2変数二次形式 quadratic form 

 ・定義:2変数の二次形式/正値定符号二次 形式/正値定符号行列/半正値定符号二次形式/半正値定符号行列
     負値定符号二次形式/負値定符号行列/半負値定符号二次形式/半負値定符号行列/不定符号二次形式 
 ・定理:単位ベクトル化の二次形式の計算/単位ベクトル化の二次形式の最大値・最小値定理
     二次形式の基底変換公式/二次形式の標準化 
     2変数二次形式の符号判定〜行列を使わずに                    
     正値定の必要十分条件-固有値/負値定の必要十分条件-固有値/正値定の必要条件-行列式/負値定の必要条件-行列式/
     正値定の必要十分条件-主小行列式/負値定の必要十分条件-主小行列式

※応用:2変数関数の極値問題
※一般化:n変数の二次形式
※関連:主小行列/主小行列式/固有値 
線形代数目次/総目次 

定義:2変数二次形式 quadratic form


→[定義/行列表現/内積表現]
※一般化→n変数二次形式


定義


・「2変数x,yについての二次形式」とは、
  2変数x,yについての多項式で、2次の項ばかりからなるもの 
  すなわち、「斉2次式」「2次同次多項式」「x,yの2次同次関数」
  Q (x,y) = ax2+2 bxy + c y2   (a,b,cは定数)
 のことをいう。


[文献]
*松坂『解析入門3』14.3-D (p.172)
・黒田『21世紀の数学1:微分積分学』定理8.15(p.309)
・高橋『微分と積分2』§3.1定理3.6 (p.67)

性質:二次形式で定義された関数はRn上連続
応用:2変数関数の極値の十分条件 

行列
表現

「変数x,yについての二次形式Q(x,y)は
  h
  A= 
 をつかって、
 行列積 thAh として表せる。
 実際、thAh 
    = (x,y)
     

     =(ax+by , bx+cy)

     =(ax+by )x+(bx+cy )y
     ax2+ by x+ bxy+ cy2 
     =
ax2+ 2bxy+ cy2  
       
二次形式thAhの(係数)行列」といえば、対称行列Aのことを指す。
二次形式thAhの階数」といえば、対称行列Aの階数のことを指す。
thAh を、対称行列Aによって定まる二次形式という意味で、A[h]とも書く。

2次形式は、h(x, y)の関数であって、R2上で連続(∵)。



たとえば、二次形式
3x12+ 7x1x2 + 5 x22 なら、     
 3x12+ 7x1x2 + 5 x223x12+ 27/2 x1x2 + 5 x22 (つまり、a127/2 として、) 
   =
3x12+7/2 x1x2 +7/2 x2x1 +5 x22 
   =
(3x1 + 7/2 x2) x1 +(7/2 x1+ 5 x2) x2 
    
  と表せる。 

 
内積表現
「変数x,yについての二次形式Q(x,y)は
  h  A= 
自然な内積をつかって、
   hAh
ないし
   Ahh
と表すことができる。


   
   

[トピック一覧:二次形式]
[線形代数目次/総目次] 

 

 

定義:正値定符号二次形式positive definite


行列を
用いない
定義


「『
x,yについての二次形式Q (x,y)正値である」
「『
x,yについての二次形式Q (x,y)正値定符号二次形式である」
「『
x,yについての二次形式Q (x,y)正定形式positive formである」
とは、
 
x=y=0ではない限りで任意(x,y)に対して、
  『x,yについての二次形式Q (x,y)>0 
 が成り立つこと

つまり、
 原点(0,0)を除く平面R2上のどこでも、
   Q (x,y)>
 が成り立つこと
をいう。

 → 
正値定符号行列  

一般化→n変数の正値定符号二次形式
正値定符号になるための条件:
 ・2変数二次形式の符号判定〜行列を使わずに
 ・正値定の必要十分条件-固有値 
 ・正値定の必要十分条件-主小行列式 
活用例:2変数関数の狭義極小の2階十分条件 


[文献−線型代数]
・佐武『線型代数学』W§4 (p.161)
・斎藤『線形代数入門』155;
・永田『理系のための線形代数の基礎』149;
・木村『線形代数:数理科学の基礎』2.1(p.36):平方完成との関連。

[文献−解析]
*杉浦『解析入門1』U§8定義1(p.153)
*松坂『解析入門3』14.3-A (p.169):行列を使わずに。
*松坂『解析入門4』18.2-E (p.107):行列を用いて。

[文献−数理経済]
・入谷久我『数理経済学入門』定義8.2 (p.188).
Chiang, Fundamental Methods of Mathematiaal Economics, 320.
・岩田『経済分析のための統計的方法』311


