時間ドロボーに注意−開業マニュアル−

土地家屋調査士は、土地の境界に最も詳しいスペシャリストです。
土地・建物の調査、測量、登記に関する仕事で社会に貢献しています。

開業マニュアル

22.時間ドロボーに気をつけよう

個人事業者は時間が命

開業するとサラリーマンの時と違い、まずは広く世間に知ってもらう必要があります。「私は土地家屋調査士やってますよー」というアピールをしなければなりません。

事務所の看板設置、電話帳広告、ホームページの作成など思いつく宣伝広告は積極的にやってみましょう。ただし品位ある内容にしましょうね。

しかーし!

たまに来る電話は売り込みの話だけ。
訪ねて来る人がいたとしても調査士相手の営業マンばっかり・・。

わかりやすい道案内は、営業マンにも大いに役立ってしまいます。
でもこの弊害は避けて通れません。

また、事務所の電話から携帯に転送している方も多いと思いますが、取った電話が、「IP電話いかがですか」、「原油が値上がりしますよ」、「事業資金貸しますよ」、「○○の会だけど本買わない?寄付してよ」というような話だったりすると、頭の血が逆流します。

「そんな話聞くために、なんで俺が通話料払わなきゃならんのよ!」と真っ先に思うからです。
そして、少しでもすきを見せると大喜びで会話をつなげようとして来ますから始末が悪い。

そのような場合は、「お断りします!」とハッキリ断るようにしなければまたかかって来ますから、曖昧な返事は絶対ダメです。

怖そうな声の電話でも、勇気を出してキッパリと断りましょう。
そうしないと、勝手に品物を送りつけてくるようなこともあるようです。

私は、その筋の方からの電話だとわかると、「先生は病気で入院中です」「私ではわかりません」「失礼します」と言って切ります。

先輩調査士さんの電話営業対策は、来た電話がつながったまま、そっと机に置くのだそうです。

そうすると相手の方は、黙って聞いていてくれていると勘違いして、ペラペラとしゃべり続けますが、そのうち「あれ?・・・?、モシモシ・・。モシモシ・・・・???」となって切れるということです。

これって結構きつい対策ですよね。
先輩調査士さんは、そのようにして時間を盗まれないように工夫しているのだそうです。

私から言えば楽しんでいるとしか思えないのですが (^o^)
個人事業者は時間が命ですので、無駄な時間を取られることは死活問題につながります。

営業マンは仕事を紹介してくれることは絶対にありませんので、このような話は、断ることも立派な仕事と考えて、自分なりに工夫してみてください。

本業が一番

ある日突然、疎遠だった友人から電話が来ることがあります。

「久しぶり!元気?」「会いたいんだけど、時間ある?」

忙しい時間をやりくりしながら、待ち合わせ場所に到着すると、いきなり知らない人を紹介されたりします。

「なんだよ。お前に会いたくて来たのに・・。」

と思う間もなく、「電話で話してなかったけど、凄い事業を始めようと思って、君にも相談に乗って欲しいんだ」

「こちらは成功者の○○さん」

と言って紹介された人は、成功者には程遠い雰囲気。

友人との昔話もそこそこに、始まった話が「クチコミビジネス」、俗に言う「マルチ商法」(ネットワークビジネスとも言う)の代理店勧誘の話だったりするわけです。

「日本上陸前の今がチャンス」「年商○百億の優良企業」「年収○千万も夢じゃない」「俳優の○○さんも会員」といったような宣伝文句が語られます。

このような代理店ビジネス勧誘の話は、どなたでも1度は経験していることと思いますが、よーく注意しないととんでもない出費と時間ドロボーに遭遇することになります。

代理店ビジネスでは、そもそも売りにくい商品やサービスを扱っています。

本社が直接販売すると宣伝広告費に巨額なコストがかかるため、代理店形式で販売する手法を取ります。

売りやすい商品であれば、経費をかけてまで代理店を使う必要はないわけで、そこに気づかないと思うように売れないことから、大切な時間とお金をドブに捨てることになりかねません。

また、当然ながら代理店は本社の売り上げを超えることはできません。いくら頑張って成果を上げたとしても、利益率の低い商売になってしまいますので、代理店ビジネスはやめた方が無難だと思います。

調査士業もそうですが、どのような業界でも元請けが最も利益を上げる仕組みになっています。

書店に行くとビジネス書のコーナーに代理店ビジネスの本が多数出ていますが、商売の仕組みを勉強するにはいい教材かもしれませんが、仕事としてはお勧めできません。

やはり本業でしっかり稼ぐのが一番かと思います。


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