スウェーデン持続可能省プレスリリース2006年8月25日
スウェーデン 臭素化難燃剤Deca-BDE の使用を禁止

情報源:Press release 25 August 2006
Sweden Ministry of Sustainable Development
Ban stops use of brominated flame retardant in Sweden
http://www.sweden.gov.se/sb/d/6233/a/68354

抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年8月31日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/060825_ban_decaBDE_Sweden.html


 政府は本日、臭素化難燃剤Deca-BDE の使用を禁止することを決定した。この禁止は織物や家具、ケーブルなどの新規の製品でのDeca-BDE に適用される。

 ”今日、Deca-BDE は人間及び鳥類の体内で見いだされている。いくつかの研究は、この物質が脳の発達を妨げ、またもっと有害な他の物質に分解することを示している。このことが、なぜ我々が EU の先を行くこの選択をし、国の禁止を提案することになったかの理由である。”

 この物質は EU レベルでのリスク評価の対象であり、結論はその評価で見いだされたかなりの不確実性を削減するために更なる研究が実施されなくてはならないというものである。スウェーデンで実施されたマウスでの研究で脳の発達を阻害することが発見されたが、これは多くの人々が再現性を求めて繰り返されるべきと信じる研究のひとつである。
 しかし、欧州連合自身の科学委員会は、Deca-BDEに対するリスク削減措置をとる前に実施されるべき更なる研究を待つべきではないという意見である。

 ”スウェーデンが率先して国家の禁止を導入することは非常に前向きなことである。Deca-BDE が健康と環境に有害であるということを示す十分な証拠はすでに存在するので、我々が行動を起こす機は熟している”−と左翼党(訳注:与党社民党に閣外協力)のクジェル−エリック・カールソンは述べている。

 自動車及び電気・電子機器のようなある製品グループは、すでにEUで規制されているので、この禁止から除外されるであろう。今日、デカBDE以外の他の難燃剤はすでにEUで禁止されている。

 2005年10月、欧州委員会は、Deca-BDE が消費者にリスクをもたらすというようなことは示されていないとして、原則として RoHS 指令(電気電子機器における特定有害物質使用制限指令)と呼ばれているものの中でDeca-BDE の全ての使用を原則として免除するという決定を行った。RoHS 指令は水銀やある難燃剤を新規の電気・電子機器中で使用することを禁止している。
 いくつかの加盟国はこの決定を留保し、欧州委員会はそのような決定をする権限はないとの意見を表明した。欧州議会とデンマークもまた、この決定を無効とすることを求めて欧州委員会を欧州司法裁判所に提訴することを決定した(訳注1)。スウェーデンはこの訴訟を欧州議会及びデンマークの側に立って関与するであろう。

 ”我々の意見は、欧州委員会の決定はまたく全く合法性に欠ける。議会が提訴したのは私の発議によるものである”−欧州議会議員(グリーン)のカール・シュリターは述べている。”科学的証拠と世論が味方すれば、欧州議会とデンマークはスウェーデンの支援を得てこの訴訟に勝ち、これらの免除の決定は無効になるであろう。このことは人々と環境のためにより強い保護をもたらすであろう。”

 提案された国家禁止案は2007年1月1日に発効する。これは政府、緑の党、及び左翼党との間の合意に基づくものである。

参照:Chemicals policy in Sweden, the EU and globally


訳注1:
Greens/EFA プレスリリース 2006年1月10日/臭素化難燃剤 Deca-BDE 欧州委員会の禁止解除に議会が提訴(当研究会訳)


化学物質問題市民研究会
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