賢い報酬の受け取り方−開業マニュアル−

土地家屋調査士は、土地の境界に最も詳しいスペシャリストです。
土地・建物の調査、測量、登記に関する仕事で社会に貢献しています。

開業マニュアル

7.賢い調査士報酬の受け取り方

調査士事務所を経営して行くのに、一番重要なのは仕事を取ることでしたね。では二番目に重要なことはいったい何でしょう?

もちろん測量機械や仕事をこなすノウハウではありません。私のHP読者ならもうおわかりだと思います。つまり、「報酬を確実に回収すること」なのです。

報酬があって初めて仕事が完結するのであり、事務所経営を続けることができるようになります。これができなければ単なる自己満足かボランティアになってしまいます。

やっかいなのが、「仕事にならない仕事」つまり、危ない仕事を発注してくる人をどう見分けるかが一番難しいところです。

まず、実際に相手(発注者)に会うことが出来る場合、私が最も重要視しているのが第一印象です。

第一印象は会った瞬間にどう感じるか、ただそれだけです。この人とつき合いたくないと思った相手とはつき合わないことがベストです。

つき合いたくない客を相手にしていると、気分まで滅入って来ます。ですから「あっこの人イヤだなぁ。」と思ったら断ればいいのです。(ただし正当な理由は用意してくださいね)無理して相手に合わせることぐらい自分を消耗させることはありません。こういったことがイヤなので独立したんですから。

第六感というのは意外と当たります。
自分の感を信じて下さい。
つまり日頃から、自分が気に入った客だけを選ぶ意識を持つことです。
「それが出来たら苦労しないよ!」と思うかもしれませんが、そう思えばそうなります。優良顧客を選別できるような仕組みを作ればいいのです。
まず否定的な考え方から改めるようにしましょう。

直感以外にも、清潔感のある服装であったり、約束した時間は必ず守るというようなことも含めて、人を見る目を養うことは重要です。

で、これからの内容が「重要なテクニック」になります。
この方法は、地元のお客さんだけでなく、見ず知らずの遠隔地からの発注者(個人、会社)に対しても威力を発揮しますので是非覚えておいて下さい。

まずキチンと報酬を支払ってくれる相手なのかどうかが一番のポイントなのですが、まず契約書(請書)を作成し双方で書類を取り交わします。

そこで重要なことが、報酬額を3分割で支払ってもらうようにすることです。その中身は、前金(手付け)30%、中間金50%、納品時20%とします。これは危険度が最も高いと思われる発注者用の請求パターンです。

支払ってもらうタイミングですが、前金は着手するとき、中間金は登記申請前、最後に納品時とします。

要するに中間金を受領した段階で、報酬額の80%を回収することになります。万一最後の20%を支払ってもらえなかったとしても、痛手を被ることは少なくなります。

ポイントは中間金を回収するところです。「中間金の入金を確認したら登記を申請します」という契約にするのが一番賢いやり方です。

登記に絡まない仕事の場合はそれぞれの仕事に急所があると思います。そこのところに「報酬を支払わないと手続が進まない仕組み」を作ることが出来ればいいわけです。

ただし、仕事の種類や報酬額によって3分割にするか2分割にするのか、または納品時一括で受領するかについては各事務所で工夫してみて下さい。


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