日本の教育に欠けている事−開業マニュアル−

土地家屋調査士は、土地の境界に最も詳しいスペシャリストです。
土地・建物の調査、測量、登記に関する仕事で社会に貢献しています。

開業マニュアル

23.日本の教育に欠けている最悪のこと

「日本の教育に欠けている最悪のこと」

結論から言いますと、「お金の教育」がまったくないということです。

日本の学校教育は、役所や企業など組織にとって、従順な労働者を大量に排出することでした。
それが日本の高度経済成長を支えて来たと言えます。

しかし、現代はいつリストラされるかわからない時代です。

リストラされた時に取る行動は、今までと同じく雇用者として再就職することです。気の利いた人は独立を考えるかもしれませんが、多くの人々は独立しようにもどうしたらいいのかわからないのが普通です。

つまり、雇用者は誰かに雇ってもらうことが唯一の収入源であり「お金を稼ぐ」ノウハウなわけです。ですから「お金の教育」は不要だったのかもしれません。

社会のシステムが安定していた時代はそれでも良かったでしょうが、これからは雇用されなくても生きて行ける知恵を授ける教育が何よりも必要だと思います。

学校で学ぶことが実社会では役に立たないことがほとんどです。実社会では、因数分解よりも金利計算(特に複利)の意味をしっかり理解して不必要な借金をしないことを学ぶことの方がはるかに重要です。

しかしながら、特に最近のサラ金のテレビコマーシャルには怒りさえ感じます。私が学生の頃は深夜の時間帯にチラッと出ていたものが、今ではゴールデンタイムはもちろん日中でも繰り返し繰り返し宣伝しています。

複利計算を知らない人が、あのコマーシャルを見てどう感じるのでしょう。
高金利であってもサラ金から借金することに何の抵抗も感じないのではないかと思います。

大口スポンサーとして君臨していれば、マスコミやメディアは批判すること自体タブーなことなのでしょう。大銀行も大口顧客として低利融資している間柄ですし、この問題の根は非常に深いものがあると思います。

銀行は「傘を持つ人に傘を貸し」、傘をさしてる人から「傘を取り上げる」行為を平気でやっています。不良債権を国民の血税で補填させておきながらサラ金に融資している構図は、銀行の不勉強この上ない本末転倒の行為ではないかと思うのです。

このようにお金に無秩序な社会へさほどの知識も持たない人々が「お金」とどう向き合って行くのか非常に心配になります。

このようなことは調査士事務所を開業しようとする場合も同様に、「お金の知識」は避けて通れません。
当り前のことですが、同じ借金でも借入が面倒なものほど低金利であり、簡単に借りられる借金は高金利です。

事務所開業時に借金するとしたら唯一「国民生活金融公庫」以外はないと思いますが、特に借金は慎重に判断すべきだと思います。

お金の知識として最近見つけた本ですが、事務所経営に役立つ素晴らしい書籍をご紹介したいと思います。

「会社にお金が残らない本当の理由」岡本吏郎(著)フォレスト出版

この本は、実際に調査士事務所をやってみて心底うなずける内容ばかりでした。今開業している方、これから開業する方にとって事務所経営の羅針盤として非常に役立つことと思います。

経営者として重要なのは内部留保だということ。言われてみればその通りなのですが、それを意識して10年やるのと、無頓着で10年ではえらい違いです。


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