2変数関数の平均値の定理・テイラーの定理・テイラー展開 ― トピック一覧   [数学についてのwebノート]

 ・2変数関数の平均値の定理(1階のテイラーの定理)[その証明] 
 ・2変数関数の2階のテイラーの定理・1次近似多項式
 ・2変数関数の3階のテイラーの定理・2次近似多項式 / 2変数関数の2次テイラー展開・2次多項式近似の剰余項の評価
 ・2変数関数のテイラーの定理(一般)[その証明] /2変数関数のテイラー展開一般・多項式近似の剰余項一般の評価


平均値・テイラー定理関連ページ:1変数関数の平均値定理/テイラーの定理/テイラー展開・マクローリン展開   
                 n変数関数のテイラーの定理       
2変数関数の微分定義関連ページ:偏微分/高次の偏微分/微分演算子/全微分/方向微分
2変数関数の微分応用関連ページ:合成関数の微分/極値問題/陰関数定理/逆関数定理/ラグランジュ未定乗数法
参考文献総目次 

定理:2変数関数の平均値の定理(1階のテイラーの定理)


[文献]
和達『微分積分p.125;


対照せよ→1変数関数の平均値定理: f(a+h)=f (a)+h f ' (ah) ( 0 <θ< 1 )
     →n変数関数の平均値定理(1階のテイラー定理)
なぜ?→証明
行列・ベクトル・Σを用いない表現

2変数関数f(x,y)微分可能ならば
   f(a+h,b+k)=f(a, b)+h fx(a h, bk)+k fy(ah, b k)
 を満たすθが 、0 <θ< 1 の範囲に存在する。
   h fx(a h, bk)+k fy(ah, b k)
剰余項と呼ぶ。
Σの表現

2変数関数f(x1,x2)微分可能ならば
   f(a1+h1,a2+h2)=f(a1,a2)+ 
を満たす実数θ0,1が存在する。

を、剰余項と呼ぶ。

ベクトル表現
設定
x,a,h:2次元数ベクトル
     つまり、x(x1, x2) 
         a(a1, a2)  
         h(h1, h2) 
f : 2変数実数値関数
 つまり、f :R2DR 
grad  f () : 〜におけるf勾配ベクトル 

[文献]
・神谷浦井『経済学のための数学入門6.3.4定理6.3.4(p.232).1次の項・二次の項までの展開
本題
(表現1)
2変数関数f微分可能ならば
 f(a+h)= f (a) + grad  f(a+θh) h 
を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

grad  f(a+θh) h
を、剰余項と呼ぶ。

(表現2)
2変数関数f微分可能ならば
 f(x)= f (a) + grad  f(a+θ(x-a)) (x-a) 
を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

grad f(a+θ(x-a)) (x-a) を剰余項と呼ぶ。

→[トピック一覧:2変数関数の平均値の定理・テイラーの定理]
総目次

(証明:2変数関数の平均値の定理)
Step0:
 全微分可能2変数関数f(x,y)と、
 g1(t)= a+ htg2(t)= b+ kt (a,h,b,k :定数)との
 合成関数 f(g1(t), g2(t)) = f(a+ ht, b+ kt) を、
 tの一変数関数とみて、F(t) とおく。
 すなわち、
 F(t)= f(g1(t), g2(t)) = f(a+ ht, b+ kt)…@
Step1:
 F(t)1変数関数だから、1変数関数の平均値定理より、
   F(t+Δt)=F (t)+Δt F ' (t +θΔt)
 を満たすθが 0 < θ < 1 の範囲に存在する。
 t =0,Δt =1としても、これは成り立つので、
   F(0+1)= F (0)+1・F ' (0 +θ・1) を満たすθが 0 < θ < 1 の範囲に存在する
 すなわち、 
   F(1)= F (0)+ F ' (θ) を満たすθが 0 < θ < 1 の範囲に存在する   …A
Step2: A式のうち、F(1),F(0)の計算。
 @より、F(1)= f(a+ h・1, b+k・1) = f(a+h, b+k)      …B
 @より、F(0)= f(a+ h・0, b+k・0) = f(a, b)        …C
Step3: A式のうち、F ' (θ)の計算。
 F(t)は合成関数だから(@より)、
 合成関数の微分公式を適用して、F(t)導関数を求めると、
  F'(t)=fx ( g1(t), g2(t) ) g1' ( t )+ fy (g1(t), g2(t) ) g2' (t) 
    = fx( a+ ht , b+ kt ) hfy ( a+ ht , b+ kt ) k ∵g1(t)= a+ htg2(t)= b+ kt 
    = h fx ( a+ ht , b+ kt ) + k fy ( a+ ht , b+ kt ) 
 ゆえに、F'(θ)= h fx ( a+ hθ, b+ kθ) + k fy ( a+ hθ , b+ kθ) …D
Step4:
 BCDをAへ代入すれば、Aは以下のように言いかえられる。
   f(a+h, b+k)= f(a, b)+ h fx ( a+ hθ, b+ kθ) + k fy ( a+ hθ , b+ kθ)
   を満たすθが 0 < θ < 1 の範囲に存在する




