イギリス人医師マリア・ベネットとスコットランド人の夫ヘンリーは、クリスマス休暇を過ごすために、3人の息子たちを伴って海岸保養地として有名なタイのプーケット島にやってくる。クリスマスの翌日、燦々と照りつける太陽を浴びながら、ホテルのプールで楽しいひと時を過ごしていると、突然、彼らの目の前に巨大な波が現れ、周りの人々や建物を飲み込んでいく。容赦なく寄せては返す濁流に翻弄されながらも、偶然、近くにあった流木に必死にしがみつき、からくも死を免れたマリアと長男のルーカスは、全てが流され、辺り一面沼地と化した廃墟を、離れ離れになった家族、そして助けを求めて傷ついた体を引きずりながらさまよい歩く….
この作品は2004年12月26日午前7時58分53秒に発生し、死者22万人、負傷者13万人というとてつもない被害者を出したスマトラ沖地震と、それによって引き起こされた巨大な津波に遭遇しながらも奇跡的に生き残ったスペインのマリア・ベロン一家の実話を映画化したものだ。監督はスペインの新鋭ファン・アントニオ・バヨナ(Juan
Antonio Bayona, 1975 - )、マリアには和製ホラー『リング』のハリウッド版『リング』(The Ring, 2002)でヒロインを演じ、人気を不動のものにしたイギリス人女優ナオミ・ワッツ(Naomi Watts, 1968 - )、ヘンリー役には『トレインスポッティング』(Trainspotting, 1996)で世界的の注目を集めたスコットランドの俳優ユアン・マクレガー(Ewan McGregor, 1971 -
)があたっている。
なお、長男ルーカスを演じたトム・ホランド(Tom Holland, 1996- )もイギリス生まれの俳優であることとから、話す英語は歯切れのいい明瞭な発音のイギリス英語。英語学習には最適である。
(青色の語句には注釈が付いています)
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Int. Airplane - Day
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屋内−飛行機−昼
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Father: |
Not again. Did you…did you set the alarm before we left?
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父親: |
またか。な、なあ、家を出る前に警報機をセットしたかい?
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Mother: |
Yeah, it was the last thing I did.
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母親: |
ええ。私が最後にしたのはそれよ。
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Father: |
No, I was the last one to leave. I was the
last one to leave and I’m sure I didn’t set it.
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父親: |
いや、最後に家を出たのは僕だ。僕が最後に出たけど、はっきり言って僕はセットしてないぞ。
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Mother: |
No, darling. I was the last one out. And I did. I
promise.
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母親: |
いいえ。最後に出たのは私よ。そうよ。確かだわ。
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Father: |
You sure?
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父親: |
ほんとか?
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Mother: |
Yeah.
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母親: |
ええ。
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Father: |
Okay. No, no, I was the last one, because I
went back in. And that means the alarm
is not set. Because I didn’t set it.
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父親: |
オーケー。いや、いや、僕が最後だった。というのも、僕は戻ったんだから。ということは、警報機はセットされてないってことだ。なぜなら、僕はセットしなかったんだから。
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Mother: |
Well…I guess that means we’ll be coming home to a large bunch of hippies sleeping in our bed.
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母親: |
じゃあ…家に帰ってきたら大勢のヒッピーたちが私たちのベッドで寝てるってことね。
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Father: |
What? Just like your old college days?
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父親: |
なんだって?昔の君の学生時代みたいに?
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They both laugh. The airplane rocks.
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二人は笑う。機体が揺れる。
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Father: |
It’s all right. It’s fine. It’s just turbulence, Maria.
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父親: |
大丈夫。大丈夫だ。ただの乱気流さ、マリア。
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Sigh says: Please Turn Off Electric Devices
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表示が出る:電気機器をお切りください。
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Announcement: |
Ladies and Gentlemen, we are about to begin our descent into Phuket Airport. The local time is 1:30 in the afternoon….
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アナウンス: |
皆様、間もなくプーケット空港に向けて降下を開始いたします。現地時間は午後1時30分です….
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Mother: |
(to her son) What are you doing? It’s time to sit down. We are about to land, darling.
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母親: |
(息子に)何してるの?座りなさい。もうすぐ着陸よ。
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Son: |
Lucas won’t to talk to me.
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息子: |
ルーカスが僕に口をきいてくれないんだ。
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Announcement: |
….We ask that you fasten your seatbelt and return your seat to the upright position.
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アナウンス: |
…..皆様、シートベルトをお締めになり、座席をもとの位置にお戻し下さい。
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Mother: |
Take my seat.
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母親: |
ママの席に座って。
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She
unfastens the seatbelt and stands up.
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彼女はシートベルト外して、立ち上がる。
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Son: |
What did I do? I didn’t do anything.
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息子: |
僕が何したの?何もしてないよ。
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Mother: |
It’s all right. Just sit down and stop worrying. Buckle up.
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母親: |
いいから。座りなさい、心配しないで。シートベルトをするのよ。
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She walks to Lucas sitting in the other seat.
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彼女は別の座席に座っているルーカスのところへ歩いていく。
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Flight attendant: |
Sit down, please, madam.
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客室乗務員: |
お客様、お座り下さい。
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Mother
sits next to Lucas.
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母はルーカスの隣に座る。
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Mother: |
Lucas.
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母親: |
ルーカス。
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She
snatches the earphone off him.
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彼女は彼からイヤホンをもぎ取る。
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Mother: |
Lucas.
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母親: |
ルーカス。
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Lucas. |
What?
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ルーカス: |
何だよ?
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Mother: |
You know you could try being a bit nicer to your brother. He’s just scared.
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母親: |
ねえ、弟にもう少しやさしくしてやったら。あの子、怖がりなんだから。
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Lucas. |
So what else is new? Everything scares him.
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ルーカス: |
今まで通りじゃない?あいつ、なんにでも怖がるんだから。
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The airplane rocks all of a sudden and she gets frightened.
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機体が揺れる。彼女は怯える。
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Lucas. |
I wonder who he takes after.
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ルーカス: |
あいつ、誰に似たんだか。
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語句解説 |
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Not again またか → I cannot believe that it happened again.の意を表して、再び起きたことに対して使われる。
alarm 警報、警報機、警報装置
a large bunch of…. 非常にたくさんの….. →a bunch of boys (少年の一群)のようにbunchは人、動物などの「群れ、集まり」
turbulence 動揺、乱気流
turn off 止める、消す、切る → He turned off the light. (彼は明かりを消した)のようにラジオ、テレビ、明かり、ガス、水道などを「消す、止める、切る」
device 装置、機器
be about to… まさに〜しようとしている → be going to …より差し迫った未来を表して使われる。
descent 降下
Phuket Airport プーケット空港 → プーケットはタイ西海岸近くの島、プーケット島。海岸保養地として有名。
upright 真っ直ぐな、垂直の →位置、姿勢などについていう。
Ex. Please keep these books upright. (これらの本をまっすぐ立てておいて下さい)
buckle up シートベルトを締める
take after…. 〜に似る → She takes after her father. (彼女は父親に似ている)のように、容姿、行動、性格などの面で親などに「似る」の意。進行形は不可。
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