人脈作りと仕組み作り−開業マニュアル−

土地家屋調査士は、土地の境界に最も詳しいスペシャリストです。
土地・建物の調査、測量、登記に関する仕事で社会に貢献しています。

開業マニュアル

4.人脈作りと仕組み作り

人脈作り

職業を変えると人脈も変わってくるものです。
サラリーマン時代の人脈が即、調査士業に有利に働く方がめずらしいと思います。

どんな職業でも転職すれば一から人脈を作って行かなければなりません。
人脈を作る際に意識しておくことを4つ挙げたいと思います。

1、自分にとってどんな人脈が必要なのかを良く検討する。

2、得意分野を決める。

3、無理して嫌な人とは付き合わない。

4、Win−Winの人脈をめざす

1、自分にとってどんな人脈が必要なのかを良く検討する。

開業すると、どんな人脈でも多ければ多いほど良いと思って、手当たりしだい名刺をばらまくことを考えてしまいがちです。

しかし、人生そんなに長くありません。また経費も必要になりますので、土地家屋調査士に関連する職種を選んで効率を高めることが必要です。

仕事を依頼して来るお客さんは、測量・登記の処理をしないと、自分の仕事が進まない職業の人々がほとんどです。

例えば司法書士、開発業者、不動産業者、税理士、建築士、銀行、役所など、専門性のある分野からの依頼が圧倒的です。

2、得意分野を決める。

最初から例にあげた職種を全部相手にすることは不可能なので、自分が最もしっくりする分野を2〜3決めて動くと早く結果が出ます。

最初は得意分野からスタートして信用を築いていくと自信も付いてきますので、その後、徐々に幅を広げて行けばいいと思います。

詳しくは、得意分野を決めるをご覧ください。

3、無理して嫌な人とは付き合わない。

例えば、無理なダンピングを要求してくる客の言いなりになって仕事を続けて行くと、無理な金額が当たり前になり安い値段のクチコミが広がってしまい、同じように無理を言ってくる客だけとなって、ますます経営が苦しくなってしまいす。いづれ限界が来る最悪のパターンです。

ですから、このような客の無理な要求はきっぱり断り、自分の事務所の考え方や姿勢をはっきり示す必要があります。

安易に値引きするのではなく、見積もりの根拠を示して毅然とした態度で交渉する必要があります。断ることで交渉の主導権を握ることになります。

付き合いたくない人とは無理して付き合わないという姿勢を明確にすることが必要です。

4、Win−Winの人脈をめざす

これについては、Win−Winをご覧下さい。

仕組み作り

土地家屋調査士業も商売である以上、儲かる仕組みを持つことは健全な経営を行うために重要なことです。

まして、個人事業ともなるれば先々の保証などありませんので、自ずと経費を抑えた商売の仕組みが必要になります。

しかし、個人事業を始めようとする人の多くが、始めてしまえば何とかなると思ってしまいます。昔なら景気も良かったので何とかなったかもしれませんが、今は低成長の時代です。

リスクを最小限に抑えながら、「儲かる仕組みをどう作るか」という視点から独立を目指す人は、まだごく少数です。

そこで、このような「仕組み発想」を身に付けていただくために、役立つ本をご紹介したいと思います。

「儲けを生み出す悦びの方程式」小坂裕司著、PHP、1,400円

この本は「儲かる仕組み」を「これでもか!」というぐらい教えてくれます。
商売で儲けたいのであれば、必読の書となります。

本なんか紹介しないで、さっさと「儲かる仕組み」を書いてくれ!
と思っている方もいるかもしれませんが、そんなアンチョコな考えではいけません。

あなたも「石を絞って水をしたたり出す」ぐらい考えてみませんか?