→[トピック一覧:2変数関数の平均値の定理・テイラーの定理]
総目次





定理:2変数関数の2階のテイラーの定理・1次近似多項式


→[行列・ベクトル・Σを使わない表現/Σの表現/ベクトル行列表現/2次形式] [文献]
・岡田『経済学・経営学のための数学』3.2定理3.2
2変数関数の1階のテイラー定理/3階のテイラー定理
n変数関数の2階のテイラーの定理
活用例:極値問題―2階十分条件  
行列・ベクトル・Σを用いない表現
設定
2変数関数y=f(x,y)C2とする。
本題

 f(a+h,b+k)= f(a,b)h fx(a,b)+k fy(a,b)+(1/2) {h2 fxx(a h, bk) + 2hk  fxy(a h, bk) + k2 fyy(a h, bk)}                          
 を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

上記等式中の
   f(a,b)h fx(a,b)+k fy(a,b)
を、
「(a,b)におけるf1次の近似多項式
「(a,b)におけるf1次のテイラー多項式と呼ぶ。
また、
   (1/2) {h2 fxx(a h, bk) + 2hk  fxy(a h, bk) + k2 fyy(a h, bk)} 
を、その剰余項と呼ぶ。

[→2階のテイラーの定理冒頭]
Σの表現 [文献]
・松坂『解析入門3』14.2-C-定理2(p.155):一般;14.3-C(pp.167-171):ヘッセ行列が定める二次形式を用いた表現。
・高橋『微分と積分2』定理4.7(p.97)。

・杉浦『解析入門』定理7.2(p.147):一般
・黒田『微分積分学8.6 (p.306):2次の項までのテイラー展開の表現。勾配ベクトル・ヘッセ行列が定める二次形式の活用。

・神谷浦井『経済学のための数学入門6.3.4定理6.3.4(p.232).1次の項・二次の項までの展開。括弧の前の上についている記号は、転置記号。
・岡田『経済学・経営学のための数学』3.2定理3.2(p.120)
設定
2変数関数y=f(x1,x2)C2とする。
本題
  f(a1+h1,a2+h2) f(a1,a2)
              +
 を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

上記等式中の
   f(a1,a2)
を、
「(a1,a2)におけるf1次の近似多項式
「(a1,a2)におけるf1次のテイラー多項式と呼ぶ。
また、
  
を、その剰余項と呼ぶ。

[→2階のテイラーの定理冒頭]
ベクトル・行列表現
設定
x,a,h:2次元数ベクトル
     つまり、xt(x1, x2) 
         at(a1, a2)  
         ht(h1, h2) 
f : 2変数実数値関数
 つまり、f :R2DR 
grad  f () : 〜におけるf勾配ベクトル 
Hf()    :〜におけるfヘッセ行列
本題
2変数関数y=f(x1,x2)C2ならば
  f(a+h)= f (a) + grad  f(a) h+ (1/2) th Hf(a+θh)h  
を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

