断ることも仕事のうち−開業マニュアル−

土地家屋調査士は、土地の境界に最も詳しいスペシャリストです。
土地・建物の調査、測量、登記に関する仕事で社会に貢献しています。

開業マニュアル

10.断ることも仕事のうち

調査士事務所を開業して、まあまあ食えるようになるのは個人差もありますが3年〜5年はかかると思います。

この開業間もない段階は、「仕事になるなら、どんなに小さな仕事でもやります」という藁にもすがるような気持ちで頑張っているわけですが、このような時に思いがけなく、大きな仕事の話が舞い込むことがあります。

依頼人は、何の面識もなく誰の紹介もなく突然あなたに仕事を依頼してくるわけです。
見積もりを立ててみると数百万円になったりします。この金額を提示して真剣に値下げ交渉してくる相手ならまず問題ありません。

しかし、あっさりOKしてくる相手には充分注意する必要があります。もしかすると仕事を依頼しておいて、最初から報酬を払う気がないかもしれないからです。

新米調査士を狙ってくる悪質業者は少なからずいますので注意して下さい。

仕事がなくて苦しい時や経験の少ない場合は、このような危ない仕事を安易に受けてしまいがちですが、何ヶ月もかかって調査測量して人件費、固定費をたっぷり使い処理したとしても結果的にゼロでは、とんでもありません。

経営が不安定な開業初期であれば大打撃になります。

仕事を依頼する方は、こちらの値踏みをするのは当たり前でしょうが、受託する調査士側はそれ以上に、依頼人が信用できる人物(会社)なのかどうか見抜く技量が必要です。

どんなに高い見積もり額であっても、結果的にゼロなら寝てたほうがましというものです。
仮に300万円の「仕事にならない仕事」を受けてしまった場合の損失は、倍の600万円になると思います。

単純にお金だけの損失ではなく時間の損失にもなるからです。
この結果的に無駄になった時間を、新たな営業や仕事に費やすことが出来た場合と比較すると一目瞭然だと思います。

なので、「危ない仕事を上手に断る」ことができたなら、それは立派な仕事だということです。
つまり「断ることも仕事のうち」なのです。

でも、そんな客をどうやって見抜けばいいのだろう?とか、遠隔地からの依頼で事前に会えないんだけど、そういった場合はどうするんだろう?と言った疑問が湧いてくると思います。

このことについては、賢い調査士報酬の受け取り方 をご覧ください。


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