ES&T サイエンスニュース 2007年6月13日
ソファーやテレビの中の臭素化難燃剤を検出する
屋内空気と埃中のPBDEsの原因となる
家具を特定するためにX線蛍光を使用

情報源:ES&T Science News - June 13, 2007
Finding PBDEs in couches and TVs
Researchers are using X-ray fluorescence to pinpoint
household goods that are responsible for PBDEs in indoor air and dust.
http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2007/june/science/kb_pbde.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年6月14日


 過去5年間、科学者らは、食品がほとんどの残留性・生物蓄積性・有毒性化合物に人が暴露する主要な経路であるが、食品だけが世界中の人々の体内から見いだされるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)難燃剤の体内汚染の経路ではありえないということを知るようになった。研究者らは家庭や事務所、車、飛行機などで使用されている製品が汚染源として大きな役割を果たしているが、それらの製品のどれが屋内空気と埃中のポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)の汚染源なのか決定することは非常に難しいと今までは非常に難しいと今までは考えていた。

 消費者製品中のPBDEsを特定する非破壊的なよい方法を2年以上捜し求めた後に、ボストン大学公衆衛生校のトム・ウェブスターらの研究チームは、X線蛍光(XRF)がうまく使えるということを報告した。同研究チームは、ウェブスターがカリフォルニア州EPA有害物質試験所のミルト・ペトリアスらが母国安全プロジェクト(Homeland Security project)で臭素アトム原子を検出するためにXRF分析計を使用していることを知ってから、その技術を調査していた。

 XRFは家庭内の鉛を非破壊的にテストするために長年使用されているが、PBDEの濃度を見積るためにこの技術を使用したという報告は今回が初めてである。XRS は PBDE 分子ではなく臭素原子を検出するが、難燃剤は評価しようとしている対象物中で唯一の主要な臭素源であるとウェブスターは強調している。

 ウェブスターの試験所の博士課程研究生ジョセフ・アレンはデューク大学のヒサー・スタプレトンと共にこの技術を確認した。彼らは、いくつかの代表的な難燃剤消費者製品について、XRF で検出される臭素の濃度はガスクロマトグラフと質量分析計によって得られた結果とよく関連することを示した。

 アレンは、XRF検出器を用いた以前の調査に参加した人々の家を再度調査した。彼が収集したデータは、家庭の家具の中の相対的な臭素濃度と家屋内の埃中の PBDEs の量と明らかに相関関係があった。彼は、テレビ、端子台、電源アダプター、CDプレイヤー、目覚まし時計、DVDプレイヤー、ビデオカセットレコーダー、椅子、ソファー、枕、布団、マットレス中のPBDEsの含有率を記録した。しかし、彼は、臭素含有量はほとんどの製品カテゴリー中で著しく変動し、あるものは全く臭素を含まないということを強調している。このことは、人々の家の中のPBDE濃度は家具や製品の数を単純に数えても予測することができないということを説明していると彼は結論付けた。

 アレンのこの研究の一部を記述したポスターは、4月にアムステルダムで行われた臭素化難燃剤に関する第4回国際ワークショップでジャンソン&バーグマン学生賞で500ユーロの賞金を獲得した。

ケリン S. ベッツ(KELLYN S. BETTS


訳注1:PBDEs 関連記事



化学物質問題市民研究会
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