上記等式中の
  f(a+h)= f (a) + grad  f(a) h
を、
aにおけるf1次の近似多項式
aにおけるf1次のテイラー多項式と呼ぶ。
また、
  (1/2) th Hf(a+θh)h
を、その剰余項と呼ぶ。
[→2階のテイラーの定理冒頭]
ベクトル・行列・2次形式を用いた表現
設定
x,a,h:2次元数ベクトル
     つまり、xt(x1, x2) 
         at(a1, a2)  
         ht(h1, h2) 
f :2変数実数値関数。つまり、「f :R2DR
grad  f () : 〜におけるf勾配ベクトル 
Hf()    :〜におけるfヘッセ行列
Hf() [h]   :「〜におけるfヘッセ行列によって定まる
                 ht(h1, h2)についての二次形式  
本題
2変数関数y=f(x1,x2)C2ならば
  f(a+h)= f (a) + grad  f(a) h + (1/2) Hf(a+θh) [h]  
を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

上記等式中の
  f (a) + grad  f(a) h
を、
aにおけるf1次の近似多項式
aにおけるf1次のテイラー多項式と呼ぶ。
また、
(1/2) Hf(a+θh) [h] 
を、その剰余項と呼ぶ。

[→2階のテイラーの定理冒頭]

→[トピック一覧:2変数関数の平均値の定理・テイラーの定理]
総目次






定理:2変数関数の3階のテイラーの定理・2次近似多項式


→[行列・ベクトル・Σを使わない表現/Σの表現/ベクトル行列表現/2次形式]
 
行列・ベクトル・Σを用いない表現
設定

2変数関数y=f(x,y)C3とする。
本題
 f(a+h,b+k)= f(a,b)h fx(a,b)+k fy(a,b)+(1/2)h2 fxx(a,b) + 2hk  fxy(a,b) + k2 fyy(a,b)+(1/6)h3 fxxx(a h,bk)+3h2k fxxy(a h,bk)+3hk2 fxyy(a h,bk)+k3 fyyy(a h,bk)
を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

上記等式中の
  f(a+h,b+k)= f(a,b)h fx(a,b)+k fy(a,b)+(1/2)h2 fxx(a,b) + 2hk  fxy(a,b) + k2 fyy(a,b)
を、「(a,b)におけるf2次近似多項式」「(a,b)におけるf2次のテイラー多項式と呼ぶ。
また、
  (1/6)h3 fxxx(a h,bk)+3h2k fxxy(a h,bk)+3hk2 fxyy(a h,bk)+k3 fyyy(a h,bk)
を、その剰余項と呼ぶ。

[→3階のテイラー定理冒頭]

Σの表現
[文献]
・松坂『解析入門3』14.2-C-定理2(p.155):一般;14.3-C(pp.167-171):ヘッセ行列が定める二次形式を用いた表現。
・高橋『微分と積分2』定理4.7(p.97)。

・杉浦『解析入門』定理7.2(p.147):一般
・黒田『微分積分学8.6 (p.306):2次の項までのテイラー展開の表現。勾配ベクトル・ヘッセ行列が定める二次形式の活用。

神谷浦井『経済学のための数学入門6.3.4定理6.3.4(p.232).1次の項・二次の項までの展開。括弧の前の上についている記号は、転置記号。
岡田『経済学・経営学のための数学』3.2定理3.2(p.120)

設定
2変数関数y=f(x1,x2)C2とする。
本題   f(a1+h1,a2+h2) f(a1,a2)
                        +
                  
 を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

上記等式中の
   f(a1+h1,a2+h2) f(a1,a2)
を、「(a1,a2)におけるf2次の近似多項式」「(a1,a2)におけるf2次のテイラー多項式と呼ぶ。
また、
   
を、その剰余項と呼ぶ。
[→3階のテイラー定理冒頭]
ベクトル・行列表現
設定
x,a,h :n次元数ベクトル(縦ベクトル)
     つまり、xt(x1, x2)  
         at(a1, a2)    
         ht(h1, h2) 
f : 2変数実数値関数
 つまり、f :R2DR 
grad  f () : 〜におけるf勾配ベクトル 
Hf()    :〜におけるfヘッセ行列
本題  f(a+h)= f(a)grad f(a) h+ (1/2) th Hf(a)h   + 
を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

上記等式中の
  f(a)grad f(a) h+ (1/2) th Hf(a)h  
を、「aにおけるf2次の近似多項式」「aにおけるf2次のテイラー多項式と呼ぶ。
また、

