Chicago Tribune Watchdog 2012年7月18日
EPA トリビューン紙が調査した
難燃剤の調査を誓う

研究が健康懸念を特定し、難燃剤は本当に火災を防止するのかどうかの疑いを提起した


情報源: Chicago Tribune Watchdog, July 18, 2012
EPA vows investigation of flame retardants, which Tribune investigated
Research has identified health concerns and raised doubts
about whether flame retardants prevent fires
By Michael Hawthorne, Chicago Tribune reporter
http://www.chicagotribune.com/news/watchdog/flames/
ct-met-flame-retardants-hearing-20120718,0,6159232.story


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2012年7月19日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_12/120718_Chicago_Tribunes_EPA_vows.html



【ワシントン】米環境保護庁は火曜日(7月17日)に、アメリカ人を有害化学物質から保護することについての米政府の怠慢の事例としてトリビューン紙連載記事が特定した難燃剤の広範な調査を実施するであろうと発表した。一方、消費者製品安全委員会議長はフォームクッションに最大2ポンドまでの難燃剤を含むことができるソファーを含んで、新たな布[革]張り家具からの有害な難燃剤のを除去を早めることができる特別の権限を与えるよう政策策定者に強く要請した。

 上院小委員会聴聞会で概要が示された取り組みは、健康の懸念を特定し、難燃剤が本当に火災を防ぐのかどうかの疑いを提起する研究が増大する中で、長年広い範囲の様々な家具や、赤ちゃん用品に添加されていたこの難燃剤についての議論に新たな前線を展開した。

 聴聞会を推進したトリビューン紙の調査”Playing With Fire(火災をもてあそぶ)”は、難燃剤を促進するためのタバコ産業と化学産業による人を欺く数十年に及ぶキャンペーンを曝露した。公衆の火災に対する恐れを利用して産業界は、科学を歪曲し、家具や電子機器中における難燃剤のいっそうの使用を推進するために消防関連トップの協会を組織するのに協力したインチキの消費者団体を設立した。

 連邦政府の研究者や独立系の科学者らによれば、いのちを救うものとして推進された家具のクッションに添加された難燃剤は、実際には火災から意味のある保護を何もしない。最も広く使用されている難燃剤のいくつかのものは、がん、神経系欠陥、発達障害、不妊などに関連している。

 EPAの化学物質安全担当のトップであるジェームス・ジョーンズは、難燃剤は、難燃剤及びその他の化学物質の危険性を評価する又は制限する権限を政府にほとんど与えない1976年の法である有害物質規正法(TSCA)のいくつかの弱点を描き出していると上院議員らに述べた。同法は化学会社が製品の安全性を証明せずに市場に出すことを許し、健康影響が報告された後にその化学物質を金失することをほとんど不可能とする。

 オバマ政権は、くり返し同法の徹底的な見直しを要求したが、民主党上院議員のフランク・ロッテンバーグ(Iニュージャージ州)とディック・ダービン(イリノイ州)は、反規制勢力のために苦境に陥っている。

 ジョーンズはEPAは、EPAがほとんど10年前から安全であるとして促進しており、現在商品名を Firemaster 550 として広く売られているある化学物質化合物を含むいくつかの難燃剤を目標にするために、既存の法の下で限られた権限を行使するであろうと述べた。

 EPAはまた、”最大の潜在的な懸念”を引き起こすかもしれないより広い範囲の難燃剤に焦点を当てつつ、今年の末までに新たな戦略を採択するであろうと、ダービンを議長とする影響力ある歳出委員会である財務サービス及び一般政府に関する上院歳出小委員会の冒頭陳述で述べた。
 ”アメリカの公衆は、コンお国で製造され、輸入され、使用される化学物質は安全であると期待する権利がある”とジョーンズは述べた。”今こそ、このひどく時代遅れとなったこの法律を改正するべき時である”。

 安全委員会議長イネツ・テネバウムは上院議員に、布(革)張り家具に新たな規則を適用するために同委員会の権限を強化する可燃性布製品法の修正案を支持するよう要請した。2008年には、もうひとつのトリビューン紙調査により明らかにされた危険−ベビーベッドとおもちゃに含まれる鉛とその他の有害物質を禁止する同様の裁量を議会は同委員会に与えていた。

