ミルウォーキーに住むアニーは30代の独身女性。夢だった手作りケーキ店を開業するも失敗し、挙句の果てに、恋人にも捨てられてお先真っ暗。母親のコネで宝石店に職を得て、何とか日々を過ごしているという惨めな状態。そんな彼女の心のより所は親友のリリアンだけ。ある日、その彼女からビッグ・ニュースがあるとの電話がきた。
彼女のもとへ駆けつけると、突然、彼女から婚約したと告げられて、ショックを受ける。さらに追い討ちをかけるように、花嫁の介添え人を勤めてほしいと頼まれるのだ。複雑な気持ちを押し殺し、作り笑いを浮かべて祝福し、その大役を引き受けて、リリアンの結婚式に向けての準備にとりかかる。ところが、リリアンが集めてきた他の4人の花嫁介添え人たちは、なんと一クセも二クセもある曲者ばかり。思うようにことははかどらないばかりか、最悪のハプニングが次々起こって…….
監督はポール・フェイグ(Pal Feig, 1962 - )、主役のアニーには『宇宙人ポール』(Paul, 2011)でルースを好演した俳優兼コメディエンヌのクリステン・ウィグ(Kristen Wiig, 1973 - )、そして彼女の親友リリアンには、同じく俳優、コメディエンヌにして歌手でもあるマーヤ・ルドルフ(Maya
Rudolph, 1972 - )があたっている。
なお、以下の対話は、アニーがリリアンを訪ねた夜に婚約したことを告げられたときのものである。
(青色の語句には注釈が付いています)
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Int. Apartment – Night
Annie knocks on the door.
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屋内-アパート-夜
アニーがドアをノックする。 |
Lillian: |
Who is it?
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リリアン: |
どなた? |
Annie: |
Me!
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アニー: |
私! |
Lillian: |
Who is it?
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リリアン: |
どなた? |
Lillian
opens the door and Annie runs into the apartment.
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リリアンがドアを開けるとアニーがアパートの中へ走りこむ。 |
Lillian: |
Oh, my God.
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リリアン: |
あら、まあ。
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Annie: |
Hurry up, your creepy neighbor asked me if I wanted to watch the news again.
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アニー: |
早く、あなたのキモイお隣さんがまたニュースを一緒に見ないかって誘ってきたの。 |
Lillian: |
Sorry. He is so gross.
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リリアン: |
ごめん。あいつ、本当に気持ち悪いのよね。 |
Lillian
imitates her neighbor’s accent.
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リリアンは隣人の声の調子を真似る。 |
Lillian: |
Please come on in. Let me take your
magazine. Welcome to he magazine and wine party. Ooh!
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リリアン: |
どうぞ入って。その雑誌をちょうだいな。雑誌とワイン・パーティへようこそ。オー! |
She
walks toward the table.
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彼女はテーブルの方へ歩く。 |
Lillian: |
Have a seat. I’m very happy that you are here.
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リリアン: |
座って。あなたがここに来てくれて嬉しいわ。 |
Annie: |
What?
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アニー: |
なに? |
Lillian: |
Because I want to eat an apple. Would you like some apple?
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リリアン: |
だって、私、リンゴを食べたいの。リンゴはどう? |
She stretches her right hand and shows ring on her
third finger.
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彼女は右手を差し出し、薬指の指輪を見せる。 |
Annie: |
What is that?
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アニー: |
それ何なの? |
Lillian: |
I got engaged.
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リリアン: |
私、婚約したの。 |
Annie: |
What?
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アニー: |
なんですって?
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Lillian: |
He asked me last night.
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リリアン: |
彼、昨夜、私に申し込んだのよ。 |
Annie: |
What?
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アニー: |
なんですって? |
Lillian: |
I know! That’s why he’s been acting so weird, ’cause he’s a terrible liar, and he thought he was gonna blow it. He was ignoring me and I thought he was going to break up with me.
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リリアン: |
そう!だから彼、ずっと様子が変だったのよね。というのも、彼、嘘が下手だから、それで、台無しにするんじゃないかと思ったわけよ。彼ったら、私のことを無視していたもんだから、私、てっきり彼が私と別れようとしてるんだと思ったの。 |
Annie: |
Oh, my gosh.
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アニー: |
あら、まあ。 |
Lillian starts to whimper.
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リリアンはべそをかき始める。 |
Annie: |
Oh, my gosh!
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アニー: |
まあ、そんな! |
Lillian: |
I
know!
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リリアン: |
そうなの! |
Annie: |
Lil!
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アニー: |
リル! |
Lillian: |
I’m shocked, still. But I’m happy. Can you believe this?
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リリアン: |
私、まだ動揺してるの。でも、幸せよ。これって、信じられる? |
Annie: |
Oh, my God. Oh, my God. I just got hot.
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アニー: |
まあ、驚いた。ほんと、驚いたわ。私、ほてってきちゃった。 |
Lillian: |
You did? Are
you okay?
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リリアン: |
そう?大丈夫? |
Annie: |
Yes. My pits are sweating. My stomach hurts. I’m hot.
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アニー: |
ええ。わきの下は汗ばんでるし、お腹が痛いの。暑いし。 |
Lillian: |
What does that mean?
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リリアン: |
それ、どういう意味? |
Annie: |
Oh, my God! (she exclaims)What is happening?
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アニー: |
ほんと、驚いたわ。(彼女は叫ぶ)どうなってんのよ? |
Lillian: |
I don’t know. I’m wearing a ring. I can’t believe it.
