いわゆるネットブームがどうして生じるかというと、ほとんど何の労力もなしにできてしまうから、って部分が大きいからなんじゃないでしょうか。だから、どうしても頼りないって部分があるんですよね。ちょっと楽しいと思ったなら、ちょっとネットに慣れてる人なら誰もがそのノリを楽しめ、盛り上がることができる。これは素晴らしい事ですし、俺もそれが楽しいからこそこうしてサイトなどやってたりするわけで。
でもだからこそ、その盛り上がりの儚さというか、芯のもろさというのも感じてしまうのです。実際にお金を払って商品を楽しむという行為には、単にお金だけでなく、実際に購入する手間や、実際にそれを試してみる時間といった、いわゆるリソースが必要なんです。時間も移動も労力も、人間が持つリソースの一つ。
ネットのすごいところは、そういったリソースの消費を極限まで削れることなんですよ。メールしかり、ネット通販しかり。そして、ブームなどの情報入手もその一つ。それどころか、いわゆるネットブームというのは、それを眺めること自体がすごい楽しいことなわけで。恐ろしいことに、このネットそのものの楽しさというのは、その話題になっている対象物の、商品としての競合相手にすらなりえるんです。
なにを馬鹿な、と思われるかもですが、ちょっと考えてみてください。たとえば我々は、2ちゃんなどでエロゲの情報をチェックして、それで購入タイトルを絞ったりしますよね? この場合、ネットの情報がエロゲの購入という行為に直接役立っています。しかし、そんな自身の消費者行動をよく振り返ってみると、2ちゃんのエロゲ板を眺めてる時間のほうが、エロゲをプレイしている時間より遥かに長かったりしませんか? スレのチェックは欠かさずするのに、そのタイトル自体は積みゲーになっているとか。
これは別に、直接エロゲの売上を阻害しているわけではなく、積みでも売上は売上だし、もちろん純粋な意味では、ブームによる販促効果というのも確実にあるわけですが、やっぱり潜在的には、けっこう恐ろしいものなんじゃないかなー、と思うんです。あまりにも手軽なうえにアクティビティーさえあって、掲載している商品より商品価値の高い情報誌みたいなものじゃないですか、ネットって。nyでの直接被害とかじゃなくて(違法共有はただの犯罪だし論外)、そういう意味での負の部分もあると思います。非常に素晴らしい正の部分に隠れてますけれど。
漫画のアンケートとかとはちょっと違う方向に話が逸れてしまいましたが、このネットブームの特徴というテーマは、結構興味深いトピックです。なんというかネットって、烏合の衆が集まりすぎてものすごいことになってしまった正体不明のバケモノみたいですよね。きっとすごいものだというのは確かだけど、具体的にどうすごいのかは、わりと見えなかったりするわけで。