 ( ω東大  )
     「原子力村に属す全ての人が、東大に属す」ということはない。














  「∀ω∈A P(ω)」は、「∀ω(ω∈AP(ω) )」の省略形として定義されていて








【表現1L】と【表現2L】【表現3L】【表現4L】は互いに言い換え可能  【どうして?】 「ならば⇒」の同義異表現だから。    「∀ω( )」のΩの議論領域を明示した表記が「∀ω∈Ω(  )」だから。 















【表現2L】 ¬ ωΩ ( ωの元ではない B ωの元ではない A )
     「Ωすべてのは、Bに属さないならば、Aに属さない」ってことはない。
  【例】 ¬ ω人類 ( ωの元ではない 東大 ωの元ではない 原子力村 ) 
 
    「なんぴとも、東大に属さずんば、原子力村に属さず」ってことはない。








【どうして?】







【表現2S】 ¬ { xΩ | xの元ではないB { xΩ |  xの元ではないA } 
       「《Bに属さない》を満たす《Ω》の集合」は、
           「《Aに属さない》を満たす《Ω》の集合」の部分集合ではない。
  【例】 ¬ { x人類 | xの元ではない東大  { x人類 |  xの元ではない 原子力村 }
        《東大に属さない人の集合》は、
            《原子力村に属さない人の集合》の部分集合ではない。






【どうして?】








【表現2】 ¬ BcAc 
         《Bの補集合》は《Aの補集合の部分集合ではない。
  【例】 ¬ 東大c原子力村c 
          《東大の補集合》は《原子力村の補集合の部分集合ではない。





 補集合の定義 : Ac { xΩ | x属さないA }Bc { xΩ | x属さないB }    



【どうして?】







【表現2】  Bc含まれないAc    
      《Bの補集合》は《Aの補集合の部分集合ではない。
  【例】  東大c含まれない原子力村c 
      《東大の補集合》は《原子力村の補集合の部分集合ではない。





A含まれないB」ないし「B含まれないA」の定義から。





【表現1L】と【表現2L】【表現3L】【表現4L】は互いに言い換え可能  【どうして?】 「ならば⇒」の同義異表現だから。   「aΩ(P(a)Q(a))」「{xΩ|P(x)}{xΩ|Q(x)}」は言換可(x (⇒)の集合表現参照)。 














【表現3L】 ¬ ωΩ ( ωの元ではないA または ωB )
      「Ωすべてのは、Aに属さないか、Bに属す」ってことはない。
  【例】 ¬ ω人類 (  ωの元ではない 原子力村 または ω 東大 )
      「《原子力村に属さない》《東大に属す》の少なくとも一方に
       誰しも該当する」
       ということはない。







【どうして?】







【表現3S】 ¬ ( { xΩ |  xの元ではないA または xB }  Ω )
      「《Aに属さないまたはBに属す》を満たす《Ω》の集合」は
                       Ω全体に等しいということはない。  
   【例】 ¬ ( { x人類 |  xの元ではない原子力村 または x東大 }  人類 ) 
      《原子力村に属さない》《東大に属すの少なくとも一方を満たす人を集めても、
                            人類全体にはならない。







【どうして?】







【表現3s】 ¬ (  { xΩ |  xの元ではないA }   { xΩ |   xB } Ω ) 
        「Aに属さないΩ》の集合」と「Bに属すΩ》の集合」を併せても、
          Ω全体にならない。

  【例】 ¬ ( { x人類 |  xの元ではない原子力村 }  { x人類 | x東大 }  人類 )
        「原子力村に属さない人の集合」と「東大に属す人の集合」を併せても、
           人類全体にはならない。








【どうして?】







【表現3'】 ¬ (  Ac B Ω ) 
          《Aの補集合》と集合Bを併せても、Ω全体にならない。
  【例】 ¬ (  原子力村c   東大  人類 ) 
            《原子力村の補集合》と東大を併せても、
            人類全体にならない。





