EHN 2009年4月1日
ダスト中の難燃剤が
男性ホルモンのレベルを変えるかも知れない

解説:キム・ハーレイ

情報源:Environmental Health News, April 1, 2009
Flame retardants in dust may alter men's hormone levels
Synopsis by Kim Harley, Ph.D.
http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/PBDEs-may-alter-hormone-levels-in-men

オリジナル:Meeker, JD, PI Johnson, D Camann and R Hauser. 2009. Polybrominated diphenyl ether (PBDE) concentrations in house dust are related to hormone levels in men. Science of the Total Environment doi:10.1016/j.scitotenv.2009.01.03.

訳:安間 武(>化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年4月10日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_090401_mens_hormone_levels.html


 PBDEs として知られる難燃剤の家庭におけ濃度が高い成人男性は血中のあるホルモンのレベルが低い。

 ハウスダスト中の難燃剤の濃度が高い家にすむ男性は低い家に住む男性に比べてテストステロン(訳注:男性ホルモンの一種)レベルが有意に低い。

 24人の成人男性の調査は、ダスト中のPBDEレベルと成人男性のホルモンレベルを比較した最初のものである。

 この調査の規模は小さく、その結果は予備的なものと見なされるべきである。しかし、それはPBDEsとして知られるこの化学物質への共通した家庭内暴露は、男性のホルモンレベルの変更と関連するかもしれないことを示唆している。

 PBDEsは、電子機器、プラスチック、家具などの可燃性を低減するために広く使用されている。この化学物質は製品から漏れ出し、家庭内ダストから広く検出されている。屋内ダストはこのこの化学物質への人間の主要な暴露源のひとつであると考えられる。

 動物実験ではPBDEsは、エストロゲン(訳注:女性ホルモンの一種)を擬態し、テストステロンを阻害するホルモン特性を持っていることを示している。

 研究者らはアメリカの不妊治療病院から男性を募集し、彼らの血中のホルモンレベルと家庭のPBDEレベルを測定した。それ自身で血中で移動するテストステロン(担体分子により搬送されないもの)のレベルは、家庭内ダスト中で3つのPBDEsが高濃度の男性は、低濃度の男性に比べて約15%低いと見積もられた。

 PBDE暴露が高い男性では、テストステロンの放出を刺激する黄体形成ホルモン及び精子の形成に関わる卵胞刺激ホルモンが約30%低かった。  最近の研究と一致して、この研究はまたPBDE暴露が高い男性では、甲状腺ホルモンであるチロキシンのレベルが高いことを示した。


訳注:難燃剤関連記事


化学物質問題市民研究会
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