行列を
用いた
定義


二次形式thAh正値である」
二次形式thAh正値定符号二次形式である」
二次形式thAh正定形式positive formである」
とは、
 
零ベクトルでない任意2次元縦ベクトルhに対して
     
二次形式 thAh >0 
 が成り立つことをいう。

 → 
正値定符号行列  

簡単なかたちの2次形式ならば、
平方完成によって、正値定符号の判定が可能。
複雑な場合は、どのようにして、正値定符号の判定を行うか?
固有値による正値定符号の判定
主小行列式による正値定符号の判定

   

→[トピック一覧:二次形式]
→[線形代数目次/総目次] 

 

定義:正値定符号行列positive definite matrix


1.


正値定符号行列・正定行列とは、
Q (x,y) = = ax2+2 bxy + c y2 正値定符号二次形式であるとき、
Q (x,y)ax2+ 2bxy+ cy2
  
(x,y)
という形に表した際の
対称行列のことをいう。

※一般化→n×nの正値定符号行列
※正値定符号になるための条件:
 ・2変数二次形式の符号判定〜行列を使わずに
 ・正値定の必要十分条件-固有値 
 ・正値定の必要十分条件-主小行列式 
※活用例:2変数関数の狭義極小の2階十分条件 

[文献−線型代数]
・佐武『線型代数学』W§4 (p.161)
・斎藤『線形代数入門』155;
・永田『理系のための線形代数の基礎』149;
・木村『線形代数:数理科学の基礎』2.3(p.39)。

[文献−解析]
*杉浦『解析入門1』U§8定義1(p.153)
*松坂『解析入門3』14.3-A (p.169):行列を使わずに。
*松坂『解析入門4』18.2-E (p.107):行列を用いて。

[文献−数理経済]
・岡田『経済学・経営学のための数学』2.7 (p.113)
・岩田『経済分析のための統計的方法』311
Greene , Econometric Analysis,46. 


2.


要するに、
行列正値定符号行列である」
行列正定行列である」
 とは、
 
によって定まる二次形式(x,y)正値定符号二次形式となること
 つまり、
零ベクトルでない任意実2次元数ベクトルに対して
     
(x,y) >
 が満たされること
 である。 

 →正値定符号二次形式

簡単なかたちの2次形式ならば、
平方完成によって、正値定符号の判定が可能。
複雑な場合は、どのようにして、正値定符号の判定を行うか?
固有値による正値定符号の判定
主小行列式による正値定符号の判定

   

→[トピック一覧:二次形式]
→[線形代数目次/総目次] 

 

定義:半正値定符号二次形式positive semi-definite


行列を
用いない
定義


x,yについての二次形式Q (x,y)半正値である」
x,yについての二次形式Q (x,y)半正値定符号二次形式である」
とは、
 
x=y=0ではない限りで任意(x,y)に対して、
  『
x,yについての二次形式Q (x,y)≧0 
 が成り立つこと
つまり、
 原点(0,0)を除く平面R2上のどこでも、
   Q (x,y)
 が成り立つこと
をいう。

 → 
半正値定符号行列  


※一般化→n変数の半正値定符号二次形式

[文献−線型代数]
・佐武『線型代数学』W§4 (p.161)
・斎藤『線形代数入門』155;
・永田『理系のための線形代数の基礎』149;

[文献−解析]
*杉浦『解析入門1』U§8定義1(p.153)
*松坂『解析入門3』14.3-A (p.169):行列を使わずに。
*松坂『解析入門4』18.2-E (p.107):行列を用いて。

[文献−数理経済]
・入谷久我『数理経済学入門』定義8.2 (p.188).
Chiang, Fundamental Methods of Mathematiaal Economics, 320.
・岩田『経済分析のための統計的方法』311


行列を
用いた
定義


二次形式thAh半正値である」
二次形式thAh半正値定符号二次形式である」
とは、
 
零ベクトルでない任意2次元縦ベクトルhに対して 
   
二次形式 thAh ≧0 
 が成り立つことをいう。

 → 
半正値定符号行列  

     

[トピック一覧:二次形式]
[線形代数目次/総目次] 

 

 

定義:半正値定符号行列positive semi-definite matrix , 非負値定符号行列non-negative difinite matrix


1.


