つゆだく


メニューには載っていないのだが、どこの吉野家に行っても通用する注文の仕方に「つゆだく」があるのは有名な話だ。裏メニューでありながらも周知の事実であるという事がすごい。知らない人の為に補足すると「つゆ」を多めにかけてね、という注文の仕方の事である。

普通に頼んでも、白いご飯の上に具と一緒に適度なつゆがかけられているのだが、吉野家のつゆは非常に旨い。一時期ウッチャンナンチャンが吉野家のイメージタレントとしてCMに使われている時代に店でもらった小冊子にこのつゆについて非常に詳細な解説が書かれていたのだが、ゼロから作るのではなく、長い年月をかけて継ぎ足して作られているのだそうである。漬け物の「ぬか床」みたいなイメージだろうか。新規にオープンする店舗においては他の営業店舗からつゆを分けてもらってきて、それをベースにつゆ作りが始められるのだそうである。

好きずきだろうが俺はつゆだくを注文しない。通常の注文の仕方のバランスで充分満足である。あまりつゆが多すぎると、ほかほかの白いご飯の美味しさが損なわれてしまうような気がする。
先日、俺の隣に後から来た人がつゆだくを注文した。その時の店員の対応が俺の知らない対応の仕方であったのがちょっとした驚きだった。正確に言うと、注文の品を客に提供する時のそのセリフに驚かされたのである。
「お待たせいたしました。つゆだくの並でございます。つゆが足りないようでしたら追加しますのでお気軽にお申し付けくださいませ。」とつゆの分量が注文した客の嗜好に合っているかどうかのお伺いのセリフを客に対して発したのである。
その客は提供されたままのつゆだくの分量で満足したのか、特につゆの追加の要望をせずにそのまま最後まで食べていた。「つゆの追加」が出来るという事に俺は驚かされたのである。
俺にもまだ知らない事があったのだ。吉野家通を気取っていた自分が恥ずかしい。

そう言えば、思い出した。ずっと以前に「つゆ、だくだくね!だくだくだよ!!」と念押しの強い口調で注文していた客に遭遇した事がある。つゆだくの注文を受けた時に通常の何割増しでつゆが追加されるのか俺は知らないが、「だくだく」なんて言われた日にゃ、追加料金を取るべきなんじゃないかと俺は余計な心配をしてしまう。・・・って言うか、お茶漬けかクッパみたいになるまで、つゆをこれでもかっ!というくらいにぶっかけて、そういう客には出してやればいいんじゃないかと思うのである。
あぁ、こんな意地悪な発想が浮かんでしまう俺には、神聖な吉野家ではきっと働けないんだろうな。

2003.7.7.


【過去の吉牛ネタ】

6.がんばれ吉野家
5.吉牛ネタ(その5)
4.吉牛ネタ(その4)
3.単位
2.吉牛ネタ(その2)
1.はじめての吉野家






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