焼鳥つくね丼 2013  (吉牛40)


俺の大好きな吉野家の話である。
今回は、「新焼鳥つくね丼」(2013年) の実食リポートです。

2012年 ところで今回は吉野家のメニューの仕組みについて説明する所から始めてみたい。メニューにはレギュラーメニューと、期間限定メニューに分けられる。
レギュラーメニューは年間を通じて常に存在するメニューであり、いつでも食べられる安心感のある王道のアイテムである。それとは別に期間限定でしか食べられないメニューという物もある。
そしてここからが少々謎めいているのであるが、期間限定と謳っていないにも関わらずメニューから消えたり、そしてしばらく経ってからリニューアルされて再登場するメニューもあったりするのである。

吉野家は創業1899年、俺がこの文章を書いている今現在の2013年において、何と100年を超える歴史を重ねてきた企業体である。その歴史について語ろうとすると中途半端な紹介記事で終わらせる事は出来ないのでここではしない。しかし「牛丼の吉野家」として ざっくり100年もの間支持されてきた お店が牛丼以外のメニューを提供しなければならない状況であることも我々は受け止めなければならない事実なのである。

吉野家が牛丼以外のメニューを提供しなくてはならなくなった事実は、2003年12月24日のアメリカ産牛肉の狂牛病による報道から始まり、満1年以上もの間 日本国内において 牛丼を提供出来なかったのである。大きな理由としては、吉野家のこだわりである アメリカ産牛肉でなければメニューとして成り立たなかったことが挙げられるという。このアメリカ産牛肉でなくてはならない理由については、味(品質)と価格のバランスだけでは無い事情もあったりする。吉野家が欲しい部位であるショートプレートだけを大量に入手しようとすると、他の国の牛肉では流通の仕組み上難しかった事もあっての経緯であった。

2004年2月11日早朝に牛丼の販売が終了。その直後は、カレー丼、いくら鮭丼、豚キムチ丼、焼鳥丼、マーボー丼、親子丼、店舗によって取扱いアイテムや提供時期は様々であったが、牛丼ではないメニューが「牛丼の吉野家」から しばらくの間提供された。

2006年9月より限定的にではあるが牛丼販売を再開。全店での24時間販売の完全復活は2008年3月20日からとなった。
吉野家は牛丼を食べる店だったのである。
少なくとも2003年以前は。
狂牛病がらみの流通のいろんな制約もあったのは事実だが、この文章を書いている2013年現在も、吉野家は「牛丼を食べさせる店」である事に間違いはない。ただし、牛丼だけでは無く、その他にも幾つか違うメニューをも提供する店になった。

吉野家ファンにも色んなパターンがあるのだろうが、牛丼以外のメニューについて熱心に語る人には俺は今のところ会っていない。吉野家が好きだと大きな声で公言する人は他のメニューを一切認めずに、とにかく「牛丼だけ」という人たちも少なからずいる。定食メニュー、朝定食メニューも もちろんであるが、牛丼以外のメニューも 愛されて支持されていることも事実なのである。今までの俺の場合は「牛丼」が好き。それ以外は基本的にNGであった。しかしこの「焼鳥つくね丼」に出会ってからは吉野家に対する認識というか、お付き合いの関係がたいへん大きく変わった。
俺にとって吉野家は牛丼を食べに行く店だったのであるが、牛丼以外のメニューも期待して良いかもしれないという認識に変わったのである。それほどまでに、旨かった。
その大まかな特徴は、
1.食感のある軟骨入りのつくねをメインの具材として位置付け。
2.炭火焼風味の鶏モモ肉をトッピング。
3.白いご飯の上に具材とタレをかけた形で提供。
2012年のこの「焼鳥つくね丼」は相当に美味しかった。ただし大盛り限定の話。並盛ではつくねは1個しか乗っていないのである。大盛りでは倍の2個入っているというだけで、大盛りをオーダーしまくりでした。つくねの食感と甘すぎないタレの味わいが丼として新しい感じでした。

2013年 そしてここからが今回の本題。2013年の焼鳥つくね丼は昨年よりも更に旨いという話。
ししとうとうずらの卵が新規にトッピングされるようになりました。この変更は大きいですよ。ししとうなんかたったの1個添えられているだけなんだけど、それをいつどのタイミングで食べるかで、この料理そのものの評価が変わってしまうのではないか、というくらいに大きな存在感のある脇役である。そしてうずらの卵も存在感たっぷり。すぐに食べると冷たいので、丼の温度になじませてから食べる事をお薦めするが、これも幸福度を上げるトッピング。
丼メニューは具材とタレと白いご飯のバランスがすべてだと俺は思っているのだが、このメニューは何回でも続けて食べてみたいと俺は感じた。
吉野家メニューとしては、具材の主張が強すぎる点は否定しない。白いご飯よりも上に乗っかっている具材の方がまだ勝っている。つくねは軟骨入りで食感も充分だし、何よりも味わいがあって満足感がしっかりとある。つくね以外の鶏肉はモモ肉という事であるらしいが、まずくはないのだが特に特徴もない感じで、まぁそれなりに合格点である。本当にモモ肉かなと確かめながら食べたが、本当の所はよく判らなかった。 ムネ肉に油を足した感じでもそんなに結果は変わらないかもしれない。
タレの味は昨年の2012年は甘すぎる印象であったが、今年の2013年は具材と白いご飯とそしてタレとが全部一緒になった時の融合感が格段に向上していると感じた。甘いだけの味付けではなく、トータルの味わいとしての完成度に向けて調整されたようだ。これこそが全体の味や満足度を決める要(かなめ)であり、大きなポイント。良い仕事してますよ。


(ここから先は俺の妄想です)
「焼鳥つくね丼」をレギュラーメニューに入れてほしい気持ちはありますが、ここは敢えて これから先の毎年の 恒例販促として位置付けると楽しい?
基本のレギュラーメニューである「牛丼メニュー」 + 毎年定期的にやってくる季節限定の、しかも「その年だけの限定メニュー」の打ち出しです。

( 例えば、ですよ。 )
春 : たまねぎ、豆、貝
夏 : うなぎ、ネバネバ スタミナ、塩味
秋 : シチュー、おでん、ポトフ。秋野菜、秋のフルーツ。
冬 : 鍋、すきやき、しゃぶしゃぶ

レギュラーメニュー + 季節によって入れ替わる 毎年期待されるべき 季節の限定メニュー。季節ごとに期待される核のメニューがあって、毎年少しずつリニューアルして毎回新作という感じ。何だか楽しそうじゃないですか。

2013.8.28.
2013.9.8. (加筆)
2016.1.21.(メンテナンス修正)


【過去の吉牛ネタ】

39.仕事日に旨い吉牛
38.吉野家史上 最高のうまさへ。(!?)
37.焼鳥つくね丼
36.ねぎ塩豚丼
35.吉野家のセットメニュー #2
34. 8年ぶりの吉牛カレー
33.「具・ご飯・つゆ」のバランス
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31.焼味豚丼
30.屏風山PA
29.通販の魅力
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27.牛鍋丼は旨い
26.十割そば(その3)
25.2回目の豚丼
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14.1年ぶり、1日だけ。
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5.吉牛ネタ(その5)
4.吉牛ネタ(その4)
3.単位
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1.はじめての吉野家

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