先祖から一族が受け継いだカウアイ島の広大な土地を管理する弁護士マット・キングは、開発業者への売却準備に追われていた。そんななか、彼をとんでもない不幸が直撃する。妻がボート事故で意識不明に陥ったのだ。多忙極めた生活から、妻に任せきりだった2人の子育てを、これからは自分一人でやっていかねばならない。しかも、長女アレックスは17歳という難しい年齢。学校の寄宿舎に住んでいた彼女を家に連れ戻し、今後の話をしていたとき、彼女は突然、母が浮気をしていたことを父に告げる….
妻の不倫を知らされて驚き、戸惑い、怒り、おろおろする父親にジョージ・クルー二―(George Clooney, 1961 -
)、反抗期の長女アレックスには A Place Called Home (2005)でヤング・アーティスト賞にノミネートされたシェイリーン・ウッドリー(Shailene Diann Woodley, 1991 -
)。カウイ・へミングス(Kaui Hart Hemmings, 生年不詳)が2007年に発表した同名の小説が原作である。
なお、以下の対話は将来の話し合いをしている際に、アレックスが母親の浮気を父にばらしたときのものである。「浮気」とか「現場を押さえる」など、学校では決して習わない英語表現が学べる貴重な場面といえるだろう。
(青色の語句には注釈が付いています)
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Int. House – Day
Dad is talking to his daughter.
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屋内―家―昼
父親が娘に話している。 |
Dad: |
We have to go through this thing together, you and Scottie and me. And I have to go around and tell people what’s happening. Family and a few close friends.
Sometimes I’m gonna need you to come with me. Sometimes I need you to watch Scottie.
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父: |
私たちは一緒にこの件を乗り越えていかなければ、おまえとスコッティ、それに私とでね。しかも私はあちこち訪ねて起こっていること伝なくちゃいけないんだ。家族と何人かの親しい友人たちにさ。時々はおまえに一緒に来てもらう必要があるだろうし、時にはスコッティのことを見てもらわないとね。
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Alex: |
You want me to go around with you and tell people that Mom’s gonna die? What’s the point of that? Breaking the news, watching them cry, dealing with their emotions? How depressing is that gonna be? Just call them.
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アレックス: |
パパと一緒にあちこち訪ねて、ママが死ぬって皆に伝えるですって?そんなことして何になるの?それを知らせ、皆が泣くのを見、その人たちの感情をいじくろうってわけ?それって、何て気が滅入ることかしら?皆に電話するだけでいいじゃない。
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Dad: |
Alex, nobody wants to do any of this. But we have to tell your grandpa and Tutu, and a few friends. They have the right to know, and they have the right to say goodbye.
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父: |
アレックス、誰もそんなことはしたくないさ。だが、おじいちゃんやトゥトゥ、それに何人かの友人には話さないといけないんだ。彼らには知る権利があるし、それにお別れをする権利もあるんだ。
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Alex: |
I don’t wanna talk about Mom with anyone.
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アレックス: |
私、誰ともママの話はしたくない。
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Dad: |
Look, whatever you have two fought about over Christmas, you have to drop it. Grow up. You love your mother, your mother loves you.
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父: |
いいかい、クリスマスのときにおまえたち2人が何で喧嘩をしたかは知らないが、それは忘れるんだ。大人にならなくちゃ。おまえはママを愛しているし、ママもおまえを愛しているんだから。
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Alex: |
I can’t drop it.
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アレックス: |
忘れられないわ。
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Dad: |
You have to.
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父: |
そうしなきゃだめだ。
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Alex: |
You really don’t have a clue, do you? Dad….Dad, Mom was cheating on you. That is what we fought about. When I was here at Christmas, I
caught her with a guy. It made me sick to see her with a guy. It made me sick to see her near you. I went back to school thinking that that was it,
that I was just done with her. I was gonna call and tell you everything and…And then the accident happened and….I was waiting until she woke up, I guess.
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アレックス: |
パパには見当もつかないの、ねえ?パパ….パパ、ママはパパのことを裏切っていたのよ。私たちが喧嘩をしたのはそのことなんだから。私がクリスマスでここに帰っていたとき、ママが男の人といるのを目撃したの。ママが男の人といるのを見て吐き気がしたわ。ママがパパの側にいるのを見て吐きそうだった。私、これで終わりだと思いながら学校へ戻ったの。もうこれでママとの縁が切れたってね。私、パパに電話して全てを話そうと思っていたら….そのとき、あの事故が起きて、それで….私、ママが意識を回復するまで待っていたんだと思う。
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She
is sobbing.
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彼女は泣いている。
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Alex: |
You didn’t even suspect, right? Right? It disgusted me, too. You’re always so busy.
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アレックス: |
パパは疑ってもいなかったんでしょ、ねえ?そうでしょ?私も吐き気をもようしたわ。パパはいつだってすごく忙しいから。
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Dad: |
“Caught her with a guy.” What does that mean?
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父: |
「ママが男の人といるところを目撃した」。それはどういう意味だ?
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Alex: |
I was on my way to swim in the Black Point pool with Brandy…and suddenly I see Mom and some douche bag walking into a house. His house, I guess.