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リリアン: |
分からないけど。私、指輪をしてるの。信じられないわ。 |
Annie: |
Lil, you’re
getting married.
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アニー: |
リル、あなたは結婚するのよ。 |
Lillian: |
I’m getting married. And you’ll be my maid of honor.
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リリアン: |
私、結婚するのね。それで、あなたに付き添いをして欲しいの。 |
Annie: |
God, of course I will!
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アニー: |
まあ、もちろんするわよ! |
Lillian: |
It will be super fun.
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リリアン: |
最高に楽しくなるわ。 |
Annie: |
It’s gonna be really fun.
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アニー: |
とても楽しくなるわね。 |
Lillian: |
Yeah. You know, we can plan everything together.
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リリアン: |
ええ。ほら、あらゆることを一緒に計画できるもの。 |
Annie: |
My God! Planning the wedding…
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アニー: |
まあ!結婚式の計画を立てる…… |
Lillian: |
Are you sure you’re up for it? I know it’s a lot to ask and to put on your plate. And you’re going through a tricky time, and you’re super-busy…
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リリアン: |
ほんとうにやってくれる?あなたにはお願いし過ぎだし、責任を押し付け過ぎだわ。だから、大変苦労するだろうし、それにチョウ忙しくなる……. |
Annie: |
Stop.
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アニー: |
やめて。 |
Lillian: |
It’s a lot to ask.
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リリアン: |
お願いし過ぎるもの。 |
Annie: |
Stop.
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アニー: |
やめてったら。 |
Lillian: |
Okay.
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リリアン: |
わかった。 |
Annie: |
It’s fine. And I’m more than happy to do it, and it’s
not too much.
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アニー: |
いいわ。それに私、喜んでするわよ。それにさ、そんなたいしたことじゃないもの。 |
Lillian’s
cell-phone rings. She picks it up.
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リリアンの携帯電話が鳴る。彼女はそれを取り上げる。
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Lillian: |
Oh! Look at that. It’s my fiancé calling.
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リリアン: |
あら!これ見て。フィアンセからよ。 |
Annie: |
Oh, your fiancé.
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アニー: |
まあ、フィアンセね。 |
Lillian: |
(answers) Hi, baby. What’s up?
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リリアン: |
(返事をする)ハイ、ベイビー。どうしたの? |
Both
start to cheer.
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二人ははやしたて始める。 |
Lillian: |
It’s Annie. I just told her! Yeah. She’s s happy.
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リリアン: |
アニーよ。ちょうど彼女に話したところなの!喜んでるわ。 |
Annie: |
No, I’ not!
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アニー: |
いいえ、ちがうわよ! |
Lillian: |
“Yay”, she said. What, baby?
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リリアン: |
彼女、「わーい」って言ったの。何なの、ベイビー? |
Lillian
walks off talking over the phone.
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リリアンは電話しながら歩き去る。 |
Lillian: |
I know, I miss you, too.
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リリアン: |
分かってる。私もあなたがいないと寂しいわ。 |
Annie
starts to laugh.
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アニーは笑い始める。 |
Lillian: |
Yeah, I’ll meet you in an hour. I love you, too.
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リリアン: |
ええ。1時間後に会いましょ。私もあなたを愛してるわ。 |
Annie continues to laugh, but somehow she looks
sad.
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アニーは笑い続けるが、どこか悲しげだ。 |
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語句解説 |
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Who
is it? →このような場合にはWho are you?とはしないので注意。なお、相手の名前を聞く際には May I have your name? とかMay I ask your
name?とする。Who are you? とすると「おまえは誰だね」という意味合いになるので、使用は勧められない。ちなみに、電話の場合は Who is calling, please?とかWho am I talking
to?などとする。
Oh,
my God なんとまあ、たいへん、おやおや →驚き、退屈、不満、怒りなどを表す間投詞。
creepy 気味の悪い、ぞっとさせるような →昆虫の這う様から、人、話、場所などが「ぞっとさせる」の意を表す。
gross (俗)気持ちの悪い、ぞっとする
have a seat 座る、着席する →haveに代ってtake、getも使われる。なお、「起立する」はrise
from one’s seat、「席についている」はkeep one’s seat、hold one’s seat。
Ex.
Keep your seat, please. (どうぞ座ったままで)
weird
風変わりな、異様な、不気味な
blow
it (俗)台無しにする、だめにする
ignore 無視する、ないがしろにする
break
up with someone
to end a romantic relationship with someone、すなわち「人と別れる」の意を表す。
Oh,
my gosh まあ、そんな、なんてこと →驚き、喜び、不審、軽いののしりなどを表す間投詞。goshはGod の婉曲的転化。
whimper
弱弱しい声で泣く、べそをかく
Lil Lillian の愛称形。
shock →強い驚き、恐れ、嫌悪などでショックを受けること。
pits わきの下 →armpitsのこと。
sweat
汗をかく、汗ばむ
maid
of honor 花嫁の付き添い →花嫁に付き添う未婚夫人、すなわちbridesmaidのこと。なお、新郎の付き添い人は
bridesman、best man。
super (俗)とても、すごく、非常に
on
one’s plate
(仕事など)なすべき責任のある、やることになっている
go through….
~を経験する、を切り抜ける、を経る
tricky 手際のいる、油断ならない、微妙な →役目、仕事などが「やりにく、手際のいる」といった意味合い。
What’s
up? What is happening?とかWhat’s the matter?を表し、挨拶として使われる表現。
Yay うわー、いいぞ、そうだ
miss (人がいないので)淋しく思う、恋しい
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