集合の計算法則・性質 : トピック一覧

 1.部分集合    : ABかつBCならAC / φ⊂A⊂Ω / Ωの部分集合A,Bに対して、ABと、AcBcと は同等
 2.∪と∩     : ベキ等律 / 交換律 / 結合律 / 分配律 / 吸収律 / Ωとの∪,∩
 3.部分集合と∪,∩: ABABの 両方を含む様々な集合のなかで最小 / ABABの 両方に含まれている様々な集合のなかで最大
            包含関係の∪,∩を用いた必要十分条件 / 包含関係の∪,∩を用いた必要条件
 4.補集合     : 補 集合の補集合 / 空集合/全体集合の補集合 / 自らの補集合との∪,∩ / 包含関係と補集合
 5.空集合の性質 、 6.差集合の性質 、 7.ド・モルガ ン則
関連ページ:集合の基本概念−定義と記号/集合系(族)・ベキ集合/対応/写像/特性関数・定義関数/集合族と集合列/被覆/極限集合/集合関数・点関数

 
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1.集合の包含関係(部分集合)についての性質





「推移性」

 任意の集合A,集合B,集合Cについて、
  (AB ) かつ  (BC ) ならば、(AC)


【文献】

 松坂『集合位相入門
   第1章§1-D-式1.4(p.10)

【なぜ?】

  部分集合の推移性 








 任意の集合Aについて、φAΩ

【文献】

 松坂『集合位相入門』1章§1D-1.5(pp.10-11)

【なぜ?】

φAと いえるわけは、
 任意のxに対して、
  xφxA が成り立つ(*)から。
・さらに、これが成り立つわけは、
 任意のxに対して、
  xφが成り立たない(**)から。
・(**)が(*)の理由になるのが
 奇妙に思われるひとは、
 「ならば)」の真理値表による定義
 を確認せよ。








任意のΩ部分集合A,Bに対して、AB Ac Bc

【文献】

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§1-D-式2.15 (p.17)
 ・中谷『論理』 5.3-B-(5.28)(p.123):証明付。
 ・彌永昌吉・彌永健一『集合と位相I』 問題1.10(vi)(p.23):証明なし

【なぜ?】

  部分集合と補集合 





 

2.unionintersectionに ついての性質

a.ベキ等律

集合Aについて、
  ・AAA 
  ・AAA 

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-A-式2.4 (p.13)

b.Communitative law 可換法則・交換法則・交換律

集合A,集合Bについて、
  ・AB BA
  ・AB BA 

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-A-式2.5 (p.13);
 ・中内『ろんりの練習帳』定理3.1.9(p.139);
c.Associative law 結合法則・結合律

集合A,集合B,集合Cについて、
  ・(AB) C A (BC) 
  ・(AB) C A (BC) 

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-A-式2.6 (p.13);中内『ろんりの練習帳』定理3.1.9(p.139);
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.3(p.6)

d.Distributive law 分配法則・分配律

集合A,集合B,集合Cについて、
  ・A(BC) (AB) (AC) 
  ・A(BC) (AB) (AC) 

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-B-式2.10 (p.15);中内『ろんりの練習帳』定理3.1.9(p.139);
 ・クラメール『統計学の数学的方法』1.3(p.5)

e.Absorption law 吸収法則・吸収律

集合A,集合Bについて、
  ・A(AB) A
  ・A(AB) A

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-B-式2.11 (p.16);

f.Ωとのunion/intersection

集合Aについて、
  ・Ω A A
  ・Ω A Ω



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3.部分集合とunion,intersectionとが絡んだ性質

a. ABは、ABの両方を含む様々な集合のなかで「最小」。

 ・A(AB), B(AB)
 ・(AC) かつ (BC (AB)C

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-A-式2.2-3;2.7-9 (pp.13-4);
 ・中谷『論理』 5.3-B-(5.29)(p.123):証明付。

[解釈] ABは、ABの両方を含む様々な集合のなかで、「最小」。
   A∪Bは、A,Bを含む集合のなかで最小。
一般化 。 

b. ABは、ABの両方に含まれている様々な集合のなかで、「最大」

A(AB), B(AB)
   [ ABは、ABの両方に含まれる集合である]
・(AC)かつ(BC) (AB)C 
   [ ABは、ABの両方に含まれる任意の集合を、その内に含む] 

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-B-式2.2'-3' (p.15);
 ・中谷『論理』 5.3-B-(5.2.31)(p.124):証明略。