 連邦政府規制当局は、どのようにして家具に耐火性を持たせるかという問題に長年取り組んできた。現在、安全委員会は最良の解決は、布(革)張り家具にくすぶるタバコに対する耐火性を求めることであると考えているが、タバコのくすぶりは家具火災の主要原因であることを連邦統計が示している。

 アメリカ家具設備協会の執行役員アンディ・カウンツは、家具産業界により採択された自主的基準は、今日市販されているほとんどのソファーや安楽椅子は委員会が提案する難燃剤を使用しない基準に合致する布製品で覆われていると述べた。

 ひとつの問題は、連邦法は新たな消費者保護規則を採用するのに長々しい手続きを求めるということである。委員会はまた、多くの形状と寸法で市販される家具のテスト実施要綱(プロトコール)を策定するのに数年要するということである。

 もうひとつの要素は、、1975年にカリフォルニア州が採択し、ほとんどの家具製造者が米国全土で販売する家具商品に適用しているということである。トリビューン紙調査に対応して、州知事ジェリー・ブラウンは先月、技術広報117(Technical Bulletin 117)と呼ばれる同州の基準を改訂するであろうと発表したが、これは連邦安全委員会の提案を不必要にするであろうひとつの動きである。

 ”もし、カリフォルニア州がこの問題に対応するなら、それはこの問題を最終的に解決することになるであろう”と安全委員会議長テネバウムは聴聞会の後のインタビューで述べた。”我々の手続きはとてもわずらわしいので、我々のことをまたないでほしい。”

 先週、ダービン、ロッテンバーグ、及びはじめて3人の共和党議員を含む26人の上院議員が、この化学物質安全法(TSCA)の議会での徹底的な見直しを要求した。しかし、同グループはロッテンバーグが提案している安全化学物質法(Safe Chemicals Act)を民主・共和の両党で支持するまでには至らなかったが、この法案は、EPAに化学物質を規制するためにもっと大きな権限を与え、製造者に製品を市場に出す前に安全性を証明することを求めるものであった。

 ”もし、これが a call to arms でないなら・・・、どうなるのかわからない”トリビューン紙の調査を引用しつつダービンは述べた。

 化学産業の主要業界団体である米国化学工業協会(ACC)は、新しい法律の理念は支持するが、ロッテンバーブの法案には反対すると述べている。ACCは、民主党上院議員からの法改正の呼びかけを拒否した。

 EPAのジョーンズは、もし、提案された見直しが実施されるなら、EPAはある難燃剤の市販を許さないであろうと述べた。彼は、独立系科学者らが数年かけて特定し懸念を提起したひとつの化学物質としてトリビューン紙が取り上げた難燃剤であるFiremaster 550を選び出した。

 2003年にEPAは、EPA内の科学者らが非常に懐疑的であることを示す記録があるにもかかわらず、難燃剤を安全であるとして称賛した。ピアレビューされたいくつもの研究が、この化学物質は地球規模で広がっており、日常的に家庭内ダストとなり子供達に吸引されていることを報告した後、EPAは現在、この物質について潜在的有害物質として”最優先”レビューを来年に実施することを計画している。

 この取り組みはまた、容易に拡散し、広く環境中に残留し、食物連鎖中に蓄積する傾向があるので、もっと厳格な審査ながなされるべきであると独立系科学者らが述べた化学物質のグループである他の難燃剤を含むであろうと火曜日(7月17日)にEPAは述べた。

 ”臭素化難燃剤はお互いに代替しあっているので、我々はそれらの全てを調べようとしている”と、EPAが見逃した化学物質の事例としてFiremaster 550 に言及しつつ、ジョーンズは聴聞会の後で述べた。我々は、同じような問題を引き起こすかもしれない化学物質の間でリスクを手似るようなことをしたくない”。
 Firemaster 550を製造しているフィラデルフィアに拠点を置く化学会社 Chemtura は、この難燃剤は安全であると述べ、EPAの2003年の是認を証拠として引用し続けている。先月、同社は、”Firemaster 550 の究極の便益を実現する”ために、EPAと協力作業を行なうであろうと述べた。
訳注:難燃剤の使用と規制に関する情報

訳注:テレビ筺体ロウソク耐火要求に関する情報
訳注:難燃剤の有害性に関する情報
訳注:難燃剤の曝露経路に関する情報




化学物質問題市民研究会
トップページに戻る