米化学会 C&EN News 2009年12月18日
難燃剤製造3社 デカBDEの製造と販売を廃止

情報源:C&EN News December 18, 2009
Industry To Phase Out decaBDE
Flame Retardants: Production will shift to greener alternatives
by Glenn Hess
http://pubs.acs.org/cen/news/87/i51/8751notw12.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2009年12月20日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_09/09_12/091218_CEN_decaBDE.html

 難燃剤製造/販売3社は、米環境保護庁との協議を経て、この3年間で最も使用されていた臭素系難燃剤デカブロモジフェニルエーテル(decaBDE)の製造と販売を廃止することに合意した。

 アメリカでデカBDEを製造しているAlbemarle社とChemtura社、及びアメリカで最大の化学物質輸入会社であるイスラエルのIndustrial Products (IP)社は、2013年までに、”エッセンシャル・ユース”を含めて全ての用途のための販売をやめると述べた。

 世界で最も広く使用されている難燃剤のひとつであるデカBDEが過去数年間、議論の中心にあった。廃止計画を記述したEPAへの手紙の中で、同3社は、デカBDEは安全で効果があると主張しているが、よりグリーンな代替物質に移行すると述べている。

 デカBDEは、健康リスクの可能性があるので厳格な規制を受けている難燃剤化学物質の一族、ポリ臭化ジフェニルエーテル[訳注1]である。

 ”デカBDEは難燃剤として長年使用されてきたが、EPAはそのヒト健康と環境への影響について懸念してきた”とEPA汚染防止農薬有害物質局(OPPTS)の副局長スティーブ・オーエンスは述べている。”研究調査がデカBDEは環境中に残留し、がんを引き起こす可能性があり、脳の機能に影響を及ぼすかも知れない”。

 難燃剤はまたしばしば環境中に見出され、野生生物に有害なもっと毒性の高い化学物質に分解することができるとオーエンスは付け加えた。

 会社とEPAとの合意に基づき、最初は電子機器や家庭用家具類などの消費者製品から着手し、次に輸送や産業用途で実施する。適切な代替であることを確認するのに少し時間がかかるであろうある種の輸送や軍事用途では代替難燃剤に移行するために追加の12ヶ月が与えられる。

 ”科学に基づくピアレビューされた数百の研究が、デカDBEは安全に使用されており、世界で最も効果的な難燃剤であることを示しているが、Albemarle社は、もっとエコロジカルフットプリント(訳注1)の小さい安全で効果的な製品を提供することを約束する”とAlbemarle社難燃剤グループの世界ビジネスディレクターであるブライアン・カーターは述べた。

 デカBDEに対する既存の代替に加えて、Albemarle社は、リサイクル可能で環境に適した代替であるポリマーベースの難燃剤技術によりGreenArmorを開発したと同社ポリマー・ソリューション部門の副社長トニー・パーネルウは述べている。

 デカBDEを廃止しても、Chemtura社は、”持続可能な方法で火事から人と財産を守るための長年の取り組みを続けることが可能である”と同社の代表取締役社長クレイグ・ロジャーソンは述べた。”我々は、2010年には導入予定の新製品を含んで他の代替物質に我々の顧客が移行するのに役立つこの機会を歓迎する”。

 ICL-IP社難燃剤ビジネス部門担当の副社長イラン・エルカンは、同社は、従来の適用製品中のデカBDEを代替するために今後2-3年で新たな難燃剤製品の発売を予定しており、また”それ以外の高付加価値グリーン製品”も発売するであろう”と述べている。。


訳注1
エコロジカル・フットプリント:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

訳注:臭素系難燃剤関連情報



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る