あなたの商売を左右する最大のポイントになるわけですから、真剣に勉強してみましょう。

私が読んだときの感想は「儲けというものは儲かる仕組みがあって実現するものなんだなぁ」というものでした。

この本で言っている1つ1つをパーツとして捉え、全体の仕組みの完成度で売るという方法は、物を売らない土地家屋調査士でも活用できることではないでしょうか。

最近では、携帯メールを使った営業の仕組みで繁盛している店があります。例えばケーキ屋さん、魚屋さん、八百屋さんなどが、お客さんの携帯アドレスを効率的に集めて、タイムリーに情報発信して販売を行っています。

お客さんにアンケート用紙を配り「メールアドレスを教えてくれたら、ケーキ1個サービスします」とか「魚安くします」「お買い得情報さしあげます」といった内容で希望するお客さんだけに情報を流すわけです。

この仕組みでお客さんとのつながりが強化され、固定客を増やしていくわけですね。

インターネットの活用

インターネットを活用した営業(販売)スタイルの基本は、ホームページとメール(メルマガ)の組み合わせです。

ホームページは見に来てもらう「待ち受け型」ですが、メールはこちらから働きかける「積極型」になります。どちらも利点と欠点がありますが、2つを組み合わせることで便利な情報発信と販売の仕組みになるわけです。

私がここでいろいろ書くよりも、参考になる本をご紹介したいと思います。

「メルマガ成功の鉄則」平野友朗著 1,050円です。

この本の紹介で「メルマガは現代のわらしべ長者を生み出した」という記事がありましたが、うまい表現だと思います。

そこで、もはや常識となっているメールを土地家屋調査士業の仕組みに応用できれば、何も工夫しないよりはるかに可能性が膨らみます。

ただし土地家屋調査士は地域限定の狭いエリアで成り立つ仕事ですから、そのままグローバルなスタイルを持ち込むことはできません。

上手な使い方は、自分と何らかの関わりの中で面識があった人との絆を繋ぐ仕組みとして活用するのがベストではないかと思います。

私がいつも不満に思っていたことを例にすると、お得意さん以外のお客さんは1回限りという方がけっこういます。特に建物登記などで出会った方は、2度目のお付き合いはほとんどありませんでした。

しかし、縁が切れないように自分の情報を送り続ける仕組みがあれば、何らかの拍子に登記・測量の仕事を紹介してくれるキーマンになってくれるかもしれません。

その鍵が、コストをかけずに実現できるメールを使った営業方法ではないでしょうか。

「紹介したいのは山々なんだけど、なんて紹介したらいいのかわからない」ということは良くあります。

土地家屋調査士とは、権利の客体である土地・建物の表示に関する登記を云々・・。と誰かに説明してくれるお客さんは皆無です。

でも、紹介してくれそうなお客さんに何枚か名刺を渡しておいて、紹介するチャンスがあれば、その名刺を渡してもらったり、ホームページを紹介してもらうことは簡単です。

さらに、調査士側から積極的にプチメルマガを発行することで、さらに具体的なクチコミに持っていきやすくなります。

土地家屋調査士にとって理想的な仕組みを作るということは、反復継続して仕事を受託する仕掛けを作ることですね。

一般市民相手は効率が悪いから、専門家とだけ仕事のやりとりをすればいいという考えではますます生き残れないかもしれません。このようなアプローチは誰でも思いつくことでもあり、競争が激しい世界です。

土地家屋調査士が制度50年経った今でも、一般的に知名度の低い資格である理由は、一般市民の側を向いていない営業や業務スタイルから来るような気がします。(ーー;)

一般市民にとって調査士と関わることは一生に1回あるかないかというぐらいの頻度しかありませんが、最終的な依頼主である一般市民を味方に付けることができたら、これ以上強い営業はないように思います。

ただ、ネックとなるのがコストですが、手紙やハガキをメールに置き換えればコストは全く気になりません。

年賀状や暑中見舞い、御中元、お歳暮などコストと手間のかかるアプローチではすぐに限界が来ますし、広がりという効果はあまり期待できません。

このようなことからも、ホームページとメールを活用した営業の仕組みを持つことは、これからの事務所経営を安定させる大きな要因になることと思います。

ただし、何百通ものメールを手作業で配信することは無理ですので、問題を簡単にクリアできる方法をご紹介したいと思います。
それは、「eメール営業術」です。

「eメール営業術」につきましては、別のページで 繁盛ノウハウ として紹介していますので、そちらをご覧ください。
繁盛ノウハウ


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