補集合の定義より、{ xΩ | x属さないB }  Bc だから。



【どうして?】

の定義






【表現3】  Ac B Ω  
       《Aの補集合》と集合Bを併せても、
        Ω全体にならない。
  【例】  原子力村c   東大  人類 ) 
       《原子力村の補集合》と東大を併せても、
                人類全体にならない。









【表現1L】と【表現2L】【表現3L】【表現4L】は互いに言い換え可能 【どうして?】 「ならば⇒」の同義異表現だから。   「x∈Ω P(x)」「{xΩ|P(x)}Ω」は言い換えてよいから。(x P(x)の集合表現参照)       
  {x|P(x)またはQ(x)}{x|P(x)}{x|Q(x)} だから(P(x)またはQ(x)」の真理集合 参照)。     










【表現4L】 ¬ ωΩ ¬ ( ωA かつ ωの元ではないB )
      「Ωすべてのが、
       《Aに属し かつBに属さない》という行為をしない」
      ということはない。
  【例】 ¬ ω人類 ¬ ( ω原子力村 かつ ωの元ではない 東大 ) 
      「誰しも
       《原子力村には属しつつ、東大に属さない》という行為をしない」
      ということはない。






【どうして?】







【表現4S】  ¬ ( {xΩ|xAかつxの元ではないB }φ )
       「《Aには属すがBには属さない》を満たす《Ω》の集合」は
                            空集合にならない
  【例】 ¬ (  { x人類 | x 原子力村 かつ xの元ではない  東大 } φ  )
       《原子力村には属すが 東大には属さない》人を集ると、空集合にならない。







【どうして?】








【表現4s】  ¬ ( { xΩ | x A  } { xΩ | xの元ではない B } = φ  )
      「Aに属すΩ》の集合」と「Bに属さないΩ》の集合」は互いに素ない

  【例】 ¬ ( { x人類 | x 原子力村  } { x人類 | xの元ではない東大 } = φ  ) 
      「原子力村に属す人の集合」と「東大に属さない人の集合」は互いに素ない





{x|P(x)かつQ(x)}{x|P(x)}{x|Q(x)} だから(P(x)かつQ(x)」の真理集合参照)。



【どうして?】







【表現4'】  ¬ ( ABc = φ  )
            集合Bと《Aの補集合》は互いに素ない

  【例】 ¬ ( 原子力村   東大c  φ )
            原子力村と《東大の補集合》は互いに素ない





補集合の定義より、{ xΩ | x属さないB } Bc だから。 



【どうして?】

の定義






【表現4】  ABc  ≠ φ 
         集合Aと《Bの補集合》は交わる
  【例】 原子力村   東大c  ≠ φ  
         原子力村と《東大の補集合》は交わる







【どうして?】
集合の差

の定義
から。






【表現4-】   AB   φ   )
 
   【例】 原子力村東大 φ






【表現4L】と【表現5L】は互いに言い換え可能 【どうして?】  全体否定の同義2表現だから。   「xΩ ¬P(x)」「{xΩ|P(x)}φ」は言い換えてよいから。(全体否定の集合表現参照)




 
 







【表現5L】  ¬¬ ωΩ (ωAかつωの元ではない B )
       「Aに属し かつBに属さない」という「Ω」は皆無ではない。
  【例】  ¬¬ ω人類 ( ω原子力村 かつ ωの元ではない 東大 ) 
       《原子力村には属しつつ、東大に属さない》人間は皆無ではない。






【どうして?】
二重否定






【表現5'】  ωΩ (ωAかつωの元ではないB )
             「Aに属し かつBに属さない」という「Ω」は存在する。
  【例】  ω人類 ( ω原子力村 かつ ωの元ではない 東大 ) 
           《原子力村には属しつつ、東大に属さない》人間はいる。







【どうして?】









【表現5】  ωAの元ではないB )  Bに属さない「A」は存在する。
  【例】  ω原子力村 ( ωの元ではない東大 )
          原子力村には《東大に属さない者》がいる。





「∃ω∈A P(ω)」 という記号が、「∃ω(ω∈A かつ P(ω) )」の省略形として定義されていて、
        さらに、「∃ω( )」の議論領域Ωを明示した表記が「∃ω∈Ω(  )」だから








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