半正値定符号行列半正定行列非負値符号行列非負定行列とは、
Q (x,y) = ax2+2 bxy + c y2 が半正値定符号二次形式であるとき、
Q (x,y) = ax2+2 bxy + c y2 を、
  (x,y)
という形に表した際の
対称行列のことをいう。  


※一般化→n×nの半正値定符号行列

[文献−線型代数]
・佐武『線型代数学』W§4 (p.161)
・斎藤『線形代数入門』155;
・永田『理系のための線形代数の基礎』149;
・木村『線形代数:数理科学の基礎』2.3(p.39)。「半正定」「非負定」

[文献−解析]
*杉浦『解析入門1』U§8定義1(p.153)
*松坂『解析入門3』14.3-A (p.169):行列を使わずに。
*松坂『解析入門4』18.2-E (p.107):行列を用いて。

[文献−数理経済]
・岡田『経済学・経営学のための数学』2.7 (p.113)
・岩田『経済分析のための統計的方法』311
Greene , Econometric Analysis,46.

2.

要するに、
行列半正値定符号行列である」
行列半正定行列である」
行列非負値符号行列である」
行列非負定行列である」
とは、
によって定まる二次形式(x,y)半正値定符号二次形式となること
  つまり、
  
零ベクトルでない任意2次元数ベクトルに対して、
      
(x,y) ≧0
  が満たされること
である。 
 → 
半正値定符号二次形式

   

→[トピック一覧:二次形式]
→[線形代数目次/総目次] 

 

 

定義:負値定符号二次形式 negative definite


行列を
用いない
定義


x,yについての二次形式Q (x,y)負値である」
x,yについての二次形式Q (x,y)負値定符号二次形式である」
とは、
 
x=y=0ではない限りで任意(x,y)に対して、
  『
x,yについての二次形式Q (x,y)<0 
 が成り立つこと

つまり、
 原点(0,0)を除く平面R2上のどこでも、
   Q (x,y)<
 が成り立つこと
をいう。

 →
負値定符号行列   


一般化→n変数の負値定符号二次形式
負値定符号になるための条件:
 ・2変数二次形式の符号判定〜行列を使わずに
 ・負値定の必要十分条件-固有値 
 ・負値定の必要十分条件-主小行列式 
活用例:2変数関数の狭義極大の2階十分条件 

[文献−線型代数]
・佐武『線型代数学』W§4 (p.161)
・斎藤『線形代数入門』155;
・永田『理系のための線形代数の基礎』149;

[文献−解析]
*杉浦『解析入門1』U§8定義1(p.153)
*松坂『解析入門3』14.3-A (p.169):行列を使わずに。
*『解析入門4』18.2-E (p.107):行列を用いて。

[文献−数理経済]
・入谷久我『数理経済学入門』定義8.2 (p.188).
Chiang, Fundamental Methods of Mathematiaal Economics, 320.
・岩田『経済分析のための統計的方法』311


行列を
用いた
定義


二次形式thAh負値である」
二次形式thAh負値定符号二次形式である」
とは、

 
零ベクトルでない任意2次元数ベクトルhに対して 
 
二次形式 thAh <0 が成り立つことをいう。

 → 
負値定符号行列  

   

[トピック一覧:二次形式]
[線形代数目次/総目次] 

 

 

定義:負値定符号行列negative definite matrix


1.


負値定符号行列・負定行列とは、
Q (x,y) = = ax2+2 bxy + c y2 負値定符号二次形式であるとき、
Q(x,y) = = ax2+2 bxy + c y2 を
  
(x,y)
という形に表した際の
対称行列のことをいう。


一般化→n×nの負値定符号行列
負値定符号になるための条件:
 ・2変数二次形式の符号判定〜行列を使わずに
 ・負値定の必要十分条件-固有値 
 ・負値定の必要十分条件-主小行列式 
活用例:2変数関数の狭義極大の2階十分条件 

[文献−線型代数]
・佐武『線型代数学』W§4 (p.161)
・斎藤『線形代数入門』155;
・永田『理系のための線形代数の基礎』149;

[文献−解析]
*杉浦『解析入門1』U§8定義1(p.153)
*松坂『解析入門3』14.3-A (p.169):行列を使わずに。
*松坂『解析入門4』18.2-E (p.107):行列を用いて。

[文献−数理経済]
・岡田『経済学・経営学のための数学』2.7 (p.113)
・岩田『経済分析のための統計的方法』311
Greene , Econometric Analysis,46.


3.