を、その剰余項と呼ぶ。
[→3階のテイラー定理冒頭]
ベクトル・行列・2次形式を用いた表現
設定
x,a,h:2次元数ベクトル
     つまり、xt(x1, x2) 
         at(a1, a2)  
         ht(h1, h2) 
f :2変数実数値関数。つまり、「f :R2DR
grad  f () : 〜におけるf勾配ベクトル 
Hf()    :〜におけるfヘッセ行列
Hf() [h]   :「〜におけるfヘッセ行列によって定まる
                 ht(h1, h2)についての二次形式  


本題  f(a+h)f(a)grad f(a) h+ (1/2) Hf(a) [h] + 

 を満たす実数θ0,1が存在する。

 * * * * * * *

上記等式中の
   f(a)grad f(a) h+ (1/2) Hf(a) [h]
を、「aにおけるf2次の近似多項式」「aにおけるf2次のテイラー多項式と呼ぶ。
また、

を、その剰余項と呼ぶ。

[→3階のテイラー定理冒頭]






→[トピック一覧:2変数関数の平均値の定理・テイラーの定理]
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定理:2変数関数の2次テイラー展開・2次多項式近似の剰余項の評価



[文献]
・高橋『微分と積分2』定理3.27(p.81):そのものずばり。
・黒田『微分積分学8.6 (p.306):2次の項までのテイラー展開の表現。勾配ベクトル・ヘッセ行列の活用。
・神谷浦井『経済学のための数学入門6.3.4定理6.3.5(p.234).
活用例:極値問題―2階十分条件
対照→n変数関数の2次テイラー展開 



行列・ベクトル・Σを用いない表現
設定 2変数関数z=f(x,y)C2とする。
本題 0 
 とすると、
 f(x0+Δx, y0+Δy) f(x0, y0)
          +(Δx)fx(x0, y0)+(Δy) fy(x0, y0)
           +(1/2){(Δx)2 fxx(x0, y0)+2(Δx)(Δy)  fxy(x0, y0)+(Δy)2 fyy(x0, y0)}
            +o (Δx)2+(Δy)2  
    
これを、ランダウのオーo の定義に遡って書き下すと、次のようになる。

 f(x0+Δx, y0+Δy) f(x0, y0)
          +(Δx)  fx(x0, y0)+(Δy) fy(x0, y0)
           +(1/2){(Δx)2 fxx(x0, y0)+2(Δx)(Δy)  fxy(x0, y0)+(Δy)2 fyy(x0, y0)}
            +R3
 とおくと、
 (1) 0 とすると、R3  0 
 (2) 0 とすると、(Δx)2+(Δy)2 0
 (3) 0 とすると、R3/{(Δx)2+(Δy)2 0 
 が満たされる。[(2)は自明だから、ここでは重要でない]
ベクトル・行列表現
設定

x0,h :2次元数ベクトル(縦ベクトル)
     つまり、x0t(x0,y0)   
         ht(Δx,Δy) 
f : 2変数実数値関数
 つまり、f :R2DR 
grad  f () : 〜におけるf勾配ベクトル 
Hf()    :〜におけるfヘッセ行列

本題  f(x0+h)f(x0)grad f(x0) h+ (1/2) th Hf(x0)h o(h2) h0   

 これを、ランダウのオーo の定義に遡って書き下すと、次のようになる。

 f(x0+h)f(x0)grad f(x0) h+ (1/2) th Hf(x0)hR3
 とおくと、
 (1)h0 とすると、R3  0 
 (2)h0 とすると、h2 0
 (3)h0 とすると、R3/{h2 0 
 が満たされる。[(2)は自明だから、ここでは重要でない]
ベクトル・行列・2次形式を用いた表現
設定
x0,h:2次元数ベクトル
     つまり、x0t(x0,y0)   
         ht(Δx,Δy) 
f :2変数実数値関数。つまり、「f :R2DR
grad  f () : 〜におけるf勾配ベクトル 
Hf()    :〜におけるfヘッセ行列
Hf() [h]   :「〜におけるfヘッセ行列によって定まる
                 ht(Δx,Δy)についての二次形式
本題   f(x0+h)f(x0)grad f(x0) h+ (1/2) Hf(x0) [h] + o(h2) h0   
 これを、ランダウのオーo の定義に遡って書き下すと、次のようになる。

 f(x0+h)f(x0)grad f(x0) h+ (1/2) Hf(x0) [h]R3
 とおくと、
 (1)h0 とすると、R3  0 
 (2)h0 とすると、h2 0
 (3)h0 とすると、R3/{h2 0 
 が満たされる。[(2)は自明だから、ここでは重要でない]