[解釈] ABは、ABの両方に含まれている様々な集合のなかで、「最大」。
   積集合は最大
 →一般化

c.包含関係と同値なunion,intersectionを用いた表現

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-A式2.7(p.14);§2-B式2.7'(p.15);
 ・中内『ろんりの練習帳』例題3.1.20(p.141);  
 ・中谷『論理』 5.3-B-(5.2.30)(p.123):証明付(p.124);(5.2.32)(p.124):証明略。
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』1.1.3-(iv) (p.2);演習問題1.1-ex1.1.2(ii)(p.7):「ABABA」の証明

  AB   ABB    ABA

d. 包含関係の必要条件

[文献]


AB  (AC)(BC)  ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-A式2.8 (p.14)

AB  (AC) (BC)  ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-B式2.8' (p.15)


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4.補集合の性質

[補集合補集合]
   (Ac )c A

[文献]

 ・中内『ろんりの練習帳』注意3.1.34(p.147);
 ・松坂『集合・位相入門』第1章§2-D-式2.12-5 (p.17)

包含関係と補集合
 ・中谷『論理』 5.3-B-(5.28)(p.123):証明付。
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブック[1変数関数編]』演習問題1.1-ex1.1.4(iii)(p.8):証明
 ・彌永昌吉・彌永健一『集合と位相I』 問題1.10(vi)(p.23):証明なし
[空集合と全体集合の補集合]
   φc  Ω , Ωc φ  
[自らの補集合とのunion/intersection]
   AAc Ω、 AAc φ
[包含関係と補集合]
   AB Ac Bc
    (なぜ?)
      部分集合と補集合


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5.空集合の性質


φA A[文献] 中内『ろんりの練習帳』注意3.1.24(p.144);松坂『集合・位相入門』第1章§2A式2.9 (p.14)

φAφ [文献] 中内『ろんりの練習帳』注意3.1.24(p.144);松坂『集合・位相入門』第1章§2B式2.9' (p.15)

φcΩ , Ωcφ [文献] 松坂『集合・位相入門』第1章§2-D式2.12-5 (p.17)

AAcΩ、 AAcφ  [文献] 松坂『集合・位相入門』第1章§2-D式2.12-5 (p.17)

任意の集合Aφを含む 
  φA 
[文献] 松坂『集合・位相入門 』第1章§1-D式1.5 (pp.10-11)

   (なぜφA?)
     ・φAといえるわけは、任意のxに対して、xφxA が成り立つ(*)から。
     ・さらに、これが成り立つわけは、任意のxに対して、xφが成り立たない(**)から。
     ・(**)が(*)の理由になるのが奇妙に思われるひとは、「ならば)」の真理値表による定義を確認せよ。

 【例】

  いかなる集合Aに対しても、φAだから、
  以下はすべて正しい。
   φハーバード大学 
   φ国連  
   φ中国共産党 
   φ自民党 
   φ新自由クラブ 
   φ米米クラブ 
   φカルチャークラブ  
   φジャニーズ事務所 
   φ SMAP 
   φPerfume
    :
  あらゆる組織に、φの暗躍の影。
  φおそるべし。



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6.差集合の性質


AC (AC)C A(AC)ACc[文献] 中内『ろんりの練習帳』定理3.1.28(pp.144-5):証明付; 松坂『集合・位相入門』第1章§2問題3(a)

・(AB)C (AC)(BC) [文献] 中内『ろんりの練習帳』定理3.1.28(pp.144-5):証明付; 松坂『集合・位相入門』第1章§2問題4(e)


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7.ド・モルガン則

Ω部分集合A,Bに対して。

・(AB)c = Ac Bc
  →なぜ?
    ド・モルガン則
 ・(AB)c = Ac Bc
   →なぜ?
    ド・モルガン則  
 →複数の集合への一般化

[文献]

 ・中内『ろんりの練習帳』定理3.1.36-7(p.148):証明付


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reference

日本数学会編集『岩波数学事典(第三版)』 岩波書店、1985年。項目162A(pp428-429), 163 (p.432)
Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics:Third Edition, McGraw Hill,1984, pp. 11-15,18-20,757.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年。 pp.1-4.
矢野・田代『社会科学者のための基礎数学:改訂版』裳華房、1993年、一四〇頁。(直積について)
吉田・栗田・戸田『昭和63年度用 高等学校数学I』啓林館、1987年、pp.44-49, 62, 。
柳川堯『統計数学』近代科学社、1990, pp.1-2.
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、第1章§1-D部分集合(pp.8-11)、§2(pp.12-17)。
中内伸光『数学の基礎体力をつけるためのろんりの練習帳』共立出版株式会社、2002年、第3章集合と写像、3.1集合。

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