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アレックス: |
私、ブランディとブラック・ポイントプールへ泳ぎに行く途中だった…..そこで、突然、ママとどこかのうすのろが歩いて家の中へ入っていくのを見たの。そいつの家だと思う。
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Dad: |
Just some guy. It could be anybody.
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父: |
たんなるどこかの男さ。どうってことないやつだろう。
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Alex: |
No, he had his hand on her ass. It was gross.
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アレックス: |
いいえ、そいつ、ママの尻に手をかけていたもの。ぞっとしたわ。
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Dad stands
up. He looks uneasy.
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父は立ち上がる。彼は落ち着かない様子だ。
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Dad: |
Then what?
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父: |
それからどうした?
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Alex: |
Then nothing. Then they went into the house. A few
days later, I told her I know what she was doing.
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アレックス: |
それからは何も。それから2人は家の中へ入ったわ。数日後、私はママに2人が何をしてるか知ってるわよって言ったの。
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Dad: |
And?
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父: |
すると?
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Alex: |
And first, she acted like she had no idea what I was talking about. Like I’m fucking blind. And then she got, like, super mad and yelled and denied it. That was when I decided that I didn’t want anything more to do with her.
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アレックス: |
すると最初は、私が何のことを話してるのか全く見当もつかないってふりをしたわ。まるで私がまるっきり盲目だといわんばかりにね。で、それから、ママ、カンカンに怒し出し、叫び、否定したの。そのときよ、私、ママとはきっぱりと縁を切ろうと決めたのは。
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Dad: |
Who is he?
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父: |
その男は誰だ?
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Alex: |
I don’t know. Some guy.
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アレックス: |
知らないわ。どこかの男。
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Dad: |
What’s he look like?
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父: |
どんな外見だ? |
Alex: |
Dark hair.
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アレックス: |
黒髪。 |
Dad: |
Oh.
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父: |
ああ。 |
He
walks around the room restlessly.
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彼は落ち着きを失くし、部屋中を歩き回る。
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Dad: | Watch your sister.
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父: |
妹を見といてくれ。
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He
walks out of the house in a hurry.
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彼は足早に家から出て行く。
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語句解説 |
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go
through 通り抜ける、切り抜ける →この表現は困難などを「切り抜ける、耐える」の意味を表して使われる。
go
around 動き回る、出歩く、訪問する
watch 監督する、世話をする、見張る →子供、病人などの世話をすること。
point 要点、肝心な点、意味
Ex.
I couldn’t get his point. (彼の要点がつかめなかった)
breaking the news その知らせを伝えること →ここでのbreakはニュースなどを「知らせる、打ち明ける」の意。またテレビ、ラジオなどでは特に公表が控えられていた記事、ニュースを「公表する」との意味で使われる。
deal
with…. ~を取り扱う、処理する、対処する、とかかわりを持つ
depressing
憂鬱な、意気消沈させる
grandpa
=grandfather →grandma =
grandmother
right 権利 →法的保障、道徳的信条などによって全ての人間が当然受けるべき権利をいう。
drop
下げる、取り下げる、やめる →
Ex.
Drop the subject. (その話題は打ち切りたまえ →その話はもういい)
clue 手がかり、ヒント、糸口 →do not
have a clueとかhave no clue で「さっぱり分からない、全く知らない」の意を表す。
cheat
裏切る、浮気をする →浮気をして夫、妻、恋人を裏切ること。
Ex. She cheated on her husband. (彼女は浮気をして夫を裏切った)
catch 見つける、目撃する →ここでのcatchは I caught them stealing books. (私は彼らが本を盗んでいるところを目撃した)のように「(人が~しているところを)目撃する、取り押さえる」の意を表す。
make
me sick 私をむかつかせる、私に吐き気をもようさせる →ここでのsickは「病気の」ではなく、「むかついて、吐き気をもようして」の意。
be
done with…. ~とは終わりだ、とはもう何の関係もない
wake
up 目を覚ます、意識を回復する、蘇る
suspect
推測する、疑う、怪しいと思う
disgust 吐き気をもようさせる、胸を悪くさせる、ウンザリさせる
on
one’s way to … ~への途中で
douche
bag (俗)くだらないやつ、うすのろ
ass (卑俗)けつ、尻
gross (俗)いやな、むかつく、気持ち悪い、ぞっとする
like
まるで、みたいな
have
no idea 見当がつかない、全く分からない →don’t
have the slightest ideaともする。なお、slightestに代ってleast、faintest、first、foggiest、remotestが使われることも多い。
fucking (卑俗)くそ…. →悪態をついたり、ののしったり、表現を限りなく下品にしたり、迫力をつけたり、また次にくる語句を強めたりして使われる。なお、人前で使ってはならないことば。
super
mad = very mad
yell 叫ぶ、大声を上げる
deny 否定する
I
didn’t…..do with~ ~とはこんりんざい関係を持たない、とはもう完全に手を切る →have ~to do with….は「….と関係がある、と関連がある」の意を表す表現。関係の度合いは~のところにsomething、a little、a lot、much、nothingなどを用いて表される。
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