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2変数関数のテイラーの定理 
 [和達『微分積分』125-7;吹田新保『理工系の微分積分学』168-9;小形『多変数の微分積分』70-3.;小平『解析入門2』§5.2-f(p.284);加藤『微分積分学原論』定理15.3(p.188)]

(舞台設定)
f(x,y)領域DでCn級である2変数関数、
g1(t)= a+htg2(t)=b+kt (a,h,b,k :定数) は区間I={t|0≦t≦1}で定義された関数で、
tIならば、つねに( g1(t) , g2(t) ) Dであるとする。
(本題)
  f(a+h, b+k)= f(a, b)
        
        
        
        
           …@
を満たすθ( 0<θ<1 )が存在する。
  対照せよ→1変数関数のテイラーの定理/n変数関数のテイラーの定理
  活用例→2変数関数の極値判定 
  基礎知識:n!(階乗),∂(2変数関数の偏微分高階偏微分),nCr(Combination) 
(略記法)
式@を以下のように略記することが一般的。

       
       二項定理より、
        
        各項の係数が同じで
        x,yの次数とx,yの微分の階数が同じところから。
 同じ略記法: 二つの1次関数と2変数関数との合成関数のn回微分
 類似の略記法:2変数関数の高階全微分

→[トピック一覧:2変数関数の平均値の定理・テイラーの定理]
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(証明:2変数関数のテイラーの定理)
Step0:
 f(x,y)領域DでCn級である2変数関数、
 g1(t)= a+ htg2(t)= b+ kt (a,h,b,k :定数) は区間I={t|0≦t≦1}で定義された関数で、
 tIならばつねに( g1(t) , g2(t) ) Dであるとする。
 f(x,y)g1(t)= a+ htg2(t)= b+ ktの合成関数 f(g1(t), g2(t)) = f(a+ ht, b+ kt) を、
 tの一変数関数とみて、F(t) とおく。
 すなわち、
 F(t)=f(g1(t), g2(t)) =  f(a+ ht, b+ kt)…@
 このとき、F(t)区間I={t|0≦t≦1}でCn級である。
  (∵n回連続微分可能な関数の合成関数のn回連続微分可能性)
Step1:
 F(t)1変数関数だから、1変数関数のテイラーの定理によって、p,q区間I={t|0≦t≦1}に含まれるならば、
 
 を満たすθが(0,1)内に存在する。 
 p=0, q =1としても区間I={t|0≦t≦1}に含まれるので、これは成り立ち、
 
 を満たすθが(0,1)内に存在する。 
 すなわち、 
     …A
 を満たすθが(0,1)内に存在する。      
Step2: A式のうち、F(1)、F(0)の計算。
 @より、F(1)= f(a+ h・1, b+k・1) = f(a+h, b+k)      …B
 @より、F(0)= f(a+ h・0, b+k・0) = f(a, b)        …C
Step3: A式のうち、F(n)(0)の計算。
 合成関数F(t)= f(a+ ht, b+ kt)n階導関数の公式より、
    …D
Step4: A式のうち、F(n)(θ)の計算。
 合成関数F(t)= f(a+ ht, b+ kt)n階導関数の公式より、
   …E
Step5:BCDEをAへ代入すれば、Aは以下のように言いかえられる。
 
        
  (証明終わり)

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2変数関数のテイラー級数 
 →小平『解析入門IIp.293.

  

  

2変数関数のテイラー展開  
 →小平『解析入門IIp.293.

  

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reference

小平邦彦『解析入門II』 (軽装版)岩波書店、2003年 p.284-294;。
和達三樹『理工系の数学入門コース1・微分積分』岩波書店、1988年、pp.125-127.
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.168-169.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.160-161。
高橋陽一郎『岩波講座現代数学への入門:微分と積分2』 岩波書店、1995年、pp.97-98。
小形正男『理工系数学のキーポイント7:多変数の微分積分』岩波書店、1996、pp. 66-73.
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.232-235.
高木貞治『解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、pp.64-67.
杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp.99-102:1変数実数値関数に関するテイラーの定理;146-9多変数実数値関数に関するテイラーの定理.  ただし、いきなり多次元。

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