要するに、
行列は負値定符号行列である」
行列は負定行列である」
 とは、
 によって定まる二次形式(x,y)負値定符号二次形式となること
   つまり、
零ベクトルでない任意2次元数ベクトル)に対して、
     
(x,y) <0
   が満たされること
 である。 

 → 負値定符号二次形式

   

→[トピック一覧:二次形式]
→[線形代数目次/総目次] 

 


定義:半負値定符号二次形式 negative semidefinite


行列を
用いない
定義


x,yについての二次形式Q (x,y)半負値である」
x,yについての二次形式Q (x,y)半負値定符号二次形式である」
とは、
 
x=y=0ではない限りで任意(x,y)に対して、
  『
x,yについての二次形式Q (x,y) ≦0 
 が成り立つこと

つまり、
 原点(0,0)を除く平面R2上のどこでも、
   Q (x,y)
 が成り立つこと
をいう。

 → 
半負値定符号行列  


※一般化→n変数の半負値定符号二次形式

[文献−線型代数]
・佐武『線型代数学』W§4 (p.161)
・斎藤『線形代数入門』155;
・永田『理系のための線形代数の基礎』149;

[文献−解析]
*杉浦『解析入門1』U§8定義1(p.153)
*松坂『解析入門3』14.3-A (p.169):行列を使わずに。
*松坂『解析入門4』18.2-E (p.107):行列を用いて。

[文献−数理経済]
・入谷久我『数理経済学入門』定義8.2 (p.188).
Chiang, Fundamental Methods of Mathematiaal Economics, 320.
・岩田『経済分析のための統計的方法』311


行列を
用いた
定義


二次形式thAh半負値である」
二次形式thAh半負値定符号二次形式である」
とは、
 
零ベクトルでない任意2次元数ベクトルhに対して 
      
二次形式 thAh ≦0 
 が成り立つことをいう。

 → 
半負値定符号行列   

   

→[トピック一覧:二次形式]
→[線形代数目次/総目次] 

 

 

定義:半負値定符号行列negative semi-definite matrix , 非正値定符号行列non-positive difinite matrix


1.


半負値定符号行列・非正値定符号行列とは、
Q (x,y) =  ax2+2 bxy + c y2 半負値定符号二次形式であるとき、
Q (x,y)ax2+ 2bxy+ cy2
  
(x,y)
という形に表した際の
対称行列のことをいう。
 


※一般化→n×nの半負値定符号行列

[文献−線型代数]
・佐武『線型代数学』W§4 (p.161)
・斎藤『線形代数入門』155;
・永田『理系のための線形代数の基礎』149;

[文献−解析]
*杉浦『解析入門1』U§8定義1(p.153)
*松坂『解析入門3』14.3-A (p.169):行列を使わずに。
*松坂『解析入門4』18.2-E (p.107):行列を用いて。

[文献−数理経済]
・岡田『経済学・経営学のための数学』2.7 (p.113)
・岩田『経済分析のための統計的方法』311
Greene , Econometric Analysis,46.


2.


要するに、
行列半負値定符号行列である」
行列非正値定符号行列である」
 とは、
 
によって定まる二次形式(x,y)半負値定符号二次形式となること
   つまり、
   
零ベクトルでない任意2次元数ベクトルに対して、
       
(x,y) ≦0
   が満たされること
 である。

 →半負値定符号二次形式

 


→[トピック一覧:二次形式]
→[線形代数目次/総目次] 

 




定義:不定符号二次形式


行列を
用いない
定義


x,yについての二次形式Q (x,y)不定符号である」
とは、
  「Q (x,y)>0かつx=y=0でない』」を満たす(x,y)も、
  「Q (x,y)<0かつx=y=0でない』」を満たす(x,y)も、
   存在す

ということ
つまり、
   原点(0,0)を除く平面R2上に、
     Q (x,y)>0を満たすも、 
     Q (x,y)<0を満たす
   存在する
ということ


したがって、
Q (x,y)不定符号だと、
 x=y=0ではない限りで任意(x, y)に対して、
  Q (x,y)の符号を
一義的に定めらることはできなくなる。


※一般化→n変数の不定符号二次形式

[文献−解析]
・松坂『解析入門3』14.3-A (p.169):行列を使わずに。



行列を
用いた
定義


二次形式thAh不定符号である」
とは、
  「thAh>0かつh」を満たす実2次元縦ベクトルhの値も、
  「thAh<0かつh」を満たす実2次元縦ベクトルhの値も存在する
ということ。

したがって、
thAh不定符号であると、
零ベクトルでない任意実2次元縦ベクトルhに対して、 
   thAhの符号を、
一義的に定めることはできない。


→[トピック一覧:二次形式]
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定義:半定符号二次形式



半定符号二次形式とは、
半正値定符号二次形式半負値定符号二次形式の総称。

つまり、
x,yについての二次形式Q (x,y)半定符号である」
とは、
   Q (x,y)半正値定符号二次形式である
   または
   Q (x,y)半負値定符号二次形式である
ということを指す。




[文献−解析]
・松坂『解析入門3』14.3-C (p.169):行列を使わずに。