2変数関数の逆関数定理
cf. 1変数関数の逆関数/n変数関数の逆関数 
参考文献総目次 

2変数関数の逆関数[小形『多変数の微分積分p192]
 cf.逆関数
y1= f1 ( x1, x2 )y2= f2 ( x1, x2 ) 
として、
( x1 , x2 )( y1 , y2 ) を対応付ける二つの関数f1f2があるとする。
x1= g1 ( y1 , y2 )x2= g2 ( y1, y2 ) 
というように、
( y1 , y2 ) ( x1 , x2 )を対応付ける二つの関数g1g2があれば、
それを
f1f2の逆関数という。 
逆関数の存在条件

逆像・逆写像[小平『解析入門II362]


連続写像[小平『解析入門II362]


連続微分可能な写像[小平『解析入門II362]


定理:開集合の、連続写像による逆像は、開集合[小平『解析入門II362]



逆関数の定理[小形『多変数の微分積分199-200; 小平『解析入門II363-364]
C1
級の関数y1=f1(x1,x2)y2=f2(x1,x2)を考える。
ヤコビアン0でなければ、(x1,x2)(y1,y2)11対応し、
逆関数 x1= g1 ( y1 , y2 )x2= g2 ( y1, y2 )が存在する。
逆関数g1g2偏導関数は、

      
(ルーズな解説) [小形『多変数の微分積分199-200]
g1 ( y1 , y2 )
g2 ( y1, y2 )f1(x1,x2)f2(x1,x2)逆関数とすると、以下が成立しなければならない。  
  
g1 ( f1(x1,x2) , f2(x1,x2) ) = x1…@
  
g2 ( f1(x1,x2) , f2(x1,x2) ) = x2…A
@の両辺を、
x1偏微分する。
 ∂
g1 ( f1(x1,x2) , f2(x1,x2) )/x1=x1/x1 
 
合成関数の微分則を用いて、 
 …B
@の両辺を、
x2偏微分する。
 ∂
g1 ( f1(x1,x2) , f2(x1,x2) )/x2=x1/x2 
 
合成関数の微分則を用いて、 
 …C
Aの両辺を、
x1偏微分する。
 ∂
g2 ( f1(x1,x2) , f2(x1,x2) )/x1=x2/x1 
 
合成関数の微分則を用いて、 
 …D
Aの両辺を、
x2偏微分する。
 ∂
g2 ( f1(x1,x2) , f2(x1,x2) )/x2=x2/x2 
 
合成関数の微分則を用いて、 
 …E
B〜Eは、以下のようにも書ける。 
 
左辺
2番目の行列は、いわゆるヤコビ行列となっているが、
この行列式(
ヤコビアン)がゼロでなければ、その逆行列を計算できるので、
左辺
1番目の行列、すなわち、逆関数g1g2偏導関数が、すべて求まる。

このとき、逆関数は、存在する(逆関数存在の十分条件)。

この行列式(ヤコビアン)がゼロならば、その逆行列を計算できないので、
左辺
1番目の行列、すなわち、逆関数g1g2偏導関数は、出てこない。
(証明) [小平『解析入門II363-364]



reference下るほど難易度があがる。

小形正男『理工系数学のキーポイント7:多変数の微分積分』岩波書店、1996pp.192-201.
小平邦彦『解析入門II(軽装版)岩波書店、2003年、pp.362-370
高木貞治『
解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、pp. 299-302.
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.235-252.
杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp.139-141.  ただし、f:RnRnの逆関数(逆写像)。
杉浦光夫『
解析入門II』岩波書店、1980年、pp.16-18.  ただし、f:RnRnの逆関数(逆写像)。
吹田・新保『
理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.255-260. 逆写像定理。
高橋陽一郎『岩波講座現代数学への入門:
微分と積分2 岩波書店、1995年、pp.105-115
住友洸(たけし)『
大学一年生の微積分学』現代数学社、1987,pp.92-102「逆写像存在定理」。