独立開業後のコスト1−開業マニュアル−

土地家屋調査士は、土地の境界に最も詳しいスペシャリストです。
土地・建物の調査、測量、登記に関する仕事で社会に貢献しています。

開業マニュアル

2.独立開業後のコスト1(事務所他)

やったー!合格だ!

という状況から、合格証を手にしていよいよ独立の具体的行動を始めた方もいらっしゃることでしょう。

そこで、開業の際に必要なコスト面でのお話をしたいと思います。

運転資金

「開業する!」と決心したらまず当面の生活費500万円、開業に必要な機材一式(中古含む)約500万円、合計1,000万円は必要になると思います。

このような事を合格した私、次に何すればいいの?でお話しました。

あまりに大雑把なので生活費の部分を、やや詳しく解説しますね。

まず合計1,000万円の準備資金ですが、これは開業後1年以上まったく仕事が来ないことを想定した安全ラインです。

ですから、ここにいろいろな要素が加わると、増減します。

生活費の500万円ですが、もし配偶者が別に働いていたり、退職金や雇用保険が支給されたり、または月20万円以下で生活しているのであれば、その割合に応じて少なくてもいいわけです。

例えば、奥さんが看護士をしている友人の調査士さんは、主夫をしながら調査士をしています。実に気楽な稼業に見えてしまいます。(^^♪

また、少しでも仕事が来る見込みがあれば(建物登記が月1〜2件等)同様に余裕資金は少なくてもいいかもしれません。

事務所

ただ、問題は住宅ローンがある場合に、事務所をどこにするかです。

住宅ローンを抱えていると、毎月の固定費が確実に増えます。

自宅を事務所にする場合

もし、法務局の近くに事務所を構えると倍以上の経費になってしまいかねませんので、そのような場合は、自宅を事務所として活用するのがいいでしょう。月極駐車料もバカになりませんしね。

司法書士なら法務局の近くでなければ具合が悪いかもしれませんが、調査士なら、ほとんどこちらから出向く仕事になります。動き回ってなんぼの仕事ですから、めったにお客さんが訪ねて来ることはありません。

なので、自宅を事務所にすれば、住宅ローンを抱えていても感覚としては事務所の家賃を払っている状態と同じになりますから、気分的には楽です。

当然、通勤することもありませんので、その分を仕事の時間に当てられます。開業当初は慣れていないため、図面1つ作る場合でも余分な時間が必要ですから、この方が都合がいいかもしれませんね。

ただし、最大の弊害は、仕事とプライベートの区別が曖昧になることです。

気持ちの切り替えを上手にしないと、伸びきったパンツのゴムのようにダラダラした生活になりかねませんので注意が必要です。

サラリーマンは、組織の力で時間も行動も制限されているため、一層SOHOのような仕事に憧れますが、自分で時間を自由に決められる仕事や生活というのは、かなり強い意志や自制心が必要になります。

これは、やってみて初めて気づくことかもしれません。 (ーー;)

自宅を事務所にするメリットは他にもあり、自宅部分と事務所部分を案分(例えば4:6とか5:5とか)して確定申告すると、事務所部分を減価償却の対象にすることができます。これは非常に大きい節税につながります。さらに、住宅ローンの利子についても事務所の割合を経費に算入することができます。

このようなことは調査士に限らず、自宅を事務所として活用している仕事であれば、充分に応用可能ですので上手に節税してみて下さい。

最近は週末起業ということで、サラリーマンが勤務しながら、好きなことで起業する時代になって来ましたが、そういった方にもお勧めです。
書籍紹介:会社を辞めずに起業する!週末起業完全マニュアル

プレハブ事務所の検討

自宅を事務所として活用することは、メリットがある反面、デメリットもあるわけです。

デメリットで大きいのが、仕事のメリハリを付けにくいところですが、もし自宅の敷地に事務所を建てる用地があれば、プレハブ事務所を検討してみてはどうでしょうか。

こうすれば、職住分離がはっきりしますので、気持ちの切り替えもスムーズになります。

家族に仕事を手伝ってもらうような場合は、この方がお互い都合がいいでしょう。

最近は、土木工事など、工事現場で使った中古事務所が安く販売されています。20〜50万円ぐらいで格安の事務所ユニットを見かけることもありますので、大工さんに頼んだり新品を購入する前に、じっくり探してみて下さい。思いがけないお買い得品を見つけることもできます。

このような事務所は、断熱さえしっかりしていれば快適な事務所になります。注意点は床面積です。20畳あれば文句ありませんが、最低でも10畳は欲しいところです。

事務所と物置はセットで

また、測量業務など現場作業をこなす調査士事務所は、仕事に必要な道具や資材を保管、ストックする場所が必ず必要になります。

ですから、事務所と物置はセットで用意しましょう。

物置程度は自分で組み立てます。参考までに、私はイナバ物置を使ってますが、他メーカーの物置よりパーツが少ないので組み立てやすく、錆にも強くて丈夫です。広さは1.25坪のものがちょうどいいようです。

以上の事から、自宅の敷地は60坪ぐらいは必要でしょうね。

居宅と事務所、物置、駐車場、資材置場etc・・。

これは、都心部では無理かもしれませんね。

参考までに、都心部の事務所ではワゴン車1台に必要な道具や資材を常時積み込んで保管しているようです。

つまり、「走る物置」状態ですね。こうなると燃費をいちいち気にしない寛容さが必要です。

理想は家賃ゼロ

今回の結論ですが、事務所家賃は経費の中でも大きな固定費です。毎月必ず出ていく家賃を極力減らすことに全力を挙げて事務所をスタートしましょう。

極端な話、家賃をゼロにすることができれば申し分ありません。まずは、ゼロにならなくてもゼロに近づけるような工夫はどんどんするべきです。

身の回りを見渡して、事務所に活用できる場所はないかどうか、不動産業者と賃貸契約する前に探して見ましょう。

参考までに、ミニログキットという手もあります。


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